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akira’s room 別館

2017年09月05日 暴力に「教育」なんて名前つけないでよね。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

こんにちは。管理人のakiraです。
このブログ書かなくなって久しいので、どう書き出していたか忘れてしまいました。

この記事のテーマは日野皓正氏の体罰問題についてです。
本館の方ではなく、あえてこちらに書くことにしました。いわゆる社会問題なので。

休みの日でめずらしくTVを見ていたら、あの動画が流れてきて・・・。
何があった?しかもよりによって世田谷区(あの保坂さんが区長をしている)?って感じで。

私が最初にtwitterで呟いたのは


というもの。
(動画を見返したら「なんだその顔は!」って言ったのは、直前ではなくて直後でした。訂正します)

その後も色々つぶやきましたが、当初の「反抗されてムカついたから手が出たんだろう」という感想は変わっておりません。いや、むしろ強まっております。


DVや虐待との類似点



私の、このつぶやきに対する反論や批判も来ています。
曰く「虐待やDVと同一視するな」と

親密な関係の中で、力の不均衡の元、権力を持った者がもう一方に(単発ではない)暴力を振るう。目的は相手にいうことをきかせるというところが、この件と虐待やDVとの類似点だと私は考えました。

以下、説明を試みます。


日野氏の言動
日野氏がインタビューを受けてコメントを出しました。
その動画がこちら
https://www.youtube.com/watch?v=i6Yh4pxfXTc
同内容のニュース記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170901-00000105-dal-ent

動画の最初に
「嘘だよ〜。軽く触っただけ」とヘラヘラ笑いを浮かべる日野氏にドン引きしたのは置いといて。

「俺とあいつは、父親と息子なわけ。他の生徒には絶対に手を上げない」とした上で、「ヤツの心を立て直してやらなきゃという思いがある。だから、これからもやるよ。ビンタもね、アントニオ猪木の方が数段痛いと思うよ」と、愛情を持った教育の一環であることを強調した。

デイリースポーツより引用

「これからもやるよ」と言っていますし、他の報道(http://news.livedoor.com/article/detail/13552675/)では、練習中にも、かの中学生に手をあげることが、あったとのこと(やはり今回だけではなかった)。

日野氏はドラマー君との関係は「父と子」のような特別な関係であるといい、他の生徒は叩かない、彼がいうことをきかなかったから叩いた。これは愛情であり教育だと自分の行為を正当化しています。そして、当初は叩いてない、ちょっと触っただけと事実の矮小化さえ行っています。

DVや虐待加害者の言動をよく知っている人なら、皆声を揃えて「そっくりじゃん」というはずです。


力の不均衡
こう言った暴力が行われる背景には、まず前提として「力の不均衡」があります。
親>子 男>女 教師>生徒 師匠>弟子 など、暴力は強者から弱者へです。(例外もありますけどね)

この「力」というのは、単に体の大きさや腕力だけでなく権力の差も含みます。


この暴力に「教育」だと名付けたのは誰?
いうまでもなく、暴力を振るった日野氏(と、それに同調する人たち)ですね。

その昔、ミシェル・フーコーという人が、「権力とは状況の定義権である」ということを言いました。
私がこの言葉を知ったのは信田さよ子さんの講演会ですが、信田さん曰く、殴る行為そのものが権力ではなく、それを暴力と呼ぶことを禁じ「しつけ」「愛の鞭」「教育」と定義すること自体が権力であると言っています。

今回の場合、日野氏は彼の父として振る舞い、バンドの指導者であるという、この場での最高権力者でもあったわけです。その人が「これは教育である」と状況を定義したのですから、この状況を「暴力である」と定義し直す力はドラマー君にはないのです。

以上、私がこの状況を虐待やDVと同じだと思った理由です。


バックラッシュ?

虐待にしても体罰問題にしても、あって当たり前だった強者(権力者)から弱者への暴力を、「しつけ」や「愛の鞭」ではなく「児童虐待」「DV」「暴力」と名付けることにより「理由があっても、暴力は行なってはいけませんよ」ということができるようになりました。
日本がそういう国になってから、まだ20年かそこらです。

ここで、また20年前に戻ろうというのでしょうか?
理由があれば暴力を振るっても良いという時代に戻りますか?


この暴力の教育的価値

叩かれた子どもも納得し反省ているし、教育的価値はあったというふうに思う人もいるでしょう。

でも、本当にこの件が教育的であったとしたら
「僕は悪いことをしました。皆に迷惑をかけて、嫌な思いをさせてしまってごめんなさい。でも、誰も僕に暴力を振るっていい人はいません。そして僕も暴力は振るいません」
となったのでしょうね。

一般的に被害者側が暴力を容認することは多々あります。
今回の件でも「昔はもっとひどかった」「悪いことをすれば殴られて当然。自分も殴られた」という声が大きいでしょ。

ドラマー君が暴力を肯定する人にならないことを願うばかりです。


あまりまとまらないけれど、そろそろ日常に戻る時間です。
では、また。

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2015年10月02日 ピンクリボン このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

放置しまくりですみません。
本館は細々と続けています。

本館で書いたエントリ
「ピンクリボン」
http://akiras-room.seesaa.net/article/427116535.html

9年前に乳がんで亡くなった絵門さんのこと。

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2014年01月22日 「明日、ママがいない」 まとまらないまとめ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

あまり気は進まなかったんだけど「明日、ママがいない」第1話を、放送の翌日にGyaOで観てみた。
ここ1週間、そのことばかりTwitterでつぶやいていたんだけど、きりがないからエントリにしようと思う。
(なんと8ヶ月ぶりの更新w)


このドラマに対する様々な意見がある。大別すると以下のようなもの。

ドラマの内容に対する異議
・あだ名が差別的。
・預けられている子どもたちは、虐待や遺棄された子どもたちばかりのような印象を与える。
・(職員の言動も含め)養護施設が誤解され偏見が強まる。
・今、実際に社会的養護を受けている子どもたちが傷つく。
・ドラマを見た人(特に子ども)たちからの、養護施設にいる子どもへのいじめを助長する。
・養護施設の職員や里親が萎縮する。
・子どもを預けている親が偏見に晒される。

ドラマの内容に賛同
・フィクションだと思ってみている。あれを本当だと思う人はいない。
・見て傷つくなら、見なければいい。
・放映中止を求めることは表現規制に繋がる。
・親が子どもと一緒に見て、本当のことを教えればいい。
・あの時間のドラマを子どもが見ている事が問題。
・子どもが、いじめをするのはドラマのせいではなく、親や学校の責任。
・実際に施設内虐待は起きている。
・児童養護の関係者がドラマに異を唱えるのは、自分たちを正当化するため。
・子どもたちが可愛そう。捨てる親が悪い。
・子どもたちの悲惨な状況が分かるから続けて欲しい。
・養護施設を考えるきっかけになる。
・子どもを大切にしようと思えた。
・感動した。泣いた。よいドラマだ。(大多数)
・おもしろかった。次回が楽しみだ。放映を続けてほしい(大多数)




40年以上も前のこと、私は母親から捨てられた。

とはいっても、それは養護施設ではなく、母方の祖母の家に置き去りにされたのだけれど。
(いきさつは別ブログのエントリ→ 「ネグレクト(1)」
http://blogs.dion.ne.jp/akiras_room/archives/3618071.html

母が出て行った後、1週間ぐらい布団にくるまって泣いていた私に、祖母が言った「そんなだから、捨てられるんだ」って言葉。
今でこそ、「殺さないでくれて、ありがとう」「捨ててくれて、ありがとう」と笑って言えるようになったけど、そこまでたどり着くのに25年もかかってしまった。

かのドラマの感想には「ポストって名前は、本人が望んでつけた名前で蔑称ではない。捨てられたんじゃない、自分が捨てたんだという思いがこもっている(大意)」みたいな意見が散見される。

ドラマの中で、主演の少女がそういう台詞を言ってたし。
でもね、9歳の子にそう言わせたいのは脚本家だってこと。
簡単に言うなよと思う。
どれほど酷い扱いを受けても、自分から捨てるのは容易ではないよ。
「捨てたいけど捨てきれない」そういう葛藤を抱えている子どもも多いだろう。


「関心を持って貰うきっかけになればいい」という意見もあるけれど、私はそうは思わない。
今、社会的養護を受けている子どもたちは、そこに至った事情も様々で、ドラマのイントロダクション(http://www.ntv.co.jp/ashitamama/introduction/index.html)に書かれているような、虐待を受けた子どもばかりではない。傷つけないために、生きていくために泣くなく子どもを手放した親もいる。

制作側の誤解に基づいて作ったドラマを見て「可愛そうな子どもがいる」と分かった気になっているだけ。
「感動した」で終わらせないで、きちんと調べたり本を読む人がどれぐらいいるだろう。ドラマが終わっても関心を持ち続ける人がどれぐらいいるのだろう。


ドラマを視聴した直後の、このツイートを沢山の方が読んでくださったようだ。



一時の関心はすぐに忘れ去られてしまう。だけど、植え付けられた偏見は、ずっとずっと影響し続けてしまうのだと思う。かつて「孤児院」を恐れた私のように(昭和生まれの人は、この感覚が分かるかも)、自ら救いの手を拒む子どもがいないことを祈るしかないが。


「フィクションだと分かっているから、偏見など持つはずがない」という意見に、もう少しだけ反論させていただくと。

ここのところずっと読んでいたツイートには、「フィクションだ」といいながら同じ人が「こんな酷い事件もあった」と実際にあった事件を持ち出したり、「酷いのは、実際に子どもを捨てる親であって、ドラマではない」とか「簡単に子どもを捨てるのは酷い。施設に預けないで」なんていう意見もあった。

児童養護施設や施設に子どもを預けている親への偏見が醸成されつつある(というか、もう出来上がってる?)と思う。
意外と簡単に影響されてしまうもんですね。人っていうのは。

なんだかんだ書いたけど、「おもしろかった」という大多数の意見に集約されるように、描かれる側の心情を無視して、娯楽として消費する人達の多さにうんざりしているんだね。私。

以上。
まとまらないのは仕様です\(-_-;)


※ちなみに私は、施設内虐待があることを否定はしません。
https://twitter.com/t1akira/status/425529112111763456




■「明日、ママがいない」意見、報道まとめ

ドラマ「明日、ママがいない」第1話へ児童養護施設関係者からのツッコミ
http://togetter.com/li/616921

「明日、ママがいない」施設出身者の方々の反応
http://togetter.com/li/617131

「明日、ママがいない」漫画家、クリエイターなど創作を生業とする方達の反応
http://togetter.com/li/617121

日テレのドラマ「明日、ママがいない」への抗議問題。施設の子どもに対する「想像力の欠如」と「加害性」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140118-00031720/

日テレ「明日、ママがいない」 実の母親が育てられない「養子縁組の子ども」を育てる母親からのメッセージ
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140122-00031853/

「明日、ママがいない」騒動で耳を傾けるべきは施設出身者の声
http://blogos.com/outline/78173/

『明日、ママがいない』問題について。作り手と受け手の想像力の相克
http://www.huffingtonpost.jp/hotaka-sugimoto/post_6694_b_4625728.html

「親に捨てられた子」と呼ばれて自尊感情は育つのか
http://ameblo.jp/sweetcocoamilk/entry-11751009141.html

表現と風評と想像力と
http://d.hatena.ne.jp/doramao/20140118/1390018114

ドラマを創作するときの自由
http://d.hatena.ne.jp/lessor/20140117/1389983342

【児童養護施設/グループホーム】本当はどんなとこ!?「明日、ママがいない」抗議、放送中止要請も
http://matome.naver.jp/odai/2138980261428740301

テレビ史の汚点になる前に、日テレは『明日、ママがいない』の放送中止か軌道修正を考えるべき!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38139

赤ちゃんポスト運営病院、日テレドラマに抗議へ
http://www.asahi.com/articles/ASG1J64S6G1JTLVB00T.html

【明日、ママがいない】全国の児童養護施設と里親会が日テレに抗議「人間は犬ではない」
http://www.huffingtonpost.jp/2014/01/21/mamagainai-kougi_n_4634833.html

みくみく 2014/01/23 11:51 こんにちは!
世の中の意見のおもしろかった!は、愉快という意味ではないと思います。卑屈に受け取ればきりがありません。
すでに施設内虐待やいじめがあるのであれば、このドラマによって、一緒に頑張ろう!と思う人も増えると思います。
少し見ただけで決め付けないで、とりあえずは最後まで観てから意見されたらいかがでしょうか?

akira-2008akira-2008 2014/01/23 13:32 みくさん
コメントありがとうございます。
確かに「面白かった」は、ボキャブラリーの不足という問題もあるとは思っていますが、大多数の方がつぶやいている「面白い」に込められた思いには「興味本位」「娯楽として」という感が否めません。

>>すでに施設内虐待やいじめがあるのであれば、このドラマによって、一緒に頑張ろう!と思う人も増えると思います。<<

そうなればいいなと思っています。そしてみくさんご自身がその一端を担ってくださればとても有り難いです。
最後まで見てからでは遅いこともあると思いこのエントリーをあげました。
今足を踏まれている人がいるのに、もう少し我慢しなさいと私には言えません。

SchneewittchenSchneewittchen 2014/01/25 03:30 はじめまして。
いきなり長文となってしまいそうですので、分割して送信させていただくのですが、失礼のほど御容赦くださいませ。
この最近の話題については、私自身も、自分のブログ内で取りあげておりまして、
以後も、関連ニュース記事に対する、一般からの投稿コメントを、できるだけマメに見ておりましたところ、
当事者サイドのかたの御意見をも一度は検索してみたら、といった提案を見かけまして、それもそうだと、
早速、行き当たったのが、こちらさまでして、こうして、コメントさせていただいたしだいです。

個人的に過去、くだんのドラマ番組スポンサーの一つである企業の広報とも、また、脚本とかマスコミの世界とも、かつて、縁があったことから、非常に気になったことの一つが、制作側の、かつ、創作上の姿勢というものについてでした。

今回も また、ネット上で、よく見かける意見、
「ドラマ、フィクションなのだから」「表現の自由」ということを、あたかも御印籠のごとくに掲げる人々ですが、
これは、くだんのテレビドラマの場合、
「リアル」の世間で通用している固有名称等を、そのまま使用してしまっているということですので、
「実際に、番組を見ていない」かどうか以前に、即アウト、と言ってしまっていい事態でないかと考えております。

私でしたら、あくまで「フィクション」のドラマ作品を提示する以上は、実在する他人さまの名称などを、そのまま用いるなどは、創作者として恥ずべきことと考えております。
このことは、なにも特別な条件でもなく、こんにち、ネット上でも一般的に戒められる、基本のマナーでもありますし、
ましてや、誹謗的なことを含むとなれば、はっきり、犯罪として扱われる類のことですよね。

SchneewittchenSchneewittchen 2014/01/25 03:41 だいたい、事実と異なった殆どデタラメな設定でもって「啓蒙」するなんてことも無理のある話じゃないかと思いますし、
なにしろ、当事者としての苦しみを知らずに済んでいる人々が、自己の無神経、うぬぼれ、傲慢ぶりを棚にあげていることは無自覚に、
現に、実際、深い苦悩を背負っている当事者側がガマンせよと言わんばかりの意見の多いこと多いこと、
「弱者利権を振りかざして」などといった意見まで出ているのには唖然とさせられました。
たかだか「フィクション」に過ぎないということを免罪符のごとくに、テレビ ドラマという娯楽のために。

実は私自身、生育上の問題とか、親、家庭環境の問題、障碍の問題等々とも無縁ではありませんでしたので、
こちらさまが おっしゃってることの御趣旨は、私にも、よく分かる気がしました。
とても鋭い御指摘ばかりで、あらためて考えてしまいました。

そもそも、当のテレビ局側のサイトで、この番組についての、一般からの苦情・苦言のコメント投稿だけは、サッサと削除してしまっているということでしたから、それが事実なら、
周囲には体よく気づかれぬよう、他者の口を塞いでおくようなアンフェアなことをしながら、「言論や表現の自由」を主張する資格もあるまいに、と思ってしまいました。

akira-2008akira-2008 2014/01/31 15:00 Schneewittchenさん
コメントありがとうございます。返信が遅くなりました。

もうお読みではないかもですが、ちょこっとだけ返信させていただきます。
以前巻き起こった「性暴力ゲーム問題」(いわゆるレイプレイ騒動)の時に、制作者側の意見として、そういった表現を好む一定の層がいることの他に、手っ取り早く性描写に行き着くため(ややこしいストーリーを組み立てるのは手間ですから)、性描写を多く入れるための手法として、「性暴力」という状況を設定する側面もあると聞きました。

今回このドラマを始めて視聴した時に、この話を最初に思い出しました。
人気子役を沢山使い、大衆を感動させる「お涙ちょうだい話」を手っ取り早く仕立てるために、舞台装置として「不幸な子ども」が沢山いるであろう児童養護施設という設定を、軽い気持ちで使ったのだろうなぁ。というのが3話まで見た時点での率直な感想です。

一般視聴者が思う様に「問題提起してくれた」とかいうような高尚なものではなかったのだろうと思います。実際番組サイトには
「全ての母親に、これから母親になる全ての女性に届けるーーー21世紀で一番泣けるドラマ」と書いてありますし。児童養護施設について正しく伝えようなんて意図は端からないのですよね。

表現規制には昔から反対の立場ですが、今回、このドラマに異を唱える意見に対して「言論統制」とか「表現規制」とかいっている人も多いです。言葉の意味知ってるの?と聞いてみたくなります。

秋 2014/02/03 07:02 ドラマは「娯楽」だよ?
ドキュメンタリーじゃないのだから、過剰な表現があったり、現実とは違うのは当たり前。
「正しく伝える<楽しませる」です。

ただ、赤ちゃんポストはさすがにマズかったと思うけど。。

2013年04月18日 「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」という欺瞞 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

今朝、新聞を読んでいたら以下のような記事が載っていました。

福島・死刑判決:元裁判員がストレス障害 遺体画像で (毎日新聞 04月18日)

強盗殺人罪などに問われた被告に死刑を言い渡した今年3月の福島地裁郡山支部の裁判員裁判で、裁判員を務めた福島県の60代女性が、証拠調べで見た遺体のカラー画像などが原因で不眠症や食欲不振に陥り、「急性ストレス障害(ASD)」と診断されたことが分かった。女性の弁護士によると、裁判員経験者が精神障害と診断されたのは初めてという。女性側は国に制度の見直しを求めるため、慰謝料など計160万円を求める国家賠償訴訟を仙台地裁に起こす構え。

元裁判員の女性は、裁判に参加中から不調を訴え「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」に連絡するも、交通費を自分で負担して東京に行かないと対面カウンセリングが受けられないと告げられ断念したとのことです。そして「裁判員の心のケア制度はあるのかもしれないが、実際には役に立っていない。」と述べています。

裁判員のメンタルサポートについては、5年ほど前に旧ブログで取り上げていました。
裁判員制度と二次的トラウマ
裁判員制度 心のケアに900万円!

これらのエントリで私は、委託業者の専門性に疑問をもっていること、裁判員制度推進のためのアリバイ作りに過ぎないという意見を述べました。当時の懸念が現実になってしまったことが残念でなりません。


■ 相談窓口業務を委託されていた業者

先のエントリを書いたときには、業者の選定方法や、どういった業者が請け負ったのかなど分からないことだらけでした。今回の記事を受け少し調べてみることにしました。最初に見つけた文書はこれ。

第2回「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」に提出された、内閣府事務局が作成した「裁判員メンタルヘルスサポート窓口制度(PDF)」という資料です。
この文書によると平成23年8月当時は、「裁判員等の電話カウンセリング等委託業務(裁判員メンタルヘルスサポート窓口制度)」は(株)保健同人社 (http://www.hokendohjin.co.jp/) に委託していたようです。

その後もう一つ、裁判所のサイト内にあった「公共調達の適正化についてに基づく競争入札に係る情報の公表(PDF)」という文書を見つけました。

f:id:akira-2008:20130419003526j:image

平成24年4月に一般競争入札でダイヤル・サービス (株) (http://www.dsn.co.jp/)が、「裁判員等の電話カウンセリング等委託業務」を(たったの)299,250円で落札していることが分かります。ということは、件の「役に立っていない」という業者はここのことなのでしょう。

ちなみに、平成23年度の「裁判員のメンタルヘルス対応電話相談等委託経費」予算額は9,804,000円です。24年度は分かりませんけど…。残りはどうしたんでしょうかね。

このダイヤル・サービス(株)のサイト内の「トータルEAPサービス」というページを見てみると、『全国217ヶ所に提携カウンセリングルームをご用意。(中略)ご相談者1名につき、年間5回までは無料でご利用いただけます。』とあります。東北にも9カ所の提携カウンセリングルームがあるとのことですが、だとすると「交通費を自分で負担して東京に行かないと対面カウンセリングが受けられないと告げられ」たというのはどういうことなのでしょうか。


■ 業者選定方法について

先に述べたとおりダイヤル・サービス(株)は、この業務を一般競争入札で落札していますが、H25年度の業者は一般競争入札ではなく見積り合せで選定するようです。なぜ、選定方法を変えるのでしょうか。謎です。
裁判員等の電話カウンセリング等委託業務等 見積り合せ要領(PDF)
最高裁判所事務総局経理局 平成24年12月13日


■ 裁判員メンタルヘルスサポート窓口制度の問題点

・専門性
裁判員制度が始まったH21年の12月に(社)日本臨床心理士会が「裁判員制度と心のケア研修会」http://www.jsccp.jp/suggestion/sug/pdf/data_Report-20100310.pdf
を行っています。多くの臨床心理士の方々が参加されたようです。
委託された(株)保健同人社、ダイヤル・サービス(株)は共にEAP(企業内のメンタルヘルスを請け負う)業者であり、所属するカウンセラーがどのような研修を受けているかや、トラウマ(二次受傷)・ケアについての専門性には疑問符がつきます。
先に取り上げた「裁判員メンタルヘルスサポート窓口制度(PDF)」という資料の「行っている心理療法の定義」の欄に「心理療法の定義は行っていない。」と書かれており、業者がどのような知見に基づいてカウンセリングを行っているのかさえ判然としません。

・カウンセリングの設定ミス
24時間無料電話カウンセリングという設定自体、問題があると思っています。カウンセリングに必要な枠組みを無視して、何らかの効果が上げられるとは思えません。
また、対面カウンセリングは5回まで無料で受けられますが、それ以降は自己負担となります。この制度が始まった当初から、対面カウンセリング「5回」という回数についての批判が多くありました。何を基準に5回と決めたのか…。
どうも委託業者のEAPのシステム(24時間電話相談、対面カウンセリング年間5回無料)に乗っただけではないかという気がしてなりません。


・予算額の妥当性
上記のような無謀な設定で年間予算が1千万足らず(対面カウンセリング込みですよ)というのは、最高裁はカウンセラーをバカにしているんでしょうかね。しかも、実際は30万円以下で落札って、いったい…。
こういう仕事を受ける業者を私は信用できませんし、無責任に発注した最高裁も信用できません。


カウンセリング方法や回数の設定、業者の選定方法、予算額などについて、いつ誰がどのように決めたのか、いくら探してもそれらしいテキストが見つからず、さっぱり分かりません(単に、私の探し方が悪いだけという気もしますが)。
無謀な立案、安価で委託(丸投げ)…。

裁判員裁判における性暴力被害者のプライバシー問題でも最高裁の問題意識の無さや不誠実さに失望と怒りを覚えましたが、今回またいっそう、その思いが強くなりました。



参考
http://blog.rote.jp/2009/06/16-000100.php
ロテ職人の臨床心理学的Blog
裁判員の心のケア、5回まで無料に…最高裁…って5回まで?(2009.6)

http://saibanin-keiken.net/teigen20101209.pdf
裁判員の心理的負担についての裁判所の対応策への緊急提言
2010年12月9日

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120315_3.pdf
裁判員の負担軽減化に関する意見書
2012年3月15日 日本弁護士連合会

http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010051801001147.html
裁判員のカウンセリングは適用外 守秘義務で法務省が見解
2010/05/19 02:02 【共同通信】

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2012年10月18日 セカンド・レイピスト再び このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

沖縄で米兵による強姦事件が再び起きてしまいました。
4年前に同じような事件が起きた時も、被害者バッシングの嵐が吹き荒れましたが、今回もです。

あまりにもタイミングが良すぎる沖縄の米兵強姦事件 (魚拓)
※ひどい内容なので閲覧注意

↓4年前の事件のエントリ↓
怒りで・・・。
沖縄の子ども達にとっての現実世界【追記あり】
被害者の非を言い立てる人達へ


エントリの著者は、産経新聞九州山口版にコラムを書いている井上政典氏。
前回に引き続き、またしても産経新聞のコラムニストですよ。
なんででしょうかね。伝統芸なのか仕様なのか…。

エントリ全体にわたり批判したい部分は沢山ありますが、被害者に対する誹謗中傷の部分だけ取り上げます。

 今回、オスプレイの反対運動が下火になる反面、風船を飛ばすなど抗議運動がいっそう過激になっている時に、米兵による強姦傷害事件が起きました。

 あまりにもタイミングが良すぎる?(悪すぎる)と思いませんか?

 これはいいすぎかもしれませんが、どうしても「美人局(つつもたせ)」という言葉が頭から離れません。もうなりふり構わず、日本本土と沖縄を離間させたがっている人たちの仕業としか思えないのです。

つまり井上氏は「ハニー・トラップ」だと言いたいわけですね。
4年前の事件の時も「ハニー・トラップ」説を唱えた人がいました。
『正論』常連”クライン孝子”は、沖縄女子中学生をセカンドレイプして平気

今回も早々に2ちゃんねる等でそうした暴言が吐かれているようです。しかし、産経のコラムニストともあろう人が、2ちゃんねると同じレベルとは…。いやはや。

いやね、呆れているんではなくて、はらわたが煮えくりかえっているのですよ。続く文章を読んでくださいな。

 すると、沖縄の主要二紙はよってたかって『沖縄は被害者だ』『米軍の基地があるからだ』とか小さな強姦事件を重大事件のように騒ぎ立てています。

「小さな強姦事件」って、自分の家族が同じ目にあっても同じことが言えますか?え?

以前起きた少女強姦事件も地元の人に詳しく聞いてみると、被害者の女性は未成年だけど酒を飲み、米兵を挑発するような言動をとっていて、その時間も深夜だったそうです。

 「少女が強姦された」と読むと、私達は『いたいけな少女が獣のようなアメリカ兵から無理やり強姦されて純潔を汚され、一生トラウマを持たねばならない人生を背負わされた』というイメージを頭の中で描きませんか?

 でも、実際はそうではありませんでした。

これがどの事件を指すのかは分かりませんが(どの事件を指すのか分からないだけに一層たちが悪いともいえる)、「実際はそうではありませんでした」と、見てきたようなことを言ってくれるじゃありませんか。

伝聞で批判するのは、今回の事件の被害者に対しても同じくです。以下のように。

 今回の事件も、訴えは「本人からではなく、知人から」「犯行時間は深夜午前3時半」「この女性は他にも米兵との不純異性交遊があるといううわさがある」「行為の後にトラブルがあったらしい」という情報が地元の方から寄せられています。

 深夜に若い女性が一人で米兵のたむろする場所に出入りして、挑発的な行動をとれば

Facebook経由で入手した情報に基づく発言のようですが(facebookを過信しすぎなんぢゃ?)、被害者の方の名誉を著しく傷つける発言です。即刻、撤回して謝罪した方が良いレベル。

米兵でなくても鼻の下を伸ばしてふらふらついていく人はたくさんいるのではないでしょうか?私の頭の中には、すぐに十人以上の友人の顔が浮かびます。私も、10年前だったら、行っているかもしれません。

『男は熊』しかも類友って話。10年前なら自分も強姦してたかもという宣言ですもん。怖すぎますよ。
結局、件のエントリは井上氏の願望と憶測による誹謗中傷ってことですな。




ちなみに
米軍の性犯罪については、以下のサイトが参考になります。
米海軍が性的暴行防止に躍起
沖縄からの報告─ 米軍基地の現状と米兵によるレイプ事件─ 宮城晴美(PDF注意)
不平等条約

参考
普天間を閉鎖撤去させ土地を返してもらう なごなぐ雑記

TB先
産経は沖縄の米兵犯罪を無視する気か【追記あり】 vanacoralの日記
沖縄で何人の女性がレイプの被害を受ければ米軍と米日両政府は反省するのだろう? 村野瀬玲奈の秘書課広報室

TakaTaka 2012/10/18 21:53 たしかに、小さな強姦、という
コトバは、ヒドイですが、
おとなりの韓流の国の、レイプ大国の
女性被害者にも、目を向けられたことは
ありますか?
フィリピンで、日本人女性も被害に
あってます。
アナルにも、無理矢理いれられ、
内臓損傷ですって。

akira-2008akira-2008 2012/10/18 22:14 >Takaさん
どこの国で起きても性犯罪は許されませんよね。
他の国に目を向けて、それからどうすればいいですか?

m-matsuokam-matsuoka 2012/10/18 23:31 「沖縄で米兵による強姦事件が再び起きてしまいました。」←このように米兵によることをクローズアップするのは差別です。
米兵であることは罪の軽重には関係ありません。

加害者が米兵であることをヒートアップやバッシングの理由にするなら、あなたはハニートラップを構成する一要素になっていますね。

akira-2008akira-2008 2012/10/19 00:01 >m-matsuokaさん
下の方のリンク先読みました?
http://spikemilrev.com/news/2012/6/28-1.html
では、米海軍の性犯罪の多さについて書かれていますし(毎日2,3件ですよ)
http://homepage3.nifty.com/yoshihito/fubyoudou.htm
では、日本での被害がずば抜けて多いと書かれています。

そもそも、私が最初にあげた4年前の記事を受けての「再び」ですよ。
文脈読みましょう。

>あなたはハニートラップを構成する一要素になっていますね。<

意味不明の言いがかりはやめてください。
加害者が米兵であることでバッシングをしてるわけではないですよ。
旧blogから、ずっと性暴力・性犯罪のことは書き続けています。特に二次被害については。
このエントリも米兵バッシングではなくて二次被害について書いています。

山田山田 2012/10/20 11:25 米兵に対する差別って、、、
被害者に対する差別の事書いてるんじゃないのかこの記事は?
こんなコメントしかつかないって日本って終わってるな

akira-2008akira-2008 2012/10/21 02:07 >山田さん
とにかくびっくりしてます。

ee 2012/11/07 10:11 加害者の肩を持ちたがる人は必ずいますね。
被害者の落ち度をあら捜しして。
自分が高みに立ちたい欲望が透けて見えます。
軍隊は殺人兵器。相手(もはや人間だとは思っていないのでしょう)を再生不能にするための手段としてレイプが選択されるって、おべんきょーすればわかること。