今年度のノーベル賞医学生理学賞を受賞した山中教授の記者発表では iPS 細胞研究の中味とともに研究員の非正規雇用の実態にも注目した。
大学の各種研究センターには多くの任期付き研究員がいる。5年とかの期間内で成果が出なければクビになる。成果が出て再任の可能性があるが任期付きであり(ポストの関係で「昇任」もなくはない),その後は新しい職場を探すしかない。今回の受賞の栄誉からポス・ドク問題や「競争的」研究環境を再考する機会になってほしいと思う。文科省(田中新文科省)は iPS 研究に今後200億から300億の支援をするとのことだが,賢明な新文科大臣のことだから山中教授が訴えていたことは iPS 研究だけでなく日本の研究体制であることに気がついているはずだ。
『文部科学時報』(2010年1月)での巻頭インタビュー「科学技術のブレークスルーを目指して――その先にある可能性へ――」(→http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/jihou/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/01/12/1287866_1.pdf)でもすでに「10年,20年という単位の支援の枠組みがなければ,腰を据えた研究成果を出すことができない」(6ページ)と述べていた。
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