Aerodynamik - 航空力学

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観覧記録 Especiaワンマンライブ「Especia va Bien en Tokyo」@代官山UNIT

http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/17509


  • 20140111 Especiaワンマンライブ「Especia va Bien en Tokyo」@代官山UNIT


学生当時、ある女性とディスコについて話をした時にどうも話が噛み合わない、その時自分の頭にあったのは「サタデー・ナイト・フィーバー」で、一方彼女が話すディスコは、彼女の兄がディスコDJから貰ったカセットテープに入っていたBananaramaやRick AstleyFrankie Goes To Hollywoodの事だったと随分後になって知った。




Especiaワンマンライブ前日、翌日出勤の予定が無くなり、「チケットが売れていない、半分売れ残っている、チケットを買ってくれ」との公式Twitterアカウントの必死な訴えを見ながら仕事終わりにコンビニでチケットを買うと整理番号は303番、アシッドナンバー。しかし当日会場はメインフロア後方まで一杯に入っていたので400人はいたはず、当日券が相当出たのだろう。


フロアに降りると、申し訳ミッシェル・ソーリーとDJフクタケによる「Do The Negative Thinking!!!」名義でのDJが始まっている。ネタと悪趣味ぎりぎりの80sディスコ選曲が絶妙。昨年末のPerfumeダブステップエレクトロニカ東京女子流の80sMTVガールロックと現在のアメリカンアイドル選曲などでも感じたが、オープニングDJにしろ客入れSEにしろ、本編のテーマに沿いつつもちょっと過剰にネタ感のあるぎりぎりの選曲でフロアの雰囲気を作り込んでおくと、本編の感触やテンションの上がり方に相当な影響を与える事ができる。インディーアイドル現場でもこういう部分は箱に任せたままにせずちゃんと選曲した方がいい。



George Kranz - Trommeltanz (Din Daa Daa)


Junior - Mama Used To Say


Rah Band - Sweet Forbidden


Scritti Politti - Absolute


Swing Out Sister - Breakout


Yoko Ono - Walking On Thin Ice (1981 Re-Edit)


Space - Magic Fly


Eric Clapton Behind the Mask


Eurythmics - Sweet Dreams (Are Made Of This)


Trio - Da Da Da


Blondie - Rapture




スクリーンにはホンマカズキによる手の込んだネタ映像が流れ、80sのフェイク感をこれでもかと後押しする。DJとVJで世界観の作り込みは完璧。


PALM Service Group TV CM」Supported by Especia


Especia「Especia va Bien en TOKYO」Openning Movie




いきなりMC抹 a.k.a ナンブヒトシがステージに登場、写真/動画撮影自由、どんどんTwitterに上げろ拡散しろといつもの指示。「FacebookInstagramはワンクリックが面倒臭いからクソ」のパンチライン。そしてEspeciaとのコラボ曲「ナイトフライ」「Good Times」でライブスタート。煽るナンブ、ステージから降りてフロアの一番後ろまでハイタッチして回るEspeciaメンバー。ナイスDJで暖まったフロアは既に発狂気味。何人かとハイタッチをする中、三瀬ちひろが付けていた香水はむせ返るように強烈なココナッツのような甘ったるい香りがして、その一瞬で記憶の底に沈んでいたきついココナッツの香りの付いたサーフワックスを思い出し、海/サーフィン/椰子の木までがいきなり脳内でEspeciaに直結したのでちょっと驚きつつテンションが上がる。


「80年代を、このVaporwaveを、バブルを止めないで。」、ナンブがクサい置き台詞を残していった後も、ステージ上の温度は下がらない。杉本暁音と森絵莉加、この二人が数ヵ月前とは別人のように声もパフォーマンスも前に出てくる。箱鳴りの良さによる先入観かと疑ってみるも、それ以上にこの二人の前に出る度胸と気迫にどきどきする。一言で言うとかっこいい。まともに歌えるのは一人二人の状態から格段に表現の層が厚くなって、なにより常にキャパオーバーで一杯一杯な印象しかなかったパフォーマンスに適度な余裕がある。


ライブ中盤、ステージ下手に用意されていたバーカウンターにパーカーのフードを被ったschtein&longerが座り、やしきたかじん「東京」をバックに酒を煽りだす。そこにEspeciaメンバーがライブの打ち上げという体で現れ、「あれ?たかじんさんちゃいますか?」と問いかけると「たかじん&longer」だと返す。なんという茶番。一週間前に亡くなったばかりのやしきたかじんをネタに、ステージ上全員が台本の紙を持ったまま寸劇が始まる。「最近のアイドルの武道館ブームについてどう思いますか?」たかじん「あそこは音がぐるぐる回る酒も回る」、「売れるためには大物ファッションデザイナーをメンバーに入れたり全裸っぽいPVを撮った方がいいですか?こう見えてもわがままボディって言われてるんですよ」たかじん上沼恵美子を目指せあいつはいい女や」、BiSをネタに関西人くさい寸劇、そして「お前らにごっつ有名な曲を贈るわ一緒に歌え」と流れ出す森俊之編曲の「やっぱ好きやねん'96」。しかしメンバー全員この曲を知らず、なのにそのまま1曲フルコーラス流れるひどいトリビュート。こういう味は他では出せない。それにしても関西人なら誰でもこの曲と「大阪で生まれた女」なら歌えるみたいなイメージがあったのだけれどその先入観のいい加減さは何なんだ。関西ローカル文化圏はまるで別世界のように思える。


茶番の間にギター/サックス/キーボードがステージに上がり、後半は生バンド、サックスがセクシャルに鳴く。「アバンチュールは銀色に」では「マセラティ渚」名義で楽曲を提供したヨコハマPAN PACIFIC PLAYAのLUVRAWもステージに登場、生トーキング・モジュレーターで濡らす。共演は一曲では終わらずそのままディープでセクシーでメロウな「海辺のサティ」へ突入。イントロのアレンジからしてヤバい。そして森絵莉加がヤバい。このオーディエンスショットが観られるところがEspecia。


Especia feat. マセラティ渚 "Especia va Bien en TOKYO"「アバンチュールは銀色に」「海辺のサティ Bien remix」




昨年は「EspeciaはパッケージやPVの作り込み方が面白すぎて、ライブパフォーマンスはまだまだその面白さに全く追いついていない」としたり顔で言っていたのだけれど、まあそれは結局対バンライブで数曲観た程度の話に過ぎなくて、この日のEspeciaはそういう一部だけ取り出しても伝わらない色気があった。アウェイの対バンでも数曲のインパクトでアピールするPerfume的な人達ではないし、客入れSE選曲、VJのVaporwave感、キザなサックス、LUVRAWのセクシーなトークボックス、全部ここにしか無い世界観、それを全編丁寧に作り込んだワンマンライブだからこそ作れる背景がある。更にその上でEspeciaのメンバーの成長が著しくて、あの奇抜で胡散臭い大人の悪ふざけの設定を演じ切り、逆に自分達の世界観として乗りこなせるようになっていた。ほぼ一年前の新高円寺ワンマンの時とは比にならないレベルでEspecia全員のグルーヴ感が上がっていて、特に杉本暁音と森絵莉加の歌唱での魅せ方の成長にはびっくりした。UNITの鳴りもダンストラックには大きなファクターなので、やっとロック箱でないところでEspeciaを聴けて満足できたという嬉しさもある。とにかくいいライブだった。



  1. ナイトフライ(ナンブヒトシ)
  2. Good Times(ナンブヒトシ)
  3. オレンジ・ファストレーン
  4. パーラメント (va Bien Remix)
  5. FunkyRock
  6. 不機嫌ランデブー
  7. ナイトライダー
  8. きらめきシーサイド
  9. スカイタイム
    • 茶番
  10. X・O
  11. センシュアルゲーム
  12. ステレオ・ハイウェイ
  13. 雨のパーラー
  14. YA・ME・TE! (va Bien Remix)
  15. Twinkle Emotion
    • MC
  16. アバンチュールは銀色に(マセラティ渚)
  17. 海辺のサティ (va Bien Remix)(マセラティ渚)
  18. ミッドナイトConfusion
    • EN
  19. トワイライト・パームビーチ (va Bien Remix)
  20. MIDAS TOUCH
    • MC
  21. YA・ME・TE!


Especia「海辺のサティ(Vexation Edit)」VJ MIX MV


Especia「ミッドナイトConfusion」MV


Especia「アバンチュールは銀色に」MV


Especia「YA・ME・TE!」MV




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