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アクチュアリー試験数学の研究



 アクチュアリー試験
 (社団法人日本アクチュアリー会資格試験、アク試験)
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2010-10-11 続:「『災害保険金の話』の話」の話

前回

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20101004

掲載した

「『災害保険金の話』の話」の話

ですが、

アクチュアリーの練習帳」

http://acalax.info/app-def/S-102/wp/?p=323

を書かれているアカラックスの坂本嘉輝さんから次のように

地震免責かどうかはもともとの生保と損保系生保の違いではない

とのご指摘を受けました。

最近の『「『災害保険金の話』の話」の話』面白かったのですが、チョット勇み足かな、と思いますので、ご連絡します。

もともとの生保と損保系生保の違い、という話ですが、正しくは、生保地震免責の規定に2通りの書き方がある、ということだと思います。

たぶんもともとはactuary_mathさんの、いわゆる損保系生保地震免責、ただし削減払いするかもしれない、という規定が標準だったのが、その後、一部の会社で地震を免責からはずして削減支払を規定するようになったものと思います。

役所のほうはできれば削減支払の規定が望ましいけれど、必ずしもすぐに地震免責の規定を削減支払の規定に変更しなければならない、というほどでもない、ということかと思います。

損保系生保地震免責の規定だとすると、損保系生保が免許取得したときにコピーの元としたもともとの生保の約款が地震免責の規定だった、というだけのことだと思います。

actuary_mathさんが例示しているように、日本生命住友生命は削減支払の規定になっていますが、第一生命明治安田生命地震免責の規定だと思います。

この地震免責については損保のほうは知りませんが、生保のほうには伝説があります。かの関東大震災のとき、損保は免責で払わなかったのに生保は払った、というものです。

この地震免責は保険法ができる前の商法の規定で免責となっていたものです。

調べてみると確かに第一生命明治安田生命は、地震免責となっていました。

いわきさんのブログ

http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6c2d.html

の追記にも取り上げてもらったのですが、坂本さんの御指摘どおり勇み足となったことをお詫びいたします。

お詫びとして、生命保険協会加盟各社のWEBサイト上公開されている約款等を見たところ以下のとおりでした。

上記のとおり損保系ではない生保地震免責となっている会社がある一方で、三井住友海上きらめき生命のような損保系生保でも地震免責でない会社があるようです。*1

「?」や「−」の会社について更に情報が分かればお知らせください。


表の見方

A:地震免責でない(場合により削減払又は不払い)

B:地震免責(場合により全額支払又は削減払)

?:約款が確認できない(災害特約・傷害特約等の存在は確認)

−:災害特約・傷害特約等が存在しない又は存在が確認できない

会社名内容
アイエヌジー生命保険株式会社
あいおい生命保険株式会社
アイリオ生命保険株式会社
アクサ生命保険株式会社
朝日生命保険相互会社
アメリカンファミリー生命保険会社
アリアンツ生命保険株式会社
アリコジャパン
AIGエジソン生命保険株式会社
AIGスター生命保険株式会社
オリックス生命保険株式会社
カーディフ生命保険会社
株式会社かんぽ生命保険
クレディ・アグリコル生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社
住友生命保険相互会社
ソニー生命保険株式会社
ソニーライフ・エイゴン生命保険株式会社
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社
損保ジャパンひまわり生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
第一フロンティア生命保険株式会社
大同生命保険株式会社
太陽生命保険株式会社
チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
東京海上日動フィナンシャル生命保険株式会社
日本興亜生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
ネクスティア生命保険株式会社
ハートフォード生命保険株式会社
ピーシーエー生命保険株式会社
富国生命保険相互会社
フコクしんらい生命保険株式会社
富士生命保険株式会社
プルデンシャル生命保険株式会社
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社
マスミューチュアル生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
三井生命保険株式会社*2
三井住友海上きらめき生命保険株式会社
三井住友海上メットライフ生命保険株式会社
みどり生命保険株式会社
明治安田生命保険相互会社
メディケア生命保険株式会社
ライフネット生命保険株式会社

2010-10-04 「『災害保険金の話』の話」の話

(2010/10/11 追記:生保災害保険金地震免責かどうかは、会社によって違いがあるのは確かですが、損保系生保かどうかではないというご指摘を受けました。

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20101011

をご覧ください。)

かなり長い間空いてしまいましたが、今日は、災害」を巡る生保と損保の考え方の違いについてなかなか興味深いことが分かったので、それを書いてみたいと思います。

いわき( @ )さんが、

あるFP(フィナンシャルプランナー)氏が著した

地震時には受け取れない?! 「災害保険金の話

http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/gofun/070110_saigai/

を受けて、

災害保険金の話」の話

http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6c2d.html

というのを書かれています。

災害特約」とか「傷害特約」といった商品は約款上、保険金が受け取れないことがあるがそれは「この特約の計算の基礎に影響を及ぼすとき」であり、阪神・淡路大震災でも「計算の基礎に影響を及ぼす」とはいえないので、支払条件を曲解して不安をあおるのはFPとしてどうか

という話です。


ここで、件のFP氏がなぜ「曲解」したのか考えてみました。


FP氏は、「損保・生保の本店業務部門を経て独立系FP」とあり、損保が主なバックグラウンドであることがわかります。(あとでの考察から「生保」とは「損保」の子会社の「生保」だと思われます。)


損保の傷害保険では確かにFP氏のおっしゃるとおり、(割増保険料を払って特約を付帯しない限り)地震に対しては保険金が支払われません

(例えば、東京海上日動火災の傷害保険普通保険約款

http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/pdf/kokunai_yakkan.pdf

のp1

では、

第3条(保険金を支払わない場合−その1)

*1 当会社は、次の各号に掲げる事由のいずれかによって生じた傷害に対しては、保険金を支払いません。

(8)地震もしくは噴火またはこれらによる津波

となっています。

確かにいわきさんの御指摘のとおり、地震による死者が生命保険会社の経営に与える影響は少ないと考えられますが、地震台風等の自然災害の発生は損害保険会社の経営には大きな影響を与えるので、これらのリスクにはセンシティブになり、免責としたのだと考えられます。(傷害保険だけではなく自動車保険等でも免責となっています。)


問題の規定はいわきさんが引用されている「日本生命の新傷害特約(H11)の例」では、

http://www.nissay.co.jp/kojin/shohin/shiori/shushin/pdf/02-193-196.pdf

のp3)

では、

第2条(災害死亡保険金、障害給付金の削減支払)

前条の規定にかかわらず、被保険者がつぎのいずれかにより死亡しまたは身体障害の状態(別表12)に該当した場合で、その原因により死亡しまたは身体障害の状態に該当した被保険者の数の増加がこの特約の計算の基礎に影響を及ぼすときは、会社は、災害死亡保険金もしくは障害給付金を削減して支払うかまたはこれらの保険金もしくは給付金を支払わないことがあります

(1)地震、噴火または津波によるとき

(2)戦争その他の変乱によるとき

(太字引用者)

となっているのですが、損保系生保では、書き方が微妙に異なっているようです。


例えば東京海上日動あんしん生命保険の「5年ごと利差配当付終身保険」の

http://ykn.tmn-anshin.co.jp/affix/yakkan2/nagawari/D79-11660/MCNG9C0_%92%B7%8A%84%82%E8%8FI%90g.pdf

「傷害特約条項(本人型)」(約款105ページ)

では、

第1条(災害死亡保険金・障害給付金の支払)

で、

地震、噴火または津波

支払事由に該当した場合であっても保険金・給付金を支払わない場合(以下「免責事由」といいます。)

とした上で、

第2条(災害死亡保険金・障害給付金の支払に関する補則

(6)被保険者が地震、噴火、津波または戦争その他の変乱により死亡し、または身体障害の状態(別表3)に該当した被保険者の数の増加について、当会社が、この特約の計算の基礎に及ぼす影響が少ないと認めたときは、当会社は、その程度に応じ、災害死亡保険金または障害給付金の全額を支払い、またはその金額を削減して支払います

(太字引用者)

この内容が親会社の損保の傷害保険の影響を色濃く受けていることはいうまでもないでしょう。もちろん、このような内容だからといってその後の中越地震などにおいて、損保系ではない生保と支払内容が違っていたということもないはずです。(もし違っていたら社会問題になります。)

まさかのとき、保険金の請求漏れを防ぐためにも、こうしたコマゴマとした特約について一度チェックしてみましょう。契約時に渡された「契約のしおり」という冊子の「約款」をひも解いてみると、どんなときに保険金が支払われるのかよく理解できていない特約や、自分のイメージしている保障内容と異なっているものが、思った以上にたくさんあることがわかります。

と書くFP氏がまさか約款を読んでいないことはないのではないかと考え調べてみたのですが、生保と損保の違いをまた一つ知ることとなった次第です。

このような違いについてはまた、機会があれば記したいと思います。

*1:原文はいわゆる丸数字の1ですが、機種依存文字のため、ここでは普通の1で表現しています。

siba9791siba9791 2013/04/18 13:53 何事も穏便にすめばいいですね

2010-04-08 日本の民間医療保険の「黒字」に関する考察

民間医療保険、過去最高の黒字1兆5千億円(か?)

というTweetsがTwitterのTL(Time Line)上を駆け巡りました。

ライフネット生命保険株式会社(以下「ライフネット」)副社長の岩瀬大輔さんの次のTweetsがその発信源になっています。


http://twitter.com/totodaisuke/status/11801665099

「健保組合、過去最悪の赤字6605億円」と合わせて流して欲しいニュース「民間医療保険、過去最高の黒字1兆5千億円(か?)」 公表データは「第三分野の保険料収入4.7兆円、入院・手術給付金0.7兆円」しかない。社会保障を考える際に、公的保険と民間保険を統合的に見る視座が欠落している

http://twitter.com/totodaisuke/status/11801733921

see this page for statistics http://bit.ly/d0BG7n

http://twitter.com/totodaisuke/status/11801998369

医療保険の利益がいくらかは非公開なので、3割と仮定した。利益を上げることは悪いことではないが、公的な役割を担う医療保険においては何らかのガイドラインが必要かと。米国では、保険者の利益額を適正化すべく minimum loss ratio が定められていますよね?確か。

また、ここの「3割」の根拠ですが

http://twitter.com/totodaisuke/status/11817785026

業界関係者へのヒアリングに基づく推計値です。二割かも知れませんが、一割ではなさそう。なんせ、データが非開示

だそうです。


以下、日本の民間生命保険会社の医療保険の「黒字」について考察してみたいと思います。


結論から先に申し上げると、

生命保険業界(かんぽ生命を除く)の医療保険の「黒字」は6千億円と上記の数字の4割程度と「推定」されます。


以下の分析で日本における第三分野の「大手」であるアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)の例を出しますが、私は

アフラック社ともライフネット社とも利害関係にはない

ことを念のために申し添えておきます。

また、私は生保会計の専門家ではないので、以下の理解が違っている点があるかも知れませんので、それについては、ご指摘くだされば幸いです。


1.「第三分野の保険料収入4.7兆円」

これは、生命保険協会の年次統計の

http://www.seiho.or.jp/data/statistics/annual/index.html

平成20(2008)年度(以下とくに断りのない限りすべて2008年度の数値を使用)

「年換算保険料の状況」

http://www.seiho.or.jp/data/statistics/annual/xls/2008kessan/2008nenkansan.xls

の大和生命、かんぽ生命を除く44社計の

4,680,319百万円(4.7兆円)

からだと思います。*1


2.「入院・手術給付金0.7兆円」

これのデータソースを探すことができませんでした。

保険金・年金・給付金明細表」

http://www.seiho.or.jp/data/statistics/annual/xls/2008kessan/2008hokenkinmeisai.xlsの44社計では、

入院:627,359百万円

手術:292,426百万円

で合計すると

919,785百万円(0.9兆円)

です。それでも4.7兆円に比べて小さく見えますが、その他の給付金や一時金等の中に第三分野からの給付が含まれている可能性は皆無ではありません。


3.アフラックの年換算保険料

アフラックについても年換算保険料をみます。

同社のディスクローズ資料

http://www.aflac.co.jp/corp/report/disclosure/pdf/2009/p07_24.pdf

のp11にあるように

保有契約の年換算保険料

1,125,416百万円で

そのうち992,652百万円(88.2%)が第三分野です。

つまり、同社の保険のほとんどが第三分野なので、同社の収益性が日本の第三分野の収益性の1つのメルクマールになると考えられます。

また、同社の第三分野の年換算保険料生命保険業界全体の約2割(19.7%)を占めていることにも注意しましょう。


4.アフラックの「基礎利益」

次にアフラックの、「基礎的な期間収益の状況を表す指標である」「基礎利益」をみます。

http://www.aflac.co.jp/corp/report/disclosure/pdf/2009/p07_24.pdf

のp18によると

147,728百万円となっています。(その91.6%の135,271百万円が危険差損益)

年換算保険料(1,125,416百万円)に対する割合は、約13.1%です。

(なお、同じページによると

保険料収入等は1,162,628百万円でこれに対する割合は、約12.7%です。)


5.第三分野の基礎利益の推定

これを基に第三分野の基礎利益の推定を行います。

アフラックの基礎利益÷アフラックの年換算保険料×第三分野の年換算保険料

=147,728百万円÷1,125,416百万円×4,680,319百万円

=614,363百万円

つまり6,000億円程度推計されます。


6.損害率に関する考察

最後に、

米国では、保険者の利益額を適正化すべく minimum loss ratio が定められていますよね?確か。

というのがあったので「loss ratio」つまり「損害率」についてかんがえてみます。


損害率とは保険金÷保険料のことです。保険金が通常の事業の「原価」とも言え、1−損害率が通常の事業の「粗利益率」という比喩もないわけではないと考えます。


「minimum loss ratio」で検索すると

http://www.familiesusa.org/assets/pdfs/medical-loss-ratio.pdf

というのがヒットしました。

これによると、米国の健康保険では、損害率(保険金÷保険料)の下限が定められている模様です。

具体的にはこのファイルのp3に表があり、個人市場(Individual Market)だと

55%〜80%の範囲となっています。


「損害率」とは損保での管理指標であり、生保では通常「損害率」による管理は行っていないのですが、それを第三分野保険に当てはめるとどうなるでしょうか

アフラックの損益計算書をみてみましょう。

http://www.aflac.co.jp/corp/report/disclosure/pdf/2009/p90_105.pdf

のp91によると、

保険料等収入が1,161,681百万円で保険金等支払金が564,562百万円なので

単純に前者を後者で割ると48.6%となります。


となると、「粗利益率5割」と言いたくなるかも知れませんが、ここで考慮すべき事項があります。

それは、「責任準備金」と「支払備金」の存在です。


保険会社が収受する保険料には将来の保険事故発生のための支払に備えるための金額が含まれており、そのような金額は「責任準備金」として貸借対照表の負債の部に計上されます。

また、既に発生した(と考えられる)事故に対する保険金(給付金)支払見込額については「支払備金」という形でやはり貸借対照表の負債の部に計上されます。


損保の収益管理で「損害率」を考える場合は、上記のような単純に、保険金÷保険料(これを「リトン損害率」といいますが、)を用いることはまずなく、「責任準備金」と「支払備金」を調整した


保険金+支払備金繰入額)

÷(保険料+再保険収入−再保険料−解約返戻金−その他返戻金−責任準備金*2繰入額)

で計算される「アーンド損害率」を通常使用します。


生保と損保の違いではこれでは目をつぶることにして、「アーンド損害率」を計算すると、

アーンド損害率

=(62,494+3,356+336,881+1,956)

÷(1,162,628−1,568−157,585-2,677−375,306)

64.7%

となります。

3割が事業費を含まない「粗利益率」だとすればそれは当たっていない話ではないとも考えられます。また、米国の健康保険制度とは単純に比較できないのですが、上記の各「minimum loss ratio」の値とそれほど遜色ないものではないかとも考えられます。


<備考>ライフネットの「アーンド損害率」

参考までに、ライフネットについても同じ値を計算してみましょう。ライフネットの場合は2008年度の計数が小さいため、2009年度第3四半期(2009年4月〜12月)の計数を使用することにします。

http://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/LIFENET_disclosure_2009Q3.pdf

のp9により、

アーンド損害率

=(20+8+34)

÷(367−0−117)

=24.8%

*1:かんぽ生命を加えた45社計では、4,729,308百万円

*2:正確には未経過保険料ですが

2010-03-31 社会に出る皆さんへ。保険に入るその前に…

今回は、アクチュアリー(試験)とは直接関係ない内容で、かつ、このブログの大半の読者の方には極めて自明な内容と思われ大変申し訳ないのですが、ある日本を代表する大企業に明日入られるという方が、(もし保険に入るとして、大企業の従業員の方が一般の方より遥かに有利な条件で加入できる)団体定期保険(*)等の選択肢を考慮されないと見受けられ、それはのは大変勿体ないので、もしかしたらお役に立つ方が一人でも出れば幸いと念じて、書き連ねる次第です。


社会に出る皆さんへ。(生命)保険に入る前に


1.次の4点を考えられることをお薦めいたします。

(1)何のために、その(生命)保険に入るのですか、その(生命)保険に入る必然性はありますか。保険に入らずご自分でリスク管理*1するという選択肢はありませんか?

(2)(生命)保険に入るとして、特に死亡保険金は自分では使えません。その(死亡)保険金を誰に遺しますか?ご両親?配偶者?遺すとしてその金額(保険金額)は妥当ですか?

(3)他社の保険、(大企業の従業員の場合には)会社の団体定期保険や共済(都民共済、県民共済その他)等*2、目の前に出された保険プラン以外の様々な選択肢を検討しつくしましたか?

(4)そのプランはご自分で決めたものですか?「生命保険募集人」*3に薦められたままのプランではないですか?


2.また、「アクチュアリー試験のカラクリ」*4

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100217

の最後に挙げた

http://blog.livedoor.jp/tsukin_book/archives/2591152.html

で紹介されている

坂本 嘉輝さん*5が書かれた

生命保険「入って得する人、損する人」』 講談社( isbn:4062726319

を読まれるのもよいかも知れません。


3.最後によくいわれる話ですが、

生命保険は、家の次に高い買い物

ことを印鑑をつく前(あるいはクリックの前?)に思い出しましょう。

*6


(*)団体定期保険

http://www.1st-get.com/hoken/2006/03/post_17.html

より

団体定期保険とは、大企業や企業グループに勤める社員などを被保険者とする、保険期間1年の死亡保険です。自分で保険料を負担して任意加入するケースのほか、会社が保険料を負担してくれる場合もあります。

団体定期保険の一番のメリットは、保険料が割安なことです。これは団体保険が大量販売・一括管理されるために、保険会社の経費削減が図れるからです。一家の大黒柱が加入する保険の主流といえば定期付終身保険ですが、この定期保険に当る部分を団体定期保険にすれば、保険料の節約に効果的です。

また、高額保障の場合には通常は医師の診査などが必要ですが、団体定期保険なら告知だけで加入できるという簡便さも魅力の一つです。さらに1年ごとに契約内容を変更できるので、保障額増減にも柔軟に対応できます。

なお、上記の引用には記載がないですが、成績がよければ*7、(危険差)配当が返ってくることもあります。保険期間1年なので利差損と相殺されることもありません。

*1: 例えば、 http://twitter.com/s_iwk/status/11221045661 をご覧ください。このTweetをされたいわき(s_iwk)さんは、本ブログでの何度か言及していますが、生保アクチュアリーの方です。

*2:医療保険等「第三分野」と呼ばれる保険の場合は損保も選択肢に入ります。

*3:保険業法第2条第19項 http://www.nn.em-net.ne.jp/~s-iwk/2010-04-01/hou/a002.html (なお、このサイトは上記のいわきさんの労作です。)「生命保険会社…の役員…若しくは使用人若しくはこれらの者の使用人又は生命保険会社の委託を受けた者…若しくはその者の役員若しくは使用人で、その生命保険会社のために保険契約の締結の代理又は媒介を行うものをいう。」つまり、生命保険会社の役員も含まれるのでご注意ください。

*4:ちなみに本エントリーの元となった書籍がPDF化されていたので「団体定期」で検索してみましたが、残念ながらヒットしませんでした。

*5:高名な生保アクチュアリーの方です。

*6:上記の坂本さんの本は、生命保険会社に払う生命保険料累計の1万分の1レベルの値段で買えます。

*7:大企業の従業員なので予定を上回す死亡者は出ることは少ないです。

2010-03-19 アクチュアリーの就活と転活

●今回の要点

今、就活(就職活動)の季節であるが、大学側が留年の「支援」をする等異様な現象が生じている。だが、(アクチュアリー等の)転活(転職活動)では転職斡旋会社が仕事の候補を持ってくる等、就活とはすべてが逆転する。更には、未経験からの就職も可能なので諦めることなく就活・転活に臨まれたい。

(139字)


●「使用前」のご注意

(1)以下の内容の大半は、(一部の)業界関係者にはほぼ自明なものあり、「何を当たり前のことを書いているのだ!」とお叱りを受けるのかもしれないのですが、最近になって、どうやらそういう当たり前のことが当たり前とされていないのではないかというように思えてきたため、何卒ご容赦くださればと存じます。

(2)以下ではアクチュアリーのことを中心に書く*1のですが、クオンツ等他の職種でも同様なのではないかと考えます。このブログアクチュアリー関係者*2以外の方がご覧になることは少ないとは思うのですが、就活されている方でもしそのような方がいらっしゃるとすれば、ご自身のフィールドで同じような道を探るヒントにしていただければ幸いです。

(3)また、転職の話を中心に書くのですが、転職そのものを積極的に進めているのではなく、

(新卒の)就活(就職活動)がうまくいかなくても、転活(転職活動)でいくらでも逆転可能

という趣旨なのをご理解くださればと存じます。

2010/3/21補足

なお、アクチュアリー採用自体の話は、いわきhttp://twitter.com/s_iwk )さんがブログ

http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-dc90.html

で書かれました。

アクチュアリー採用を考えられている皆様は必見です。)


●本文

前回

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100317

から「日本の損保アクチュアリーの歴史に関する諸考察」シリーズを始めたばかりだったのですが、今回は1回お休みして、

アクチュアリーの)「就活」と「転活」

について考えてみたいと思います。


就職活動(就活)の真っ最中ですが、

「就活のために留年する学生支援  大学に広がる『卒業延期制度』」

http://www.j-cast.com/2010/03/17062498.html?ly=cm&p=1

などという「異様」ともいうべきが生じています。


かつて私も

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100123

「学部を卒業してから1年間アクチュアリーの勉強に専念する」くらいであれば、「留年」してあくまでも「新卒」として受験するほうがまだいい

と書いたことがあるのですが、日本の「新卒」への拘りは尋常なものではないような気がします。


ところが、不思議なことにそのような「新卒」への拘りをはじめとする、

就活でのいくつかの「因習」は(少なくともアクチュアリーの)転職活動(転活)では全部逆転

します。


具体的に書くとこのようになります。

項目就活転活
既卒・留年への評価「既卒」になると大きなマイナス。留年も不利?新卒へのこだわりは原理的にありえない。留年等もまったく関係なし。キャリアの年数がポイント
候補の見つけ方リクナビ・マイナビ等のサイトから自分で探すのがメイン?転職斡旋会社に登録すれば向こうから候補を持ってきてくれる(非公開求人も少なくない)。もちろん個人で探して応募することも可能
学歴会社により考慮?ほとんど意味がない。
ES(エントリーシート)第一段階で課せられることが多く、「自己表現」を求められる。存在しない。強いていえば自分のキャリアやもっている資格等(職務経歴書)を書いて転職斡旋会社に提出することが対応?ただし、個人の思想・心情にまで踏み込まない。
CV*3(履歴書・職務経歴書)所定の履歴書。手書きでないと駄目なところも?履歴書というよりは「職務経歴書」。これまでの職務内容を記載。形式は特に問われないことが多い。もちろんPCで作成*4。電子メールでの提出も可であることが多い。転職斡旋会社に登録してある場合は斡旋会社から送付
WEBテスト企業により採用(特に大手?)。替え玉受験が問題に公正な評価にならないと分かっているものは実施しない。
筆記試験アクチュアリー採用の場合は課される。課されない。アクチュアリー試験合格科目数が筆記試験の代わり。
説明会決まった時間に限定され、参加しないと次に進めないことが多い。競争が激しく予約がとれないことも行わない。企業のほうもそこまでの時間がない。会社の情報ならWEBサイトやディスクローズ資料で研究すべき。転職斡旋会社に登録している場合、基本的な情報は斡旋会社を通じて教えてもらえる。
面接の日時設定決まった時間に限定される。大学の日程など考慮されない場合が多い。志望者の日時に合わせてくれる(志望者の現在の職場の人間に転職活動していることが悟られないように進めるのが大原則)。
資格アクチュアリー試験合格科目数が当然最重要。準会員(1次試験全科目合格)以上が理想的だが科目合格でのエントリーもありうる。それ以外の資格では証券アナリストやTOEIC等の加点要素になる資格もあるが、マストではない。また、資格の「コレクション」は無意味。
実務経験不問。むしろ変な「手あか」が付いていることを嫌う場合もある。当然、重視されるが、経験なしでも不可能ではない
書類の書き方等教えてもらう場合は有料無料で指導してくれる
斡旋会社の収入源掲載会社からの広告料?採用実績に無関係?「成功報酬・具体的には採用者の年俸の一定割合」とされている。確実に言えることは、志望者からはお金をいただかない

こうしてみると、転活はなんとも志望者に優しい仕組み*5のように見えてきます。


この原因は、アクチュアリーへのニーズの増大にあります。

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100123

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090430

でも述べてきたところですが、改めてまとめておきます。

(a)保険事業者の増加

2005年の保険業法の改正により、「根拠法のない共済」が保険業法の適応対象になり、少額短期保険業制度が創設されています。これにより、2010年2月25日時点で66社の少額短期保険業者*6が誕生(2010年3月19日現在生命保険会社*7が合計47社、損害保険会社*8が合計51社)

事実上すべての会社*9で保険計理人の設置が義務付けられています。

さらに、公益法人制度改革で保険(共済)事業を営む公益法人の保険業法の適用対象となっています。(ただし、今国会で見直しの動きがありますが…)

(b)保険計理人の設置の対象となる損害保険会社の拡大

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090430

に書いたように、1996年の保険業法改正当初は「保険期間が長期で保険料や責任準備金算出に保険数理の知識・経験を要する保険契約(介護費用保険等)を取り扱う損害保険会社」だけが保険計理人の設置の対象だったのですが、現在では事実上すべての損害保険会社に拡大しています。

この対象の拡大により、新たに保険計理人の設置を必要とする損害保険会社(主に外資系)が増加しました。

(c)負債(・資産)の時価評価により、アクチュアリーの職務範囲の拡大

国際財務報告基準(IFRS)やEUのソルベンシーII(ローマ数字の2)の動きで保険負債(資産も)を時価評価しようとする流れがあり。そのような負債予測のためには、保険キャッシュフロー(保険料保険金等)の将来予測がキーになりますが、そのような役割の担い手アクチュアリーの活躍が期待されています。


ここでは、保険についてのみ示しましたが、年金の分野でもアクチュアリーへのニーズが増大していることは確かです。


さて、

http://twitter.com/dongyingwenren/status/10608043404

いま坂本龍馬ばやりだけどさ。既卒だの留年だのだけで人事採用のまな板にも乗せないような現代の日本社会に龍馬がいたら、真っ先に白眼視されると思うけどな。そんな社会の良識を体現するような連中が「龍馬に学ぼう」とか言ってるのはギャグだと思う。

というTweetに対して、上記の事情を踏まえて

http://twitter.com/actuary_math/status/10668038766

ところが中途採用だと既卒だの留年だの無関係なのが日本の不思議なところなので、現在の坂本龍馬は高待遇でヘッドハントされるでしょう

と、ReTweetしたところ id:MarriageTheorem さんに

http://twitter.com/MarriageTheorem/status/10669784400

でも一度は「新規採用」される必要がありますよね…

というご意見を頂戴しました。

そのときは、 id:MarriageTheorem さんには

http://twitter.com/actuary_math/status/10692579086

http://www.elite-network.co.jp/x/j/tenshoku/voice_detail/?file_no=202&no=189

という例を出してご理解いただいた(と思う)のですが、そのような例はまだまだいくらでもあります


例えば、大手生命保険会社の第一生命保険でも

http://shoukai.type.jp/shoukaientry/job/111416.html?m=1&v=%E6%9C%AA%E7%B5%8C%E9%A8%93

【下記いずれかのご経験をお持ちの方】

◆金融業界でのアクチュアリー経験を有する方

◆日本アクチュアリー会の研究員*10以上の資格を持つ方

→準会員、研究会員の方も歓迎いたします。

とあるくらいです。


とはいえ、確かに未経験から、正規?の「就活」を経ない就職・転職に困難が伴うのも確かです。

ところが、アクチュアリー業界への入口は「大手」生損保・信託だけでは(ましてや、アクチュアリー採用だけでは)なく、実はいろいろなところに開いています


例えば、アクチュアリー会の賛助会員(法人会員)

http://www.actuaries.jp/intro/H21sanjo.pdf

の名簿を見ると、リクナビ・マイナビ等のサイトには掲載されていない会社も少なくないはずです。

もちろんそれらの会社は募集してなかったり、募集があっても少数だったりするのですが、それでも、「穴場」であることは間違いありません。

また、生損保会社等であってもアクチュアリー以外の職種で未経験者でも可という募集をしている例もあります。

そういう会社や職種からキャリア・アップを図る(もちろんその会社を隆盛させたり、その職種で活躍したりするという可能性もあります)という選択肢も(少なくとも留年等で「無為」に過ごすよりは)ありうるなのではないかと考える次第です。


今、保険業界への就活で苦まれている皆様がもしこのブログをご覧になっているとすれば、諦める前に、

これまで考えてもみなかった会社も含めいろいろな方面にコンタクトを取られること

をお薦めするところです。


<付記1>

(具体的な名前はここでは出さないですが、)いくつかのブログで起業とそれに絡めた日本社会論が取り上げられているようなので、

アクチュアリーの起業について」

も簡単に述べておきます。

以下に掲げるようにアクチュアリーが起業した会社は、最近特に増えつつあります

JPアクチュアリーコンサルティング株式会社

http://www.jpac.co.jp/aboutus/

株式会社IICパートナーズ

http://www.iicp.co.jp/

日本経営数理コンサルティング株式会社

http://www.e-jmac.com/

株式会社インズ・ビジョン

http://www.ins-vision.co.jp/

株式会社あすく数理人事務所

http://www.e-ask.biz/

キャピタスコンサルティング株式会社

http://www.capitas.jp/

アクタース株式会社

http://www.acturs21.com/

株式会社ブレイスアップ

http://www.braceup.jp/

株式会社リソース・ネット

http://local.yahoo.co.jp/detail/spot/e85659355e6ddad9146e0b1687c1387a/

合同会社 エース・ブレイン

http://www.acebrain.co.jp/

上記に述べたようなアクチュアリーの業務の広がりを考えれば寧ろ自然なことだと思います。これらの会社の業績については把握するすべはないし、ここでは起業の是非そのものを論じる気もないですが、一つだけ申し上げると、ここで挙げた方はアクチュアリーとして保険会社・信託銀行・コンサルティング会社等でそれなりの経験を積まれた後で独立された方ばかりでおり、未経験から起業された*11例は寡聞にして存じません。


<付記2>

この記事を書いているときに福井信英さん( http://twitter.com/fukui_dayo )が

「『転職力』を確認するためのふたつの問い」

という記事

http://fukui.livedoor.biz/archives/2909879.html

を出されているのに気付きました。

「人材紹介は、ごく一部」という部分ですが、少なくともアクチュアリーの転職では「人材紹介」の方が多いのではないかと考えます。

それはともかく、

「コネ」・「縁故」が強力である

というご意見には賛成です*12

アクチュアリーの世界は、そのような「縁故」を、例えば、アクチュアリー会や業界(生命保険協会、日本損害保険協会)等のセミナー・勉強会で作っていくという手もあるのですが、今や、ブログTwitter等のオンラインで「コネ」・「縁故」を作っていくことも可能です(このあたりについては別の機会にお伝えしたいと思います)。

*1:専門外のことは軽々に論じられないので

*2:+検索エンジン等のBOTS

*3:Curriculum Vitae の略

*4:手書きで書くとPC使えないのかと誤解される恐れもあります。

*5:ある意味こちらのほうが正常で、「就活」のほうが狂っていると思うのですが…

*6http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/shougaku/shougaku.pdf

*7http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/hoken.pdf

*8http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/songai.pdf

*9http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20090430 の脚注のとおり「日本地震再保険株式会社」だけが例外

*10:原文ママ。「研究会員」でしょう

*11:業界未経験でアクチュアリー試験に合格することがそもそも(不可能とは言えないまでも)困難なのですが…

*12:会社にとっては「縁故」採用の方が転職斡旋会社にフィーを支払わなくて済むという利点があります。