グーグルの元アーキテクトがモバイル・アプリ向け位置情報APIを開設

グーグルの位置情報プラットフォームでリード・アーキテクトを務めたサム・リャンはモバイル・アプリ向けAPIを開設した。開発者はこのAPIを利用してユーザの位置情報を高精度で検出することができる。今回のリリースの意味は、次世代検索の創出へ向けた一歩とみられる。
昨年リャンの運営するアロハ・モバイル(アリババの子会社)は「プレース・アス」というアプリを開設し、リアルタイムで友人や家族の位置情報を追跡できる機能を打ち出した。このアプリではバックグラウンドで位置情報の追跡が行なわれ、従来のようなISPやGPSといった基礎データから脱却し、ユーザの位置から、動き、WiFiデータ、気温、明度、気圧にいたるデータを生かして精度の高い位置情報を集める。
「わたしたちはまず自社のためにこの技術を構築しました。すなわち、テクノロジの仕組みを把握したうえで、多くの人の役に立つかどうかを探っていくということです」とリャンは言う。そこで今回、位置情報追跡APIをプレース・アスだけでなくモバイル・アプリ全般に公開となった。
このAPIは単に位置情報だけでなく、それに付随するコンシューマの情報を収集する。リャンがプレース・アスで発見したのは、多くの人が毎日決まった道のりを移動していることだった。あるいはジムへ行くのか、あるいは職場に行くのか、あるいは帰り道で店で買い物するのか、はたまた火曜日にかぎって、木曜日にかぎって通る道なのか、詳細に情報が吸い上げられてくる。そのとき通った道が偶然なのか、月に一度の読書クラブ通いなのか、といったことまで判断される。アプリではこのデータをつかって、あなたの日々の行動をほとんど把握できるようになるだろう。
こうして出来上がった行動範囲マップが、アロハのAPIを高精度の位置情報に重点化することに貢献する。仮にあなたがスターバックスコストコの両方入ったショッピングモールに出かけたら、アロハはあなたが普段午後3時にコーヒーを買っているという事実にもとづいて、どちらの店舗にあなたがいるのか判断できる。
こういった仮説はあなたの携帯電話の挙動をもとに検証されることになる。仮にアロハのAPIが、あなたが店舗のなかでじっと立っているのなら、スターバックスでコーヒーができるのを待っているのだろう。たぶん、コストコでスペアリブを探して歩いているのではない。さらに多くのデータが集まれば、結果の精度は高まる。そしてあなたの携帯電話のバックグラウンドで動作するアロハのテクノロジを通じてデータが集まれば、それだけあなたのことがよく理解でき、これからどうしたいのか先回りして動くこともできる。
モバイルによる行動の検知というと、なんだかオーウェルの小説みたいだが、その度合いを調整することによってコンシューマの利益にもつながる。
たとえば、あなたがよく通る道が本人確認のツールとして機能する。なぜなら、仮に誰かがあなたの携帯電話を盗んでスケジュールとは異なった行動をとれば、携帯電話は動作ロックし、ロック解除には詳細な手順を踏まなければできなくなる。
あなたのよく通る道を追跡するアプリはそれと同時にあなたのためにおススメ商品や優待割引、あるいは過去の行き先に応じた提案を示すことも可能になる。時間帯、天気によって最適化するわけだ。
ディヴェロッパにとっては、このテクノロジを活用することで、的確にパーソナライズされた利用環境を構築することが可能になる。続きを読む
(From the VentureBeat blog post. Thanks to Ruth Reader.)