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2007-08-02

[]003『昆虫記』刊行100年記念日仏共同企画「ファーブルにまなぶ」展および図録

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昨日から学会出席のため北海道大学に来ており,空き時間を利用して北海道大学総合博物館で開催されている標記展を見ることができた。今橋映子編著『展覧会カタログの愉しみ』を本ブログで取り上げたことがあり(http://d.hatena.ne.jp/akamac/20070713/1184320430),図録も買った。今回の「ファーブルにまなぶ」展は,日本では北海道大学総合博物館(2007.7.1-9.17),国立科学博物館(2007.10.6-12.2),北九州市立いのちのたび博物館(2007.12.22-2008.2.11),滋賀県立琵琶湖博物館(2008.4.29-8.31),兵庫県立人と自然の博物館(2008.9.20-11.30)で開催され,その後フランス国立自然史博物館で開催される。ファーブル『昆虫記』全10巻の10巻目が刊行されてから100年を記念したものだ。

「ファーブルにまなぶ」展は,ファーブルに関する展示資料をごく一部含むだけで,各博物館の所蔵品を展示するところに特徴がある。ファーブルにちなんで所蔵品を展示しているだけといえなくはないが,昆虫への興味をかきたててくれる企画である。同時に「レイチェル・カーソン 生誕100年記念パネル展」も開催していた。

図録は152ページで1,200円。北大生協でも売っていた。昆虫および昆虫記に関する小論がちりばめられ,門外漢の評者にとっては望外の書物だ。『昆虫記』のなかで,ハエ類がハチたちの盲点をついて巣と獲物と卵を盗んでしまうことをとらえて「プルードン主義者」と罵ったことや狩りハチの研究に日本人研究者が大きな進展をもたらしたことなど多くのことを教えてもらった。

日仏共同企画「ファーブルにまなぶ」展公式サイト:http://www.museum.hokudai.ac.jp/exhibition/kikaku45/index.htm

【図録もくじ】

内容タイトル執筆者所属
第1章 昆虫記の世界1 本能と虫 ファーブルをめぐって本能と虫 ファーブルをめぐって日高敏隆京都大学(名)・総合地球環境学研究所顧問
-2 狩りをする蜂たちアナバチ類の狩り郷右近勝夫東北学院大学
--竹筒に巣を作るハチたち橋本佳明兵庫県立大学・兵庫県立人と自然の博物館
-3 昆虫をめぐる複雑な関係オニグモとベッコウバチとヤドリニクバエ三者の複雑な関係をめぐって遠藤 彰・遠藤知二立命館大学・神戸女学院大学
-4 花と昆虫の相互関係の展開ハナバチ社会への第一歩宮永龍一島根大学
--フタバガキ林の一斉開花と花粉を運ぶ昆虫たち酒井章子京都大学
-5 スカラベたちの世界がどう見えてきたか糞虫の巣づくりと親子関係佐藤宏明奈良女子大学
--モンシデムシの親子関係鈴木誠治長岡技術科学大学
-コラムツヤエンマムシ大原昌宏北海道大学
-6 生き物のコミュニケーションコオロギたちの鳴く季節正木進三弘前大学(名)
--コオロギの鳴き声の地理的変異角(本田)恵理東京大学
--マツノギョウレツケムシガ安藤 哲東京農工大学
-コラムマツノギョウレツケムシガの分類学的位置上田恭一郎北九州市立いのちのたび博物館
-7 化学分子から虫の世界をながめるオオクジャクガのフェロモン安藤 哲東京農工大学
-コラム「昆虫記」のカメムシ友国雅章国立科学博物館
--アリの道しるべフェロモン――ファーブル先生が間違えたアリの道しるべフェロモンの謎解き――山岡亮平京都工芸繊維大学
--植物のかおりが媒介する生態系生物間相互作用ネットワーク高林純示京都大学
-コラムキンバエの観察桝永一宏滋賀県立琵琶湖博物館
-8 アブラムシをめぐる世界虫こぶをつくる虫――ワタムシの奇妙な生活――秋元信一北海道大学
--ファーブルが見なかった小社会:ポプラのゴールの中のアブラムシ青木重幸・黒須唄子立正大学中央大学
-9 クモをめぐる世界クモはなぜ自分の網糸に絡まないのか?小野展嗣国立科学博物館
-10 オサムシの生態ファーブルが観察したオサムシの習性八尋克郎滋賀県立琵琶湖博物館
--オサムシの系統進化と生活史進化曽田貞滋京都大学
-11 ミノムシの交尾と産卵ファーブル昆虫記のミノムシを読んで三枝豊平九州大学(名)
第2章 ファーブルの時代と日本-1 ユンタ地方の荒地の研究所――ジャン-アンリ・ファーブルのアルマス――アンヌ・マリー・スレゼックフランス国立自然史博物館
-コラムフランスのセミ林 正美埼玉大学
--2 博物学者ジャン-アンリ・ファーブル松原秀一慶應義塾大学
--3 虫の文化史小西正泰生物文化史家
--4 虫たちをめぐる自然観の変遷――ファーブルの疑問は解けたのか?――遠藤 彰立命館大学
-コラムイッサールの森の虫たち野村周平国立科学博物館
--5 ファーブルと写真今森光彦写真家
--6 『ファーブル昆虫記』がアマチュア昆虫愛好家に及ぼした影響宮武頼夫関西大学
--7 ファーブルと日本のアマチュア研究者布谷知夫滋賀県立琵琶湖博物館
--8 昆虫記を読む養老孟司北里大学(名)
第3章 100年後の昆虫記-1 家畜化された昆虫たち梅谷献二農業・食品産業技術総合研究機構
--2 滋賀県湖北地域の蚕糸業寺本憲之滋賀県農業技術振興センター
--3 昆虫ロボットの研究神崎亮平東京大学
資料編ファーブルの履歴
-ファーブルの著作リスト
-ファーブルに関する展示資料
-南フランスの昆虫たち

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