暗国ノ殿 B3F:狂気が残せし遺産、神樹を喰らう者


B3Fに降りて早々、何かがあるみたいだな。



この香り...世界樹の巨人と戦った時にもあったわよね。
まさかこの扉の先に?


流石にそれはないと思いますけれど。
とりあえず扉を開けましょうか。


...蟲か。



蟲だね。



あれが、ハナシに聞く蟲ね。
...扉を開けるなとか書いてなかった?


もう開けちゃいましたよ。でも...



何かを食べるのに夢中みたいですね。
この部屋から出る気配はありません。


とはいえ、かなりヤバそうな気はするな。
関わらない方がいいんじゃないか。


そうね、私たちの目的は蟲退治じゃないし...



...(あの食べているものは、もしかして...
「世界樹」「喰らうもの」そして前に読んだ、世界樹封印計画...)


レオーシュ?



あ、そうですね。僕も賛成です。
まずはこのフロアのマッピングから、済ませましょう。


まずは、か...
別にいいけどよ。

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あ。



...



薬液、か...
何なんでしょうね、これは。


ちょっと待って、レオーシュ。



はい。



雑魚が雑魚じゃないわ。



まずいな、敵の強さがヤバすぎるぞ。
奇襲に成功しなかった場合、かなりの確率で全滅する。


上のフロアも先制しないと辛かったけど、
ここは先制しないと「無理」って感じよ。マジで。


そうですね、ちょっと初見殺しをしてくる敵が多いかな。



というか、流石にレベル53じゃ厳しいんじゃないか?



いや、レベルは関係ないと思うよ。
問題は出てくる敵の編成に対して、適切な攻撃をできるかどうかだと思う。


そういうものかしら。まぁ確かに、大王ヤンマが他の魔物を倒すと
「仇の刃」で全滅させてくるとかは、知っていれば防げるかもだけど。


重要なのは僕のドライブスキルとコペツキの猛毒の投刃、頭封の方陣、奇襲の成功率ですね。
サビーナの印術は炎特化でよさそうです。うごめく毒樹対策に。


正直中途半端な防御力よりも、獅子の紋章を装備して火力を上げたり、
神速のチョーカーを装備して速度を上げたりする方が安定するのかしら。


あとは、どうしようもない時用にバーストスキルのジオインパクトもあるといいだろうな。



それでも、例えばこういう編成相手に、
奇襲も先制スプレッドもない状況でボコボコにされたりもするわよね。


します。なのでこまめな帰還が大事ですね。
抜け道を見付けたりしたら、即帰還しましょう。

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ところで、薬液がなんだって?



ああ、えーとね。うん。
このフロアには5つの薬品が置いてあるらしいんだけど。


それらを適切な順番で組み合わせて、
この装置に掛ければあの蟲の動きを抑制することが出来るらしいよ。


これか。注意書きが色々書いてあるな...



その適切な組み合わせは、あちこちに落ちている資料から推理すればいいのね。



はい。なのでまずはフロア全体を回って、
薬液が置いてある場所の確認する必要がありますね。


で、そのフロア全体は今までにあったギミックが勢揃いだな。
ダメージゾーン、ワープゾーン、気温の上げ下げに...10歩しか歩けない部屋まである。


正直それよりも、雑魚との戦いの方がね...
B3Fにはあの変なミニイベントがないのが、精神的に救いかしら。


そういえば、ないですね。
あるのは...あの男の人の日記だけです。

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『...第三の使徒は『眠らぬ者』。
第二の使徒を参考に作られた究極の存在だ。
優秀な、人間とはかけ離れた存在だ。


彼女らは『女王』が単身で仲間を増やし、
成長が早く、眠りを必要としない。
単体の能力が低いがそれは些細な問題だ。


そして特筆すべきこととして、
彼女らは意思疎通に言葉を要しない。
彼女らは種で意識を共有しているのだ!


その不安定さを理由に使用を反対する輩も
いたが、彼女らには最も重要な、研究成果の
管理と護衛が任されることとなった...』


ホロウ...のことだよな、
これは。


ホロウも、ウロビトやイクサビトと同じ出自だったのね。
でもそれがどうして今みたいなことに?


それは、単に行動原理の違いじゃないですか。
言葉を使って、不完全な意思疎通をする僕たちとは違うんですよ。多分。


...ふぅん。



研究成果の管理と護衛...か。
...。

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『...計画は順調だったが、一点懸念があった。
それは世界樹の力が我らの手に負えない
ような事態が発生した時の対処だ。


計画の反対派は世界樹に集められた
膨大な力が暴走したら、止める術はないと
主張する…非常に程度の低い議論だ。


暴走そのものがありえないと私は説明したが
議会の無知な連中は奴らの言い分を認め、
世界樹を止める手段の作成を命じた。


この指示により、世界樹の力を糧に
成長し世界樹そのものを喰らう、
異形の生物の研究が始まった...』


...最後のは、日記じゃなくて「告白」です。


『...ここに告白する。私は間違っていた。
私は世界を救うという甘美な熱病に冒され、
まるで、何も見えていなかった。


議会は世界樹の力の発現を強行するだろう。
まだ早い! また何故、世界樹停止の手段の
研究が進められているのもわかった。


彼らは自分たちの手に負えなくなったとき、
『蟲』を使うつもりなのだ。馬鹿げている!
『蟲』自体、手に負えない化け物なのに!


先程、妻と娘に別れを告げてきた。私は
命を賭け、今日の実験を止めるつもりだ。
同じ過ちが、繰り返されてはならない...』


で、どうなったの?



今のこの大地があります。
僕たちの世界は...


おい、最後の薬液を確認したぞ。



過程はどうあれ、この大地は
人間が生きられる環境に変わったのね。


実際にはどこにもそう書いてないですけどね。
案外、僕たちは昔の人とは違う「人間」なのかもしれません。


え?



環境を変えられなかったから、身体を変えたってか?
それは飛躍だろ。


うん、まぁね。多分暴走しつつも、世界樹は環境を変えたんだ。
その時に、『蟲』が動いたかどうかは...人間たちだけで止めたのかな。


そして、世界樹は封印、長い時を経て忘却。
今...って感じかしら。


ですね。あと僕たちにやれることは『蟲』退治ぐらいですか。
世界樹の為にも、良いかもしれません。


...ちょっといいか。
その前に一回、酒場に行っておきたいんだが。


あら、レオーシュ。
女主人さんに会いたくなったの?


何でだよ。
そうじゃない...一応だ。

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