Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

数の悪魔 - ハンス・マグヌス エンツェンスベルガー

数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜

数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜


初版は1998年!
たしかに私が小学生のときに頭をひねらして読んだ記憶があります。
そのあと「びっくり」が「階乗」、「ホップ」が「累乗」、「後ろにホップ/大根」が「√」だと知って「Eureka!」した記憶。

「やめて」とロバートはさけんだ。
「大きな数が出てくると、どうしてそんなにビクビクするんだ。かみついたりなんかしないのに」
「心配になるんだ」とロバートが言った。


フィボナッチ数列パスカルの三角形がたのしかった。

星の王子さま - サン・テグジュペリ

星の王子さま―オリジナル版

星の王子さま―オリジナル版

オリジナル版が出たのが2000年。ちょうど10年前。
当時まだピカピカのランドマークタワー有隣堂でフェアを開催していて、そこで買った記憶があります。
読み返してみました。


語り継がれるだけある。
これを読んで「わかるわかる!」と思ってもらえる人に出会えるかな。

おとなの人たちに<桃色のレンガでできていて,窓にジュラニュウムの鉢がおいてあって,屋根の上にハトのいる,きれいな家を見たよ……>といったところで,どうもピンとこないでしょう。おとなたちには<十万フランの家を見た>といわなくてはいけないのです。すると,おとなたちは,とんきょうな声をだして,<なんてりっぱな家だろう>というのです。

子どもは,おとなの人を,うんと大目に見てやらなくてはいけないのです。
 だけれど,ぼくたちには,ものそのもの,ことそのことが,たいせつですから,もちろん,番号なんか,どうでもいいのです。

「うそだよ,そんなこと!花はよわいんだ。むじゃきなんだ。できるだけ心配のないようにしてるんだ。トゲをじぶんたちの,おそろしい武器だと思ってるんだ」

 王さまは,どんなこともじぶんの手のうちにありそうに,いばった顔をしていました。

「ぼく,感心するよ」と,王子さまは心もち肩をそびやかしながらいいました。「でも,人に感心されることが,なんで,そうおもしろいの?」

「なぜ,酒なんかのむの?」と,王子さまはたずねました。
「忘れたいからさ」と,呑み助は答えました。
「忘れるって,なにをさ?」と,王子さまは気のどくになりだして,ききました。
「はずかしいのを忘れるんだよ」と,飲み助は伏し目にあってうちあけました。
「はずかしいって,なにが?」と,王子さまは,あいての気もちをひきたてるつもりになって,ききました。
「酒のむのが,はずかしいんだよ」というなり,呑み助は,だまりこくってしまいました。

「そういった王子さまは,たいへんさびしい気もちになりました。考えると,遠くに残してきた花は,じぶんのような花は,世界のどこにもない,といったものでした。それだのに,どうでしょう。見ると,たった一つの庭に,そっくりそのままの花が,五千ほどもあるのです。」
「ぼくは,この世に,たった一つという,めずらしい花を持ってるつもりだった。ところが,じつは,あたりまえのバラの花を,一つ持ってるきりだった。」

「あのキツネは,はじめ,十万ものキツネとおんなじだった。だけど,いまじゃ,もう,ぼくの友だちになってるんだから,この世に一ぴきしかいないキツネなんだよ」


点燈夫のくだりが、谷川俊太郎の「朝のリレー」みたいで一番好き。

就活のバカヤロー - 石渡嶺司 大沢仁

就活のバカヤロー (光文社新書)

就活のバカヤロー (光文社新書)

5月くらいに買ったのをすっかり放置してました。
これと一緒に「<就活>廃止論」も買っていたんだった。本棚に眠ってました。

  • 採用する方もアマチュア。実際に学生の才能を見抜けて判断できている面接官が何人いるだろうか。
  • 就活情報系ビジネスの実態。すべての活動は「企業の宣伝」の一端である。

メインはこんなところ?
「踊らされてる」学生も企業もどっちもどっちだね、という皮肉が散りばめられています。


なにがびっくりかって、2008年の本だということ。ここで示された現実が2010年になってもまったく変わってないということ。
それでも、その頃に比べたらTwitterの普及率はおそろしいものだし、インターンをする学生の割合もおそろしく上がっただろうし、12新卒のムーブメントの中ではまたちがう渦が見えてくるかもしれない。


今までの学生は、会社に入っておとなしく従っていれば、会社が「未来」を保証してくれていた。ここまではよく聞く話。で、そういうのが崩れてきた今になったとして、採用する側は、そもそも自分たちが今の学生たちのような凝った「自己アピール」を考えて入社してきてるわけじゃない(少なくともバブル世代の話を聞くところは)から、そもそも「優秀な学生」という「基準」からして、本当はわかっていないまま、でもいろいろと学生に接触したり学生のトレンドを覗いたりして、線引きしなくてはならない。
だけど「優秀な学生」っていう言葉からしてちょっとおかしい気がしてくる。その次元の話をしたいのなら「学生」というよりは「人」という言葉が適切だとは思うんだけど、どうなの。「学生」という言葉で暗に限界を示唆してるっていうか。「ここまでしかできないだろう」みたいな。で、その壁を壊したくてミニビジネスマンみたいなのが、いっぱい。もちろん、社会人に近い感覚で生活していこうって考える学生が増えたことが一概に悪いことじゃないとは思うけど。



「就活」という現象のあるあるを切り取って、切り落としていく。マニュアル本とかバカバカしいよね、という論調。
かすかに思ってた「今の就活のシステムって何かおかしいんじゃないの?」の「何か」を鮮明にあぶり出してくれる本かもしれません。
ただ、いまいち痛快とまでは言えない…なんでかなあ。