akehyon-diary

2011-11-11

[]恥さらし

副題に「北海道警 悪徳刑事の告白とあるのは間違いではない。本書の著者の稲葉氏は、覚せい剤を打って逮捕された「悪徳刑事」である。しかし、同情の余地もないわけではない。それはひとえに、警官たちのインセンティブが歪んでいるところにある。例えば、拳銃を摘発すると、表彰され、上司は喜び、捜査費が増える。通常の捜査費は、幹部が飲み食い等に使い込んでいて、下には回らない(この一事をもってしても、いかに警察の幹部が腐敗しているかわかるというものだ)。著者は、ヤクザやアウトローと「深く」付き合うことで、好きな時に「やらせ」拳銃を摘発し、なんども表彰されている。その「深く付き合う」過程で、薬物販売に手をだし、自分でも打つようになってしまうのだ。

面白い場面を一つ。空き巣の110番通報で駆けつけた警官たちが、「俺のだ、俺のだ」と犯人を奪い合う。なぜなら、点数になるから。結果的に「みんなで点数を分けあった」(p.40)。

 本筋とは全く関係ないのだが、著者は警官になってすぐ(23歳くらいか?)結婚している。「警察官の結婚は早い」そうだが、世間一般では晩婚化が進んでいる中、今でもそうなのだろうか?それとも警察も、世間の晩婚化・未婚化の波に飲まれつつあるのだろうか?

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白

[]「壁と卵」の現代中国

著者は中国経済が専門の神戸大学准教授で、ネット上では梶ピエール(id:kaikaji)として知られている。本書のタイトルは当然、村上春樹の有名な、エルサレム賞受賞スピーチから取られている。専門上経済の話が主で、教科書で習ったような経済理論が中国経済に応用されているのだが、それにとどまらず、民族問題や、集団心理の問題などにも踏み込んでいる。

学ぶところは多いのだが、特に第8章で、現代日本人中国観を、(1)「脱亜論」的中国批判、(2)実利的日中友好論、(3)「新中国」との友好論、の3類型に分けているところに感心した。日中蜜月時代までは、(2)と(3)が組んでいるところに、(1)が反共思想で対抗する、という構図だったものが、冷戦集結・天安門事件以降は、(3)が(1)寄りに立場を変えて、中国内の格差や貧困を批判、(2)が孤立するという形に変わったとするのである

「壁と卵」の現代中国論: リスク社会化する超大国とどう向き合うか

kaikajikaikaji 2011/11/14 23:44 はじめまして。拙著を取り上げていただきありがとうございます。日中関係に関する章はやはり多くの方に関心を持っていただいているようです。とても充実したブログを運営されているようで、頭が下がります。これからも参考にさせていただきますので、よろしくお願いします。

akehyonakehyon 2011/11/15 00:52 はじめまして、いらっしゃいませ。よい本を読ませていただいてありがとうございます。このブログはほぼ書評しかないですが、気軽にお立ち寄りください。