龍樹(ナーガールジュナ)を祀る神社
週末は紀州におりました。
和歌山県の田辺市には、大乗仏教八宗の祖と言われるインドの大哲人・龍樹(ナーガールジュナ)菩薩*1をお祀りする神社が実在します。
なんで神社でナーガールジュナ???と驚いたのは筆者のみではないでしょう。
でも、実際にあるんだから仕方ありません。
その神社の名は……
はい、闘鶏神社(闘雞神社、新熊野権現)です。
源平合戦にまつわる故事で知られ、南方熊楠とも縁が深い、要するに田辺市でいちばん有名な神社ですね。
龍樹が祀ってあるのは、このへん。中御殿。
つまり、中御殿の聖宮にお祀りされている瓊々杵尊命(ににぎのみこと)の本地仏が龍樹菩薩なのでした。*2
青森にある「キリストの墓」の類を期待していた人がいたとしたら、残念でした。
中世から江戸時代までの日本宗教は、神仏習合・本地垂迹の教えがデフォルト。
神様を拝んでも仏様を拝んでも、同じことだと信じられていました。
もっとも、自分は瓊々杵尊命(ににぎのみこと)にお参りしているけど、その本地は龍樹菩薩で……なんてことを自覚してる人はほとんどいなかったでしょうけどね。
熊野古道・紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産になったり、神仏霊場 巡拝の道(闘雞神社も入ってます)が立ちあがったりした流れで、近畿ではすっかり「神仏習合でいいじゃん」とゆー雰囲気になっているようです。
闘雞神社には、もうひとつ面白い祭神がおられます。
八百萬殿
八百萬神(やおよろずのかみ) 多くの神々
この御社を通し
多くの神々や遠くの神々を
又皆様の御先祖の神々を
遥に拝んでください。……
神道は八百万の神々を祀るとよく言われますが、ほんとうに「八百万の神々」を祀ってる神社というのは管見ながら初めてでした。
熊野信仰はユニバーサルです。
〜生きとし生けるものに悟りの光が現れますように〜