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Electronics Pick-Up by Akira Fukuda このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2008-02-29

[]連載記事:クリプトン物語(ITmedia)と初音ミク開発物語(日経エレクトロニクス)を比較する(その3)

その1はこちらです。

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その2はこちらです。

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今回も日経エレクトロニクスの記事にツッコンでみます(ツッコンでみるとは、デスクモードで読んでみる、の意味です)。

日経エレクトロニクス2008年2月25日号開発物語「パソコン用歌声合成ソフト「初音ミク」 <第2回>コア・ユーザーはあえて狙わない」(127ページ〜130ページ)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20080219/147636/

(注:上記URLにあるのは記事の導入部だけです)


127ページの本文「雪の札幌クリプトン・フューチャー・メディア(以下,クリプトン社)の入社面接に現れた若い女性に,同社 代表取締役伊藤博之は手にした雑誌の写真を指さしながら聞いていた・・・彼女こそが、初音ミクを成功に導く, 最後のピースだった」

なるほどー。そうだったのかー、とはすんなりいきませんでした。


ITmedia記事と記述が食い違うからです。

ITmediaではこうあります。「アニメ業界や声優とはまるで縁がない同社。「まずは勉強」と、声優雑誌などを買いこみ、社内の隠れアニメファンを発見してレクチャーを受けた。「お前がやらなくてどうする、行ってこい!」。尻込みする社員に、伊藤社長はそんなふうに発破をかけていたという。」


ITmediaでは「隠れアニメファン」とある以外、新入社員の若い女性のことはまったく出てきません。日経エレクトロニクス記事では「伊藤社長はこの冬の入社面接に「運命を感じた」」というほどの衝撃的な出会いだったというのに。この扱いの違いはなんなのか、疑問が残ります。


先に進みます。128ページ本文左段6行目「当時」にひっかかりました。「当時」がいつのことか分からなかったからです。まあ、細かいことですが。


128ページにはVOCALOIDVOCALOID2の違いが出てきます。しかし「本文引用:「信号処理の方式から見直す大幅な改良を加えていた」」という抽象的な表現にとどまった点で強く不満が残ります。


工学博士の井原健紘(いはらたけひろ)氏がホームページVOCALOIDVOCALOID2の違いについて、VOCALOIDは「HMM合成法」、VOCALOID2は「素片接続法」との推測を述べられています(このページは検索エンジンを使ったら簡単に発見できました)。私が欲しかったのは、こういった技術的な突っ込みです。エンジニアを読者とするからには、このくらいはやってほしかった。


なおエンジニアの皆さまには井原氏のページ「初音ミクとかの音声合成のしくみ」を一読することをお薦めします。大変に参考になります。

http://recognition.web.fc2.com/synthe/

(魚拓)

http://s03.megalodon.jp/2008-0326-2002-23/recognition.web.fc2.com/synthe/


ああ、もう時間切れです。今回はこのへんで・・・。


【追記】井原健紘(いはらたけひろ)氏のブログを見つけました。


【さらに追記】

へーがさんにご指摘いただいたVOCALOIDの技術論文リンクを貼っておきます。

http://www.interspeech2007.org/Technical/ssc_files/Yamaha/VOCALOID_Interspeech.pdf

2007年8月に開催された国際学会「Interspeech 2007」で発表されました。

http://www.interspeech2007.org/


【しつこく追記】井原氏の音声合成のしくみ説明ページが3月29日に訂正されました。初音ミクに関する説明がより詳しくなっています。

http://recognition.web.fc2.com/synthe/