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2014-06-19

出力の手引き16版、さようならQuark。

世間様がAdobe CC 2014で盛り上がっているなか、こんなネタで更新するのは恐縮ですが。

大日本スクリーンの「出力の手引き」16版がでたようです。(出力の手引き16版


出力の手引きには、新しい版で追加された部分が赤で強調表示された「更新部分強調版」があるので、どこが新しくなったか手っ取り早く知りたい人はこちらを見るのがオススメ。(更新部分強調版


が「更新部分強調版」ではわからない、今回一番のポイントは


ついにQuarkに関する記述が消えた…っ!!!!!


15版まではあったQuarkXPress.7〜9対応のPDF作成手順や留意事項、初期設定といったQuarkXPress関連ページがごっそり削除されてます。


あー…まぁねぇ…。

最新バージョンのv10は深刻な不具合が解決せずいまだサポートされないままだし、Quark7〜9にしても、今、入稿あるって話はほとんど聞かないもんなぁ。


もう、今更Quarkを新規で使おうって人はいないだろうし、あえてページ数をさいて説明する必要もなくなってきたって判断かな。

かつて一世を風靡したQuarkも今では古参DTPerが「昔はQuarkっていうソフトで色々苦労をしてねぇ…」って若い人に自慢苦労話をするためだけのアイテムになりつつあるからな。


しかし、その苦労話をしようにも、今、業界に若い人がほとんど入ってこないんだよねぇ。枯れてるわぁ。

2011-11-11

出力の手引き15版 ついにPSがっ…………!!!

大日本スクリーンのTrueflow運用マニュアル「出力の手引き 第15版」がリリースされてます。

この15版、いままでの手引きとは決定的に違う部分がある。


出力の手引き15版からは、ついに、ついにPS/EPSの記述が消えたっっっっっっっっっ!!!!!!!!!


つまり、15版はPDFによる出力ワークフローについてしか載っていない。

メーカーからの「もうPDFでの出力しかおすすめしないもんね」という姿勢が明確に!

PDFしかおすすめしないといっても、PS/EPSをサポートしないというわけではない。

Trueflowでは従来通り、PSでの出力もできる。

その証拠に、これまでの(PSでの出力手順が載った)「出力の手引き14版」も継続して配布されている。(いままでは新しい版がでたら、古い版は削除されていた)これは「PS使って出力する人はこっちを見てね」という事らしい。

ただ、メーカーとしては15版からPS/EPSの情報を削る事で「今後はPDFでの出力がメインです」と、はっきり言ってるわけだ。


メーカーからはそう言うけれど…

さて、メーカーからの「もうPSやめてくれ」宣言が出たわけだけど、では出力の現場はどうなのか。

はっきりいって、現場はまだ全然PSやめられない。やめようという方向に向いているのかどうか…ってくらい。

もちろん、これは印刷会社にもよるので「すでにPDFでのワークフローに全面移行したもんね」ってところもあるとはおもうけど、多分規模が大きい出力現場になればなるほど、PDFワークフローへの移行は大変なんじゃないか


なんでPDFワークフロー移行がなかなか進まないのか

印刷会社の出力サイドから見た視点だけで考えてみる。

ひとつは、まぁ、いわゆる「過去の資産が」って問題なんだけど、規模が大きいとこになればなるほど古い環境での大規模な仕事をもってるわけで、単純にそれを新しいワークフローに移行するのが大変(古い環境のものを新しい環境に移行するのはそれなりに手間と時間がかかり、そこまでの手間ひまをかける予算がないとか、新しい環境での出力検証をしている余裕がない)とか。まぁそんな単純な話でもないんだけど、大雑把にいうとそういう問題。

あと「設備にかける予算」の問題。新しいワークフローに移行するには、設備(RIPとかね)の更新が必要なんだけど、その予算がないとか。小規模の印刷会社なんかだと結構ある。でもこの問題はさすがに大分解消してきたかなー。TrueflowがAPPE搭載してからもう大分たつし、古いRIPのサポートが切れてきたので、嫌でも移行しなきゃいけなくなったりしてるし。

設備の問題とかぶるんだけど「周辺協力会社との連携」の問題。どんな大手でも、自分だけですべての印刷をまかなってるってとこは少なくて、協力会社に外注をお願いする事はよくある。

協力会社がまだ新しいワークフローに対応していないのに、自分だけさっさと切り替えると、そういう協力会社に仕事をお願いできないということになる。だからワークフローをアップデートするときは、協力会社さんと足並みを揃えないといけない。

ミニマムな単位でいうと、データ入稿する方が「印刷会社があたらしいバージョンに対応してくれないから入校できない」っていうよね。あれと同じ問題が、印刷会社対印刷会社でもおこるわけ。

「内部のオペレーション行程の複雑化」新しいワークフローに移行するといっても、既存業務がすべて新しいワークフローにできるわけではない。

となると、どうしても従来のワークフローと新しいワークフローが一時的に混在した環境になる。

具体的に説明すると、たとえばAdobe社のアプリ。Adobeさんは新しいバージョンがでると(場合によってはでなくても)古いバージョンのバグを治さないことで有名ですが、そうやって放置されたバグのなかには「PDFだとでるバグ」ってのがある。

こうなると、そのバージョンでの出力は、PDF出力絶対不可な訳で、仮にPDFワークフローが導入されても現場では「このバージョンはPS運用で!」ってことになる。

アプリメーカーさんは、新しいバージョンを出したら「皆さん新しいのをつかいましょう!」で終わりかもしれないけど、印刷会社はお客様がそのバージョンを使い続ける限り、古いバージョンともおつきあいしていかなければならないのです。

と、いうわけで出力現場では「このアプリのこのバージョンはPSで!こっちはPDFで!」という二つのワークフローを使い分けていく必要があるわけだ。

これは結構めんどくさい。

二つのワークフローを使い分けるということは、出力機の設定も2種類もたなければならないわけで、それだけで管理の手間は倍とは言わないけど、まぁそれなりに増える。

さらに、2種類を使い分けるというのが人間の判断にまかされている以上、ヒューマンエラーによる事故にもつながりやすい。

だったら、従来のワークフロー(PS)環境をできるだけひっぱって使い続けたい…と印刷会社が考えるのも理解できる。

他にもPDF出力の際のRIP設定の問題(いままでRIPでデータを修正してきたという習慣をどうするか)とか、まぁ細かい事をいうと色々あるんだけど、なかなかPDFワークフローへの移行というのは、簡単にできる話ではないのでした。


では、PDFワークフローへ移行しないのか?

ここまで、印刷会社の視点から「PDFワークフローへ移行できない(したくない)理由」をあげてみた訳だけど、じゃ、印刷会社はこのまま当分PDFに移行する気はないのか?というと


いや、もう近いうちに嫌でもPDFワークフローを取り入れなきゃいけなくなる


…と私は思ってる。

なんでかってーと、話は単純で最近のAdobeソフトが作るデータはPDFじゃないとうまく出力できなくなってるから。

最近のAdobeソフト、とくに透明効果とかばりばりつかって作ったデータをPSにした時、うまくRIPがかからないって事たまにあるのよ。

PS(又はPDF/X-1a)で2時間かけても通らないのに、PDF/X-4にしてAPPEで出力するとするっっと出ちゃうってのが。

アプリケーションで作るデータが多彩な表現ができるようになって、それをPSで再現しようとした時に、複雑すぎるデータになっちゃうんだよね。

こういうパターンが今後どんどん増えていくだろうから、そうなると、APPEでのPDFワークフローを部分的にでも取り入れなければならなくなる。

それにAPPEでのPDF/X-4ワークフローは、出力の早さとか、出力データの保存時間の早さを考えると現場にも十分メリットがあると思うし。

RIPメーカーとしても、PDF/X-4&APPEの方がサポートしやすいだろうし。(データ構造がスマートでトラブルの対応がしやすいらしい)

なので、できるだけPS出力を引っ張りたいと考えている出力現場の皆様はそろそろ覚悟を決めなきゃいけないと思うぞ。

内部制作で、環境の切り換え時期に来ている業務なんかは積極的にPDF/X-4運用への移行を考えるべきでしょう。


あと、いつまでも古い環境とアプリにしがみついている、データ入校者の皆様も、そろそろ覚悟を決めてくださいねっ。EPSもアウトだからねっ!

2010-12-16

大日本スクリーン トレンドセミナー2010


スクリーンのトレンドセミナー2010。

スクリーンのセッション

インクジェットデジタル印刷の現状と今後

まず、インクジェットデジタル印刷についての紹介ということで、スクリーンの開発しているインクジェットプリプレスシステムの紹介。

印刷ビジネスの現状、広告費減で広告媒体が印刷からWebなどに移行しているといった現状の話から、今年は電子書籍元年でますます紙が減る事が予想される、先頃開催されたCEATEC JAPANでも目に見えて紙カタログが少なかったという話など。

8月に東京でおこなわれたスクリーンのプライベートショーでは、インクジェットプリプレスシステムを中心に近未来の印刷(バリアブル&オンデマンド)を展示。会場の映像を交えながら説明。

TruePress J-SXはフルカラーで高品質な全面バリアブル印刷が可能な印刷システム。UVインキとかでパッケージ印刷もできます。後加工機と連動して、バリアブ&オンデマンドで製本など…という映像紹介。

スクリーンさんはインクジェット印刷機を売りたくて仕方ないようでしたが、個人的にはインクジェット印刷機のバリアブル印刷というのをどんな仕事に活かせるのか、いまいち使い道がわからない。

バリアブルで大量の印刷物ができるということで、すぐに思いつくのは新聞のような報道系なんだけど、あそこは既に従来の印刷で同じ事ができる仕組みをもってるだろうしな…。金券などのバリアブルもすでに、既存の設備で実現できてるし…。

いっそ紙への印刷にはこだわらず、もっと違うものに印刷したりした方が何か面白い使い道があるかもしれない。例えば食品に印刷するとか。食べられるインクつかって、食べられる印刷とかで。インクジェットなんだから、通常の印刷とちがって、インクを変えたら色々できそうなんだけど。





「今そこにある未来」は本当にやってくる?-PDFワークフローからバリアブル印刷、電子書籍の実情-

次にスクリーンの技術セミナー。

トレンドセミナーでは出力の手引きの中の人が、技術解説をしてくれるのがお約束。

ただ、今回のセミナーでは、新しい技術の解説というより、いままでのセミナーの総まとめ+電子書籍に関するスクリーンの立場の説明といった内容だった。

以前のセミナーで聞いた話も多かったので、そのときの説明も引用してレポートする。

全てのAdobe PDF Print Engineで

まずはTrueflowの話から。

2010年12月末でTrueflowのサポートが一部変更される。

従来演算処理(APPEではない、従来の演算部分)について一部サポート終了。

終了する部分はAdobeとの共同開発の部分のみ、主に入力処理に関わる部分。

サポート終了とは、今後この部分のついては新たなパッチは作成しませんの意味。従来演算ルートも使えないわけではない、ただ、この部分に不具合が生じても今後修正されない。ただしこの部分は技術的には枯れた部分なので、あまり問題にはならないだろうとの事。


スクリーンとしては、今後従来の演算処理部分のサポートについては力を押さえて、これに変わる最新演算のサポートに注力していく。

2010年7月にTrueflow3ver4がサポート終了。

これで現在有効なTrueflowはAPPE搭載のTrueflowSE以降の機種のみとなる。

スクリーンとしては、すべての(今従来演算処理で行っているものも含めた)業務をAPPEでの(最新演算)処理に移行して欲しいと思っているが、それで大丈夫なのか?

1)同じ事ができるのか?

最新、及び従来のDTPアプリケーションのサポートについては、スクリーンは出力検証用の評価キットを用いて評価を行っている。(これはいままで起きたトラブルなどのデータをまとめてテストできるようにしてるもの)

さらにGenius Kitとして、以前Adobe CS3の新機能の評価で評価漏れ(効果の処理についてのトラブルチェック漏れ)があった反省から、Adobe の協力の元、新機能を使ったデータをテストキットに入れる様にしている。

なので、過去のデータとともに、新しい機能のデータについても出力には問題ない。安心してAPPEを使って欲しい。

気になるPSの処理について、従来演算処理から新しい演算処理に移行するということは、PSファイルの処理もAPPEでかけるということになる、その点は大丈夫か?

まず、PS処理のサポートについて、Trueflow7.1以降、APPEでもPSを処理できるようになった。従来演算と同じレベルで最新演算処理でPSを処理できるようにするため、かなりの検証をおこなった。なのでPSを最新演算処理にかけても大丈夫だと保証できる。

ただ、やはりおすすめはPDFワークフローへの移行。PDF/X4を使う方がおすすめ。

2)出力結果は(従来演算と)同じになるのか?

従来演算処理と、最新演算処理で、出力結果は一致するのか?これについては残念ながら、一部違う部分がある。

それはオーバープリントの処理の違い。

オーバープリントの処理というのはPS時代は厳密に規定されていない部分があり、それがPDFでは厳密化された。

そのため、CS以降のアプリケーションと、それ(InDesign2、Illustrator10)以前では、オーバープリントの挙動が違っている。

具体的には、DeviceCMYKのグラデーション、パターン、画像のオブジェクトにオーバープリントをかけた場合。

これらのオブジェクトに対するオーバープリントは、PDFの規格では処理してはいけない=ノセにならない

が、PostScriptの規格では、これは厳密に規定されていなかったので、RIPによって(ノセになったりならなかったり)結果が違うものがあった。

が、PSを最新演算処理(APPE)で処理するようになると、PSもPDFの(厳密な)規格にそって処理されるので、この部分はノセにならないという処理になる。

くわしくはこの辺読むとわかる。

http://www.screen.co.jp/ga_dtp/dtp/guideline13/20100113appe_op1.html

正直、この問題で実際のトラブルとなる事はほぼないと思われる。こんな重箱のスミ的な「結果が違う事がある」なんて、わざわざ説明しなくても、問題にならないレベル。

ただ、「こういう問題がある可能性がある」から説明するのだそうだ。真面目だな…スクリーン…。


OutlinePDFとOutlinePDF-Advについて


TrueFlow7.0ではAPPEでOutllinePDFも処理可能

すべての処理を APPEで行うことが可能。

さらに、TrueflowのOutlinePDFといえば、ものすっごいこまかい互換表というのが、Trueflowユーザーにはおなじみだった。

これ、つまりTrueflowのバージョンが違うことで、処理結果に違いがでてしまう場合があるので、OutlinePDFデータをやり取りするときには、この互換表と首っ引きで「そのTrueflowで出力して大丈夫かどうか」を調べてたわけだ。

その互換表、Outline-Advでは必要ないらしい。

Trueflow7.2以降では、互換表ですべて二重丸(互換性OK)になるように開発しているので、互換表は必要ありませんとの事。


Adobe PDF Print Engineについて


TrueflowSEでは、演算エンジンにAdobe PDF Print Engineを採用している。

同じAdobe PDF Print Engineを採用しているなら、どのRIPも出力結果は同じになるか?

もちろん、おなじPDFをおなじJDFでおなじAdobe PDF Print Engineに食わせれば、出力結果は同じになる。

ただし、RIPは総合力である。つまり、Adobe PDF Print Engineが同じでも、その周辺、Adobe PDF Print Engineに渡す前の最適化、ここに違いがでる。

TrueflowはAPPEに渡す前の入力処理において、問題のあるPDFの最適化を行っている。

さらに、スクリーンは「出力の手引き」「出力の手引きWeb」で出力についての情報を提供し、「Trueflow印刷ユーティリティー」という、出力用プリセットファイルなども提供している。このことで、データ制作者がより正しいデータを作る手助けとなり、より正しいPDFが入稿されることになる。

Adobe PDF Print Engineへの関わりについても、スクリーンからAdobeへのレポート件数は世界のベンダーの中でトップレベル

単にレポートが多いという話ではなく、レポートをしているということは、それだけ多くの(不具合について、その修正について)情報を得ているという事。つまり修正された箇所がどのように使われているかがわかるという事。

さらに最新ビルドについて、スクリーンはAdobe PDF Print Engineの新バージョンについてもちろん検証しているが、それをすぐに実機に搭載するわけではない。

ベンダーによっては「最新ビルド搭載!」とそれを謳うメーカーもあるが、最新だからいいというわけではない。

スクリーンは検証したのち、常にベストなバージョンを提供するようにしている。

このようにAdobe PDF Print Engine採用といってもスクリーンでは、他ベンダーより最適のRIPを提供している。

どこでも同じというわけではない。

3)今ままでの不具合はどうなるのか?

過去にDTPアプリケーションで発生した不具合について、Trueflowではアプリケーションの不具合もRIP側で対応するようにしてきた。

その辺の情報はこの辺http://www.screen.co.jp/ga_dtp/dtp/guideline14/20100727_7problems.html にのってる。



インクジェット バリアブル印刷システム

EQUIOUについて

EQUIOUではAdobe PDF Print Engine 2を採用

インクジェット印刷機に最適化

PDF/VTをサポート予定

PDF/VTってのは、バリアブル印刷用のPDFの規格

VT = Variable Transactionalで、可変印刷を効率よく行うためのフォーマットである。

PDF/VTについては2009年のセミナーでも説明されてた。

さすがに同じ説明を書くのはきついので、2009年のセミナーレポートから引用


PDF/VTとは、バリアブル印刷用の国際規格

VTは「Variable Transactional」の略

バリアブル印刷とは、印刷物の一部が変更されつつ印刷する印刷のこと。

バリアブル印刷に利用するデータには、再利用される(繰り返し印刷される)オブジェクトと可変(差し替えられる)のオブジェクトが存在する。オブジェクトを差し替えつつ印刷する、ということは、通常より高速なRIP処理が求められるという事。

つまり、1万パターンの差し替え印刷があったとして、それを1万パターン全部1からRIPしてたら時間がかかってしょうがないから、いかに高速にRIPできるか、再利用するオブジェクトと、1回きりのオブジェクトとをうまく処理する為の規格です。



PDF/VTはISO 16612-1 (PPML/VDX)を元に制定されている。

ISO 16612-1 はPDFを基本として作られた規格なのだけど、ツール対応がいまいちで、あまり普及しなかったし、透明にも対応してなかった。

その反省を基に、新たに制定されたのがISO 16612-2のPDF/VT。


さて、そのPDF/VTの特徴。

まず、どのようにして効率の良いバリアブル印刷に対応しているのか。

PDFにはXObjectという概念がある。

XObjectとは外部オブジェクトという考え方。

PDF内で使われる部品を分割して記述してある。

PDF/VTではそのXObjectを有効につかって高速化に役立てようとしている。


XObjectには3種類ある

・Image XObject 画像専用のXObject

・Form XObject 画像以外の通常のオブジェクトの記述

・PostScript XObject これはもう使われていないオブジェクトなので気にしなくていい。

んで、XObject=外部オブジェクト概念なのだけど、つまり、いままでのPDFだとPDFの中のオブジェクトを表示するのに、普通はコンテンツをひとつひとつ全部なめて表示していた。んで、これをXObjectでやると、オブジェクトは画像と画像以外に分けられて、それぞれXObjectとして記述し、それにたいしてDo~って感じで「これを表示しなさい」って命令するだけで表示することができる。

つまり繰り返しでてくるオブジェクトを何回も何回もなめ直さなくていいってことかな。だから効率がいい。

さらにPDF/VTでは外部オブジェクトの参照が許可されている。

参照XObject(Reference XObject)っていって、これはPDF/X-5から許可されている。

(PDFの構造としてはPDF/X-5以前からあったものだけど、PDF/X-4までの規格では許可されてなかった)

外部オブジェクトの参照は、印刷関係の人ならOPIみたいなものだと思えば理解しやすい。つまり、フォームの中から、外部のPDFファイルをファイル名によって参照して読み込むことができる。

外部オブジェクトの参照はAcrobatでは9からサポートされている。

ファイル名による参照のみ、つまりパスではないので、参照させる場所を設定する必要がある。Acrobat9では環境設定→ページ表示→参照XObject表示モードというのがその設定になる。

XObjectは、PDF/VTのみではなく、既存のPDF内でも普通につかわれているらしく、トラブル事例紹介で紹介された、合成フォントの例の文字の透明効果の処理においても、1文字ずつで背景画像をクリップする部分の背景画像の繰り返し処理などに利用されてるそう


PDF/VTの特徴、もう一つ。

階層構造のDPartによる、ページ選択、順序変更。

従来のPDFではページ順による印刷しかなかったがPDF/VTでは、属性順(たとえば、郵便番号、氏名、住所などのキーによるソート)での印刷指定が可能。

これは、DPartという階層構造の属性データベースをPDF内部に持たせる事で、ソートが可能になっている。

引用ここまで

で、なぜそこまで高速演算が必要なのかというと、バリアブルでは、複数ページを毎ページ毎ページ演算しなければならないので、高速でないと処理できない。

APPEではキャッシュをサポートしていて、一度演算したらキャッシュにためてそれを読んでくれるんだけど、スクリーンのシステムではさらにプリンタ側で、キャッシュを持つ、だから早い。

つまり、PDF/VTの演算時に、データが解析され、データ内のオブジェクトの、どれが大きいか?どのオブジェクトが繰り返し使われているか?を優先順位をつけて演算し、キャッシュに蓄積する。

2P目以降の出力では、キャッシュにないものだけを演算する、という処理になる。だから早い。

さらに、繰り返し使われていないもの、それほど大きいサイズでないものといったキャッシュにためないものもそれはそれで、別の工夫をして出力しているのだそうな



電子書籍について



昨今の電子書籍ブームで、各社いろんな取り組みを発表してるけど、さてスクリーンはどうするのか…?

→詳しくは言えません。

なにそれっ。でも詳しくは言えないといいつつ、最後にちょろっとそれっぽい話もあった。


で、なんの話をしたかというと、いま、騒がれている電子書籍について、出版印刷(書籍、雑誌)のジャンルと、商業印刷(カタログ、チラシ)のジャンルにわけて、今騒がれている電子書籍は、出版印刷部門であり、多くの(特に地方の)印刷会社で扱っている商業印刷ではないという話。

チラシ、カタログといった商業印刷の分野はすでにWebという形で電子化されており、もうとっくに電子化の脅威にさらされている。いまさら騒ぐものではない。

電子書籍ビジネスはまだまだ成功例を模索中である。

話題になっている電子書籍についても、京極夏彦「死ねばいいのに」岩崎夏海「もしどら」といった、ほんの数冊のベストセラーをのぞけばまったく売れていない。売れた2冊についても、純粋に電子書籍としての売り上げというより、電子書籍というものの調査目的で売れた部分も大きい。

あまり電子書籍だと大騒ぎせず、おちついて対応したほうがよい。

電子メディアはプル型のメディアであり、デバイスを必要とする。すべての人がデバイスをもっているわけではない。

対して、従来の紙メディアはプッシュ型であり、電子メディアにはないメリットもある。

どこまでが電子書籍にふくまれるか?

現在「電子書籍」として販売されているもの、今後「電子書籍」として販売されるもの、どこまでを「電子書籍」と考えるか…?

たとえば、App Storeで販売されている、天体観測アプリ「Star Walk」http://itunes.apple.com/jp/app/id295430577?mt=8 これなんかも広義では「電子書籍」といえる。

単に「雑誌」「書籍」の電子化というだけでなく、こういったコンテンツ開発まで考えていくべきではないか?


とはいいつつ、やっぱり、それでも今求められる「電子書籍」への対応が必要な場面もあるので、

スクリーンとしてはデジタルリンクコンセプトという取り組みをしていく。

現時点では電子出版を「紙を出すときにおまけとして、電子書籍をつける」という需要もかなりあり、さらにそれはサービス的に扱われる事が多いので、そこにあまり金も寝間もかけられない。

なので、印刷用データを電子書籍データに流用できるように、

RIPに出せば印刷物と電子メディアの両方ができる、紙コンテンツと電子コンテンツ両者の垣根を取り除く取り組みをしていく。

さらに新しい電子メディアの模索、プロトタイプの試作なども行っている。ご期待ください。


と、いうことで、スクリーンのトレンドセミナー、技術セッションはこんな感じだったのでした。

印刷、出力についての内容はいままでのセミナーのまとめですね。

1時間のセッションだったので、内容はかなり駆け足。私は以前に聞いた事ある内容だからなんとかついていけたけど、初めて聞く人にとってはちょっと厳しかったのでは。

電子書籍の部分に関しては、スクリーンも電子書籍にどう取り組んでいくべきか、対応に苦慮しているという印象をうけました。

ただ、今年、電子書籍元年と大騒ぎになっている電子書籍ですが、実際ビジネスモデルとしてはまだまだどうなるかわからない、というのはそうだなぁと。

あと、どこまでを「電子書籍」と考えるのか?という話。

電子書籍の話をすると、かならず音楽や動画をつけたり、インタラクティブなコンテンツが紹介されるのだけど、これがどんどんどんどん進化していくと、それが「電子書籍」なのだろうか?という感じてしまう。

たとえば、むかし「ゲームブック」っていうのがあった。小説なんだけど、細かい段落にわけてあって、読む人が次の行動を選択することによって、読む段落がかわって、結末が変わる。

あれを電子書籍でやったら、もっと面白いだろうなと思う。メディアの特性が活かしやすいし、音楽とか映像をつけたりして…と考えていくと、あれ?それって普通に RPGゲームじゃね?ってなってしまう。別にゲームならゲームでそれでいいんだけど、それなら最初から電子書籍じゃなくてゲームアプリを作ってるんだよな…。

一ユーザーの立場として考えると、私が欲しい電子書籍って、とりあえず、今ある雑誌、小説などの内容がそのまま見られればそれでいいんだよね…。電子書籍だからって過剰なオプションを付ける必要はなくって、それより安くして欲しい。

今、本屋さんでうってる書籍、雑誌が安く、簡単に手元のデバイスで見れたらいいな。と、いうのが大抵の一般人の感覚じゃないだろうか。

あ、あと辞書、学術書とかそういうのが電子化して、検索機能がつくとかいうのはいいよね。そういう、必要な機能としてつくのはわかる。そういう「既存の書籍より電子書籍の方がメリットがある」ものは、多少高くなってもしょうがないよね。

なんだか最近の、電子書籍デバイス、フォマーットの乱立状態を見ていると、ほんとにこの混沌状態から、電子書籍の将来が生まれてくるのだろうかと、先の見えない感があるよなぁ…

2010-05-28

出力の手引き 第14版

世の中はiPadだとかCS5だとかでにぎやかしいですが、まったく別の話題を(笑)

大日本スクリーンの「出力の手引き 14版(PDF)」がリリースされてます。

あわせて出力の手引きWebの方にも、更新情報がUPされてます。

今回はCS5への対応だったり、「PDF運用移行ガイド」が追加されてたりPDF/X-4に関する記述に手が加えられていたりというのが主な修正のようです。

従来のPS/PDF処理から最新PDF処理の違いとか、よりPDFワークフローへの移行を勧める内容という感じかなぁ。


すでに過去の出力の手引きを読み込んでいる方には、今回追加修正された部分を抜粋した「更新情報 抜粋版(PDF)」がお勧め。

f:id:akane_neko:20100528093401j:image

▲赤字が更新部分

これ、今回の更新部分が赤文字で表示されているので、更新追加が一目瞭然。

いままでの版と見比べて「ああ、こういう風に変わったのね」「こういう記述が追加になったんだー」とわかりやすいです。


出力の手引きWebの方を見るとわかるけど、今回の出力の手引きはInDesign CS5を利用して作成されたようです。

もちろん、発売前でしたから、β版でしょう。出力メーカー自ら、出力テストをかねて作成してるんですね…チャレンジャーだな(笑)

ちなみに、いままでの第13版まではFrameMakerでの作成だったらしい。InDesignに変えたことによって、詳細目次などが追加になってます。

並べてみると誌面の見た目もちょっと変わってます。全体的にゆったりして小学校の教科書のような…易しいイメージになった。

これは本文組にヒラギノUDフォントを採用したというあたりも影響してるのかも。UDフォントって、どのフォントもなんとなく空間が広いので、誌面が読みやすい。


大日本スクリーンのTrueflowといえば、圧倒的シェアを誇るワークフローRIPですが(いや、圧倒的かどうか、詳しい数字は知らぬが、私の周りにはTrueflowしかないからという個人的主観で圧倒的)シェアが高い割には、利用者からの評判がいい…というか、ネットでの評価なんかで好意的な意見を書かれる事が多いんだよね。

普通シェアが高くなるとそれなりに敵も増えるというか、叩かれる事も増えると思うんだが、いつもはずばずば百人切り!みたいなDTP系辛口サイトなんかでもTrueflowにはいい評価をしていたり、Trueflow以外のRIPを使っている人がTrueflowがよかったみたいな意見を書いてたりする。

それはTrueflowという製品自体ががんばっているというのはもちろんだけど、それよりも大日本スクリーンがこうやってきちんと情報を広く開示しているという姿勢が好ましく受け止められているというのが大きいんじゃないかな。

出力の手引きという、以前なら門外不出のメーカーノウハウだったような、出力に関する情報をきっちりまとめて公開して(これ、簡単にいうけどまとめるの結構手間ひまかかってると思う)さらに、そこには載り切らないような情報は出力の手引きWebという専用サイトを用意してまで発信し、さらには年に数回の自社開催のトレンドセミナーで(ほんとーーにマニアックな出力の知識について)直接講義までやってしまうという…

どうみても中の人が好きでやってるんですよね?出力が大好きなんですね?!…という、そういう姿勢が好かれてるんだと思う。

普段ちくちくといろんなメーカーの突っ込み探しばかりしているわたくしとて、こういう姿勢のメーカーはいじめにくい。というか「さぁどこからでも切ってくれ!」と言われるとかえって切れない(笑)

世の中には、バグを放置したり、アップデートするとそれまで使えてたものをばっさり切り捨てたり、有料アップデートが頻繁で「お布施かよ!」と揶揄されたり、切られる隙がありまくりのメーカーもあるというのに…。

スクリーンさんにはこれからも、このままの姿勢でがんばってほしいものです。隙を見せると切っちゃいますから。

2009-06-24

スクリーントレンドセミナー2009夏-技術セッション-

スクリーンのトレンドセミナーにいってきましたー。

とりあえず技術セッションのレポートから。

さて、スクリーンのトレンドセミナーといえば、技術セッション。

Trueflowの技術者が、出力技術情報を解説するという、マニアのマニアによるマニアの為の技術解説セミナー。

解説される情報は大変有益ながら、ここまで詳しく知っていてもきっと実務で使う事はないよね…というものすごい隙間をついてくださるセミナーです。

でも、評判いいんだろうなー、だってこのセミナー毎回ほぼ満員だもの。

さてそんなマニアセミナーの詳細レポート。

TrueflowがAdobe PDF Print Engine に対応したのはTrueflow SEをリリースした2年前

2年前といっても、当初は「APPE始めました」といった感じで、まぁAPPEは載っている事に意義がある…的なポジションというかそういう感じだった。

TrueflowのAPPE対応が実用段階に入ってきたなーと感じたのは、OutlinePDF-Advanceが搭載されたTrueflow SEv6.0がリリースされた頃。ちょうど1年前くらい。

実際にPDF運用への問い合わせ、実運用は増えていて、スクリーンはこの2年間で、APPEを使った出力実績、トラブルノウハウを積み重ねてきたらしく


“---Trueflowはこの2年間で多くのことを学びました…!”


と。な、なんかスポコン物みたいです!

今回のセミナーは、この2年間でTrueflowがどう進化したのか、そして今後どう進化していくのかというのがテーマでした。

まず、PDFワークフローで、きちんと印刷できるためにどうするべきか。


(1) データ作成方法を進化

まずは、データの作成方法を変える事から。

PDFワークフローを成功させるには、まずデータを正しく作る必要がある。

この場合の正しく、というのは古いDTP環境での正しい作り方ではなくて、新しいアプリケーションをつかった新しい作り方の事。

データを正しく作る為の情報共有としてスクリーンはTrueflow出力の手引きという形で、出力ノウハウをまとめた情報を公開している。かなりのダウンロード数なのだそうな。

また、出力の手引きWebでは随時出力に関する最新情報、トラブルノウハウなんかをアップしている。

個人的にはこの出力の手引きWebでは、情報の合間にこっそりグレーの文字で書かれた部分が、かなりツボ(笑)

f:id:akane_neko:20090624202331j:image

▲この記事なんかでは、Illustratorの警告ダイアログにつっこみ(笑)“しかも意味がわからない”って(笑)

RSS購読もできます。ぜひ購読してくださいとの事でした。中の人のつっこみがだんだん増えてるような気がするので購読しとくと楽しいかもしれん。

あと、誰もが正しい出力設定で出力できるように、Trueflow印刷ユーティリティも配布してる。

印刷設定ユーティリティは、Trueflowでの出力に最適化されたPDFやPSを書き出すための設定なので、例えばトラブル検証などで、データをスクリーンに送って検証してもらうときでも、この設定を使って作られたPDFやPSなら、どういう風に作られたデータなのかすぐにわかるので、話がはやいんだそうな。

Trueflowの出力に最適化と書いたけど、この設定自体は「出力データ作成用」としては大変素性がよろしいので、Trueflowを使っていない人でも、利用するといいと思う。ただし、トンボがつかないとか、PDFで画像が圧縮されないなどの特徴はあるので、その辺は任意カスタマイズする必要があるけど。

自社で出力設定つくるのがめんどくさいんだけど、お客様に「出力用PDFの作り方を教えて」とか言われてあーっっってなってる印刷会社とか、これ使うといいと思うよ、アプリケーションのバージョンアップにもこまめに対応してくれるし(笑)

こういったすべての情報をスクリーンはWebで公開している。顧客だけに公開といった制限をつけず、すべての人に公開しているのはそれだけ広く情報や知識を広めたいという気持ちからだそうです。そういうところは大いに評価できると思う。

今回セミナー会場で配られたアンケートにも、Trueflow出力の手引きや手引きWebについてどう思いますか、みたいな項目があった。これらの情報の公開についてはスクリーンの中でもその評価を気にしているのかなと。

これだけやっても、反応が薄いとさみしいだろうし、今後「手間ばっかりかかるのに反応がないんじゃ、やめてまえー」という方向にもなりかねないので、アンケートには「すごく参考にしています。今後も期待しとります」と書いておいた。


(2) Trueflowを進化

データの作成方法を進化させると同時に、Trueflowでの処理方法も進化させている。

APPEでトラブルがあった場合、APPE自体は修正できないものらしい。

(APPEってのは、Adobeが出してるAPPEをそのまま使うもので、それ自体をいじったりはできないもの…らしい)

なので、データ出力にトラブルがあったとき、スクリーンはどうしているのかというと


入力処理→APPE→出力処理

この、入力処理の部分でがんばってAPPEに渡す前のデータを解析、修正、調整をかけてエラーを回避できるようにしているのだそうな。

つまりこの入力処理の部分にもてるPDF出力のノウハウというか技術をつぎ込んでるということですね。

入力処理でがんばってエラーを回避している例として

その1

APPEは透明効果をそのまま処理できるRIPなのだけれど、それでもあまりにも複雑な透明領域が大量にあるデータだと処理しきれずメモリ不足でエラーになってしまうことがあった。


これは、必要のない透明をできるだけ使わないようにする事(つまりデータの作り方の工夫)である程度回避できるのだけど、データの作り方を工夫しても、どうしてもエラーになってしまう場合(必要な透明が多数含まれていて、それ以上減らせない場合)は、事前にデータを透明分割統合して処理するしかないというAPPEとしては屈辱的な回避策しかなかった

そこでスクリーンはがんばって、このエラーを回避できるパッチをリリース

Error during transparency atomic region processingってエラーに悩まされている人は、ご利用ください。

その2

ドロップシャドウのかかったデータから書き出されたPDFで色味がかわってしまう問題

これ、前のトレンドセミナーでも説明してたトラブルですね。

透明の変換用カラースペース設定が間違っている状態でPDFを作成すると、色の差が目立つ結果になります。

前回はこれをAcrobatを使って手動で調整するというやり方を説明してましたが、これもがんばって、RIP側で自動調整するパッチをリリースしました。


このように、TrueflowはRIP内部の処理を進化させることによって、データ出力トラブルに対応している

ただし、RIP側で対応してくれるからといって、正しくデータを作る事が重要であることには変わりない。

Trueflowで修正するからといっても、あまりに複雑なデータの場合は修正しきれない事もある。

また、RGBワークフローじゃないからと、カラー設定等をおろそかにする人もいるけど、CMYKワークフローであってもカラー変換設定が影響を与えることがあるので、正しく設定してほしい。

RIPががんばってるからっていって、データ作成をおろそかにしちゃだめですよー


(3) DTPベンダと連携

DTPベンダとも連携してやってます。

アプリケーションの絡む不具合について、Adobe社と情報を共有し、解決できていない問題については、両社で発生条件と回避策を公表してます。

たとえば、

『InDesignで設定した「効果」がPDFで抜けてしまう問題について』

スクリーンが公開

Adobeが公開

とか

『合成フォントが、環境によって違う出力になる問題について』

スクリーンが公開

Adobeが公開

とか

どちらも、Adobeとスクリーンで同じ情報を公開しています。

いずれもまだ解決できていない問題ですが、トラブル情報はその情報を知っている事で回避できる。まず情報があるという事が大事と考え、トラブル発生条件と回避策を公開しています。

もちろんメーカーとして、不具合解消に向け対策を検討中です。


それもこれも、データを正しく出力するため、RIPは刷れてナンボの世界だからです!(この表現すきだよね…)


つぎにPDFに関する情報について

まずPDF/X-4の説明。

PDF/X-4は印刷用PDFの規格。

PDF/X-4から、「透明」が許可され、レイヤーがつくようになった。

これによって、透明効果をRIPで処理することができ、品質の向上が期待できる。また本格的なRGB運用も可能となった。

透明を保持するためには、アプリケーションから直接(透明の分割統合せず)PDFを作成する必要がある。

EPSファイルは不可。PostScritpは透明を保持できないので。ネイティブファイル形式で運用しましょう。

RGBワークフローではICCプロファイルの保持が必要。これもEPSでは含まれないので、JPEGやPhotoshopネイティブデータでの運用になる。

PDFワークフローへの移行が進み、PostScriptの出てこないワークフローへとかわりつつある。

この辺りは、いままでのトレンドセミナーでも何度も説明された部分なので、今回は軽めの説明。

今回の本題はここから。まだ認定されていない規格「PDF/VT」について

PDF/VTとは、バリアブル印刷用の国際規格

VTは「Variable Transactional」の略

この規格はまだ制定中であり、正式決定されたものではない。

バリアブル印刷とは、印刷物の一部が変更されつつ印刷する印刷のこと。

バリアブル印刷に利用するデータには、再利用される(繰り返し印刷される)オブジェクトと可変(差し替えられる)のオブジェクトが存在する。オブジェクトを差し替えつつ印刷する、ということは、通常より高速なRIP処理が求められるという事。

つまり、1万パターンの差し替え印刷があったとして、それを1万パターン全部1からRIPしてたら時間がかかってしょうがないから、いかに高速にRIPできるか、再利用するオブジェクトと、1回きりのオブジェクトとをうまく処理する為の規格です。

バリアブル印刷の例として、最近では卒業アルバムなどをバリアブルにする、という例があげられてました。我が子ばっかりが写っている卒業アルバム、などだそうです。なるほど。


PDF/VTはISO 16612-1 (PPML/VDX)を元に制定されている。

ISO 16612-1 はPDFを基本として作られた規格なのだけど、ツール対応がいまいちで、あまり普及しなかったし、透明にも対応してなかった。

その反省を基に、新たに制定されつつあるのがISO 16612-2のPDF/VT。

PDF/X-4、X-5をベースにしているので、既存のワークフローでもPDF/VTを処理することはできる。ただし、PDF/VTのメリットを活かすためには、専用のワークフローが必要になる。

さて、そのPDF/VTの特徴。

まず、どのようにして効率の良いバリアブル印刷に対応しているのか。

PDFにはXObjectという概念がある。

XObjectとは外部オブジェクトという考え方。

PDF内で使われる部品を分割して記述してある。

PDF/VTではそのXObjectを有効につかって高速化に役立てようとしている。


XObjectには3種類ある

・Image XObject 画像専用のXObject

・Form XObject 画像以外の通常のオブジェクトの記述

・PostScript XObject これはもう使われていないオブジェクトなので気にしなくていい。

んで、XObject=外部オブジェクト概念なのだけど、つまり、いままでのPDFだとPDFの中のオブジェクトを表示するのに、普通はコンテンツをひとつひとつ全部なめて表示していた。んで、これをXObjectでやると、オブジェクトは画像と画像以外に分けられて、それぞれXObjectとして記述し、それにたいしてDo~って感じで「これを表示しなさい」って命令するだけで表示することができる。

つまり繰り返しでてくるオブジェクトを何回も何回もなめ直さなくていいってことかな。だから効率がいい。

さらにPDF/VTでは外部オブジェクトの参照が許可されている。

参照XObject(Reference XObject)っていって、これはPDF/X-5から許可されている。

(PDFの構造としてはPDF/X-5以前からあったものだけど、PDF/X-4までの規格では許可されてなかった)

外部オブジェクトの参照は、印刷関係の人ならOPIみたいなものだと思えば理解しやすい。つまり、フォームの中から、外部のPDFファイルをファイル名によって参照して読み込むことができる。

外部オブジェクトの参照はAcrobatでは9からサポートされている。

ファイル名による参照のみ、つまりパスではないので、参照させる場所を設定する必要がある。Acrobat9では環境設定→ページ表示→参照XObject表示モードというのがその設定になる。

XObjectは、PDF/VTのみではなく、既存のPDF内でも普通につかわれているらしく、トラブル事例紹介で紹介された、合成フォントの例の文字の透明効果の処理においても、1文字ずつで背景画像をクリップする部分の背景画像の繰り返し処理などに利用されてるそう


PDF/VTの特徴、もう一つ。

階層構造のDPartによる、ページ選択、順序変更。

従来のPDFではページ順による印刷しかなかったがPDF/VTでは、属性順(たとえば、郵便番号、氏名、住所などのキーによるソート)での印刷指定が可能。

これは、DPartという階層構造の属性データベースをPDF内部に持たせる事で、ソートが可能になっている。


PDF/VTにはいくつかのバリエーションも用意されている

PDF/VT-1はPDF/X-4がベースで1ファイルで完結する(外部参照しない)が、PDF/VT-2は、PDF/X-4p、PDF/X-5g、PDF/X-5pgがベース。

pはICCプロファイル、gはグラフィックの外部参照をそれぞれ指す。外部参照することで、1ファイルでは完結しないPDFとなった。

さらにPDF/VT-2sではストリーミングに対応。データを送信しながら出力できる。

バリアブル印刷では、可変が多ければ多いほど、出力データが大量になるので、その対処として送りながら処理する事のできる仕組み。

これらPDF/VTの規格はいずれもまだドラフトレベルであり、実際にどこまでが規格として確定されるかは未定。

バリアブル印刷風のデモとして、InDesignのデータ結合パレットを使った流し込みデモをやっていました。

InDesignのデータ結合パレットでバリアブルができるよ!というデモではなくあくまでイメージということですが。

InDesignのデータ結合パレット、CS4からは結合後にドキュメントじゃなくて、直接PDFを書き出せるんですね。ドキュメントを作らなくてよいというのは、不必要なデータを作らなくていいので、よろしい。

ただし、個人的にはInDesignのデータ結合パレットは、もうちょっと進化するべきだと思う。せめて文字の長体処理ぐらいはオプションでできるようにしないと使い物にならない。

さて、最後にTrueflow v7について。

Trueflow v7。9月末〜10月に発売予定。

演算系の進化として、drupa2008で発表された、Adobe PDF Print Engine2に対応。

APPE2、大きな特徴はバリアブル印刷を想定したエンジンであるという事。PDF/VTに対応してます。

Trueflow v7ではこのAPPE2対応、エンジンのバージョンアップというのが大きなトピックではあり、新機能搭載!とリリース時に大々的にうたわれる部分であるのだけど、それと同時に、メジャーバージョンアップというのは、RIPの不具合修正をするチャンスでもある。バグ修正をバージョンアップでするなというけれども、不具合に対する小手先ではない抜本的な対策を行える機会であり、今回もそういった修正がなされている。

それと同時に、従来からの互換性というのも非常に大事!Trueflow v7のリリースにあたっては、プレリリースから1年半この互換性維持に費やしたといってもいい。

具体的には、抜本的な不具合修正として

・グラデーション、ストロークなどの品質向上

・安定性の向上、アーキテクチャに依存する部分の問題修正

・出力できなかったものを出力可能にする対応(メモリ管理などの見直し)

・パフォーマンスの向上(ちょっっとだけ出力早くなったらしい。だけど期待しちゃだめで(笑)ちょっとだけだそうな)

が行われている。

そして、なによりも力をいれたのは互換性の部分だそうで、デグレード=0を目指してがんばりました!と。

デグレードっていうのは、バージョンアップによって従来できてたことができなくなる事。これが0になるように。つまり従来のTrueflowでできていたことが、バージョンアップによってできなくなることのないように、従来の出力品質を保証したアップデートをがんばりました!

APPE2搭載っていうのは、実は他のメーカーですでに搭載しているRIPもあり、Trueflowは若干遅れを取っているのだけど、そのかわりTrueflowは他メーカーではできていないデグレード0を目指した。と言う事のようです。

印刷は刷れてナンボですから!(ほんっっとにこの表現すきですよね…!)


と、今回も力強く技術セッションは終了したのでした。

今回の目玉はPDF/VTの話かな。

バリアブル印刷っていうのは今どのメーカーさんも「これからはバリアブルっす!」と鼻息荒くすすめている部分ではある。

でも、実際そうはいってもバリアブルにできる業務ってなかなかないし、あったとしても品質的な部分でいろいろ障害があったりと難しいんだよね。

ただ、品質的な部分というのは、出力機やRIPの進化によってカバーされていくだろうから、あとはバリアブルをうまくつかった業務が創りだせるかになるか。そこが一番難しいのだけど。