369大工道具研究会編『鉋大全――カンナの使いこなしを網羅した決定版――』

書誌情報:誠文堂新光社,160頁,本体価格3,500円,2009年6月29日発行

鉋大全―カンナの使いこなしを網羅した決定版

鉋大全―カンナの使いこなしを網羅した決定版

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鉋はじめ大工道具はかんなり(?)好きだ。身近に大工さんを見ていたことがあったからかもしれない。大工さんの使う道具のひとつひとつが魔法の道具のようにみえた。大工さんの一番最初の仕事は砥石を使っての鉋研ぎだったし,木槌か玄能(げんのう)による刃の出し入れもいかにも職人と思わせられたものだ。
台鉋の登場によって,樽の製造が可能になり,神戸の酒を江戸でも飲むことができるようになったと,たしか司馬遼太郎が書いていたような気がする。鉋の種類はかんなり(二度目)ある。本書で紹介されているものだけでも,平台鉋,木口鉋,台直し鉋,長台鉋,際鉋,小鉋・豆鉋・反り台鉋,南京鉋,丸鉋,四方反り鉋,角面鉋,面取り鉋,溝道具,比布倉,槍鉋,洋鉋とある。木材をどのように加工するかによって使う鉋も違ってくる。
鉋屑の厚さを数ミクロンにするには,鉋の刃の仕込み,台の調整,刃の研ぎ出し,砥石と人間の技術によるのだそうだ。
評者には眺めるだけの鉋本だが,精度の高いモノづくりを目指すアマチュア大工さん向けの鉋大全である。
神戸に大工道具をテーマにした博物館があると参考リストに出ていた(竹中大工道具博物館→http://dougukan.jp)。竹中工務店が企業博物館として作り,現在は財団法人になっている。「第九」だけでなく「大工」も大事にしたいものだ。