Q76.【感謝】とは何か?

A.他人の力による喜びに【感謝】

 感謝は、喜びから状況による分岐をした感情です。
 喜びは集団における自己アピールです。しかし、状況によってはアピールすべきでない場面もあります。そうした状況に生まれる感情に感謝があります。
 喜びは自分の能力のアピールですから、他人の能力を利用した場合には、明らかに不適当です。たとえば、子供が、両親でなく親戚におもちゃを買ってもらったとき、「やったあ」と喜んだとします。そこで親が「ありがとうと言いなさい」としつけます。結果、他人の力による喜びには感謝するようになります。恥、罪悪感とともに「しつけ」が必要な感情です。
 お金に困ったときに友人が大金をくれた場合など、他者によってもたらされた喜びにより感謝が発生するわけです。
 感謝の行動は、笑顔ですが、より強ければ、泣くこともあります。頭を下げてお辞儀し感謝を示します。「ありがとう」が、その言葉です。最大の場合、土下座することもあるでしょう。「いつかお礼をします」を意味する信号です。
 感謝は、喜びをもたらしたものへ好意を示し、相手への利他行為や人間関係を促進します。集団の結束を高めます。
 外国人のサッカー選手がゴールを決めたとき、しばしば神に感謝を示します。こうした思想も、集団の結束を高める感謝の効果により発達しました。あらゆる物事を神によってもたらされたとし、集団で同一対象に感謝することにより、人間関係におけるあつれきを減らす効果があるのです。喜びのアピールがもつ他人を押しのけてのし上がる効果を減らし、妬まれにくくなるわけです。