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2015-05-29

[]1086深貝保則・戒能通弘編『ジェレミー・ベンサムの挑戦』

書誌情報:ナカニシヤ出版,xii+395頁,本体価格5,600円,2015年2月28日発行

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人口に膾炙したベンサム論はフーコーやロールズらの解釈によってある種のレッテル貼りの傾向があった。また,「最大多数の最大幸福」論だけが一人歩きしベンサムの多様な問題関心を結果として軽んじてもきた。

ベンサムは認識論,政治思想,社会思想,法思想,経済思想などの関心からも応えられるエスタブリッシュメントへの挑戦者であった。本書はベンサム自身の挑戦,ベンサム解釈をめぐる挑戦,新たに掘り起こされた「ベンサム」による現代世界・日本の問題状況への挑戦を扱い,研究史の現段階を押さえ,くわえてベンサム入門書をも意図した大著である。

評者の,Utilitarianism をそのまま当て字「烏地利他尼亜里斯吾(ウチリタニアリズム)」にしたとする理解にたいする批判的検討とわが国におけるベンサム・功利主義への一貫した関心の低さへの肯定的言及があった。