仕事を整理してみる

港区はうす曇り。夜間雨が降ったので地面がぬれています。

  • 登記完了まで6日
  • ドメイン取得待ち
  • 会社角印注文
  • 集合住宅の管理者の方に自宅を事務所兼用とすることの報告
  • 髪を切る
  • サーバを稼動させる準備
  • 事務用品の調達(電話、FAX)

昨日と違うのは、会社銀行印を注文したこと。印鑑は選ぶのが無理と言っていましたが、無理やり決めました。

法人銀行印を注文

ぼくが決めたのは、これ
印鑑作成 川上印房:一級技能士による手彫り仕上げで作成
16.5mmの黒水牛で13,600円。これで納得、注文。
ぼくの考えていた条件というのは、こういったものでした。

  • 素材は柘植(つげ)
  • 書体は印相体
  • 10,000円以上
  • 丈夫で壊れにくく、あまり高くないもの
  • 小規模な(あるいは個人的な)経営の手彫り(あるいは手彫り仕上げ)

この条件に合致するお店は多いです。10,000円以上という条件で大規模な経営の店はほぼ除外されます。この条件を通過したお店のなかで、「あまり高くないもの」というのが達成困難な条件となります。とくに高価な設定のお店だと、そのなかで最安値な柘植(つげ)で50,000円を超えます。これは「あまり高くないもの」とはいえないでしょう。高価品です。
それで、「川上印房」さんでは柘植と黒水牛が同じ価格だった。13,600円。「丈夫で壊れにくく」という条件を考えて、黒水牛を選びました。

梅田望夫『ウェブ進化論』を読んで

港区は急に雲が多くなってきたようです。雨ですね。
[なぜぼくが合同会社を作ったのか]エントリのつづき。
ぼくが翻訳をやる会社を作ろうときめたきっかけはいくつかある。だが『ウェブ進化論』ほど決定的だった別のきっかけは、思い出せない。
ウェブ進化論』を知ったのはいつだったろう。たぶん、ぼくが渋谷に毎日行っていたころで、どちらかといえば寒い時期だった。ごく短い期間だったが、1日1冊くらいのペースで新書を買いあさっていた。自分のものさしを見つけようとしていたのだと思う。いま、自分の進んでいく道がひとつへと定まっていき、それ以外の道は自然と遠のいていくだろうという予感があった。だから必死だった。『ウェブ進化論』と出会ったのは、必然だったと思っている。
なによりも『ウェブ進化論』を読んで感じられたのが、「言葉を選んで語ったときの伝播力の強さ」だ。言わなくてもわかるよね、というような暗黙了解事項にも光を当てようとする筆者の意図、それは新鮮な驚きだった。梅田望夫さんの文章を読んで、とっさにぼくは村上春樹さんの文章を思い出した。そしてこう思った。「この本はもういちど読み返すことになるだろう」
内容はAmazon.co.jpのカスタマーレビューを読んでいただければと思う。ぼくがなによりも強く動かされたのは、人になにかを伝えようという意思は世界を変えるということだ。「どうせわかってもらえない」「なんでそんなこともわからないんだ、もう」「オレがいくらがんばってみても、変わらないんだろうな」などという思いをどこか抱いている自分がいた。でもそれは違うということに気づいた。自分もこのまま生きていけば、「わかってくれない年寄り」の仲間入りだ。自分がどれだけ努力しても、年をとることを止めることはできない。若い人たちを苦々しく思うときが来るだろう。だが、それは「このまま」生きていったときの話だ。「このまま」でなければ、おもしろいことを「おもしろい」と言える年長者になれるかもしれない。そうすれば、いまここでくすぶっている自分は、救われるのではないか。「ああ、あのとき苦しんだことは、無駄じゃなかったんだ」と。

「9月11日という日が自分の前半生と後半生を分ける分岐点となるに違いない」と予感した。それを聞いたある友人から「君は珍しいモノの考え方をするねぇ」と半ば揶揄のこもったコメントをもらった。
確かに考えてみると「大きな環境変化が起きたときに、真っ先に自分が変化しなければ淘汰される」という「シリコンバレーの掟」に、私は知らず知らずのうちに強く影響されていたのだろう。その段階ではまだイラクでの戦争は起きていなかったし、9月11日という日を境に世界がどれほど大きく変わるのかはまだよくわからない状況にあった。
でも「前半生と後半生の区切りだ」くらいの構えで新しい自分を構築していく決意を持った方が、これまでの生き方に固執するよりも「リスクが小さい」と、私は確信していた。本質的変化に関する一つ一つの直感を大切に、「時間の使い方の優先順位」を無理しても変えてしまうことで、新しい自分を模索していきたいと思った。そして「自分(1960年生まれ)より年上の人と過ごす時間をできるだけ減らし、自分より年下の人、それも1970年以降に生まれた若い人たちと過ごす時間を積極的に作ることで次代の萌芽を考えていきたい」と思う気持ちが強まり、その原則に従って生きることにした。

ぼくの世代でネットベンチャーで働くとか、自分で企業を興すだとか、そういったことは珍しくない。だからそのことについては、梅田さんの文章を読まなくても肯定的にとらえていただろう。だが話は違う。ぼくは大学という、より大きく、より確かで、より世代を越えて認知された場所での経験を積み重ねていた。「このままがんばっていけば、ずっとこの大学にいられるはずだ」などと考えていた。その頑固な自意識は、ほとんど誰にも切り崩せないようなものだった。だが、それはぼくより19歳年上の梅田望夫さんによって、簡単に切り崩された。驚くほどあっけない、爽快な事件だった。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

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