金まみれオリンピックの陰で

 僧侶、鉄道員。五輪出場者に変わり種の選手がいる。カヤックシングルのの矢沢一輝(27)は善光寺の僧侶で日の出とともに起き午後3時まで5回の祈祷にあたる。。それから艇庫のある犀川へ。練習は1時間半。五輪後の生活に備えて、長野県カヌー協会会長の善光寺近くの寺の住職の勧めで仏門に入った。
 セーリング470級の今村公彦(32)はJR九州の社員、在来線の運転歴約1年、24時間勤務明けで海にでるのはきつく、五輪強化選手になった機会に退社を覚悟で、思い切って競技に専念したいと会社に申し出た。結果は、JRに籍をおきながらコンサルティング会社の資金的支援を受けて、望みは叶えられた。
 笹川スポーツ財団の調査では、遠征費など選手の年間負担は206〜250万円、仕事優先や金銭的問題から引退するケースも多いという。1964年の東京五輪を契機に選手を育てて広告効果を狙う企業が増えたが、90年代のバブル崩壊後企業スポーツは縮小し、現在は大会に協賛金を支出しスポーツ振興と広告効果を図る企業が主流だそうだ。選手個人の努力で問題解決を図る上記のような例や、ネット上の寄付で活動費を賄うケースもでてきているという。いずれにしろ、スポーツへの情熱の賜物だ。(以上は5月17日朝日新聞紙上から)
 一方で、オリンピックは回を重ねる毎に商業化し、今や金まみれの感。五輪招致にコンサルタント会社のロビイストの介在は常識のようだ。2020年東京五輪招致で、五輪招致委員会が2.3億円のコンサルタント会社への支払いが明るみにでた。その金は、五輪開催の票をまとめる筋に流れたとする疑いが報じられているが、相手方の実態はすでに消えている由で、追跡は難しいようだ。
 億の金が煙と消えても問題にならない一方で、上記のようなアスリートの実態があるのはどうも合点のいかないことだ。