2011-02-05
■[game][mobile]NGPやPlayStationSuiteなど
どうやら一年も放置していたようで…。
背面
さて、それはともかく、1月27日にPlayStation に関する新たな発表がSONYがよりあるということで、いろいろな推測や噂が飛び交う中、NGP(Next Generation Portable)の発表となった。
プレスリリースは以下
アンドロイド端末向けにプレイステーションの世界を提供するPlayStation®Suite「プレイステーション スイート」を発表
背面タッチパネルなど面白い試みもありつつも、期待を外さない面白そうなハードウェアになりそうだ。3DSも楽しみだが、これも非常に興味深い。
ボク自身、AndroidのGoogle API Expertという立場でいろいろ活動していく中で、タッチパネルに関しては自分なりに色々悩んで考えたりした。どう使ったら便利なんだろう、今までとどう捉え方を変える必要があるだろう等。 Androidを含むスマートフォンといえばタッチパネルが大きく目を引く部分であり、このUIをうまく消化できないと使いづらくなるだけだ。
ただ、ゲームに関して言えば(ボク自身ゲーム会社に身を置く立場であるため、基本的にゲームを基準に考える)、事、携帯端末などの画面の小さなものにおいてタッチパネルはなかなか扱いが難しい。ゲームは大抵、画面描画が頻繁に起こる。ゲーム以外のアプリに関しては、基本的に「ユーザーが起こしたアクションに対してその結果を描画する」、というサイクルを繰り返すものであるため、イベントドリブンで処理を行う形で特に問題はない。もちろん、どこかからデータを取得してそれを更新して描画するといった事もあるだろうが、それもよくて数分に一回といったところだろう。
ところが、ゲームは勝負が絡むものがほとんどだし、ゲーム内で時間制限が設けられている事も多いため、自分がアクションを起こさなくても常にゲーム内では何か進んでいて、画面描画もされる。
さらにもう一つ、タッチパネルのメリットはその操作の直感性の高さにあるわけで、今までは反映される画面と操作を入力するデバイスが別々になっていたため、間接的な操作になっていたのが、直接操作したい部所をタッチできるというわかりやすさが良いわけだ。ゆえに、単純に考えればゲームは自分や自機などいわゆる自分の分身になっているコマを動かすか、自分がターゲットしている部分をポイントする事が多い。
目まぐるしく変わる画面の中で、自機を細かく操作したり、精密にターゲットをポイントする。その自機やターゲットはもちろん、自分の指で操作する。自機を細かく操作したいのに、その自機周辺が、ポイントしている自分自身の指で隠れてしまう。
この問題に対して取られている手段は、他のUIを使う(センサー等)やバーチャルパッド(画面端に十字キーやボタンを表示させて、そこで操作を入力させる)の二つが多い。
(もちろん、そもそもこのタッチパネルでプレイするのが最適、という形にゲームを新たにつくり直す(あるいはスクラッチから創る)のがベストではあるのだけど、それはそれでユーザー側の慣れや好みもある。)
センサーを使うのはあまり精密な操作には向かないし、端末を傾けると画角も変わるというデメリットがあり、バーチャルパッドは結局直感的な操作になっていなかったり、画面をある程度パッドで占有してしまったり、パネル上でのボタン操作はハードウェアキー(ボタン)と比較するとイマイチであるなどといったデメリットがある。
NGPの背面タッチパネルは、これに対するハードウェア側での一つのソリューションと言えるだろう。結局表示面(スクリーン)をタッチしてないのなら、関節操作なのではないか?とも言えるのだが。ともかく、だれかが発表時にTLで「背面タッチパネルで凛子のブラのホックを制服の上から外したい!」と言っていた。夢は広がる。
PlayStationSuite
やはりNGPの発表が一番の目玉だったために、あまり大きく取り上げられていないのだが、同時に発表されたのがPlayStation Suiteだ。「要するに、初代PSのエミュレータをAndroid用に提供して、その上でPSゲームが遊べることでしょ?」と捉えている人が多いようだが、それだけではない。
発表時のアナウンスでも同様の説明があったが、平井一夫氏のインタビューによると
「より多くの端末が存在する大きなプラットフォームへと打って出るというのがPSS。ハードウェアに対して中立的なゲームのプラットフォームを作る」
とある。
SONY(他、日本の多くの家電メーカー)は先進的なハードウェアを作り、また洗練させて世界中に売ってきた。そのレベルは一時の勢いほどではないにせよ、未だに世界トップレベル。SONYに限った話ではないが、そんなハードウェア製造販売のDNAを今も尚強く保持しているせいか、ソフトウェアはハードのオマケ的な思いが強く、ソフト開発関連の事業部は肩身が狭く感じるというぼやきを少なくない人数から聞くことがある。
特にゲームハードとなると、どこの会社であれ基本的には囲い込み戦略が今までの常識だった。ハードウェアがメインの企業であればなおのことだろう。ところが、PSというプラットフォームのレイヤーをハードから切り離すという、非常に思い切った試みをするという。
過去のハードのエミュレータを提供するというだけでなく、他のハードウェア上で動くネイティブアプリもその対象だということだ。
プレスリリースにはこうある。
目まぐるしく進化・多様化するモバイル環境の中で、携帯電話やスマートフォン、タブレットPCといった様々な携帯型端末上でカジュアルにゲームを楽しむユーザーの皆様が加速度的に増加しています。今後も成長が見込まれるこの市場に、手軽でかつプレイステーションクオリティを保持するエンタテインメントを提供し、より多くのユーザーの皆様にプレイステーションならではのコンテンツをお届けします。また同時に、ゲーム開発者やパブリッシャーの皆様にも新たなビジネス拡大の可能性を提供してまいります。
アンドロイドOS上でプレイステーションのゲームをお楽しみいただくため、SCEは、PlayStation〓Certified「プレイステーション サーティファイド」ライセンスプログラムを携帯端末メーカーの皆様に向け、開始いたします。同プログラムでは、ロゴの提供を始め、開発協力も積極的に行うなど、アンドロイド端末上でプレイステーションクオリティが保てるようサポートいたします。
さらに、平井氏はこう語っている
「AndroidゲームとPSS。ゲームの本質的な違いはなにかという、それはゲーム体験の質が保証されているということ」「今はAndroidに注力する」
つまり、対応させるハードウェアとしてまずAndroid、そこで動かすためのアプリをPlay Station Suite準拠で製作すれば、PlayStation CertifiedなAndroid端末上での動作を保証してくれるということのようだ。
これはなかなか興味深い。まずSONY側にとって、プラットフォームを自社製品ハードに限らず外にも広げていくという点においてビジネスの拡大である以上、成功すれば大きなメリットだろう。
そして、Androidでゲームを遊ぶユーザーにとっても、大きい。Androidのゲームで今問題になっているところは、そのハードウェアの仕様の多彩さとOSのバージョンアップの速さ故に、ユーザーが遊びたいと思ったAndroidゲームが、自分のAndroid端末で遊べるかどうかが遊んでみないとわからないことだ。いくつかのゲームは、紹介文に対応機種などを記載してはいるが、世界中のAndroid端末を持っている会社はまずないだろう。Googleでさえ全部は把握していない。 さらに、ゲームとなると端末の解像度の違いはゲームの動作にかなり影響がある上に、その求められる応答性ゆえに、NDKなどを使ったネイティブレベルでの開発*1 を選択するケースが多い。しかしローレベルでの開発となると、CPU依存になることもあるため、端末に搭載されているCPU次第ではそもそも動かない事もある。 単純に端末が古くて、新しいゲームの動作が遅い、といった話ではなく、動かなかったり途中で落ちてしまったりさえする。逆に端末が新しいほど、動作テストされていないためか想定通りにゲームが動かないということも珍しくない。
ゲームの動作を保証する形で端末をCertifiedしてくれるなら、その端末で遊ぶかぎりはPSSゲームはちゃんと動きますよ、ということなのだと思われる。これはAndroidのゲーム制作に携わる人々からすると非常に注目すべき取り組みとなるだろう。
コンテンツの連携
さらに平井氏はこう語っている
「従来のゲーム専用機とスマートフォンなどゲームも動く製品の間で、ユーザーは行き来するでしょう。一部はカジュアルゲームの方向に行くでしょうが、PSS。で魅力ある遊びを提供すれば、それあNGPの世界への入り口になる場合もある。NGPやPS3のユーザーでも、PSSで遊びたいという人ももちろんいらっしゃいます」
同一もしくは一連のコンテンツを、プラットフォームが変わっても持続して遊び続けられるようなシステムも包括したものとなるようだ。つまり、家ではPS3で遊んでいたゲームのサブセット的なコンテンツがNGPでリリースした際、本となっているPS3の自分のデータを使って遊ぶことができ、また同様にPSSのゲームでもデータを併用することができる。
web mailやIMAPでメールを管理しているなら、会社のPCだろうと家のPCだろうと携帯端末だろうとどこからでも同じメールボックスを開くことができるように、Google Docsならどの端末から開いても同じ文書が見られるように、自分のゲームデータも保管場所は一箇所にしておくことでシームレスに続きを楽しめる。 シリーズものならデータの引き継ぎがしやすいだろう。
自分の例でいうと、移動中にDesireなどで遊んでいたゲームと同じゲームを、家でGalaxy Tabで遊ぶ際に、移動中に進んだところからできるわけではないのが残念に思うことがある。そういったことが解決するようだ。実際こういったコンテンツ連携ができるゲームもちらほら出てきているが、このクロスプラットフォームの実装はゲーム制作側で独自に実装する必要があった。これを、SONY側で準備しますということなのだろう。
PSSに期待
いろいろAndroidに関わってきた立場から考えると、正直、このシステム完成させ且つうまくまわすために払わなければならない労力ときたら尋常ではないだろうと思う。でもコンセプトは非常に素晴らしく、ユーザーにとってもありがたいものになりそうだ。期待せずにはいられない。
ちなみに、あえて極短くまとめるなら、ボクが言いたかったことといえば「ボクも寧々さんのブラのホック外したい!」でしょうか。
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2010-02-15
■[game]キャラロス
ここ2ヶ月ぐらい、NDSのWizardry 生命の楔をプレイしていたのだけど、つい先日(二日前ぐらい?)、非常にやる気を喪失してしまった。タイトル通り、キャラロスした。この感情は最近はないなあと思ったので、風化しないうちになんとなく考えたことをまとめておこうかなと。ちなみにオチなんてない。
ぐぐってみても分かるように、キャラロスもしくはキャラロスト*1といえば最近だとネットゲームで不正をした場合に運営側から課せられたペナルティであることがほとんどで、あとわずかに人為的に(ウィルスであったり、あるいは物理的ないたずらであったり)セーブデータ消されたりなどがある程度だ。
つまり、それ自体は本来ゲームシステム上意図されたものではないようにできている。特にここ最近のゲームはカジュアルなものを除けば長く遊ばせるようにデザインされているわけで、時間をかければかけただけの対価がゲーム上に反映される形で蓄積していく。その蓄積の大きさ、例えばRPGでいえば多くの経験値によって得られた高Lvであったり、多くのゲーム内通貨で得られたレアアイテムや強力な装備であったり、そういった蓄積の対価があってはじめて挑戦できるリスク(クエストやらなんやら)をさらに超えて…と繰り返していくわけだ。
前提として、それまで長い時間をかけたものは実績として残していって、さらに上に挑戦してもらうようになっている。
これは、RPGやRTSなどではわかりやすいが、じゃあACTやSTGではどうなんだというと、これも実はそれほど変わらない。基本的にACTやSTGはスタートからエンディングまでにかかる時間がRPGなどと比べると遥かに短い。なので、やればやっただけ自キャラが強くなるような形にしたら、どんなに下手でも一日もかからずに終えてしまうだろう。なので、こういったジャンルは蓄積はユーザーのプレイスキルにされていく。一回目のプレイと二回目のプレイで自キャラの強さは変わらないが、自分のキャラクタ操作は上手くなっている(はず)。ここで非常に個人差が出るが。
しかしWizardryは、はるか昔のIからそうだが、キャラロスがある。システム上、キャラロストする事があるようにできてる。二通りあって、一つは蘇生の失敗。 一度蘇生に失敗すると、遺体が灰になる。灰の状態からも蘇生を試みることができるが、確率は下がる。そして灰からの蘇生に失敗すると、見事さようなら。もうそのキャラクタは二度と復活しない。 もう一つは、テレポータという宝箱の罠。これはランダムにどこかに飛ばされてしまうトラップなのだが、部屋の通路上とは限らない。ほんとにランダム。なので、通路ではない、壁のあるところに飛ばされるとそのパーティ全部終了。
ゲームは全体的に流れとして、長時間遊んでもらうことができて、かつ親切なデザインであることが基本というか良き設計となっているわけで、この流れからすると、例え初期のタイトルがドM仕様であったとはいえ、なるべくライトユーザにも入りやすく、かつ長く楽しめるものであるように変更が加えられるものだ。それは任天堂のタイトルであっても。 なので、特にNitendo DS用のタイトルだとなおさら、SonyやMSのハードと比較するとライトなユーザーの割合が多いのだから優しめ設計が当然となるだろう。
しかしだ。初志貫徹と言わんばかりにロストする。いや、これも多少は語弊がある。ややネタバレになるが、「生命の楔」は、一旦のエンディングにたどり着くまでは基本的に100%蘇生できる。しかしその後の道中はそうではなくなる。
この、システムとして「自キャラがロストする」というリスクは非常に特徴的で、SRPGなどでは今も割とあるのだが、実際に丹精込めて育てたキャラがゲーム半ばに終了のお知らせを受けてしまうとどうにもなんとも言えない喪失感に苛まれる事になる。これはリアルといえばリアル。 そりゃあ死んだらおしまいなのはわかる。現実にドラゴンボールなんてない。でもこれ現実じゃないし。
ただ、「キャラが本当に無くなってしまうかもしれない」ものは、余計にキャラクターに対する思い入れが強くなるのか、印象に強く残るようなゲームである場合が多いようだ。基本的にゲームは細かいリスクとリワードで構成されているものだが、このキャラクターがロストしてしまうリスクに対するリワードが何なのか… ゲームを続行できること? よくわからない。そのキャラクターの絡んだシナリオが楽しめることか。 ただ、これがWizardryにおいては伝統であり、言ってみれば芸みたいなもんだと考えたら「まあそういうもんだよね」と、諦めというかむしろそうでないとガッカリするような感覚もある。不思議なもんだ。
ともかくボクはキャラの蘇生失敗をした。育ててたソフィさんは最早いないのです。寺院で蘇生させる時に、事前に勝手にオートセーブするもんだから、てっきり失敗しても直前の状態に戻るんだと思ってた。でも、そうではなくて、失敗したあとにセーブデータからやり直したら、キャラロストしたところからスタートした。ちなみにセーブデータは一つしか保持できない。ここまで徹底してシステムとしてキャラロストを取り入れてることに本当に感心してしまった。悔しいけど。
*1:キャラクターロスト。自キャラが消えてしまうこと
2010-01-04
■[game]一般化したゲーム
明けましておめでとうございます。そろそろこのはてダ読んでる人いないだろうと思いますが。
去年は、ゲーム大好きなゲーマーな人からすればXBox360が至高のハードたりえた年でしたね。いちいちタイトル挙げたりしませんけど。ラインナップの充実感は相当なものでした。
でも、数字見ると結局ハードとしてはやっぱり(国内では)相対的には振るわず。これなんなんでしょうね。
それで、この後上記に関しての考察をつらつらと長文書いたのですけど、ここ数年至る所で見かけたようなありきたりな内容(ゲーマー先鋭化とユーザー層の拡大化による剥離)にしかならなかったんで余裕で消しちゃいましたね。
何にせよ、mixiアプリができたおかげで通勤時間に地下鉄でOLさんがサン牧の話してたりするわけだし、Wiiのおかげでお茶の間で堂々とゲームができる状況に戻ったのはたしかなわけで、作り手も多様化に対応するために日夜あらぬ妄想を繰り広げているわけです。楽しい世界ですね。
2009-04-17
■はてなブックマークツールバーで一部の機能だけ取り出す
はてブツールバーが高速でとても便利。
ところがどうやら「便利で良いのだけど、一行狭くなるのが困る」とか、これ以上ツールバー入れると圧迫パネえっすとかそういう反応があるようなので。http://b.hatena.ne.jp/entry/http://b.hatena.ne.jp/guide/firefox_addon
実は回避できる。 これはdel.icio.usのツールバーが前のバージョンの時によく使ってた方法なのだけど。
例えば、最近ブックマークしたものとか、自分のブックマークページへのリンクとかは要らなくて、ブクマするボタンとステータスバーの表示さえあればいいわ、という人には悪くないはず。
こんな風になる。右上のB+が、はてなブックマークツールバーのブクマボタンと同等。
どうやるかというと、
まず普通にはてブツールバーが入ってる状態で、Firefoxデフォルトのツールバーを右クリックとかコントロールクリックとかしてメニューを出す。カスタマイズを選ぶ。
それで中央に出てくるダイアログボックスは表示されたままの状態で無視。はてブツールバー上のブクマするボタンを、他のツールバー上の置きたい場所へドラッグ&ドロップ。ここでは検索ボックスの隣に置いてるが、ツールバー上なら別にどこでも良いはず。
完了を押してダイアログを閉じる。
そして、また先ほどと同じようにデフォルトツールバーなどを右クリックしてメニューを表示させて、「はてなブックマークツールバー」を選択することでチェックを外す。
これではてブツールバーは表示から消えるが、ボタンだけは残ってる。ステータスバーはそもそもいじってないので残ってる。
以上。
ちなみにこれ、はてなツールバーではできなかったはず。
2008-11-01
■[game]同人ゲームの潮流2 〜「ひぐらし/うみねこのなく頃に」に見るコンテンツとコミュニティ〜 に行ってきた
前回に引き続き第二回ということで、同人ゲームのおなじみのひぐらしの作者、竜騎士07氏とBT氏を中心とした会でした。
他には同人誌や同人活動歴の長い人の代表として有馬啓太郎氏、フロムソフトウェアの三宅氏、東大の七邊氏、NScrpiter作者の高橋直樹氏といった顔ぶれ。
メモ書きUPします。
以下敬称略
同人とは?
竜騎士07「自分なりの、商業と同人との定義の違いということですと、商業はまず売れるかどうか、売れるものを作ろうということになりますが、同人は売れるかどうかからスタートしないです。好きだから作る。結果として自己主張が強いものになります。」
「逆に言えば、たとえ売れていても、作り手がもう好きでなくなれば(モチベーションが下がれば)終了です。」
「あと同人ソフトは一般流通に乗らないですよね。即売会や同人ショップでの販売ルートが一般的です。基本的には同人の作り手は、作るまでしか真剣には考えていないので、宣伝活動などは積極的にはしないでしょう。もちろん、自分のHPや掲示板には予告しますが。」「イベントやショップ自体が拡大したので販路も広がり、おかげで多くの方々に手にとっていただけるようになったが、一般的には熱心に営業はしないですね。その時間を作品作りに費やしたがるのではないでしょうか。」
有馬「同人誌だと中身は(即売会などで)見られるが、同人ソフトは買わないとわかりにくい。そこはどう思いますか。」
BT「昔と違って、今はHPやベクターなどで体験版を頒布できるようになりました。最近はよく利用されています。」
竜騎士07「たしかに、体験版を置くまではなかなか見てもらえなかったです。体験版は非常に大きな効果がありました。」
「これによってネット上で、blogやニュースサイトなどでの口コミ効果が大きく現れ始めました。ただ、時期が非常に良かったように思います。10年前でも10年後でも、今のようには(ひぐらしは)売れなかったでしょう。ネット大好きな方々の人口が一般に拡大傾向にあった時代にうまく乗っかったようです。」
有馬「同人だと、個人の情熱をぶつけられるから、多くの人たちの強い共感を得られやすいというか、多くの人たちが応援したくなるようなところがあるんでしょうか?」
竜騎士07「どうでしょう(笑) でもたしかに、マイナーな方が口コミの(会話の)きっかけになりやすいかもしれません。『ねえ知ってる!?〜〜ってすごいおもしろいんだよ!』と。超大作でメディアにもたくさん広告が出てるようなものですと、『おもしろいよ!感動するよ!』と言っても皆知ってるんで。」
他の同人はどう思う?
竜騎士07「一つ言っておきたいのは、他にも同人にはたくさんおもしろいものがあるということです。ひぐらしや東方が非常に知名度が高くなってしまったので、まるでそれしかないかのように見られてしまいますが、それは悲しいことです。」
「インターネットによって、意見が統一化されてしまうのは一つの悲劇なのではないでしょうか。多様性が得られるはずのネットなのに、意見が集約されすぎる傾向があるように思います。」
竜騎士07氏の生い立ちと07th Expansionの歴史、BT氏との出会いなどの話を中略。
ゲームサークルの結成はどのように?
竜騎士07「人それぞれですね。 かつては、地元の仲良しグループからサークル化が多かったのですが、最近はネットでサークルを結成することを前提で役割を募集することが多いようです。」
ひぐらしはゲームなのか?
三宅「掲示板などのコミュニティでの反応(推理)があって、それを反映した形で次のシナリオを書く、というライフサイクルでとらえるなら、ゲームであるといえる。」
竜騎士07「ゲームはコミュニケーションツールであるべきだという持論があります。その前提で言えば、ゲーム性が薄くともそれでコミュニケーションが成立すれば、ゲームたり得るでしょう。」
「ホームズとひぐらし鬼隠し編の違いは、ひぐらしは物語が解決していないまま終わっている点だ。謎をかけっぱなしにすることで、議論を呼ぶ。」
竜騎士07「一通りの方法でしかクリアできないのでは議論の余地がなく、ゲームたり得ないです。さまざまな議論を呼ぶ余地を設定することで、ゲームとして成立します。」
「(ひぐらしが)ネットのコミュニケーションで議論を呼ぶことを前提にしたデザインなのは、制作当初から予定していました。」
「ご存じのように、八つ墓村とブレアウィッチプロジェクトを参考にしています。ブレアウィッチプロジェクトは、映画だけ見てもよくわからず、舞台背景などの周辺知識を知った上ではじめてどういう映像なのかがわかります。」
BT「コミュニケーションの場(掲示板)も、皆さんが快く議論できるような運営を心がけました。」
トラブルはあったか?
BT「お絵かき掲示板と文字の掲示板間でのやりとりがうまくできるように心がけました。ユーザーの要望を聞き入れて掲示板をよりよく改良していきました。 たしかにいろいろありましたが、基本的に皆作品が好きで集まってきていますので。」
掲示板に意見を書き込むことでスタート、ともいえる?
竜騎士07「そうですね。 ゲームから掲示板に直接飛べるよう、最初から作られていますし。前提にはしています。掲示板で行われている人気投票もコミュニケーションの一環です。」
BT「ファンの皆様と一緒に楽しんでいきたいです。」
三宅「そのようなファンと作り手の距離感の近さは商業ではないから、素直にうらやましいと思います。」
ひぐらしの展開
3作目後の5月頃に体験版配布を始めた。それから急速に口コミで広がった。
メディア展開などの話も4,5作目が出てから。
最初はドラマCDの話を、4作目暇つぶし編を売ってる最中に会場でいただいた。ただ、そのときはきっとここら辺のサークル全部に配ってるんだろう、とぞんざいに扱ってしまった。
同人と商業の分岐点は?
竜騎士07「あくまで持論ですが、数字ではないです。姿勢の問題です。何万部出たから商業、ということではないです。」
同様のヒットの流れを再現できるか?
竜騎士07「難しいです。(ひぐらしがヒットしたのは)たまたまなので。狙っては…難しいです。そんな方法があったら教えて欲しいぐらいです。」
「ただ、一つ言っておきたいのは、サウンドノベルといった形に限らず、同人では他にもいろいろなすばらしい作品が出ています。」
ひぐらしがヒットしたことでプレッシャーは?
竜騎士07「ありますが、やはりファンの方に楽しんでもらえるのは嬉しいです。そちらの方が大きいです。」
「ただ、目明し編を作成してる時は非常にプレッシャーを感じました。まだ未完成という時期でも、ショップでは予約を受付し始めていたので。自分たちも予約したかったぐらいです(笑)」
作品を作るにあたって気をつけていること
竜騎士07「二つのことを大事にしています。一つはクオリティ。もう一つは納期です。」
「良い作品のために時間をかけるのはいいと思いますが、コンスタントに作品を出し続けるのは大事です。一度作品を(ひぐらしを)落としたことがあるのですが、今でも非常に後悔しています。」
「雑誌などで連載されるというのは、すごいことだと思います。不定期刊ですと、皆作品を忘れてしまいます。」
「自分でも、礼を出した後に間隔を空けずにうみねこを出せたのは非常に誇らしいです。」
有馬「納期が来てしまったので当初予定していたものよりクオリティを落とすしかないような話はよくありますよね。どう思います?」
竜騎士07「納期のためにクオリティが下がるのは、そもそも納期の設定がおかしいのではないでしょうか。我々はコミケに合わせて半年の期間でできるものを作っています。」
「同人の定義ですと、好きな作品を好きなだけ時間をかけて作ればいいのですけど、自分の同人スタイルでは納期の設定は大事です。制作側のモチベーションを維持するためにも、定期的でそれなりに短い期間でのアウトプットが大事です。」
話を聞いてると、商業的な部分も出てきたように感じるが?
竜騎士07「頒布数が増えると、ショップで事前に確保するまとまった数が決まってくる。それを裏切るような事はしたくないため、しっかりスケジュールの設定はしている。」
「一緒に制作したこともある黄昏フロンティアさんも、非常に綿密なスケジュールを立ててやっています。例え同人とはいえ、社会人としての責任は全うしたいです。」
職業同人とは?
竜騎士07「職業同人は色々な定義があるようですが。持論としては、同人とはいえ、売れるものを作ることから考えるいわゆる部数優先で、自分がどれだけそれが好きかを優先しているわけではないのであれば、それは職業同人だと思います。」
「自分はもう同人だけで食っていますが、自分の同人の定義の延長上で来ているので職業同人ではないと思っています。」
高橋直樹「税務署が来るようになったら職業なんじゃないかと思う。NScripterは今後も同人市場には無料で提供するけど、商業利用は有料。だから…」
竜騎士07「ここまで来られたのは高橋さんのおかげです。NScripterのおかげでいろいろなムーブメントが生まれたのは紛れもない事実です。大変感謝しております!」
高橋「あ、どうもありがとうございます」
ベーマガとは?
高橋「ベーマガのおかげで色々得ました。対応機種の多さも非常に魅力的だった。」
竜騎士07「小さい頃、ゲームを買うのは禁止でした。でもパソコンはあったので、それなら作ればいいかと。ベーマガのコードを必死に入力しました。」
「光栄の初期の信長はBASICとマシン語の併用だったのですが、BASICはストップキーを押すとそこで止まってコードが見えてしまうんですよね。それで兵隊の訓練のコマンドで上昇値がたしか、+10だったのを+1000に書き換えて…笑」
「ところがこの数値がプレイヤーだけじゃなくてCOMにも反映されてたんです。一度でも訓練を怠ると大変なことになるひどい状況に…笑」
これからのゲームエンジンの発展は?
高橋「flash、ニコニコ、RIAに将来性がありそう。シナリオ、CG、音声スタッフの連携がより重要になってくるのでは…。」
竜騎士07「NScripterは簡単で便利なので、技術的な敷居はプログラミング言語を覚えるより低いです。プログラマでなくても、作家製があれば作品を世に出せるのはすばらしいことです。」
「アニメやマンガ、ゲームなどのいいとこどりをしたのがNScripter。サウンドノベルは新ジャンル、新メディアなのではないかと思います。」
高橋「宣伝してくださってありがとうございます。笑」
NScripterに求める機能などは?
高橋「検討しておきます。」
日常生活の体験がゲーム作りに反映した?
竜騎士07「してます。大石は実際の上司がモデルでしたし…。 多くの人々は大学生ぐらいから同人サークル活動を開始しますが、自分などは10年間公務員をやっていて、デビューが10年遅れです。社会人経験を活かすことで特徴を出して勝負してます。」
同人の世界で学んだことは?
竜騎士07「愛のある二流は、愛のない一流に勝る。」
「同人ではやる気や情熱を見るようにしてます。実績などはあまり気にしていません。どれだけ、その自分の好きなことやものについて熱く語れるかです。」
スタッフを新たに追加するとしたら?
竜騎士07「二つ要項があります。 一つは先ほども言いましたとおり、情熱です。 そしてもう一つは、社会人経験三年。 同人とはいえ、鉄火場となると商業の仕事と変わりません。遊び半分では困ります。」
「『ゲームが好きです』と言っても、やるのが好きなのか、作るのが好きなのかでも十分違います。ゲームが好きで作りたい、ゲームを作るならゲーム会社に入らねばならない、そのためには一生懸命勉強して大学に入らなきゃ、だから今は勉強などという話を聞きますが、ほんとにゲームを作るのが好きなら、ゲーム会社に入る前にゲーム作りを始めているはずです。」
ユーザーに求めることは?
竜騎士07「是非、いろんな作品に意欲的に触れてほしいです。」
「たまに、『これのためにコミケに来ました。この後すぐ帰ってプレイし始めます!』という方がいらっしゃいます。本人としては『自分はそれだけこの作品が好きなんだ!』ということを伝えたいのでしょうけど、私自身は嬉しいと同時に寂しいです。もっと他にも、すぐそばにもたくさん良い作品があるのに。 壁だけでなく、島中も見ていってほしいですね。」
コミュニティの規模は実際どれぐらい? その中でも、見る人、書く人、頻繁に書く人などの割合は?
「正確な数字は我々も実は把握してません。しっかり見ておくべきなのでしょうけど。やはり、頻繁に書く人は全体の数パーセントだとは思いますが。」
「開始当初と比べると、現在はライトなネットユーザーが多くなったのはたしかですね。昔はネット大好き!な人が割合として多かったのですが、最近は平気で自分の個人情報を掲示板上に書いてしまうようなユーザーがいます。」
サウンドノベルだと、ライトノベルで10冊分ぐらいの文章量が入ってしまうが、そこはどう考えてますか?
「そうですね、ひぐらしですと、一作(一編)あたりでライトノベル3冊分ぐらいのようです。」
「サウンドノベル界隈では、テキスト量がゲームのクオリティだという空気感があるのですが、それに関して私は少し危惧していますね。 短い作品をたくさん出すのもアリだと思っています。なんとなく、全体的に大作指向が出てきてるようです。おそらく、それはひもとくとKeyやLeafのころまで遡るのだと思いますが。」
「短編がもっとあっていいと思います。ただ、3冊分で1000〜2000円で頒布してることを考えると、短編は価格付けに困るかもしれません。」





