サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「アメリカは日本を守らない」⑧重武装永世中立防衛

アメリカは日本を守らない」--米軍最強という幻想--のつづきです。
 北村氏は、日本の防衛戦略を、米軍従属から、「重武装永世中立国」へと移行することを主張する。
 そのため、海洋国家防衛原則を適用し、自国の領域と自国の海上交易の保護のため、それに危害を加えようとする外敵は、海洋上で撃退し、自国領域には一歩たりとも侵入させないようにする。
 そのため、①後方制海域、②基幹制海域、③前方政管域を確保するため、主要戦力も表のように提起する。
 表には、永世中立国として、中立義務の装備、海洋防衛のための装備と分けている。
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 今の陸自保有している戦車や機動戦闘車など、地上戦を前提とする装備はない。
 したがって日本・海兵隊のような米海兵隊を一緒になった他国侵攻もできるような部隊は不要になる。
 日本で地上戦を行うような想定はないので、写真のように自走榴弾砲(203mm)の演習は必要なくなる。米軍が日本で行うのは、イラク戦争など、他国を攻撃するためだ。(写真:陸自HPより)
 ウクライナのような戦争では、日本げはありえない。

「アメリカは日本を守らない」⑦常備災害救援隊

アメリカは日本を守らない」--米軍最強という幻想--のつづきです。
 永世中立国となるには、自国を守るための防衛力が必要な事はスイスなどの例から分かっていた。
 しかし周辺の紛争国に、領土・領海を一切使用させるべきでなく、それを拒絶するための防衛力も必要だとする認識はあまりなかった。
 北村氏は、海洋重視の専門家らしく、日本において陸上自衛隊の兵力15万人は多すぎると指摘する。確かに、大陸国と違い、他国と領土を接せず、海に囲まれた日本で陸上戦闘はあまり考えられない。
 相手国の攻撃を受けやすい危険な海を、兵員、兵器、物資を輸送するには膨大な艦船が必要で、そんな能力や経験を持つ国は米国以外にない。
 そこで北村氏は、海自と空自の増強は望むが、陸自兵力は効率化を図りながら現在の半分程度、8万人ほどで足りるとする。そして陸自は、主に防空ミサイル、地対艦ミサイルなどを強化すべきだと。中国すら、陸軍を大幅に削減して、海洋戦力に振り向けたからと。
 そこで北村氏は、余剰7万人の陸自隊員を6万人程度、常備災害救援隊に改変することを提案する。(写真:ウィキ)
 陸自は、発足以来1度も戦闘経験がない。これは良い事だ。だが大規模自然災害には、数年に1回程度は、投入され経験も豊富だ。国民からも期待されている。
 日常的に実戦的訓練を行い、実戦を体験し、その戦闘の心構えができている米海兵隊などに比べ、自衛隊は、一度の実戦経験もない。殺さず、殺されてもいない。
 だが災害救援の経験は豊富で、対応も早い。ならば、常備災害救援隊への移行には私も賛成する。
 その際、その救助隊は防衛省ではなく、防災相のような行政機関が直轄する。
 日本は災害大国で、毎年のような台風や豪雨による洪水、繰り返し起こる地震津波が起こる。国民の人命、財産を守る事がはるかに必要で現実的に求められている。気候危機・災害はますます激しくなる。
 日本から、あるいは米国の手下となって、他国の戦争に進まない限り、他国から海に囲まれた日本を攻めてくる可能性は極めて低い。

「アメリカは日本を守らない」⑥永世中立は武装不可欠

アメリカは日本を守らない」--米軍最強という幻想--のつづきです。
  第2章「日米同盟離脱と重武装永世中立主義」---著者の北村氏は、200近くある国で永世中立国は、少ないのか多いのか?19ヵ国(2024)とする。中立国も苦労が多い‥‥。
 中立が踏みにじられた過去の例を私は、ほとんど知らなかった。
 第一次大戦で、ドイツがイギリスとフランスと戦争することになった時、永世中立国だったベルギーやルクセンブルグが双方の緩衝地帯にあったため、ドイツに占領されてしまった。ドイツのこれらの国の占領目的は、フランス・イギリスへの軍事進攻の前進拠点にするためだった。
 オランダも永世中立国だったが、ベルギーよりも自衛戦力が強く、ドイツに好感を持ちイギリスへの感情が悪かったため、ドイツからの進行は受けず中立を保持できた。
 しかし第二次大戦では、フランス攻撃、イギリス攻撃の前進拠点として、中立国のベルギー、オランダ、ルクセンブルグは、ナチスドイツにより占領された。
 第一次大戦では、中立を維持できたスカンジナビア3国も、第二次大戦では、中立を維持できなかった国もある。
 スウェーデンから鉄鉱石を輸入していたドイツは、ノルウェーの港などがイギリス側の手に落ちると輸入に影響が出る事は避けたかった。
 1940年4月、ドイツ軍はノルウェーデンマークを奇襲し、占領。ノルウェー国王は、亡命政府を樹立するため、隣国のスウェーデンに向かったが、スウェーデンは中立を守るため亡命を受け入れなかった。国王は、イギリスに亡命政府を樹立したが、最終的にノルウェーは、ドイツ軍の支配下となった。
 スウェーデンは、ヒトラーの要求を受け入れながらも、表面上は中立義務を破らずに進めた。その背景には、スウェーデンが60万の陸軍、潜水艦を含む海軍を増強し、ドイツの侵攻に対抗できるようにしていたという事だ。
 つまり中立国には、自国を守る防衛力がどうしても必要だという事がわかる。あるいは他国の戦争に協力しないための力が必要となる。実際に歴史は、そのように進んできた。
 現在でも、スウェーデン軍事産業、軍事力はかなり高い。しかしロシアのウクライナ侵略を期に、スウェーデンも中立国をやめNATOに加盟する事になった。(写真ウィキ:スウェーデンの国産戦闘機-サーブ 39 グリペン
 こういった流れを、どう考えればいいのだろうか?

映画『戦雲(いくさふむ)』お勧め

 映画『戦雲(いくさふむ)』(三上智恵監督)を電器館で観てきました。
 事態を知る上でもぜひ観てほしいと思います。
 この映画はスピンオフDVDの上映会をやったことがあります。
 その版に比べ、三上監督がいろいろ思考錯誤したうえで、今回の作品で、自衛隊基地の問題だけでなく、住人の生活や文化も紹介しながら、基地問題を考えてもらうよな印象でした。
 映画は、与那国島石垣島宮古島、沖縄で米軍に加え自衛隊の基地建設、それは台湾戦争を南西諸島を戦場にして戦う準備です。
 だから島民の避難訓練までやる、実際的なものです。武力攻撃予測事態で発動。
 映画は、南西諸島の事ですが、やがて九州熊本も、場合によっては同時にありえる事態です。
 事態を知れば、黙って受け入れはしないと思う。ごまかし、隠し事から始まり、メディアはそれを住民に無批判に伝える。
 映画を観てほしい。



 戦雲は、戦争の雲がやってくるというもの。その不穏な雲の広がりを南西諸島の人たちは感じている。
 熊本がこの雲を感じたら手遅れかもしれない。南西諸島の人たちが感じ始めているなら、それが映画になっているなら熊本でモロ感じる前に映画で感じてほしい。行動も起こすべき。
 先日、岸田首相が訪米して、米国と約束をしてきた。指揮権を日常的に米国に委ねるようなないようだろう。
 相手国のどこを攻撃すべきか、日本側に著しい被害が出ても住民が多数犠牲になっても、戦争を継続するかどうかは米国、米国の国益しだいということになる。愚かで恐ろしいことだ。
 映画のシーンで、地域対抗でハーリー(船)を手漕ぎで競争するシーンがある。
 熱烈な競争で熱いが、武器は持たない。
 どうだろうか。
 中国の人民解放軍と米海兵隊と日本の自衛隊でハーリー競争をしたらどうだろうか、与那国で。
 毎年やれば、どこかが勝ち、どこかが負け、その繰り返しでも十分楽しいではないか。
 戦争で死に、家族が悲しい思いをするより、よっぽど幸福だ、互いに。
 

「アメリカは日本を守らない」⑥日米同盟離脱と重武装永世中立主義

アメリカは日本を守らない」--米軍最強という幻想--のつづきです。
 この本の第2章「日米同盟離脱と重武装永世中立主義」は、なかなか考えさせられ学びになった。
 永世中立なんて、ほとんど学んでいなかった。
 著者の北村淳氏は、日本について以下のように提案する。
①いかなる第三国の軍事衝突に際しても、軍事的には完全中立を維持する
②平時においてもいかなる軍事同盟関係にも参加しない
として、日米同盟から離脱し、「永世中立国」となる。
 なるほど。いいと思う。
 中立にも戦時中立と永世中立の区別がある。
 スイスが永世中立国として有名で、長く定着している。
 スイスの言語話者は、
  ドイツ語   63.67%
  フランス語 20.38%
  イタリア語  6.46%
  ロマンシュ語 0.48% その他 9.01% となっていて、言語国に多少の親和性があるのかもしれないが、スイスという永世中立国をしっかり守っている。(図:スイスの言語地域ーウィキより)

 そして永世中立と言っても、国際条約として各国の承認に基づいたもあれば、自ら宣言し、他国に承認を求めない場合もあるし、事実上の永世中立国もあるようだ。
 さらに永世中立を宣言し、各国が承認しても、第二次大戦のように、外国から侵略を受け、抵抗できない場合もあり、ある期間だけ永世中立だった国も多くある。
 永世中立国になったとしても、国連加盟国に義務づけらる場合がある経済制裁とは違い、軍事制裁は義務ではないらしい。
 日本が日米同盟をやめ、永世中立国になるには、ハードルは相当に高い。

経済秘密保護法案

 青木理さんへのインタビュー記事で「赤旗」日曜版4/7付です。
 一般市民もどこでどう?犯罪に巻き込まれるか、仕立てあげられるかわからない。
 プライバシーが調べられる恐ろしい法律ができようとしている。
 犯罪、病歴、借金などの経済状態、家族や友人・知人まで調べらるようになる。
 何が犯罪か? わからない。判断は公安警察となる。
 スピード違反なら50キロ制限と書いてある。だからそれを守り、事故などを回避する。
 ところがが犯罪を捜査当局が判断する。冤罪が横行する。
 公安スジの仕事と予算が増える。ロシア、中国を同じようになっている。
 価値観の違いが言われるが、この辺りの価値観はロシア、中国と一緒、戦前の軍国主義回帰。
 日本国憲法下で、コレあり?許す?
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この法案はm9日の衆院で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成で可決した。
 反対は日本共産党、れいわ。立憲民主がこれだもの‥‥。
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www.jcp.or.jp

下山事件

 今日の「赤旗」14面です。
 NHKで「下山事件」、ドラマ編とドキュメンタリー編で2回放送された。
 私も観たけどたいへん見ごたえがあった。
 碓井広義さんが解説しているが、驚きは、主任検事だった布施健が残した極秘資料を入手し、分析し、取材をしたこと。

www3.nhk.or.jp

 さらに事件を策動した米国の関係人物らへのインタビューもある。
 国鉄の下山総裁の殺害、込み入った事件化のウラには戦争遂行の目的が2つあった‥。
 1949年当時、日本は戦争がやっと終わり、憲法も制定したが、国民は生活も苦しく、社会は混乱期。
 戦争と軍国主義への反発と労働運動や民主化が進み、日本共産党など社会主義志向も強まるころ。
 しかし米軍の占領下、米ソ冷戦が激化し、朝鮮戦争に向かう直前だ。
 なにより朝鮮戦争兵站基地となる日本での反戦運動は弾圧すべしとして、一連の弾圧・謀略事件が起こる。
 米軍情報機関の「キャノン機関」や日本のの右翼・児玉(児玉機関)らが、下山国鉄総裁を拉致して殺害した。
 戦前に「アカ」とレッテルを貼り日本共産党を弾圧した権力は、今度は米側に移り、さまざま事件をでっちあげ、共産党や労働組の仕業として逮捕・弾圧した。メディアはそれをいっせいに報道して、朝鮮戦争へと突き進んでいった。
 同時に、下山総裁の殺害は。日本に朝鮮戦争兵站の役割を果たさせるためだった。その役割を輸送網の国鉄が担うからという‥ストライキでも起こされたら軍事物資輸送、戦争ができないと‥‥。
 それは知らなかった。番組スタッフさんお疲れ様でした。
 それらの仕業は当時、役割を果たし、今日でも共産党が暴力革命を志向していると繰り返し流される。破防法の適用宣伝も、彼らの必要によって現在も繰り返される。 
 これらの連鎖は、やはり戦争へと導く。権力犯罪を暴き、主権者が認識し、後世に伝えないと。 


www2.nhk.or.jp

 (番組は録画してありますので‥)