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ACID TANK

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2008-09-02

デトロイト・メタル・シティ」をかなりマジメに観たっす。 「デトロイト・メタル・シティ」をかなりマジメに観たっす。を含むブックマーク 「デトロイト・メタル・シティ」をかなりマジメに観たっす。のブックマークコメント

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デトロイト・メタル・シティ」鑑賞。ちなみに僕は原作マンガを、ほぼ毎週立ち読みしているくらいには好き。

僕はこの映画化を楽しみにしていた反面、不安視もしていた。DMCはギャグ版「ジキルとハイド」であり、ジキルに相当するのが、渋谷系オシャレサブカル。ハイドが、デスメタル。とする対立構造が軸になっている。ここで肝心なのが、原作者は、この二つのカルチャーそれぞれに距離感を持っているということ。そして、その距離感は本質的にまったく別物だ。渋谷系には「キモい」アングラデスメタルには「よくわからない」という距離感。つまり、あくまで、デスメタルの描かれ方は渋谷系オシャレ嗜好と対比させるための主人公の裏の顔でしかなく、渋谷系についてはフリッパーズがどうの、カヒミ・カリィがどうの、と細かい記述がよく描かれるが、メタルはというと、「ヘッドバンキング」「悪魔崇拝」などと類型的で表層的なものでしかない。

DMCは、おそらく渋谷系全盛期にオシャレサブカルに片足を突っ込んでいた作者の自虐が面白さの基になっている。だから「現在の感覚から当時の渋谷系はアウト」などという批評性は希薄だが、時代を超越した主観的なサブカル風刺が面白い。映画でも描かれているが、ラッパー鬼刃がDMCDISる描写でも鬼刃のライミングは、はっきり言ってすばらしい。日本のヒップホップをしっかり聴いて知っているなーというのがわかる(余談だがNARUTOに出ているラップ口調のキャラのしゃべりは本当にひどい)し、その上でラップを根岸がダジャレと言い切るのがすごい。つまり、それぞれのトライブはお互いを咀嚼しえないというニヒリズムを笑いに昇華しているのだ。

原作マンガでの最新エピソードでは、村上隆GEISAIに出展するアート系若者たちが「アートキワ壮」で共同生活をしており、そこに憧れて主人公根岸が入居するのだが、結局ぬるい空気に染まれずにその後入居してきたマッチョ白人やパンクキッズノイズ合戦を繰り広げ、アートかぶれたちを追い出し、その様子を「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「クローバーフィールド」風のハンディカメラによる一人称ホラーとしてGEISAIに出展する。というきっちりした情報構築の上で完全に狂った世界観を作ってたりして、驚かされる。

マンガのヒットや、それに続く今回の映画化は、端的に言って「サブカル側」からの評価だ(当然だけど。ちなみにサントラamazonカスタマーレビューを見ると、メタラーが「こんなのメタルじゃない!」とか書いてて笑える)。だが、そのサブカルをめぐる状況をギャグにし続けて来た原作マンガのエッセンスはどうなってしまうのか。というのが僕の不安の正体だった。


映画は、ほぼ原作に忠実だが、モヤシのような主人公が夜な夜なカリスマメタラー(?)に変身するというストーリーをパーフェクトに映像化しており、単純に圧倒された。松山ケンイチは素晴らしく、破天荒なクラウザーさんとして何の違和感もなかった。いろんなところで言及されているが、誰にでも分かるドタバタのスラップスティックなギャグから、音楽やファッションをめぐる細かいネタに至るまでの、配慮と構築がハンパなく素直に笑えた。使われる音楽もDMCの「SATSUGAI」や根岸「甘い恋人」の主題歌はもちろん細部の楽曲に至るまでの完成度とセンスがすさまじく、何よりポップだった。この辺は本当にカンペキ。冒頭で、東京に来た根岸がピチカートファイブのポスターの貼ってる家を出て、学校に行くとカジヒデキが歌ってるというめちゃカオスな状況が普通に描かれてて仰天した。


僕が危惧していた「すべてが細分化されアーカイブ化されたことによって、それぞれのトライブをメタ視して相対化した上でギャグにしかできないよね」という原作に横たわるニヒリズムを「サブカル側の視点だけで描けるのか?」という問題だが、結論から言うとこれは上手くやってた。クラウザー=デスメタルをあくまで悪役として割り切り「オシャレシンガーになりたいけど、いやいやデスメタルをやっている根岸の青春ストーリー」に落とし込み映画としてまとまっていた(原作だと、根岸のアイデンティティーの揺れは重視されない。どっちの自分も根岸に存在している)。

しかし、これだと、デスメタル=完全悪であり、クラウザーさんDMCファンも浮かばれないよなー。と思っていた。加藤ローサに「負け犬の音楽」みたいなことまで言われるのである。僕はここまで観て、疑問符を通り越して怒りが沸いてきたのだけれど、そこもうまく収束した。根岸にとって、自分が一番かがやけるのはDMCクラウザーさんを演じているときであり、その自分を受け入れクラウザーさんとしてやっていく覚悟を決めることが映画のクライマックスになっていた。これは「自分探し」を賞賛するような今の風潮に対して「やりたいことより、自分の才能を伸ばせることを、人がお前に求めることをしろ」とアンチを叩きつけてるようでもあり、正直かなり感動した。


しかし、だからこそ加藤ローサDMCのことを認め、クラウザーさんがステージで「甘い恋人」を歌うのは蛇足だった。女には理解されなくても、自分のためファンのため突っ走る。というラストにしてほしかった。


曲は本当に良いです。

甘い恋人

D

SATSGAI

D

魔界遊戯~for the movie~(初回限定盤)(DVD付)
石田ショーキチ Kiminori Wakasugi Gary Newby
B001CRGUNQ

松雪泰子も本当に良くて、怪演と言ってもいい。パンチラもあるんですが、僕的には別に嬉しくなくて、やはり……

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加藤ローサが頭がすっごく小っちゃくてねぇ。お人形みたいでした。髪を常にアップにしてるんだけど、耳の上の髪の生え際のラインがヤバすぎる透明度を放っていてね、まさに銀河のよう………。僕はこの言葉を使うの苦手なんだけど、正直に書くと「神!」と思ったです。。。