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2008-11-01

[]同人ゲームの潮流2 〜「ひぐらしうみねこのなく頃に」に見るコンテンツとコミュニティ〜 に行ってきた

前回に引き続き第二回ということで、同人ゲームのおなじみのひぐらしの作者、竜騎士07氏とBT氏を中心とした会でした。

他には同人誌同人活動歴の長い人の代表として有馬啓太郎氏、フロムソフトウェアの三宅氏、東大の七邊氏、NScrpiter作者の高橋直樹氏といった顔ぶれ。

メモ書きUPします。

以下敬称略

同人とは?

竜騎士07「自分なりの、商業と同人との定義の違いということですと、商業はまず売れるかどうか、売れるものを作ろうということになりますが、同人は売れるかどうかからスタートしないです。好きだから作る。結果として自己主張が強いものになります。」

「逆に言えば、たとえ売れていても、作り手がもう好きでなくなれば(モチベーションが下がれば)終了です。」

「あと同人ソフトは一般流通に乗らないですよね。即売会や同人ショップでの販売ルートが一般的です。基本的には同人の作り手は、作るまでしか真剣には考えていないので、宣伝活動などは積極的にはしないでしょう。もちろん、自分のHPや掲示板には予告しますが。」「イベントやショップ自体が拡大したので販路も広がり、おかげで多くの方々に手にとっていただけるようになったが、一般的には熱心に営業はしないですね。その時間を作品作りに費やしたがるのではないでしょうか。」


有馬同人誌だと中身は(即売会などで)見られるが、同人ソフトは買わないとわかりにくい。そこはどう思いますか。」


BT「昔と違って、今はHPベクターなどで体験版を頒布できるようになりました。最近はよく利用されています。」


竜騎士07「たしかに、体験版を置くまではなかなか見てもらえなかったです。体験版は非常に大きな効果がありました。」

「これによってネット上で、blogニュースサイトなどでの口コミ効果が大きく現れ始めました。ただ、時期が非常に良かったように思います。10年前でも10年後でも、今のようには(ひぐらしは)売れなかったでしょう。ネット大好きな方々の人口が一般に拡大傾向にあった時代にうまく乗っかったようです。」


有馬同人だと、個人の情熱をぶつけられるから、多くの人たちの強い共感を得られやすいというか、多くの人たちが応援したくなるようなところがあるんでしょうか?」


竜騎士07「どうでしょう(笑) でもたしかに、マイナーな方が口コミの(会話の)きっかけになりやすいかもしれません。『ねえ知ってる!?〜〜ってすごいおもしろいんだよ!』と。超大作でメディアにもたくさん広告が出てるようなものですと、『おもしろいよ!感動するよ!』と言っても皆知ってるんで。」


他の同人はどう思う?

竜騎士07「一つ言っておきたいのは、他にも同人にはたくさんおもしろいものがあるということです。ひぐらしや東方が非常に知名度が高くなってしまったので、まるでそれしかないかのように見られてしまいますが、それは悲しいことです。」

インターネットによって、意見が統一化されてしまうのは一つの悲劇なのではないでしょうか。多様性が得られるはずのネットなのに、意見が集約されすぎる傾向があるように思います。」


竜騎士07氏の生い立ちと07th Expansionの歴史、BT氏との出会いなどの話を中略。


ゲームサークルの結成はどのように?

竜騎士07「人それぞれですね。 かつては、地元の仲良しグループからサークル化が多かったのですが、最近はネットでサークルを結成することを前提で役割を募集することが多いようです。」


ひぐらしはゲームなのか?

三宅「掲示板などのコミュニティでの反応(推理)があって、それを反映した形で次のシナリオを書く、というライフサイクルでとらえるなら、ゲームであるといえる。」


竜騎士07「ゲームはコミュニケーションツールであるべきだという持論があります。その前提で言えば、ゲーム性が薄くともそれでコミュニケーションが成立すれば、ゲームたり得るでしょう。」

ホームズひぐらし鬼隠し編の違いは、ひぐらしは物語が解決していないまま終わっている点だ。謎をかけっぱなしにすることで、議論を呼ぶ。」


竜騎士07「一通りの方法でしかクリアできないのでは議論の余地がなく、ゲームたり得ないです。さまざまな議論を呼ぶ余地を設定することで、ゲームとして成立します。」

「(ひぐらしが)ネットのコミュニケーションで議論を呼ぶことを前提にしたデザインなのは、制作当初から予定していました。」

「ご存じのように、八つ墓村ブレアウィッチプロジェクトを参考にしています。ブレアウィッチプロジェクトは、映画だけ見てもよくわからず、舞台背景などの周辺知識を知った上ではじめてどういう映像なのかがわかります。」


BT「コミュニケーションの場(掲示板)も、皆さんが快く議論できるような運営を心がけました。」


トラブルはあったか?

BTお絵かき掲示板と文字の掲示板間でのやりとりがうまくできるように心がけました。ユーザーの要望を聞き入れて掲示板をよりよく改良していきました。 たしかにいろいろありましたが、基本的に皆作品が好きで集まってきていますので。」


掲示板に意見を書き込むことでスタート、ともいえる?

竜騎士07「そうですね。 ゲームから掲示板に直接飛べるよう、最初から作られていますし。前提にはしています。掲示板で行われている人気投票もコミュニケーションの一環です。」


BT「ファンの皆様と一緒に楽しんでいきたいです。」


三宅「そのようなファンと作り手の距離感の近さは商業ではないから、素直にうらやましいと思います。」



ひぐらしの展開

3作目後の5月頃に体験版配布を始めた。それから急速に口コミで広がった。

メディア展開などの話も4,5作目が出てから。

最初はドラマCDの話を、4作目暇つぶし編を売ってる最中に会場でいただいた。ただ、そのときはきっとここら辺のサークル全部に配ってるんだろう、とぞんざいに扱ってしまった。


同人と商業の分岐点は?

竜騎士07「あくまで持論ですが、数字ではないです。姿勢の問題です。何万部出たから商業、ということではないです。」


同様のヒットの流れを再現できるか?

竜騎士07「難しいです。(ひぐらしがヒットしたのは)たまたまなので。狙っては…難しいです。そんな方法があったら教えて欲しいぐらいです。」

「ただ、一つ言っておきたいのは、サウンドノベルといった形に限らず、同人では他にもいろいろなすばらしい作品が出ています。」


ひぐらしがヒットしたことでプレッシャーは?

竜騎士07「ありますが、やはりファンの方に楽しんでもらえるのは嬉しいです。そちらの方が大きいです。」

「ただ、目明し編を作成してる時は非常にプレッシャーを感じました。まだ未完成という時期でも、ショップでは予約を受付し始めていたので。自分たちも予約したかったぐらいです(笑)」


作品を作るにあたって気をつけていること

竜騎士07「二つのことを大事にしています。一つはクオリティ。もう一つは納期です。」

「良い作品のために時間をかけるのはいいと思いますが、コンスタントに作品を出し続けるのは大事です。一度作品を(ひぐらしを)落としたことがあるのですが、今でも非常に後悔しています。」

「雑誌などで連載されるというのは、すごいことだと思います。不定期刊ですと、皆作品を忘れてしまいます。」

「自分でも、礼を出した後に間隔を空けずにうみねこを出せたのは非常に誇らしいです。」


有馬「納期が来てしまったので当初予定していたものよりクオリティを落とすしかないような話はよくありますよね。どう思います?」


竜騎士07「納期のためにクオリティが下がるのは、そもそも納期の設定がおかしいのではないでしょうか。我々はコミケに合わせて半年の期間でできるものを作っています。」

同人の定義ですと、好きな作品を好きなだけ時間をかけて作ればいいのですけど、自分の同人スタイルでは納期の設定は大事です。制作側のモチベーションを維持するためにも、定期的でそれなりに短い期間でのアウトプットが大事です。」


話を聞いてると、商業的な部分も出てきたように感じるが?

竜騎士07「頒布数が増えると、ショップで事前に確保するまとまった数が決まってくる。それを裏切るような事はしたくないため、しっかりスケジュールの設定はしている。」

「一緒に制作したこともある黄昏フロンティアさんも、非常に綿密なスケジュールを立ててやっています。例え同人とはいえ、社会人としての責任は全うしたいです。」


職業同人とは?

竜騎士07「職業同人は色々な定義があるようですが。持論としては、同人とはいえ、売れるものを作ることから考えるいわゆる部数優先で、自分がどれだけそれが好きかを優先しているわけではないのであれば、それは職業同人だと思います。」

「自分はもう同人だけで食っていますが、自分の同人の定義の延長上で来ているので職業同人ではないと思っています。」


高橋直樹税務署が来るようになったら職業なんじゃないかと思う。NScripterは今後も同人市場には無料で提供するけど、商業利用は有料。だから…」


竜騎士07「ここまで来られたのは高橋さんのおかげです。NScripterのおかげでいろいろなムーブメントが生まれたのは紛れもない事実です。大変感謝しております!」


高橋「あ、どうもありがとうございます」


ベーマガとは?

高橋「ベーマガのおかげで色々得ました。対応機種の多さも非常に魅力的だった。」


竜騎士07「小さい頃、ゲームを買うのは禁止でした。でもパソコンはあったので、それなら作ればいいかと。ベーマガのコードを必死に入力しました。」

「光栄の初期の信長BASICマシン語の併用だったのですが、BASICはストップキーを押すとそこで止まってコードが見えてしまうんですよね。それで兵隊の訓練のコマンドで上昇値がたしか、+10だったのを+1000に書き換えて…笑」

「ところがこの数値がプレイヤーだけじゃなくてCOMにも反映されてたんです。一度でも訓練を怠ると大変なことになるひどい状況に…笑」


これからのゲームエンジンの発展は?

高橋「flash、ニコニコ、RIAに将来性がありそう。シナリオ、CG、音声スタッフの連携がより重要になってくるのでは…。」


竜騎士07NScripterは簡単で便利なので、技術的な敷居はプログラミング言語を覚えるより低いです。プログラマでなくても、作家製があれば作品を世に出せるのはすばらしいことです。」

アニメやマンガ、ゲームなどのいいとこどりをしたのがNScripterサウンドノベル新ジャンル、新メディアなのではないかと思います。」


高橋「宣伝してくださってありがとうございます。笑」


NScripterに求める機能などは?

BTバグのエラーハンドリングの機能が欲しいです…!」


高橋「検討しておきます。」


日常生活の体験がゲーム作りに反映した?

竜騎士07「してます。大石は実際の上司がモデルでしたし…。 多くの人々は大学生ぐらいから同人サークル活動を開始しますが、自分などは10年間公務員をやっていて、デビューが10年遅れです。社会人経験を活かすことで特徴を出して勝負してます。」

同人の世界で学んだことは?

竜騎士07「愛のある二流は、愛のない一流に勝る。」

同人ではやる気や情熱を見るようにしてます。実績などはあまり気にしていません。どれだけ、その自分の好きなことやものについて熱く語れるかです。」

スタッフを新たに追加するとしたら?

竜騎士07「二つ要項があります。 一つは先ほども言いましたとおり、情熱です。 そしてもう一つは、社会人経験三年。 同人とはいえ、鉄火場となると商業の仕事と変わりません。遊び半分では困ります。」

「『ゲームが好きです』と言っても、やるのが好きなのか、作るのが好きなのかでも十分違います。ゲームが好きで作りたい、ゲームを作るならゲーム会社に入らねばならない、そのためには一生懸命勉強して大学に入らなきゃ、だから今は勉強などという話を聞きますが、ほんとにゲームを作るのが好きなら、ゲーム会社に入る前にゲーム作りを始めているはずです。」

ユーザーに求めることは?

竜騎士07「是非、いろんな作品に意欲的に触れてほしいです。」

「たまに、『これのためにコミケに来ました。この後すぐ帰ってプレイし始めます!』という方がいらっしゃいます。本人としては『自分はそれだけこの作品が好きなんだ!』ということを伝えたいのでしょうけど、私自身は嬉しいと同時に寂しいです。もっと他にも、すぐそばにもたくさん良い作品があるのに。 壁だけでなく、島中も見ていってほしいですね。」


コミュニティの規模は実際どれぐらい? その中でも、見る人、書く人、頻繁に書く人などの割合は?

「正確な数字は我々も実は把握してません。しっかり見ておくべきなのでしょうけど。やはり、頻繁に書く人は全体の数パーセントだとは思いますが。」

「開始当初と比べると、現在はライトなネットユーザーが多くなったのはたしかですね。昔はネット大好き!な人が割合として多かったのですが、最近は平気で自分の個人情報を掲示板上に書いてしまうようなユーザーがいます。」


サウンドノベルだと、ライトノベルで10冊分ぐらいの文章量が入ってしまうが、そこはどう考えてますか?

「そうですね、ひぐらしですと、一作(一編)あたりでライトノベル3冊分ぐらいのようです。」

サウンドノベル界隈では、テキスト量がゲームのクオリティだという空気感があるのですが、それに関して私は少し危惧していますね。 短い作品をたくさん出すのもアリだと思っています。なんとなく、全体的に大作指向が出てきてるようです。おそらく、それはひもとくとKeyやLeafのころまで遡るのだと思いますが。」

「短編がもっとあっていいと思います。ただ、3冊分で1000〜2000円で頒布してることを考えると、短編は価格付けに困るかもしれません。」

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