雪上歩行研修会 - 四阿山・3月 - を実施しました。



近年、登山用具や防寒具の性能が上がり、十分な山歩きの経験がないお客様でも、雪上ツアーにお申込みになられます。あまりにも体力がなさ過ぎる場合はさておき、そういったお客様でも安心安全にご案内するのがプロの仕事でございます。今年から、雪上歩行の仕方、アイゼンやピッケルの使い方等をお客様に指導する方法の確認研修会として、雪上歩行研修会を恒例化することにいたしました。


雪上歩行研修会 - 四阿山・3月 - 実施内容
http://ecotourism.or.jp/training/setsujou-azumayasan.html



  


群馬県山岳連盟の重鎮、斉藤さんが当協会に送り込んできてくれた猛者、小池さんが今回の研修会をコーディネートしてくださいました。駐車場で、手持ちの装備品について研鑽します。



斉藤さん曰く、ガイドには、BlackDiamond社のカーボンウィペットというポールを持たせては?とのこと。グリップ部にステンレス製の頑丈なピックがついていながらにして、重量は1本475g。非常に優れたギアですが片方で15,000円以上はキツイ、しかもほとんどのツアーでは全く不要です。欲しいけど我慢がまん。



  


こちらは、往年の山スキーヤーの知恵。シャフト上部にガムテープ、下部には針金を仕込んでトラブル時に準備対応しています。



  


ゴンドラが動くまで、プロの山岳ガイド・阿部源さん(http://yamagen8015.sakura.ne.jp/index.html)が、アイゼン・ピッケル初心者向けの簡単なレクチャーをしてくださいました。阿部さんが腰につけているのは「スワミベルト」。胴ベルト型の安全帯みたいなものですが、これを初めからズボンのベルトに使っています。さすがは、心構えが違いますね。


マウンテンダックス(mountain dax) スワミベルト ブルー 01 CG111 ブルー

マウンテンダックス(mountain dax) スワミベルト ブルー 01 CG111 ブルー "L"



  

  

  


2015年、多雪の四阿山、亜高山帯針葉樹林帯をスノーシューで気持ちよく歩き、今日の研修会予定地に到着しました。



  


阿部さんによる、雪上歩行講義です。全ての爪が雪面に食い込むように意識しながら…



  


ピッケルの使い方、実践、新雪での滑落時の止め方、など。



  


次に、渓谷や山腹をトラバースする時のロープ固定と通貨法を。まずはロープの一方をエイトノット+末端処理。



  


もう一方は巻き結び+末端処理。途中に、中間支点を設置。ガースヒッチ+クローブヒッチ。




ここでは、小池さんと斉藤さんが指導してくださいました。



  


スワミベルト+テープスリングとカラビナ3枚を使ったトラバース用のセットです。



  


中間支点まで来たら、一枚ずつ掛け変える。一流の登山家でも、この中間支点の設置とカラビナ2枚のセットを掛け変える作業を怠ったために滑落死亡事故を起こしている例が幾つもあるそうです。



  


進行方向に向かっても急な所では、「プルージック結び」を使って…ということになりますが、AAESのツアーではそこまでの険しいコース設定は本来ありません。テープスリングでは、「バッチマン結び」を使えば、プルージック結びの様に使えます。



  


さらに斉藤さんは、ガイドはコンパクトアッセンダーを所持しておくべきでは…?と示唆されました。


ペツル(PETZL) タイブロック B01

ペツル(PETZL) タイブロック B01


  


アイゼン歩行の練習、お客様への説明の仕方、等…



  

  


急斜面を登った後は、30分ほど、ゆったりとした尾根道となります。嬬恋村天然記念物の「鬼岩」=ダイクについて学びました。四阿山頂が近くなってきました。



  

  


景色が大きく開け、茨木山・鬼岩方面との分岐点の手前の急斜面まできました。ここからは、本来の登山道は左に行くところを右の樹林帯に入っていきます。ここが結構急です。



  


樹林帯を抜けると、いよいよ四阿山頂が間近になってきます。難所の急崖の手前で、各自準備をします。ところで左下、愛妻の丘付近を流れる大横川の源流付近となるあたりにも、顕著な岩脈がありました。これも、「的岩」「鬼岩」と同様の過程でできた「放射ダイク」であろうと思われます。



  


では、急崖の難所をアイゼン・ピッケルで登ります。お客様への指導方法をそれぞれ、イメージしながら…





非常に短い距離ですが、スノーシューだけではこの先にお連れするわけにはいきません。



  


山麓から見ると、蟻んこが戸渡りしているように見えたことでしょう。



  


急崖を登ると、偽のピークがあります。四阿山は双耳峰である、という記述を見たことがありますが、最近はそう聞きません。




偽ピークの向こうに見えた本当の山頂。ワクワクしてしまう構図です、もう少しです。



  

  


画像は後日転用するために、必要以上に多くアップしています。この痩せ尾根を歩く魅力は、群馬県側だけのものです。



  


午後1:30頃、四阿山に登頂しました。今日の北アルプス眺望は、3月中旬にしては十分です。





小池さんが山座同定をしています。御嶽山方向かな?





四阿山頂としては珍しく風も穏やかで、ゆっくりさせていただきました。


  


では、下山します。





この痩せ尾根、ぼんやりとは歩いていられません。





尾根道はいったん広くなります。



  

  

  

  


山頂尾根道と急崖を降りてきました。素晴らしい景色を見納めと思うと、なかなか足が前に進みません。



  

  


四阿山の森林を下り、ゴンドラに乗ってパルコール嬬恋リゾートホテルへ。最後にまた装備や道具関係について研鑽しました。このオスプレイのザック、携帯スコップが背中のいいポジションにきっちりと収納できます。私も欲しいです。



  


斉藤さんからはザックや道具を自分流にアレンジするいろんな方法を教えていただきました。既存のザックを、割かし簡単に、収納しやすくできるものだと感心いたしました。帰ってから、早速真似させていただきます。






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