声に出せない

パーソナル・アサーショントレーニング

■声に出せないのはどうして?

アサーティブになりたいけれど。どうしてもなれない。アサーティブになることが悩みになればなんのためにアサーティブをこころがけているのか分かりません。

親密な人間関係を求めているのに、自分から打ちとけていこうとしない人がいます。アサーティブになれない人の特長に、自分は人の目線を気にする性格だと思い込んでいる傾向が強いようです。しかし、これは性格というより習慣化した行動パターンと考えたほうがよさそうです。

性格とは、ヒポクラテスの「体液は人間の気質にも影響を与えるという説」を基にしていて、気質から作られる行動や意欲の傾向のことです。ヒポクラテスの医学における四体液説(よんたいえきせつ)とは、人間は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の体液からできている説のこと。血液が多い人は楽天的、粘液が多い人は鈍重、黒胆汁が多い人は憂鬱(メランコリーの語源は黒胆汁である)、黄胆汁が多い人の場合は気むずかしい気質という概念がありますが、現代医学はこの説を継承していません。

性格とよく似た言葉に人格がありますが、こちらは個人的な気質に留まらず社会性を含んでいてとらえる範囲が広いのが特長です。性格、人格、どうとらえるのも自分の自由ですが、大事なことは、自分にできる現実的な対処を実行することです。

・ 他者を変えることはできない。
・ 自分の性格を変えることは簡単ではない。
・ 自分の行動は変えられる。

自分が変わりたいと思うなら、選択は自分に許された自由なのですから、難しい選択をするより、もっとも簡単なことを選べばいいのです。

しかもアサーティブになれない人ほど、アサーティブでいたいと望んでいる。つまり自分のなかでは変化はすでに起こっていて、願望と行動が一致していないのが問題です。引き裂かれた状態はつらいと思いますが、ネガティブな面より、すでに「変化が起こっているポジティブな面に注目することが大事です。せっかくの変化を、自分の性格だと思い込んでいるために、変えるのが困難だと決め付けて抑え込んでいます。

【図ー1】は、自分と相手の心の動き方を表したものです。
自意識に注目してしまうと、そこにいる相手への関心が薄れますので、相手はなにか寂しく感じます。距離は埋まりません。

人からどう思われるか気になる→(躊躇して)話せない、引いてしまう→親しくなれない→自分はダメな人間だ→人からどう思われるか気になる

これを相手目線で考えると、次のようになります。【図ー1 相手】
相手はなにも考えていない→引かれるとどうしていいか分からなくなり壁を感じる→親しくなれない→ナニも思っていない→相手は気にしていない
なかには、気にする人もいるでしょうが、たいした意味はありません。

 自分と相手を考えて正しいサイクルに変えるには、【図ー2】のようなサイクルに変えます。相手のことを気にかけてあげる→元気にさせる挨拶をする→自然にまかす→自分は自分→相手のことを気にかけてあげる

「人からどう思われるか気になる」→「相手のことを気にかけてあげる」に変える
「(躊躇して)話せない、引いてしまう」→「元気にさせる挨拶をする」に変える
「親しくなれない」→「自然にまかす」に変える
「自分はダメな人間だ」→「自分は自分」に変える

これを相手目線で考えると、こうなります。
「相手のことを気にかけてあげる」→「いつも自分に関心をもってくれる」
「元気にさせる挨拶をする」→「うれしい、ありがたい」
「自然にまかす」→近づきたくなる
「自分は自分」→「わたしはわたし(安心)」
「相手のことを気にかけてあげる」→「いつも自分に関心をもってくれる」
自分の感情に注目しないで、相手の感情に注目してあげます。
自分の行動に注目して、相手の態度に注目しないようにします。

逆の行動パターンです。
自分の気持ちを声に出せない場合は、自分の感情に注目して、相手の行動に注目しています。だから相手がニコニコしていると、話やすくいなります。相手の表情が弱いと、自分が拒否されるように感じて戸惑います。つまり、自分の気持ちは相手次第。相手に委ねた状態にしてしまっているのです。自分の気持ちを自分が思うようにできないのは苛立ちの原因になります。

 これは2つの問題に発展します。ひとつは、自分に非力さを感じ、ますます自然な自分を遠ざけます。ふたつめは、相手を恨む、妬む原因になります。近づきたくなくなります。しかし、本心は違います。自分に有能感を望み、相手には情愛を望みます。

本心と感じている気持ちが離れ過ぎると、混乱が深まり、自分に正直になれなくなります。性格と違う行動をしているから苦しいのです。自分の考えのまま、自分よりも相手のことを考えて、元気に挨拶をする。それだけでいいのです。

性格と違う行動をしているから苦しいのです。自分の考えのまま、相手のことを考えて、元気に挨拶をする。それだけでいいのです。自分を変えようと考えないこと、自分の行動を変えるようにします。

 それが出来なくても責める必要はありません。自分の行動パターンですから、それでもいいのです。自分が変えたいと思ったらなら、変えましょう。アサーティブな行動パターンを求めているなら、ゆっくりでいいので、心がけます。

 いまは同じ職場でも挨拶しない人が増えていますが、いまさら、元気な挨拶は効果テキメンなのです。相手の立場に立てば、元気に挨拶されることがどれほどうれしいか。もし、あなたが相手から元気に挨拶されると嬉しいでしょう。相手も同じなのです。元気に挨拶に見返りを求めないことが大切です。元気に挨拶にしたのに、何の反応もない。そんな場合であっても、気にしないことです。親しい関係を作れる人は、気にしていないのです。気にしていないから相手も楽になれます。

しかし、本当の問題は、時間の使い方にあります。声に出せないことを悩む時間は、生産的な時間にあてられるはずの時間。何日も気をとられることで、失っているものがないかに注目することが必要です。

考えても仕方のないことを考えて、考えて仕方のあることを考えていないというようなことはないでしょうか?考えて仕方のあることとは、自分が行動することで、自分や周囲の人に変化を起こせること。考えて仕方のないこととは、いくら考えても、自分でコントロールできないことです。


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