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ちくちく日記 RSSフィード

2010-06-24

DTP Booster 014レポート その2

DTP Booster 014(Tokyo/100619)、「InDesignをコアとした電子出版に関しての「全部乗せ」的なイベント」のレポート その2



さっさとレポートを書くべきだったのだが、酒をのんでいたら遅くなってしまった。


レポートその2。

残りのセッションは実践的なセッション。

スピーカーの境氏、森氏、黒須氏、この3人の方は「電子書籍の中身(コンテンツ)を作成する」方達。

会場にきていたお客さんの大半は、この立場なのではないだろうか。

この3氏のセッションはどれも具体的、実践的で、セミナー参加者として大変面白かった。



【境 祐司氏 (週刊イーブックストラテジー)】

「電子出版を理解するための5つのポイント」

堺氏のセッションでは、現在の電子書籍環境を理解するために

  • フォーマット
  • リーダー
  • プラットフォーム
  • ワークフロー
  • プロデュース

という5つのポイントがあげられた。

このうち、フォーマットとワークフローが中でも重要である。


  • フォーマットについて

まず、現在の電子書籍について、

eBooks 書籍

eMagazines 雑誌

eNewspapers 新聞

eTextbooks 教科書

といったものが考えられる。

書籍、雑誌で使用されている電子書籍フォーマットは書籍ならEPUB、.bookなど。雑誌ならPDF、App(アプリケーション方式)などがある。現在はその書籍の特性にあわせて様々なフォーマットが利用されており、すべての書籍をカバーできるフォーマットはない。

これらフォーマットのうち、スタンダードフォーマットになるのではないかと注目されているのがEPUBである。

2007年8月に電子書籍のためのフォーマットとしてIDPF(International Digital Publishing Forum)によって策定されたオープンフォーマットである。

リフロー処理(文字サイズなどが可変で、サイズを変更するとページ数も変化する)ができるのが特徴。文字組主体の書籍に適した規格であるが、現在のところ欧文フォーマットとしては最適だが日本語処理には難がある。

EPUBが注目されるのは、規格として優れているからというわけではなく、あくまでそれがオープンフォーマットであるからというところが大きい。

堺氏自身、今回電子書籍を実際に作成してみるまでは、すべての電子書籍野フォーマットはEPUBでカバーできるのだと思っていたそう。が、実際にEPUBで電子書籍を作成してみて、EPUBではできない事がかなりあるという事を思い知ったのだそうだ。

利用されている電子書籍のフォーマットは一つではない。小説、漫画、雑誌などそのコンテンツの特性にあわせてフォーマットを選ばなければならない。


  • リーダーについて

電子書籍のフォーマットを選ぶのは、そのコンテンツの特性だけではなく、リーダーにも左右される。

電子書籍を読むためのリーダーアプリケーションも複数存在しており、どのリーダーを選ぶかによって、必要なフォーマットが変わる。

たとえばダイヤモンド社のDReaderを使いたいならそのフォーマットは青空文庫形式のサブセットになるし、ポスタルトのモビリポスタジオを使うのであれば、フォーマットはPDFになる。

現在、電子書籍リーダーは各社が様々なアプリケーションをだしている、今後淘汰されていくのではないか。

コンテンツ制作者は最終的な出力(配布)フォーマットにあわせて、データを作成しなければならない。このように様々なフォーマットがある状態ではその負荷も大きい。

さまざまなフォーマットに対応できる中間フォーマットのような形でデータをもてないだろうか。汎用的な中間フォーマットがあり、そこからすべての形式に対応できるようになればよい。業界で統一できないか今後検討が必要ではないか?

(堺氏の言いたい事はよくわかるが、これを実現するにはまずフォーマットの数を淘汰してもっと減らさないと厳しいんじゃないだろうか。そもそもフォーマットの数が多すぎるんだと思う。それに中間データがいるというのなら、たとえばInDesignでコンテンツを組み、そこから電子書籍データを書き出す、この状況はInDesignが中間フォーマットといえないか?)


  • プラットフォームについて

電子書籍を販売するプラットフォームはグローバルなものとローカルなものがある。

グローバルプラットフォームは、AppStoreやKindleStore、Reader Store、B&N BookStoreなど世界に向けているプラットフォームであり、ローカルプラットフォームは電子書店パピレスや理想書店など主に国内に向けて販売を行っているもの。

グローバルプラットフォームは、世界に向けて個人で出版できるという可能性がある。


  • ワークフローについて

現在の電子書籍は3系統に分けられる

  1. リフロー系
  2. ラスタライズ・ベクトル系
  3. アプリ系

リフロー系は、デバイスにあわせて表示が変わる(自動調整される)もの。EPUBを使用した電子書籍はこれになる。

ラスタライズ・ベクトル系はページを画像イメージとして表示するもの。PDFを使用したものはこれ。

アプリ系は独自のアプリケーション形式。映像、音声などを組み込んでインタラクティブな仕様のもの。

(今、電子書籍といってTVなどで盛んに取り上げられている目立つコンテンツは大抵アプリ系だよね。)

アプリ系の電子書籍で、いずれ問題になりそうなのは、ソフトウエアとしての提供なので、将来OSの進化、デバイスの進化に伴いソフトウエアが動かなくなる=読めなくなる可能性がある。

OS、デバイスの進化に(コンテンツ提供側は)どこまでサポートすべきか?

紙の書籍は一度買ったら、いつまでも読めるが、ソフトウエアとしての電子書籍の寿命はどのぐらいなのか?

リフロー系のEPUBやラスタライズ・ベクトル系のPDFは10年後も読めるだろうか。

EPUBなどはそのファイル自体は10年後も読める可能性は高い。が、EPUBをAppストアで販売する場合、EPUBリーダーと込みでアプリとして提供されているので、中身がEPUBでもリーダーがなくなって読めなくなる可能性はある。

リフロー系書籍であるEPUBの作成ワークフローについて。

InDesignでくみ上げたテキストをEPUB形式で書き出すと、リニアライズ(線形化)によってレイアウト(デザイン)は無くなる。

つまり、EPUBで表示できる(テキスト+画像のシンプルな)形に変更されるので、ドキュメント上との体裁が違ったものになる。だから、書き出した後、修正を行う必要がある。

デバイス事の対応も必要。iPad、iPhoneでは縦横どちらでみてもおかしくない様に修正しなければならない。試行錯誤が必要。


  • プロデュースについて

作成した電子書籍をどうプロデュースしていくか。

今、作成した電子書籍を無料提供しても、ダウンロードされる数はものすごく少ない。知名度などがないとまったくダウンロードしてもらえないと言っていい。

そもそも電子書籍をダウンロードする読者とは、電子書籍端末を所有しており、そういった端末で書籍を読む事に対して抵抗の無い人

読者のニーズに応えるため、様々なデバイスに対応させなければいけない。Web、App、モバイル。各種端末にあわせ最適化したデザインを用意する必要がある。

今後電子出版事業を行う上で必要なのは

  • アプリケーション開発知識
  • EPUBの知識
  • DRMに関する知識
  • 海外事情に詳しい
  • 権利問題の知識

マークアップ言語に関する知識もあったほうがよい。

こういった知識をもつ人で積極的に意見交換していく必要があるだろう。


こうやってこのセッションの内容を書き起こして思った事。

うん、おそろしくよくまとまった内容だ。今、電子書籍を巡る環境についてフォーマットから作成の際の問題点、電子出版が売れない(ダウンロードされない)という事まで、この一つのセッションでほとんど語られている。このセッションはセミナーの最初、キーノートの後にあったんだけど、ここで、今回のセミナーの大筋はほとんど話されていて、後のセッションではそれぞれの内容をもっと深く掘り下げた話という感じだ。

堺氏はセッション冒頭で「私は皆さんと同じ立場で、今この場(壇上)にいるのは、みなさんよりほんの少し早く電子書籍をやってみようと思ったというだけです」と話していたけど、1ユーザーとして、試行錯誤しているからこそ(メーカーとしてとかの関わり方とはちがう)、電子書籍の全体についてきちんとつかめているのではないかと思う。




【黒須 信宏氏 (クロスデザイン)】

「photoJ.創刊のプロセスと今後の発展」

毎日新聞社のiPad用マガジン PhotoJ.の制作に関わった経験から、電子書籍に必要なもの、電子書籍の可能性についてのセッション。

ユーザーが新しいメディアとコンテンツに求めているのは、

  1. メディアの特性にあっているコンテンツ
  2. メディアの特性にあったデザイン

であり、既存のものをそのまま置き換えてもだめ。メディア特性を理解して作成する必要がある

PhotoJ.は、iPadに最適化したコンテンツとして作成。作成のワークフローにはWoodWing社のソリューションを利用している。作成の際気をつけたのは「電子書籍ってこの程度なんだ」と思われないようなコンテンツを出す事。

具体的には、iPadの特性である縦と横のビューに対して最適なレイアウトに切り替わる。拡大しなくても文字が読める。コンテンツボリュームに制限がないのでふんだんにコンテンツを取り込める。リリース後にアップデートできる等。

縦と横のビューについては、コンセプトを変えてデザインしている。横はイメージを印象的に見せて、縦では写真と文章を分けて表示するというように。

縦横それぞれのレイアウトを用意しなければならないので、作業量としては単純に1.7倍ぐらいかかる。

コンテンツボリュームに制限が無いという事は、大量に写真を載せる事ができるという事。これは紙ではできない。

動画を取り込むこともできるが、これは高解像度のムービーにするか、ストリーミングで見せるか、小さくして埋め込むか容量や回線の問題もあるので、この辺りは試行錯誤中。

英語、日本語の切り替えも今後対応予定。これも実際やると作業量が増えるが、対応していきたい。

Tips的な話として、画像サイズ、解像度について

iPadの表示領域は1024pixel×768pxlだが、iPadの上部にはバッテリー表示のエリアがあるので、その分20pixelは除外してデザインしなければならない

縦ビュー 1004×768

横ビュー 1024×748

表示させる画像の解像度は132ppiでつくると取り回しがよい


デザイナーは何を考えてデザインすべきか

メディアにあわせたデザインが必要。

デザインレベル、クオリティとしては紙メディアと同等以上のものが必要。

平面デザインにおいて、紙のデザインレベルは高い。それ以上のものが求められる。

UIのデザインも大事

インタラクティブな「見る」「動かす」「さわってアクション」といった仕掛けがはいる。

ユーザーインターフェイスのデザインによって印象が変わる。


システムの知識、理解が必要

これからデザインをしていく上で、システム、プログラムの理解は必要。

プログラマになれと言っている訳ではない。プラグラムを書けなくてもかまわない。ただ、最低限(システムの動作などに対する)知識は必要。

コンテンツの流用について

あるメディアから他のメディアにコンテンツを流用しようと安易な(たとえば、印刷物をつくったからそれをそのままPDFにして電子書籍にするような)発想でやるのはNG

大根からおでんはつくれるけど、おでんになった大根からお新香はつくれない。

UIを該当メディア用にあわせる事

紙の本が見開き表示なのは紙をなるべくコンパクトにするためで、Webの表示はパソコンとマウス用に最適化されている。

それぞれのメディアにあわせたUIがある。電子書籍でもそれを考えていかなければならない。

将来的な展望として

今リリースしている電子書籍は、当たり前のレベルを再現しているレベルにすぎない。

今後、ユーザー環境にあわせた変化が必要

自動組版との結合、合理化も進めていきたい

セッション後の質疑応答では、PhotoJ.がWoodWing社のソリューションを使用しているという話を受けて「WoodWing社のソリューションは、一つのデータから様々なコンテンツデータを書き出せるというのが売りだったはずだが、実際に使用しているPhotoJ.の現場ではiPad専用として書き出しているし他メディアに流用しないほうがいいという話だが、使い回しはできないという事か?」という質問がでていた。

黒須氏の回答としては「コンテンツ(素材)はプレーンで用意して(WoodWing社のソリューションで)管理している。展開はできる。ただし、InDesignデータで展開するのではなく、その手前のプレーンなものとして使い回す事になる」というものだった。

実際、黒須氏のようにシステム周りも自分でできるような知識があると、WoodWing社のソリューションを使わないと作れないいうわけでもなく、かえって既存のガチガチに固まった市販ソリューションだと使いづらいのかもしれない。

黒須氏のセッションは、コンテンツをデザインする立場から、ユーザーが望むものを提供するために電子書籍の可能性を最大限追求していくという姿勢が感じられた。

電子書籍のPhotoJ.はiPadで表示されたときのレイアウトもきれいだし、読みやすい。

これは会場にきていた他の方と話していた時にでた感想だが、PhotoJ.で印象的に使われていた、夕焼けの写真や、青竹が一面に生い茂る写真などで表示されている彩度の高い赤、青緑の色、あれは印刷物では出せない色だ。RGBの領域を発色できるメディアだから使える写真。メディアの特性を活かすというのはこういう細かい部分でもあると思う。


今、提供されている電子書籍、とくにWIREDとかのインタラクティブな電子書籍系を「この書籍の内容がよみたい」と思ってダウンロードした人はどのぐらいいるんだろう?ダウンロードの多くは電子書籍のサンプルとしてというか未来的な電子書籍の形を見るためにダウンロードした人ではないだろうか?誌面に動く動画や音声を見て「おお、これが電子書籍かー」とそれで満足してしまった人たち。あの本は内容はなんでもいいんだよね。サンプルだから。

だから、しばらくたったら、もう少し時間がたって、電子書籍の方向が落ち着いたら、あれはもうダウンロードされる事はない。

でも、同じ様に話題になったアリスの電子書籍。あれは時間がたってもダウンロードされるんじゃないだろうか。あれはインタラクティブな電子書籍サンプルとして優れているのはもちろん、内容的にも動く絵本としてすごくよくできてる。何度もみて、さわって楽しみたくなる。

電子書籍だからといって、必要も無いのに動かしたり音をならしたり、仕掛けをつくる必要はないんだよね。それが受けるのは今だけ。しかも受けてるといっても「電子書籍すげえぇぇぇぇ!」的な身内受けというか、書籍の内容が受けているわけじゃないからな…。

動くよすげぇ!とか、リアルタイムにアップデートされてる!とかそれだけの話になると「Webでいいじゃん…」ってことになると思う。

電子書籍でやれる事の可能性を考えると同時に、電子書籍でそれをやらなければいけない必要性、電子書籍でなければならない必要性があるのかどうを考えるというのも大事なんじゃないだろうか。

なんか、意外と数年たったら、今大流行りのインタラクティブ系はある程度収束して、もっとシンプルな普通の書籍を読みやすく読めるっていうあたりに落ち着きそうな気がしないでもない。それとももっと違う、電子書籍の新しい可能性がでてくるのだろうか。


【森 裕司氏 (InDesignの勉強部屋)】

「InDesignから書き出すEPUBをコントロールする」

この日、一番実践的なセッション。

セッション前に司会の鷹野氏から、事前アンケートでこのセッションが見たいというチェックをつけた人が全体の7割だか、8割だかいるという話があっていた。

InDesignから書き出したEPUBを具体的に使えるものにする、そのノウハウ公開!という事で期待した人が多かったのだろう。期待された森氏は「まだ発売されて数週間のものをテストしてる段階なんだから、そんなに期待しないでよ」と苦笑していたが、いやいや、そりゃ皆期待するでしょう。

その期待されるセッション内容。

InDesignからのEPUB書き出しについて。EPUBについては堺氏のセッションでも説明されていた、リフロー系の電子書籍フォーマットである。

今、だされている電子書籍端末でも広くサポートされている。

これを実際にInDesignから書き出してコントロールする方法について。

InDesignでは実はCS3のバージョンから、EPUB書き出しに対応していた。CS3での「デジタルエディション用に書き出し」という設定がそれである。

ただしInDesignでのEPUB書き出しは、最新バージョンのCS5であっても、書き出してそのまま使えるものではなく、ドキュメント作成の段階からEPUB用の準備をし、書き出されたEPUBにも手を加える必要がある。



書き出したEPUBに手を加えるには、.epubファイルを開かなければならない。

EPUBファイルの拡張子.epubを.zipに変更し、解凍ソフトで解凍すると、EPUBの構成ファイルにアクセスできるようになる。

ファイル構成はWebページの構造ににており、XHTMLやCSSファイルの組み合わせであり、これらのファイルを一定の約束の元にZIP形式にまとめたものがEPUBファイルであるといえる。

目次やファイル一覧などはXML形式で持っている。

コンテンツ(素材)はCSS、XHTML、PNG、JPEGなどでWeb標準に準拠している

PDFなどのようにページ概念がないので、画面の大きさ、フォントの大きさにあわせてページが変化する(リフロー系)

現時点ではEPUBの日本語対応はまだまだ不備があり、日本電子出版協会から、IDPFに日本語書式に対する要望が出されている状態。

具体的な要望は

  • 縦書きと横書き

文字組の方向、ページ開きの方向

縦書き文書中の横書き(柱、ノンブル等)

横書き文書

縦横表示方向の変更

縦横各方面でのスタイルシート

縦中横

縦書き文章中の欧文処理

禁則処理

ルビ(モノルビ、熟語ルビ)

出ている要望を見れば、EPUBで今、何ができないか一目瞭然っていうか…つまり縦組方面は全然だめだ。日本語の日本語らしい組版は全部だめだと思っていい。

詳しくは日本電子出版協会 JEPAのサイトを参照の事。

実際の作業の説明。


1.レイアウトを作成する


まず、対応デバイスはiPadのiBooksであるという前提で話をすすめる(いくらEPUBがオープンフォーマットで各デバイスに対応しているといっても、やはりデバイス事の調整は必要になる。だから、最初に出力デバイスを決めて作業しなければならない)

新規ドキュメントの作成。

サイズはiPadの規格768×1024px

カラーはRGB

フォントはヒラギノ角ゴProN

フォントサイズはピクセル指定

サイズについて、実際にEPUBが(というかiBooksがEPUBを)表示可能なエリアは547×729pxである

EPUBとして使用可能な画像ファイル形式は、PNG、JPG、GIF、SVGであるが、これ以外の形式を使用していても、InDesignからの書き出し時にJPEGまたはGIFに自動的に変換される

フォントについて、iBooksの日本語フォント表示はどうやらヒラギノ角ゴで固定のようだ。テストした限りではどうやっても他のフォントに置き換える事ができなかった。

ファイル名(配置画像のファイル名含む)やスタイルシートには日本語は使用しない事。記号類も危ないかも。アルファベット、数字のみにする。

現状、EPUBでは複雑なレイアウトを再現する事はできない。

  • 縦組、段組みは使えない
  • マスターページのアイテムは無視されるから使えない
  • 索引も使えない
  • 目次機能は使える

写真を重ねたりするレイアウトも不可。写真の位置コントロールが難しいので画像はすべてインライングラフィックスにする必要がある

EPUBに書き出したとき、オブジェクトの書き出し順番はオブジェクトの座標値による

左開きの場合、X座標が小さいもの、次にY座標が小さいものから優先的に書き出し

右開きの場合、Y座標が小さいもの、次にX座標が大きいものから優先的に書き出し

(しかし、縦組が全然つかえない状態において右開きドキュメントからEPUBを書き出す事ってあるんかな…?)


2.表紙を作成する


表紙データは画像として書き出しておく

iBooksの場合、表紙ファイルはiTunes上で別に設定するので、ドキュメント上に表紙ページをつける必要はないが、EPUBで表示したときに、表紙も改めて表示したいなら、最初のページに入れておく。


3.ページを作成する。


最初のページ(表紙が入るのなら2ページ目)には目次ページを作成するので、白紙ページを入れておく。目次の分量によっては1ページではなく2ページ入れておく。


4.レイアウトする


画像はすべてインライングラフィックスで。パスオブジェクトは反映されない。

テキストにはすべて段落スタイルが必要。これは後でCSSをいじりやすくするため。段落スタイルを設定していないと、後の修正がやりづらい

表組は使用可能だが、表組内に画像を表示する場合は、後からタグの修正が必要。

細かい注意点

f:id:akane_neko:20100619164929j:image

段落先頭時下げは無視される

文中の全角スペースは欧文スペースになる

空の改行も無視される

ユニコード番号が同じ字形は反映されない

スタイル名に日本語を使っちゃだめだ

テキストフレームや表組の塗り、線も反映されない

先頭文字スタイルや正規表現スタイルなどは使用できない



うん、なんていうかね、組版に関する細かい処理は軒並み無視されると思ったらいいのかなー。

とにかく、シンプルな棒打ちされたテキストと、インライングラフィックスで表示される画像って形になるんだと考えるべきか。

画像をインライングラフィックスで配置しないといけないのは、そうしないとテキストがリフローされたときに一緒に動けないから。

インライングラフィックスで表示するとき、画像にテキストがかぶらない様にするため、画像の前に改行を入れるか、画像に回り込みを設定しておく

画像に対して右寄せ、左寄せなどの段落スタイルを用意してあてておくと、作業が楽になる

ハイパーリンクはInDesign上で指定でき、それが生きる。

InDesignの目次機能はEPUBでも使える。ページ番号の設定を「ページ番号なし」にすること


5.EPUBを書き出す


できあがったドキュメントをEPUB に書き出し。

書き出しはファイルメニューから「書き出し先」で「EPUB」を選択。

書き出しのときに気をつけるのは「目次オプション」で「InDesignの目次を含む」にチェックを入れる事

CSSオプションの「埋め込みフォントを含む」をオンにするとCS3、4ではフォントがフルセットで含まれるのでフォント使用ライセンス的にはアウトになる。CS5ではサブセットで含まれる。

ただ、iPadのiBooksではフォントを埋め込んでも無視され、ヒラギノ角ゴで表示されてしまう。


6.書き出したEPUBをビューワーで確認する


EPUBの確認ビューワーはAdobeの「Adobe Digital Editions」で。


EPUBの編集について

書き出されたEPUBファイルを直接編集する方法


1.まず、EPUBファイルを解凍する


拡張子を.zipに変えて解凍。

このとき、OS X標準のZIP解凍ではうまく解凍できないので、Stuffit等のアプリケーションを利用する事


2.XHTMLとCSSを編集してEPUBの見え方をコントロールする


アンダーラインや枠囲み罫線のようなInDesignで設定してもEPUBに反映されなかった部分はCSSをいじって反映させる

段落アキや、行頭一字下げといった設定もCSSをいじって反映させる


3.いじったファイルをEPUBに戻す


解凍したEPUB ファイルを.epubファイルに戻します。

これは手順がちょっと面倒なので、配布されているスクリプトを使用するのが便利。Drag and Drop AppleScripts for EPUB, IDML, etc.

本来の手順(ターミナルを使用する)はこっちにのってます

ただ、こういった解凍、復元の手順はめんどくさいので、EPUBフォーマットをそのまま編集できるSigilというツールがおすすめ。


4.iTunesにコピーする


作成したEPUBファイルをiBooksで表示するため、iTuens にコピーする。

iTunes を起動し、ブックのアイコンにEPUBファイルをドロップすればOK。

登録したEPUBファイルにiTunes上でイメージ(表紙)の登録をしている



EPUBの書きだしにInDesign を使用するメリットについて

すでに(印刷用途などで)InDesignで作ったデータがあれば、再利用しやすい

InDesignからの書き出しでEPUB以外にもSWF、PDF等に展開しやすい

(InDesignが使えれば)特別なスキルがいらない

と3点をあげていた。

しかし、今回のセッションを通して受けた印象では、既に作ったデータを流用するというより、EPUBのためにドキュメントを作成しなおすという感じ。

InDesignでドキュメント作成をする時は、EPUB書き出しする事を念頭に置いて、ドキュメントを作っていかなければならない。なんとなく作ったドキュメントをEPUB書き出ししても、まともに使えるEPUBにはならない。

作成されたEPUBでInDesignのレイアウトが完全に再現されるわけでもないし、修正のためにCSSなどの知識は必須。スキルがいらないという訳ではない。

どちらかというと、InDesignの知識より、CSSなどWeb系の知識の方が必要になりそう。


やはりEPUB自体の規格がまだまだ発展途上というのが苦しい。EPUBを流通させるための大きなマーケットであるiBooks Storeはまだ日本版はないし、今後、規格がもっと整備されて日本語への対応なども安心して使えるものになれば、EPUBに展開する仕事も増えると思うが、現時点では仕事で使うというのはちょっとつらいかも。とはいえ、今後の発展を期待して、勉強はしていきたいと思う。


以上、DTP Booster014セミナーレポートでした。

こういう実践系セッションはレポートするのも難しいね。森氏のセッションなんかは実際にCSSを編集してみるところなど、レポートするのは苦しいものがある。

スライドの写真、もっといっぱいとっとけば、わかりやすかったんだけど、会場では手書きメモするので手一杯で、そこまで気が回らなかった。次は気をつけよう。


しかし、おもしろいセミナーだったなー。

ほんとに行ってよかった!