『包帯クラブ』

天童荒太にしては比較的薄い本の『包帯クラブ*1堤幸彦監督で映画化。出演は柳楽優弥石原さとみ貫地谷しほり他。
堤幸彦らしく"絵"になるカットが序盤から多数。鉄塔、電線、高崎の町並み等々。それが"包帯クラブ"の活動で、現代芸術というと言い過ぎかも知れないが、一種のインスタレーションに見えてくる。原作を読んでいる時も、"絵"は浮かんだが、画面で観るとインパクトあるな。ラストのヘリポートに巻いた包帯が風になびくシーンは映画で観ないとわからない。
天童荒太小説は、全てのキャラクタのバックボーンがしっかり感じられるのだが、映画になるとそれを二時間少々で表すには多少無理があり、説明的な場面も多々ある。それに徐々に胸を締め付ける様な切なさを演出した時折挟まれる手紙の部分をバッサリ切り落としてしまった故に、ディノの悲しみ苦しみが原作と比べると多少抑えられてしまった様に感じられるが、これでも十分。
ワラも表情豊かで、リスキーも、ギモも、テンポもスゴく良いんだけど、タンシオの貫地谷しほりだけが、妙にコメディー側にシフトしてしまう。過去の作品の印象に引っ張られているだけかも知れないが、やはり泣き顔がどうもコメディーなんだよな。綺麗な顔してるのに、なんでだろ?
全く関係無いんだけど、この作品の柳楽優弥が、大学時代の2コ上のT先輩にやたら似ていて、ちょい懐かしかった。