『八乙女×2』 が週刊少年マガジンに再録で出張掲載

・前号の次号予告にあった通り、『八乙女×2』 が週刊少年マガジン2024年13号に出張掲載された。



過去にマガジンに再録で出張掲載があった時は、事前に何の予告も無かった。

しかし今回は、次号予告で掲載告知があった上での完全再録だ。

内容は全て、過去に掲載されたもの。

昨今の週刊少年マガジンでは 『八乙女×2』 に限らず、他誌に掲載済み他作品の再録が急激に増えつつある。

まさか 「誌面を埋めるのに苦労するほどマガジンでは新人漫画家を育てられていない」 という可能性がある?

昔に比べて、不定期に掲載される新人漫画家さんの読切作品も面白くないのが増えてきている気がするし。


話がずれた。

今回再録された 『八乙女×2』 の内容は、中学1年生編の4月~7月から4コマをいくつか抜粋した形での再録だ。

ショート漫画パートは無いし、4コマが全部再録されたわけでもない。

写植とかも貼り変えられてないですね。当たり前だけど、欄外のアオリ文句などは新しくなっている。

そして目次ページにある氏家ト全先生のコメントも新しいものだぞ。


この調子で行くと、今後もたびたびマガジンに 『八乙女×2』 が再録で出張掲載されるのだろうか?

個人的には、まあ 『八乙女×2』 の宣伝になってくれてよろしい気がしますね、とも思ったりするが……

やはりマガジンでの再録の多さや新人読切の不調が心配になってくる、というのが総括だ。

センターカラー付き! 今月の 『八乙女×2』 第22話 感想

・感想の前に抽選プレゼントのお知らせだ。

今月の2024年3月号の別冊少年マガジンでは、『八乙女×2』 がセンターカラー!

カラーページは単行本表紙2巻のイラスト流用なのですが、何と氏家ト全先生描きおろしの抽選プレゼント企画が来た!

抽選で3名に氏家ト全先生の直筆サイン色紙、おまけに当選者の名前を書き入れてプレゼントだ!

応募券が付くのは紙版の別マガのみだ。電子版の別マガでは応募不可。

こいつはマストバイじゃない? 買うしかないじゃない? 別冊少年マガジン、1冊770円だよ。

ちなみに 『八乙女×2』 の絵柄のクリアファイルに応募することもできる。直筆色紙かクリアファイルの選択式だ。

応募するなら色紙を選ぶ人が多いだろうので、クリアファイルは狙い目となるのかもしれない。まあ当選者数3名だが。


・そして本編、今月の 『八乙女×2』 感想。

第22話 「文芸部バレンタイン」 の感想だ。

4コマ漫画パートが4ページ、ショート漫画パートが8ページ。ショート漫画パートに多くページ数を割いてきた回である。

ちなみにセンターカラーという事で、表紙にも八乙女ハルルの姿がある。描きおろしではないけれど。



前半4コマパートは、冬の日常エピソード。

開幕のネタは、2月でもコタツである。当然のごとく、八乙女ハルルが八乙女カイ家のコタツに入り浸るぞ。

八乙女カイの方が八乙女ハルル自身よりもスカートのめくれを気にしちゃうの良いですね。

八乙女ハルルを女子としても意識してるのだなと伝わる。微塵も気にしてなさそうだった第2話の頃とは違うのだな。

八乙女ハルルの身体の固さは第17話では女子の体育の時間に描かれたので、八乙女カイが目にするのは初めてみたい。


2本目 【真理】 、"えっち" を "英知" "叡智" "叡知" と置き換えるの近年のネットの一部の流行りと感じるけれど。

氏家ト全先生の漫画では、この言い換えネタはもしかして初めてか?

八乙女ハルルは1コマ目から会話を聞いていたうえで、この下ネタ空耳をやっていそう。

スマホいじっていたのもそういう理由だと思っていると思うぜ。


3本目 【寒いのだ】 は、第20話にあった会話を踏まえたネタですね。

過去にあった出来事や会話が作品の中でもきちんと積み重なっている感じがあって良いな……

もしも 『八乙女×2』 がアニメ化したら、20話とこの22話の着太りネタは1話の中に収められそうと夢想した。

1コマ目の普段とは微妙に違う言葉遣いの八乙女ハルルにも目が行ってしまう。それほどまでに寒くてだるいのか。


4本目 【白のブラウス】 、門脇先生がついつい服装でうっかりしちゃうネタって何気に繰り返されてるね。

門脇先生自身は下ネタ側ポジションではないから、下ネタがこういう天然な形の発生にどうしてもなるのかも。

意図せず下ネタ発言をしてしまってもツッコミ入れられそうな登場人物もいないしな。


後半ショート漫画パートは、バレンタインのエピソード。

バレンタインの2日前から八乙女ハルルが真剣なまなざしで独りごちる始まりだぞ。

無論チョコを贈る相手を想っての話ではなく、15日以降に売れ残ったチョコを安く買える定番の発想ゆえの真剣さだ。

最初読んだとき何故バレンタイン前日ではないのだろうと思ったけど、2日も前からそれを言うか、ってギャグか。


芦田ホシノに言いくるめられる門脇先生の様子は、もはや描かれずカットされ2コマで終わる。既にお約束の展開なのか。

バレンタインデーと言えばチョコを "女性から男性へ贈る" のは、もう昔話なの?

友チョコとして贈り合う展開で話はスムーズに進展した。特に誰も何も異論は挟まないよ。


バレンタイン当日も、八乙女ハルルがもうノリノリ。

20%OFFのシールが貼られたチョコを取り出し "心をこめて贈ります" の一言だ。普段とは違う完全に狙ったボケじゃん。

表情もいつもと違って何だこの慈愛に満ちたような安らかな笑顔はよ……! 八乙女ハルルの表情筋も第二次性徴期かー?

チョコを用意したのは前日だろうし、バレンタイン前なのに割引品を買えてホクホクという笑顔か? とも思ったが違うはず。

まあそれはそれとして、セール品のチョコを八乙女ハルルは自分用に多数買っていそう。


氏家ト全先生の漫画では、漫画でよくあるように実在の固有名詞がちょびっと名前を変えて登場しますが。

やはりと言うか何と言うか、ポッキーは作中でボッキーの名前で登場だ。

ド定番のド王道とも言える置き換えだけれど、下ネタギャグ漫画としての面目躍如とも言えるだろう。

ちなみにボッキーを持参したのは八乙女カイ。文芸部の皆が食べる! 八乙女カイのボッキーを!

流石にこのギャグは作中ではごく普通の商品名として誰も反応しない小ネタで終わらせているので安心してほしい。


突如として武隈アキナが料理の腕も抜群で手作りチョコを作っても美味しいという個性が明らかに。

第18話を見るに運動神経も良いみたいだし、もしかしてスペックが高いのでは。

それなのに万能超人みたいな雰囲気は一切感じられないので凄いね、これが約1年積み重ねてきた武隈アキナの実績か。


本木アユムの友チョコは、魔法ビンに入れて持ち込んだホットミルクに生チョコを溶かして飲むもの。

おいおい1人だけ方向性がやっぱり違うよな……! 本木アユムの良いご家庭で育ってる感、その片鱗がまた感じられた。

この頂き方自体は "本で調べたんです" とのことで、ご家庭での実体験として知っていたわけではない様子だが……

その発想に辿り着く、本で調べるところに行きつくのが利発なお子さんって感じじゃあないかッ!

他の皆も文芸部で本で調べるところに行きついて良い同じ立ち位置だっていうのによ。

正直、このショート漫画パートで一番の好感度アップに繋がる登場人物は普通だったらド直球に本木アユムだよな。

普通の一般的漫画だったら本木アユム、お前がヒロインで優勝だ。デカい決めコマではにかんだ笑顔も見せてくれているし。


まあそのような本木アユムを前フリにして、オチをかっさらうのが八乙女ハルルであり、その直前の武隈アキナの下ネタだ。

ホットミルク (比喩ではない) が武隈アキナの顔に跳ねる! その様子はさながらBUKKAKE!

"感謝じゃなくて顔射になっちゃいましたね" と笑いを隠し切れぬ顔で言うのが、本作でおそらく正ヒロインの八乙女ハルルだ。

やはり 『八乙女×2』 は氏家ト全先生の下ネタ漫画…… 武隈アキナと八乙女ハルルの尊顔2連続こそが氏家ト全先生の作品だ。


ラストの1ページでは、泉ルイのバレンタインもフォローされちゃうって寸法よ。

ここは氏家ト全先生の天性のセンスと言うより氏家ト全先生が長年の漫画家生活で獲得した技術によるバランス感覚を感じたね。

泉ルイから八乙女カイにチョコレートを渡すのではなく、八乙女カイから泉ルイにチョコレートを渡す! これも時代の流れか。

泉ルイのポニーテールが上空に跳ねあがるギャグ描写は絵的に楽しいね。

前号の次回予告にあった "あのキャラがチョコもらえます!!" とは、泉ルイだったってことかー。正直これは上手いことやられたな。

個人的には1コマしか出てなくセリフも無いけど、本木アユムが妙に可愛くて気になる。ヒロイン力がまだ残っているのか?


今月の感想終了。

次回予告は "次回、花粉症に悩むハルルに助け船が………!!" とのことだ。

八乙女ハルルの花粉症ネタがあること以外、全てが不明だ…… ショート漫画パートのネタか4コマ漫画パートのネタかも謎である。

うーむ、しいて言うなら次号4月号での次回予告は 「中学2年生編スタート!! 文芸部に後輩が入ります!!」 あたりと予想してみる。

『八乙女×2』 単行本第2巻の内容紹介

2024年2月8日は 『八乙女×2』 単行本第2巻の発売日! 嬉しいね、そして安堵したね。

氏家ト全先生の前作 『生徒会役員共』 は、連載終了の初報が単行本の作者コメントで発表された。

この前例がある以上、雑誌で連載が続きそうと思えても単行本のコメントは油断ならないわけですよ……!

今回は無事、作者コメントでの連載終了発表はなかった! 良かった良かった。そのようなわけで2巻の内容を紹介だ。


単行本の詳細。

第1巻の収録内容は、第11話から第21話まで。

第21話は2024年1月発売号に掲載された話なので、2024年2月発売号の別マガを買えば単行本の続きから読める!

週刊少年マガジンでの特別出張掲載の回も収録されているので、マガジンを買い逃した人も安心だ。

なお、登場人物の紹介ページは無し。

表表紙の折り返しページには、氏家ト全先生の自画像と単行本コメントが掲載だ。

裏表紙の折り返しページは、八乙女ハルルのデフォルメ顔が掲載。本編でよく見る顔だけど、描きおろしっぽい。

単行本カバー下は、裏表紙側だけ情報が減って八乙女ハルル単独となっている。

背表紙は、単行本1巻同様に表紙の八乙女ハルル (一部) だ。指先までは見えないね。


そのようなわけで単行本表紙ですが、ご覧の通りだ。



八乙女カイと八乙女ハルルが背中合わせで、指を立てているポーズ。単行本1巻と2巻で同じ構図だね。

生徒会役員共』 と同様に、立てた指の本数で単行本の巻数を表している。

生徒会役員共』 4巻表紙はダブルピースだったが、『八乙女×2』 4巻でもダブルピースとなるのだろうか?

そして単行本1巻より2巻の方が、八乙女カイたちが大腿部の下の方まで写っている。身体の成長を表現した描き方だろう。

……ここまでは自分で気付いたのだけど、身長差が1巻表紙と2巻表紙で違うとは自分では気付かなかった。

言われてから見れば、そもそも表紙は背中合わせのポーズでもあるが、背比べのポーズでもあるのだった。

細かすぎるポイントとしては、表紙背景に散りばめられた 「×」 と「2」 の文字で、「2」 の場所が1巻と2巻で違う。


『八乙女×2』 単行本第2巻で一番重要なことは、描きおろしの "おまけマンガ" 2ページ付きってことですよ!

内容は、武隈アキナと芦田ホシノが本木アユムを文芸同好会の勧誘するエピソードだ。

2ページあるとは嬉しいね。描きおろしがあっても1ページかと思っていた。

言葉を噛んじゃう登場人物と言えば、氏家ト全先生の過去作 『アイドルのあかほん』 を思い出されて懐かしいぜ。


ちなみに 『八乙女×2』 単行本2巻の帯には、天草シノが登場だ (※描きおろしではない)。

ヒット作 『生徒会役員共』 の作者による漫画ですよ、という広告塔としての登場だ。

単行本1巻よりも天草シノのカットは小さいし、『生徒会役員共』 の文字サイズも小さい。

生徒会役員共』 読者へのアピールは済んだ、という感じなのか?


『八乙女×2』 単行本第3巻発売予定は、同じペースなら2024年12月か2025年1月となる計算。

久しぶりに氏家ト全先生の単行本が年に2冊出るかもですね!

第3巻では1巻発売時と同じように、別冊少年マガジンの表紙を飾って欲しいぜ。

ちなみに別冊少年マガジン表紙イラストは、単行本2巻には未収録だ。表紙なら講談社のサイトでも閲覧できるとはいえ。


なお、単行本化に際しての変更点は、普通に読んだ限りでは見付けられなかった。

ここは変更されるか? と思っていた黒松君が入部した部活や、"WELCOM" の表記なども連載時のまま。

今月の 『八乙女×2』 第21話 感想

・2024年最初の 『八乙女×2』 感想。

第21話 「お年玉の使い道」 の感想だ。

4コマ漫画パートが6ページ、ショート漫画パートが6ページ。通常運転という感じですね。



前半4コマパートは、冬休みのエピソード。ただし正月もすっかり明けた時期であるようだ。

開幕1コマ目は、おしるこの単独カット。正月らしさの残滓だ。

八乙女ハルルは当然のように八乙女カイ家のコタツで暖まるばかりか、おしるこまで頂いているな。

"隣人コメディ" を見落として途中から読み始めた読者がいれば、2人は親戚同士なのかと誤解しそうだ。

もしも餅の弾力情報で八乙女カイが食欲増進したなら、八乙女ハルルはどのようなリアクションを取ったのだろう。


2本目 【合理的アドバイス】 は、サブタイトル通りの 「お年玉の使い道」 の話。

普段通りコタツに入る八乙女ハルルですが、指先がちょこんと出ているだけで可愛さがだいぶ増しておる。

八乙女カイが買ったゲームを八乙女ハルルもプレイしたい宣言! 今年も八乙女カイ家にお邪魔する気満々のようだ。


続く 【本調子じゃなかった】 は! やった、またしても氏家ト全先生の描く格闘ゲーム描写が出たぞ!

というか1コマ目左側のキャラは明らかにマリオあるいはルイージで、プレイしてるのはスマブラのようですね。

"キャラとステージの相性が悪かったな" というセリフもあり、より一層スマブラだ。

八乙女カイは、富谷君や黒松君ともゲームで遊ぶのかなあ? 富谷君や黒松君は登場回数自体少ないので不明ですが。

オチは 「敗者の弁」 に関する下ネタ。こういう発展ができたのか。


4,5本目 【本木姉妹①】 【本木姉妹②】 は、タイトル通り本木アユムと本木ランの姉妹のターン。

ていうか本木ランは登場してすぐ掘り下げが始まってますね……! 準レギュラーくらいの位置付けするつもり満々か。

本木ランは完全に下ネタ側のポジションで、本木アユムはあまり下ネタ耐性もなさそうなので大変そうですね。

年齢は16歳なので、学年は高校1年生か2年生だが…… それにしては大人びているというか、大学生とも思える……?

生徒会役員共』 の同学年と見比べても、やっぱ年上に見えますね。中1である八乙女カイたち視点での印象なのかも。


本木アユムは、本木ランの服とか借りることがあると明らかに。

本木アユムは小学生編の頃から服が少しオシャレでしたが、本木ランが借りた服もあったのかもしれない。

そのような姉妹での服の貸し借り話から一転、家族の恋人の貸し借りを超えて "家族の恋人寝取るシチュ" に飛躍した。

下ネタの勢いがフルスロットルすぎる。別マガは週刊少年マガジンよりも下ネタの規制が緩いのかな。

中学生やぞ、と思ったけど本木ランも16歳だった。3つ4つしか違わないならセーフか。セーフか?

まだ掘り下げが進んでいないから、本木ランの下ネタはどこまでマジなのか判断がつかず、ゆえに危険な魅力があるね。

今のところ 『八乙女×2』 で一番下ネタ側にいる登場人物では。


6本目 【うっかりコンビ】 は、武隈アキナと芦田ホシノのターン。

武隈アキナ家が初めて描かれたので、ついに武隈アキナの妹が初登場か!? と思われましたが登場せず。

芦田ホシノと武隈アキナの2人きりでフィニッシュだ。この2人、部活以外でも遊んで自宅を訪れたりしてるのだなあ。

武隈アキナは芦田ホシノを "ホシノ" 呼びですが、芦田ホシノは2人きりの時は武隈アキナを "あんさん" 呼びなのか。

芦田ホシノの 「素」 って感じだ。芦田ホシノの鎖骨とか見える脱ぎ掛けのコマもあり、隙だらけの面という雰囲気ある。


7本目 【すっきり】 では、先月号で髪を伸ばしていた八乙女カイ母がバッサリ散髪して元の髪形に。

まさか1話で切って元に戻るとは…… いや作劇的には、この髪切ったネタをするために伸ばした前フリだったのか。

八乙女カイ母はVIO脱毛をしていないっぽい、という情報もありますね。


八乙女カイ母の下ネタに翻弄されてた八乙女ハルル母ですが、8本目 【太ももプレス】 は八乙女ハルル母の下ネタだ!

自身の下ネタというか、自身のアダルトグッズを八乙女ハルルに速攻で発見されてしまうネタである。

これって第8話のクリスマスプレゼントで貰ってた一品か?

ていうかここの台詞で、八乙女ハルル母はアダルトグッズを八乙女ハルルの目につかないようにしてることも分かる。

そしてそれがたびたび以前からも発見されてたことも分かって大変よろしい味わいがある。

八乙女ハルル母側の物証による下ネタなので、八乙女ハルルが無から創造した下ネタではないところも良い。

アダルトグッズに目をやる八乙女ハルルの表情も好き。どういう感情なのか……!


8本目 【こたつでの話】 は、泉ルイのターン。ターンは回ってきているけれど主導権は握れなかった。

八乙女ハルルが八乙女カイ家に入り浸って一緒のコタツによく入ってること、泉ルイは知っているのだろうか。

いや知ってたら、泉ルイももう少し頻繁に八乙女カイ家を訪れていそうな気もするな。


後半ショート漫画パートは、中学校での席替えエピソード。

1コマ目から "とゆーわけで席替えを行いまーす" の台詞始まりだ。テンポが速くて良い。


クラスで後ろの座席なら "ブラ透け見放題" は氏家ト全先生の漫画でたまにある下ネタですが。

実際のところ、今でもそうなのだろうか? 透けない明度の下着とか普及してないものなのだろうか。

まあリアルの話はさておき、この下ネタを繰り出す八乙女ハルル自身がどうなのか、という方が気になる。

八乙女ハルル自身はブラ透けしてるのか? クラスメイトを後ろから見た時、ブラ透けしてるとかチェックしてるのか?

氏家ト全先生の漫画は、ギャグの下ネタはあれども、登場人物が実際そういう目で見られているのかは基本的に描写されない。

そこが売りであり魅力よな、というのは別の観点だった。ともかくそれにより登場人物の視点が不明なことが多いのだよなあ。


泉ルイ的には八乙女カイへの好意について、八乙女ハルルとどういう認識でいるつもりなのだろ。

つまり、お互いライバル関係っていう認識でいるのかな。八乙女ハルルが泉ルイの好意に気付いてる、と思っているのかどうか。


今月の感想終了。

次回予告は "次回、バレンタイン編Cカラー!! あのキャラがチョコもらえます!!" とのことだ。

次号の別冊少年マガジンでは 『八乙女×2』 センターカラーに加えて、氏家ト全先生の直筆サイン色紙プレゼントもある!

(サイン色紙プレゼントは、別ページに掲載の予告)

"あのキャラ" って書いてあるけど、八乙女カイしか考えられなくない? 予想外の誰かがチョコを貰うのか? 富谷君か黒松君か?

ちなみに次号は 『八乙女×2』 単行本2巻発売日の翌日発売ですが、去年の表紙と違って今度はセンターカラーだ。

年に一度は 『八乙女×2』 を表紙にしてくれ……! と願っちゃうね。


余談1。

今月号の別冊少年マガジン裏表紙は、連載作品全員集合スタイルだ。もちろん 『八乙女×2』 も選出されている。

イラストは過去の表紙絵の流用であり、八乙女ハルルが単独で登場だ。


余談2。

今年2024年には、ヤングマガジン掲載の 『みなみけ』 が連載20周年を迎える。

氏家ト全先生が過去にも 『みなみけ』 の記念の年にイラストを寄稿していたので、今年も寄稿イラストを期待できそう!

忘れずチェックしよう。

お正月だよ 『トータル・リコール (ディック短篇傑作選)』 感想

・「タイムテレビで過去に何が起きたか正確に解る世界で完全犯罪をする話」 。

ずっと昔にそう聞き気になり、ようやく読んだ 『マイノリティ・リポート』 は全然違う内容だった。

じゃあ一体 "タイムテレビで過去に何が起きたか正確に解る世界で完全犯罪をする話" は、何の作品なのだろう?

疑問は解けないままだ。


そのようなわけで 『トータル・リコール (ディック短篇傑作選)』 を読みました。その収録作品の感想です。ネタバレあり。


トータル・リコール

女性の顔が割れて中からシュワルツネッガーが現れる。とりわけそのシーンが有名な映画の原作小説。

火星に行きたい望みが叶わない主人公は、代わりに火星へ行った架空の記憶を植え付けて貰おうとするのだが――。

派手なドンパチが繰り広げられるストーリーは、映画オリジナルだった。

こちら原作は 「世にも奇妙な物語」 かなという展開で、アクションシーンは極少。分かりやすいカタルシスも無い。

何故か突然、受付女性の近未来的なバストの描写が複数回差し込まれる。映画版で印象的な3つの胸はこのくだりを拾ったのか?


『出口はどこかへの入口』

未来要素やSF要素を抜きにしても成立するだろうストーリーで、最も突き刺さる作品だった。

人生は自分で選ぶことができる。しかし選択肢は自己の意志とは無関係に突如現れるもので、正しい選択をできるかは分からない。

俺も人生を振り返れば、みすみす与えられたチャンスを自らの判断によって手放してしまった過去がある。

幸運の只中にあってさえ、選ぶべき選択肢を選ぶことは何と困難なことか。


地球防衛軍

ロボット同士が戦争をして、人間は地下に隠れて生き延びている世界の話。

作中の敵国がソ連であるのには時代を感じる。

何せ作品が執筆されたのは1950年代、まだ冷戦も始まったばかりの頃である。

最も大きな舞台装置は現代でも通用しそうながら、大オチは70年前に書かれただけあり前時代的な希望的観測という感じ。


『訪問者』

アメリカの敵はソ連! 放射線による生物の急激な進化!

さすが70年前の異国で産み落とされた作品だけあって、戸惑う要素も多い。これがガチのジェネレーションギャップか。

とはいえ本作はジェネレーションギャップによる劣化は軽微で、結末の見事さは喝采もの。

旧人類と進化を果たした人類との対立や共存を描いた作品はこの傑作選にも複数収録されているが、これが一番良かったな。


『世界をわが手に』

極小サイズの地球育成ゲームが流行するに至った未来での心情の話。

これって当時はどれくらい斬新な結末だったのだろうか。

インパクトはあまりなく、なるほどねえ程度のオチである。これもやはりジェネレーションギャップのせいだろうか。


『ミスター・スペースシップ』

明らかに微妙な出来だよね? と思ったら、巻末 「編者あとがき」 でも "珍品" "成功作とはいいがたい" と評されていた。

思わせぶりなフラグは一切投げ捨て、打ち切り漫画のような結末で終了する。オチを思い付かなかったのでは。


『非O(NULL-O)』

人間らしい情緒は欠落し論理的にしか行動しない人間が観測されて、という話。

完全に論理的な人間を、そもそも人間は描写できるのだろうか? そのようなことを思ったよ。

そしてどのような名作であっても、作品の良し悪しが読み手の時代によって左右されてしまうのは不可避なのだろうな。

登場人物:レミュエルの言動には、僕には感情が無いとか言い出す中二病や、カレー沢薫先生のコラムを思い出し吹き出すこともあった。


『フード・メーカー』

未来人の描写と言えば、空飛ぶ車にピッタリとしたボディースーツ。

作品は面白いけど、未来についての想像がそのようなレトロフューチャーだった時代に書かれたのだろうな、と感じる一品。

超能力による監視社会、それに対抗する手段が頭に被る金属の輪っか (フード/頭巾) だとは。

大オチについても、そこまでショックを受ける話か? とする価値観が現代日本では若い世代には浸透していそう。


『吊されたよそ者』

出来の良し悪しだけで言えば、収録作品の中で一番の傑作だろう。

「編者あとがき」 でも "ミステリ的に美しい構成" "古典的名作のひとつに数えられるのではないか" とべた褒めだ。

タイトルの時点で興味をそそられるし、何故よそ者が吊るされたのかという解にもカタルシスがある。

地下室での作業から戻ってきた日常は明らかに奇妙で、という始まりは星新一先生の作品でも類似のシチュエーションがあったっけ。

星新一先生のあの作品 (タイトルは思い出せないが) 、この 『吊されたよそ者』 からインスピレーションを得ていたのかも。


マイノリティ・リポート

本書を読むきっかけとなった作品は、別にタイムテレビは関係ないし、ミステリ要素はあっても推理小説風の作品でもなかった。

未来予知による犯罪予防を実現させた主人公自身が、まるで知らない人を殺すとの殺人事件が予知されて――。

未見ながら映画化もしたのは知ってるが、こういう話だったのだなあ。

端的に言えば、システムのバグの話だった。バグの話なので読んでいてテンションが上がったね。そういう影響が出たかーってなった。

しかしまあ、たった3人の未来予知者に全幅の信頼を寄せて運用するシステムというのは、度肝を抜かれる。

さすがにそのようなシステムはリアリティが無さすぎでしょ、と思ったが、そうとも言い切れないか。

現実にも、オランダではAIによって6年間も無実の数万人を児童手当の不正受給者と判断し続けていた、という事件が起きたのだし。


24.01.28追記:細部を修正。