深呼吸する言葉・叫ぶように
本当に大切なことはなかなか口にはできない。
そうすべきだと解ってはいても、
面映さとその言葉の重さがぶら下がる。
言うべき時には叫ぶように。
心の奥底から。
深呼吸する言葉・あなたの温度
不意に電話をかけてくる。
お互いの存在を確認するためだけの、何気ない話題の、電話の向こうにあなたの温度を感じる。
そしてわたしたちは温かさに安心して眠るのだ。
深呼吸する言葉・優しさ
あなたの優しさに慣れ過ぎて
少し甘えすぎたみたい。
謝りたいな。
すぐに。
それも甘えなんだけど。
深呼吸する言葉・音楽祭
約束していた音楽祭に髪を結んで現れたあなた。
髪を結んだ姿を人目にさらす訓練と。
訓練はかまわないんだけど
相手がわたしでよかったの?
深呼吸する言葉・髪を染めて
明日はあなたに会うから
髪を染めておこうと思って。
でも染料の臭いがわかるのがいやで
必要のないシャンプーを3回もしてしまった。
深呼吸する言葉・きっぱりと、五月。
五月が来た。
朔日は次男を産んだ日。
大切な人の誕生日もたくさんある。
太陽は潔い。
きっぱりと、夏の入り口を指すように
五月が来た。
深呼吸する言葉・「いや、いいんだ。」
珍しく風邪声なのが心配で
お見舞いに花束の写真の葉書を送った。
やはり気になって
5分だけ電話しようと思った。
切ろうとすると
「いや、いいんだ。」って、なんども。
つい、長電話。