「Hungarian Rhapsody: Queen Live in Budapest」

クイーンのコンサート映画。
ライブの合間にドキュメンタリー風の映像が挿入される形で進行する。

共産主義圏では初となるハンガリーの首都ブダペストでのライブ。
フレディのエンターテイメント精神への意欲もとい飽くなき欲望がスクリーンには溢れかえっていた。ハンガリーの童謡を歌い終わった後の歓声がすごい。

感性の異なる四人のクリエイターが自由にものをいえる風土があったからこそ、ロックからオペラまで多彩なクイーンワールドがあるんだなと改めて次第でありました。

鹿島田真希さん、芥川賞を受賞する。

第147回芥川龍之介賞の選考委員会が平成24年7月17日(火)午後5時より築地・新喜楽で開催され、下記候補作品の中から鹿島田真希さんの「冥土めぐり」が授賞作に決まりました。
(文藝春秋社ホームページより)

鹿島田さんのファンなので、芥川賞を受賞されたことが素直に喜ばしいです。
何度も候補に上がりながらの今回の受賞ということもあり、一読者として嬉しいものがあります。
これを機に絶版既刊本も文庫化してほしいなあ。
感想にすらなっていないひどいものですが、鹿島田さんの本を読んだときのメモをまとめてみました。

『一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する』(2003年・河出書房新社)
http://d.hatena.ne.jp/agateshena/20080829/1274433245
「ピカルディの三度」(2007年・講談社・表題作)
http://d.hatena.ne.jp/agateshena/20080101/1342537435
『六〇〇〇度の愛』(2009年・新潮文庫)
http://d.hatena.ne.jp/agateshena/20091120/1274491608
『来たれ、野球部』(2011年・講談社)
http://d.hatena.ne.jp/agateshena/20111120/1321781148

なんて書いてたら、鹿島田さんの著作を読み返したくなってきた。
『ゼロの王国』も先日文庫化されたばっかりだし、じっくり理解できるまで時間をかけて味わいたいです。

「ヘルター・スケルター」

全身整形のトップスターが主人公の美しさを巡る尽きることのない欲望の物語。
エリカ様主演映画ということを当日に知って半分興味本位で鑑賞しました。
蜷川監督は写真家ということもあり、色使いが鮮やかで画面がものすごくきれい。

事前に想像は出来ることだけど、リリコ役=沢尻エリカははまり役で、リリコとエリカはどこか一心同体というか復帰作として考えると意味深な感じも。
複数登場するリリコのベッドシーンも使い分けが凄まじいというか意図せずに欲望のままその時々の感情がリリコのセックスに現れているという印象を受けた。
私自身はエリカ様のファンではないけれど、今後の活躍を応援していきたくなるそんな作品です。

他のキャストも違和感なくて、寺島しのぶさんの演技が光っていた。
エンドクレジットの企画協力に金原ひとみの名前があってびっくり。
そしてテーマソングがあゆのなつかしい曲(「evolution」)という謎。時代ですね。
ただ127分は長かったかなー。終わりの方はちょっちだれてしまったのだ。

(追記)映画観た後に公式サイトの予告動画を閲覧。2分弱ですべてがまとまっている。
最近良く思うことなのだけど、予告動画にすべてが良くまとめられすぎていて別に本編を観なくてもいいんじゃねーってなることがしばしば。うーむ。物語性の強いドラマや映画では特にそう感じる。
あと個人的にはこの映画を観た若い女性たちの感想を聞いてみたい。とても気になるのである。
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鹿島田真希『来たれ、野球部』

待望の鹿島田真希さんの新刊。
手にとってみてまず思ったこと。
本間違えたかしら。
表紙がラノベ風イラストなのだ。
従来の鹿島田作品ならまずありえない。

半信半疑のまま図書館で借りて家に帰って読む。
有川浩ばりのベタアマ展開これは……。
と思ったのもつかの間、おなじみの鹿島田調がゆるやかに奏でられてきたので一安心。

頭も容姿も運動神経も良い喜多義孝と幼馴染の宮村奈緒の物語。
ツンデレかと思ったらベタアマで二人の関係はつかず離れずといったかんじ。
10年前に自殺した女子高生の日記をキーにして義孝に変化が訪れる。
このあたりはデビュー作『二匹』(河出文庫)と雰囲気が似てるかもしれません。

義孝に奈緒、担任兼野球部顧問の浅田、音楽教師の小百合先生と四人の視点から描かれるので注意は必要ですが、文体はいつもよりライトなのでテンポよく読み進めることができました。

鹿島田さんの新境地といったところだろうか。
浅田先生の奥さんるみが印象的だった。
彼も義孝らの高校のOBで野球部に所属していた。るみは当時野球部のマネージャーだったのだ。
るみは義孝の一言で精神に病を負うことになる。
義孝の一言の重いことよ。
ところどころ刺激的なところはあり、鹿島田さんの作品が好きな人には楽しめると思いますが、初めて鹿島田さんの本を手にとる読者は表紙絵とのあまりに乖離したギャップにたじろくのではないだろうか。
表紙はもっとなんとかならなかったのか。
講談社のサイトを覗くと本作の執筆動機が書かれてました。

私は文学を高尚なものにはしたくはなくて、ドストエフスキーバルザックのように三面記事を読んでネタにするような娯楽読みものでありたいと、この小説を書きました。

娯楽読みものになっているのか。
それは読者ひとりひとりが決めることなのだろう。

来たれ、野球部

来たれ、野球部

スッキリわかるJava入門

厚さ3.5cm。
ページ数にして640ページあまり。
この手の本では珍しくない分量とはいえど、存在感は十分すぎるほどにある。

本書は湊くんと朝香さんという二人の新入社員が、ベテランエンジニア菅原さんからレクチャーを受けながらRPGゲームを題材にプログラミングの概念や方法論を学んでいくJavaの入門書である。

独学だと途中でつまずいてわからなくなったり、そもそも最初から書かれている内容がチンプンカンプンだったり、モチベーションを保つのに苦労したりする。
献本をいただいたときにも「読み切れるかな」と不安になりましたが、結果的に心配は杞憂に終わりました。

ページ数が多いだけあって基礎の基礎から懇切丁寧に解説してます。
どうしてこういうプログラムになるのかがしっかり説明されてるため、おつむの悪い私でもある程度は納得しながら次に進むことができました。
また、対話形式になっているため、疑問点が解消しやすいし、間違えやすいポイントもつかみやすいようになってます。

クラスやメソッドなどの概念は初学者にとって混乱しやすい部分も順を追って説明してあるからなんとかなりました。
章の構成がほんとによく考えられてる。
各章末にはまとめと練習問題があって、これまで学んできた内容を復習できる絶好のチャンスとなってます。
1日1章ペースで進めると16日で読み終わる計算です。
私はバタバタしてて20日くらいかかりました。

本書ではJava言語で重要な考え方であるオブジェクト指向にページの多くを割いてます。
あくまで入門書なので、これ1冊でJavaの全てがわかったということにはならないのだろうけど、とっかかりとしては最適な本ではないかと思います。
初めてJavaを学ぶ人や一度学んだけどいまいち理解が進んでいない人には猛烈にプッシュしときます。

そして。
本書購入者にとってもうひとつの魅力が「どこJava」というウェブサービス
従来ならJavaの開発環境をPCにインストールして、コンパイル等の作業をコマンドプロンプト(黒い画面)で行う必要があるのですが、Javaをインストールせずにウェブ上でプログラムを記述すればコンパイルや実行がその場でできるという便利なサービスです。iPhoneやアンドロイド端末でもできちゃいます。
本格的なプログラムは実行できないようですが、ネットにさえ繋がっていればその場で検証が可能で、本書に掲載されているサンプルプログラムは呼び出すこともできるという優れ物。
非常に便利なので是非一度使ってみてください☆
Dokojava

スッキリわかるJava入門

スッキリわかるJava入門