2009-12-06 楽しかった頃の思い出に浸って

ベルリンに来ています。冬枯れの街はモノトーン。早く外に遊びに行きたいけれどホテルに缶詰になって3晩が過ぎようとしています。今日はアライアンスでALS協会として、東アジアシンポジウムと大学院との共同について報告しました。
私の番は長い一日のラストで、ちょうど時差ボケが強くなる時刻に重なっていたので辛かったけれど、岡本記者が持たせてくれたALSDのDVDに助けられました。最近の報告の特徴として、必ず映像を使います。私もへたくそな英語で場を白けさせたら最後にALSDのビデオを流してごまかそうと思っていましたが、ビデオは海外の患者会、とくに当事者や遺族から絶賛され購入したいという申し出があるほど大好評。その内容は一人病院で死を待っていた甲谷さんが友人に誘われて退院し、友人らが改造して用意した町屋の家にダンサーや女優をしている友人たちに介護してもらって住んでいるというショートストーリー。これは京都での実話です。
岡本さん夫妻による映像と写真が素晴らしく音楽もよかった。言葉や文化の壁を越えて芸術性が高く評価されたともいえますが、オランダの患者会のボランティアをしているというマーティンは、「夫を1年半前に失ったが、彼の友達によくしてもらった。だからこういう記録を残したかったが、撮影してくれる人がいなかった。甲谷さんの尊厳が守られ、彼らが互いにリスペクトしあっているのが伝わってきた。とても素晴らしい作品。ALSを表現したのの中ではダントツ。発想も新しく、これまで見たことがない」と。
病気は進行し、そのせいで生活が一変することはあってもその人が過去に過ごしてきた楽しい時間は永遠の真実です。映像は個人の記憶に埋葬されるはずだった不可逆的な時間の真実を切り取って可視化し不偏化し長く保存してくれる。皆さんの中には今とても辛い局面に立たされていて、ネガティブになっている人もいるかもしれない。でも心は楽しかった日々にいつでも舞い戻れることを忘れないでね。私はそうやって自分の一生を時空を超えてトータルに捉えることで、ALSだけでなくたとえば自分の衰えや不幸な瞬間でさえも、そういうこともあると肯定できるのではないかと思っています。これは患者さんが教えてくれた楽しく生きるための技です。言い換えてみれば、人生いい時もあれば悪い時もあるということでしょうか。調子や運が悪い時にはいい時の思い出を引っ張り出してそこに浸ればいい。だからといって、それが後ろ向きの人生というわけではなくて・・。よい思い出をたくさん作って備蓄しておけばいつでもそこに舞い戻って幸せになれる。これは母もTLSになる直前にそう言っていたし、みさおさんも時おり空想の世界につかって遊ぶそうですし、マーフィーも『ボディ・サイレント』にそんなことを書いているから、まんざら嘘ではないのです。ライフ・イズ・ビューティフルです。幸福な病人のたくましい想像力を侮ることなかれ。私たちはすでに記憶というたくさんのショートフィルムを遺産として心の中に持っているんです。私もひとつひとつの記憶を、大切な人と過ごした時の映像と音と匂いを大事に、忘れないように心の奥にしまっています。
翻って・・・
重病人の彼らが不幸で死にたがっていて、死なせてあげなければならないと思い込んでいる医者の「あなた」こそが本当に不幸な人なのだと私は言っているのです。
翌日加筆:
今朝になってもALSDビデオの評判はウナギ登りで、フランスの患者会がウェブで見れるようにして欲しいと言ってきました。とりあえず岡本監督に聞いてからって答えておいたけれど、you tubeに流せるといいのですがどう?改めてヘルパーの皆さんには出演交渉しないといけないでしょうが、ケアラーの動きがとてもしなやかでやわらかで美しいのです。ケアというダンス、ALSというダンスの組み合わせをフランス人のイブ(男性よ)は理解できると絶賛してました。
ああ、なるほど。癌界隈でも思い込みの強いドクターいます?
治療をあきらめさせるのに必死になる医者って怖いね。
昨日はオランダの遺族と強制的に緩和ケアを開始された話で盛り上がったわ。
緩和ケアの批判はあちらでもタブーになっているんだって。
後ほど内容をアップします。
空想の世界を愉しみます(o^-^o)
心は、自由だから(v^-^v)♪
空想の世界でだけ私も自由です。実はALSの患者さんと同じなのよ。