熱帯夜の悲劇、「ファイト・クラブ」

 暑い、暑い、暑い・・・
 クーラーのリモコンが壊れているので2日前やっと、注文を出した。
 壊れていることには大分前から気づいていたのだが、なんかそんなに暑くないしまあいいか、と思って日々を過ごしていた。
 扇風機も買ったことだし。

 そこに、この熱帯夜。

 目下のリモコンでは暖房しかつかない。
 それで18度くらいにしているのだが、やっぱり違うんですよねえ、冷房とは。
 なんか風が生ぬるい。
 
 扇風機も、なんだが風がぬるく感じられる。
 せっかくのマイナスイオン配合なのに。

 部屋にいるだけで体力が消耗されていく・・・
 夜は気がつくと、お腹を出して寝ていた。
 妙齢の女性のセクシーポーズだ。
 いかん、脳みそもやられているようだ。

 
 アイスクリームを買ってもあっという間にジュースになってしまう。
 水なんて常温に出しておくとすぐにお湯になってしまう。
 暑い、暑い、暑い・・・


 「ファイト・クラブ」を観る。
 ブラッド・ピットエドワード・ノートンの衝撃的な映画。
 不眠症で悩む平凡な男がタイラーと出会う。
 彼との出会いで今まで生きてきた物質社会を否定し、互いに殴りあうことに生きる喜びを見出す。
 いつの間にか、殴りあいの仲間は増え「ファイト・クラブ」へと発展。
 しかし、組織はどんどん凶暴化していく。


 大好きな映画だ。
 変わりたい、別人のようになりたい。
 死ぬ気になってなんでもやりたい。
 そんな欲望を嫌というほど満たしてくれる。
 映画では少々行き過ぎてしまうが。

 
 かつて、妹と観にいって本当に素直に「面白かったあ」と言い合えた。
 妹が誕生日にこのDVDを贈ってくれた。
「これを観て、エドワード・ノートンのような立派な俳優になってや。」
というメッセージ付。
 まだ、約束を果たせていない。
  
 
 映画の中で、タイラーがある男に銃を向け、死の恐怖に陥れる。
 男は獣医になりたかったが、あきらめたと言う。
「6週間後までに獣医になる勉強をはじめていなかったら許さない」
 タイラーはそう言って男を解放する。

  
 死の恐怖にまで追い詰められないと、人間は本当にやりたいことが分からないのだろうか。
 タイラーのやり方は、あまりにも残酷でとても賛同できるものではない。
 しかし、なぜか心を捕らえ引きずり回す。
 私もいつしかタイラーを求めている。