読売新聞ニュースより

育児放棄エスカレート、3月頃からか…2児死亡
 大阪市西区南堀江のマンションの一室で男女2人の幼児の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された母親の風俗店従業員・下村早苗容疑者(23)の部屋から聞こえた子供の泣き声は、今年3月頃から激しくなっていたことが、複数の住民の証言でわかった。


 府警は、下村容疑者がこの頃から子供を置き去りにして頻繁に外出するようになり、ネグレクト(育児放棄)をエスカレートさせたとみている。府警は31日午前、マンションの現場検証を始めた。

 住民らによると、下村容疑者は今年1月、長女の桜子ちゃん(3)、長男の楓(かえで)ちゃん(1)を連れて、勤務先の風俗店が借りていたこの部屋に入居した。

 2人の泣き声はその頃から聞こえていたが、当初は夜間や未明が中心で、下村容疑者が2人を部屋に残して仕事に出かけていたとみられる。しかし、3月以降は、昼夜問わず泣き声が聞こえるようになった。時には、インターホン越しに長時間にわたり、「ママー、ママー」と、下村容疑者を捜すような叫び声が部屋の中から響いていたという。

 下村容疑者は調べに対し、「1月に入居した頃から、子供の世話が嫌になった。自分の時間がほしかった」と供述しており、府警は、下村容疑者が今春以降、子供を放置して家を空ける時間が長くなり、2人が徐々に衰弱していったと判断。ネグレクトするようになったきっかけを追及する。

(2010年7月31日15時14分 読売新聞)

多くの人が心を痛めたであろうこのニュース。もちろん一番悪いのは母親だが、元夫や、子どもの祖父母にも相応の責任があったのではないだろうか。まず、元夫がきちんと養育費を送っていたのかをチェックすべきだろう。母親が働きに出ざるを得ないほど困窮していたとすれば、さらに2人の子どもの面倒まで見られるわけがない。
祖父母にしても、もし同居が無理なのであれば、せめて金を送るくらいのことはすべきではないのか。23歳の娘が働きながらたった一人で2人の乳呑み児を育てられると思っていたのだろうか。ただたまに会って可愛がるだけならラクだろうが、それなりの責任を負うべきではなかったか。
子どもたちの冥福を祈る。

リージョンの時代と島の自治

中央大学の研究叢書の一冊で、バルト海に浮かぶオーランドと沖縄とを比較研究したもの。オーランドという島は知らなかった。人口3万足らず。フィンランド領だが言語は基本的にスウェーデン語、6000以上の群島からなり、自治が発達している。
リージョンの時代と島の自治―バルト海オーランド島と東シナ海沖縄島の比較研究 (中央大学学術シンポジウム研究叢書)

資本開国論

資本面での「開国」を主張する野口悠紀雄氏の著作。賛成できるところとできないところがある。金融緩和によって家計から企業に大量の所得移転(200兆円)が起きたことや、法人税を減税しても企業の競争力強化にはならない点については、まったくその通りだ。消費税を上げて法人税を下げるなど、まさに狂気の沙汰だろう。
だが、脱工業化を無条件に称揚し、イギリスやアイルランドの国のあり方を目標とするのはどうだろうか。この本のあとにサブプライム危機が起こり、アイルランドが大変な状況に陥ったのは周知の通り。金融業などを基幹産業にすることは、累卵の危うきに似ていると私は思う。
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略