ラストサマー

『スクリーム』以後な感じの学園物スラッシャーかと思いきや、学園物な場面は冒頭に置かれた主人公達の卒業式の夜だけで、それから1年後、社会人及び大学生になった彼等の元に脅迫状が届き……というところから展開する話だった。くそう。でも、卒業式の夜のシーンだけでも彼等はかなりハイレベルなバカ学生ぶりを披露してくれて、早く殺されてくんないかなー、という観客の思いを見事に誘導できているし、プロムクイーンで女優を目指してた娘が結局地元のスーパーの店員になってたり、モテ男がこれまた地元で猟師になってたりする無慈悲な「1年後」像にも学園物的精神の現れを見ることができて爽快だ。
後はあれだな。ミステリ・サスペンス要素が例によって壊滅状態で終盤になってもまるで盛り上がらないのは別にいいとして、問題はスラッシャーとしては悪趣味さが足りないことかな。死体の見せ方があんなに控え目じゃダメでしょう。もっとバーンと出して、「死体が山積み」感を煽ってくれなきゃ。キャラの立ち方はまあ平均点で許容できるレベル。主人公役のジェニファー・ラブ・ヒューイットのエロさはなかなか。

ブラザー・ベア

びっくり!これアメリカ先住民の話だったんだ!予告とかCMからはそのへん全然伝わってこなかったけどなあ。いやしかしただでさえアクの強い絵柄で民族衣装だのスピリチュアルなイメージだのを描かれると、その濃さはもう僕の許容範囲をはるかに超えてました。人間しか出てこない前半は苦しさに身悶えながら見てましたよ。登場人物が動物ばっかりの後半になると少し落ち着いたのだけど、今度は挿入歌の歌詞がいちいち寒いのに身悶えねばならず……。歌の流れるシーンでは字幕を読まないことをおすすめ。いやーすごいなあ。こんなに伝え方を間違えてる感じがする映画は久しぶり。
で、最後に待っている一番の問題がオチの付け方。これはないだろう。このファンタジー(そう上手くいくわけねーだろ的なそれ)を納得させるにはそれまでの展開に相当強力なパワーが必要なはずで、この映画はその必要なパワーの半分も満たしていない。無理すんなよー、全く。泣けるシーンも無ければ(コーダがキナイに会わせてくれて云々言うシーンだけはちょっと泣けるかも)動物キャラもそれほど可愛くないし、あまりの見る所の無さに逆に得した気分になってしまった映画でした。すごいなー、ほんとに。