January 03(Sun), 2010
半世紀前のアイデア作成法が秀逸すぎる
1940年、アメリカ最大の広告代理店・トンプソン社の常任最高顧問ジェームス・W・ヤングによって書かれた「アイデアの作り方」が、めちゃくちゃ洗練されていたので紹介します。この本の主文のページ数は、たったの62ページで、さらに、非常に大きな字で書かれています。これだけ短いページで、しかも現代にも十分すぎるほど通用する内容が書かれており、はっきりいって驚きでした。
基本的スタンス
良いアイデアと言うものは、一見、偶然の産物、一握りの才能ある者だけが作り出せる物のように見えます。しかし、もし、アイデアの形成される過程が、一定の明確な心理的なプロセスであるなら、アイデアを生みだす技術を習得し効果的に使いこなせるのではないか?これが本書の基本的なスタンスです。
そして、アイデア作成における、原則と方法について論理的に述べられています。
アイデアについての2つの原則
原則1:アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである。
全くの0から、新たなアイデアが生まれるのではありません。1つの事実は、他の事実と関連性や類似性をもっています。全く異なるように見える物同士でも、その背景には総合的な原理が潜んでいる場合が多いのです。
原則2:新しい組み合わせを作り出す能力は、事物の関連性を見つけだす力によって高められる。
物事の関連性が見つけられると、総合的な原理を引き出せる可能性が飛躍的に向上します。色々な物事へ適用可能な総合原理を見つけることができれば、それがアイデアになります。
このように、事実と事実の関連性を探ろうとする心の習慣が大切だということが分かります。それを自分の仕事などの分野で、どのような方法を使って進めるかを以下に書いています。
アイデアを作る方法
アイデア作りの方法は、5つのステップからできています。
1.データ収集
2.データの咀嚼
3.孵化(ふか;卵を暖める)段階
4.アイデアの誕生
5.アイデアの具現化・展開段階
1.データ収集
まず行うのは、資料や情報を集めることです。集めるといっても、無作為・身近にあるものだけではなく、自分の知りたい領域を網羅するレベルで行うことが必要になります。そして集めるべき資料は2種類に分けられます。
a.当面の課題のための資料:自分の仕事や、専門領域に特化した特殊な知識。この作業は、ある一定の期間で行います。
b.広い一般的知識:人生とこの世の種々様々な出来事についての知識。この作業は、一生涯をかけて行います。
2.データの咀嚼
資料を集めたらそれを咀嚼して理解していきます。個々の資料ひとつひとつに触れて、色々な方向から眺め、味わい、その意味を探していきます。この段階では、部分的なアイデアが訪れるので、どんなにとっぴなものでもそれを記憶しておきます。この段階は、努力に努力を重ね咀嚼し、情報を味わい尽くすまで続けます。
3.孵化段階
その後は、考えることを完全に放棄して、何でもいいから自分の想像力や感情を刺激するものに触れるようにします。データをあたため開花するのを待つのです。無意識の中でアイデアのパズルが少しずつ新たな組み合わせを形作っていきます。
4.アイデアの誕生
アイデアはふとした瞬間、予想もしないときに、閃きます。ひらめきは、心の緊張をといて、くつろいでいるときに訪れることもあります。生まれたアイデアを記録しておくことが大切になります。
5.アイデアを現実へ具現化・展開段階
ひらめいたばかりのアイデアは、必ずしも現実の状況に完全にフィットしているわけではありません。それを現実の過酷な状況に適合させる作業が必要になります。ここでは、他者にアイデアを提示し、批判を仰ぎ、修正を加えていきます。良いアイデアは人々を刺激するので、手を貸してくれる専門家は多いはずです。さらに研究などでは実証・実験の段階にも当たります。
こうして、優れた実用的なアイデアを作っていくのです。
まとめ
これらは、会社の企画や、研究の発想など、様々な領域に応用できるものだと思います。この5つのプロセスを、地道に繰り返すことで、天才と思える人とも勝負をすることが可能になり、刺激的な人生を歩むことができると示唆されています。地道といえば地道な方法ですが、「地道」であるということは、凡人にも実行可能であるという証拠だと思います。皆さんも是非ご一読ください。
追記(1/3/2010 19:02): 原著の出版年を1970年と記載しておりましたが、正しくは1940年です。本書は版元が一度変わっているようです。エントリー内容を一部改定いたしました。ご指摘ありがとうございました。
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