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Feb 07, 2017 竜王戦挑戦者変更強要疑惑(補)〜人を疑うということ〜 このエントリーを含むブックマーク

将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161226

続・将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161227

将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑(結)

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161229

今回の竜王戦問題については,過去3回に渡って検討してきました.あれから1か月少々経ちまして,色々と状況は動いているのですが,結局疑問は何一つ解決していません.第三者とも言い難い第三者委員会の報告内容を盾に取り,このまま,何が問題であったのか総括することもなく,風化させるのを期待しているのかなと思うとやりきれない思いです.

そんな中,iRONNAに三浦九段のインタビューが掲載されました.

http://ironna.jp/article/5686

読んでみると,まだ明らかになっていないことどころか,疑問にもなっていなかった,さらに奥深い問題があったのではないかということが伺えます.特に,許せない相手として,今まで名前が一度も挙がっていなかった観戦記者の小暮克洋氏の名前が,唯一実名で挙がっている点は注目に値します.ここで実名を挙げる以上,三浦九段には訴訟も辞さない覚悟があると見えます.

http://ironna.jp/article/5686?p=5

今回は,今回の事件を通して,また,このインタビューを読んで特に強く思い出した,「プロが専門としていることについて,不正を疑われる屈辱」について書いてみたいと思います.

昨年末に書いた3本の記事で,特に渡辺竜王,久保九段,千田六段に対する処分については,慎重であって然るべきだという意見を書きました.また,連盟理事に対しては,その職に堪えないから自主的に辞めるべきだ以上のことは書いていません.その意見はいまでも基本的に変わりません.しかし,一将棋ファンの立場で言えば,これまで時間があればチェックしていた棋王戦のニコニコ生放送も一切見ていません.振り飛車党としていつも楽しみにしていた久保九段王将戦棋譜も一切見ていません.渡辺竜王四間飛車破り居飛車穴熊編やひと目の手筋,青野九段の手筋辞典,久保九段の久保の石田流や久保の中飛車など全部焼き捨てて,買ってしまったことをなかったことにしたいと思っています*1

それだけ腹に据えかねているのは,私自身がかつて感じた,不正を疑われた屈辱を思い出したからです.

もう4〜5年前になりますが,私はある査読論文を投稿しました.学会誌等々に掲載される論文は2種類に大別されます.1つが,特にチェックされることなく掲載される「査読なし論文」,もう1つが,他の専門家*2によって内容をチェックされ,有意義であるとみなされたもののみが受理・掲載される「査読論文」です.当然,査読論文の方が重要と見なされ,研究者の業績としても,査読の有無は明確に区別されます.

私の投稿した論文は,1人の査読者からは好意的に受け止められ,すんなりと受理されたのですが,もう1人からはかなり厳しいコメントを受けました.正直なところ,本筋とはあまり関係ない部分だったのですが,可能な限りコメントに応じてその査読者と修正のやり取りを繰り返しました.そのうちに,私が若干誤解を招く書き方をしてしまったこともあり,分析を間違っているのではないかという指摘を受けました.その間違えているんじゃないかと疑われた場所は,私の予想と査読者の予想が食い違っていて,分析結果は私の予想が正しかったことを裏付けるものでした.しかし,書き方がわかりづらかっただけで,分析を間違えていた訳でもない*3ので,その旨伝えて表記を修正したところ,査読者からデータを不正に操作しただろうと決めつけたコメントが返ってきました.

そのコメントのメールを受け取った瞬間,頭が真っ白というか,真っ赤というか,よくわからない状態になり,目の前のPCデスクを蹴飛ばして大荒れでした.それをすぐそばで見ていた妻*4が涙目になるのを見て我に返りましたが,とにかく屈辱的で,その査読者は,誰だかわからないのですが,4〜5年経った今でも許せません.誰だかわかったならば,その人物とは,それがどんな大物でも恩人でも二度と関わらないでしょう.

どうしてそれだけ腹が立ったのかですが,研究者は,どんなに下っ端であったとしても,学問の世界において曲がりなりにもプロであるというプライドが,私も含めて誰にだってあります.そりゃ,間違えることだってあります.知識が足りない部分も多くあります.しかし,学問の世界への否定とも言える研究不正にだけは絶対に手を染めないというのもまた,プロとしてのプライドなんです.つまり,お前なんか研究者じゃないと,プロとしての存在そのものを否定されたと,ひいては,自分という存在そのものを否定されたと,不正を疑われたときに感じたからこそそれほどに腹が立ったのです.だからこそ,逆に言えば実際に発生する研究不正は絶対に許せません*5

いずれにせよ,私のような下っ端研究者であっても,不正を疑われた時にそれだけ屈辱に感じた訳です.三浦九段のようなトッププロが存在そのものを否定されるような扱いを受け,吊し上げに遭い,数か月間報道で叩かれ続けたならそれはどれほど屈辱的なのか,私の想像を遥かに超えています.

勿論,不正を疑ったときにそれを放置するのは正しくありません.しかし,疑われた本人を呼び出し,直接問い質して吊し上げるような行為がどれほど屈辱的であるかは,同じプロ棋士であれば誰だってわかる筈です.そうであるならば,調べるのは極限まで慎重であらねばならないし,証拠がない中での週刊誌記事での不正を決めつけるコメントなど,軽率というレベルではありません.

私が疑いを持たれた際,三浦九段と同様に完全にシロの証明は出来ませんでしたが,疑惑そのものが的外れであることを示すことは出来ました.しかし,査読者からの謝罪はありませんでした.今回の事件において,疑惑を持ち,直接行動に動いた人々の中で,不正はないという結果が出た際に筋を通した者は,私の見る限り一人もいません.私にとって彼らは,私の不正を疑った査読者と同じ人間です.だからこそ,決して許すことが出来ません.これは,理屈でも何でもありません.一人の不正を疑われた経験を持つ者として許せない.ただそれだけです.

*1:久保九段の2冊は電子書籍なので,焼き捨てる訳にもいかないのですが……

*2:通常2名以上の査読者

*3:そもそも,分析に使った式を論文中に記載していたので,きちんと読んでいれば表記上の問題に過ぎないことはすぐわかるものでした

*4:当時婚約者

*5:たとえば小保方晴子氏の問題の際により厳しいコメントをしていたのは,むしろ同業者であったという点からもわかります

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Dec 29, 2016 将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑(結) このエントリーを含むブックマーク

将棋連盟 常務会各位

拝啓

霜寒の候,貴連盟におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます.また,常務会諸先生方のご活躍心よりお慶び申し上げます.

さて,この度は,竜王戦に関する諸問題につきまして,大変なご苦労をされたとお察し致します.恐らくは,自分たちが連盟を守らねばならぬと身を張って悪役を演じられたのではないかと推察致します.将棋界をどうしても守りたい.そのためには,将棋連盟をどうしても守らねばならぬ.そして,将棋連盟は自分たち常務会が守っているのだという責任感ゆえの様々な行動であったのではないかとお察し致します.

しかし,ご安心ください.常務会がなくなっても将棋連盟はなくなりませんし,仮に将棋連盟がなくなったとしても,将棋界は変わらずあり続けます.故・原田泰夫先生も「界・道・盟」と仰られたではないですか.最も大事なのは,プロアマ問わない将棋界そのもので,その下に守るべき将棋道があって,将棋連盟というのはその下に過ぎないのだと.

諸先生方におかれましては,どうぞ,身の丈を越えたお仕事からは御身を引いて頂き,必要とされる能力を持ち,また,将棋連盟ではなく将棋界への愛を持つ方々にその道をお譲り頂き,本来の道でご活躍頂けますようお願い申し上げます.

末筆ではございますが,新年の上州将棋祭り2017が,文字通り無事に執り行われますことを,心より,心よりお祈り申し上げます.

敬具

*この記事は,続き物となっています.以下の2つを順に読んで頂くと,内容が理解しやすいかと思います.

将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161226

続・将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161227

この問題が起こったとき,最初に感じたのは「よりによって三浦九段が?」でした.失礼ながら,三浦九段コンピュータを自由自在に操りカンニングしている絵が想像できなかったのです.ただ,翌日の橋本八段の(経営する将棋Barのスタッフが橋本八段の名前で行った)Tweetなどで,どうやら将棋界では誰もが否定できない問題なのかと感じました.ただ,伊藤英紀氏との裁判が頭をよぎり,こういうときに,まさかそんなことはしないだろうということをやってしまうのが連盟なんじゃないか.という不安が強くありました.結果的には,そのまさかだった訳で.

さて,この問題について記事を書くのはこれで3回目になりますが,そろそろ結論が見えてきたようです.現在,それなりに疑問点として残っているのは,概ね以下の5点であると考えます.それぞれについて,可能な限り検討します.特に前半三点は,事実を知るのは不可能ですので,推測にとどめたいと思います.

  1. 読売新聞は加害者か被害者か
  2. 渡辺竜王が自ら週刊文春にリークしたのか
  3. 三浦九段は自ら休場を申し出たのか
  4. 三浦九段への補償はどうするべきか
  5. 渡辺竜王,久保九段,橋本八段,千田六段,常務会関係者は処分を受けるべきか

1.読売新聞は加害者か被害者か

この件について,読売新聞社の顔に泥を塗ったという話を書いていましたし,こんな竜王戦でこんな不祥事,読売新聞社は許してくれるのかというような書き方もしてきました.その中で,読売新聞社は寧ろ将棋連盟と共に三浦九段への加害者じゃないかという指摘をいくつか受けました.その点について考えます.

私は,最初から読売新聞社がこの問題に,積極的に関与している可能性は考えていませんでした.読売新聞社がこの問題に主体的に関わっていた場合,このような流れになることは想像できないからです.私は巨人ファンであり,その立場から読売新聞社をよく見ています,その感想として,読売新聞社は,危機管理能力において良くも悪くも日本屈指の会社であると考えています.巨人にしても読売新聞社にしても様々な問題を起こしていますが,火消しに関しては毎度的確です.

もし読売新聞社将棋連盟と完全に情報を共有していたならば,この措置が無理筋であることはすぐにわかりますから,こうはならなかったと思います.恐らくは,三浦九段が不正を行ったという前提の情報のみを受け取り,そこから挑戦者交代を認めたのであろうと推測します.ただ,この点については,連盟読売新聞社も背景を話さないでしょうから,どちら側に立っても推測にしかならないと思います.

最近の報道において,連盟寄りに見える見出し作りを行っている背景には,タイトル戦だけで6000万円近いお金を出して,全力で権威づけしている立場から,タイトル戦の成立に対する疑義に繋がるような印象を持たれたくないためと考えられます.その意味では,三浦九段の希望通り再戦となる可能性はまずないです.

2.渡辺竜王が自ら週刊文春にリークしたのか

この問題は,渡辺竜王が挑戦者変更を強要したのかともつながってきます.今週の週刊文春で,渡辺竜王から記者に,10月8日にメールが送られたという記事が掲載されました.この点について渡辺竜王側からのコメントはまだありませんが,メールの証拠能力はかなり高いものがあり,また,この点で週刊文春側にねつ造を行うメリットは見えませんので,この点で週刊文春側がねつ造を行っている可能性はあまり高くないと思います(まあ,羽生三冠が島九段に送ったメールは,結局シロクロどちらに近い内容だったのかといった問題もありますが).これをもって,そもそもこの問題は,渡辺竜王週刊文春にリークしたことが一つの始まりなのだという説が出ています.この点は時系列を考慮する必要があります.

大雑把に言えば,文春の記事掲載にかかわる時系列は以下の通りです.

渡辺竜王が最初に週刊文春に働きかけたと思われるのは遅くとも10月8日です.また,渡辺竜王週刊誌に情報が載せられる可能性を知ったのは10月上旬とブログ説明していますので,時期として一致します.よって,それ以降の内容については,渡辺竜王がある程度主体的に情報を示した可能性があります.そうすると,10月10〜11日の大きな動きについては,渡辺竜王が情報を流出させた可能性は否定できなくなります.つまり,渡辺竜王が文春に情報を流し,雑誌に掲載されると危機感を煽り処分を求めたという流れです.これで,一応の筋は通ります.

ただし,疑問もあります.8月後半の段階で連盟理事が三浦九段を監視している訳ですから,週刊文春側は,10月8日以前にこの情報を得ていた可能性も否定できません.同誌には,渡辺竜王のみならず,久保九段も実名でコメントをしています.久保九段内部告発者であり,普通であれば身元は隠されますが,この段階で名前が出ています.渡辺竜王がすべて主体的に行ったと考えると,このあたりが少し解せなくなります.

これらを踏まえると,どちらからかは不明ですが,渡辺竜王週刊文春記者が,三浦九段不正疑惑の件で接触.渡辺竜王,それを踏まえて,常務会に危機感を煽る.処分決定,将棋連盟側として,処分の正当性を強調するために,情報のコントロールとして週刊文春に実名でのインタビュー掲載を認める.という流れが見えなくもないです.ただここは,正確なことは言えそうにないです.

3.三浦九段は自ら休場を申し出たのか

ここは,三浦九段側と将棋連盟側の意見が食い違っています.三浦九段側は,竜王戦中止と告げられ,これは重大な問題であるとして休場を求められ応じたと述べています.一方連盟側は,休場を求めたことはないと述べています.この点は,前回述べた通り,どちらが正しいか明らかになることはないと考えます.ただ実は,どちらが正しいとしても,結論はあまり変わりません.

まず,三浦九段側が正しい場合の話は簡単です.常務会側の悪質な,犯罪とも言える行為です.では,連盟側が正しいとしたらどうでしょうか.そうすると,三浦九段の行動は以下の流れとなります.

常務会に呼び出される→不正疑惑について問いただされる→(   )→休場を申し出る

さて,カッコの中身はどうなるでしょうか?これは勿論,直接は知りようありませんので,状況から推理していきます.この問題を検討するにあたってわかっている,連盟側も認めている主要な情報は以下の通りです.

  • 三浦九段はその時点で竜王戦の挑戦者であり,竜王戦は3日後から開催の予定である(中止という話はない).
  • 三浦九段は,後にNHKのインタビューで「竜王戦将棋界最高峰の棋戦で挑戦するだけで大変な名誉だ.辞退するわけがない」と述べている.
  • 三浦九段が不正行為を行った可能性はほぼない.
  • 九段「休場届を強要したという事実は,まったくない」(朝日新聞より)
  • 青野九段連盟から三浦九段に『休場』を強要したことは間違いなく,ありません」(産経新聞より)

必死になってたどり着いた人生最大級の晴れ舞台があります.それに,不正があったとケチをつけられています.しかし,自分に不正を行った覚えは全くありません.さて,どんな話の流れになったら休場しますという発言が出てくるのでしょうか?この問題は,身に覚えのない事件で逮捕され,取り調べを受けました.どんな話の流れになったら自分はやりましたと嘘の自白をするでしょうか?という問題と置き換えても大体同じ結論が得られます.

ここで興味深いのは,島九段と青野九段が,ほぼ同じように休場の強要について極端に強く否定している点です.他のところと比べても,この部分については自信を持っていることが伺われます.一方で島九段は,常務会の時点でクロと決めつける空気があったことを認めています.つまり,このまま三浦九段竜王戦に出すことは困難であると認識しています.よって,三浦九段を挑戦者から外す結論が得られなければ,常務会は終えられないと考えていたことになります.この状態で,2か月半も前の常務会について,休場を強要するような事実が一切ないと,ここまで強く否定できるのはなぜでしょうか.簡単です.休場を,常務会側からではなく,三浦九段の口から引き出さなければならないという共通理解が常務会側に存在していたということです.何故なら,不正を行った証拠がないのですから,そうしないと挑戦者を交代させられません.そして,冷静であれば絶対に言わない「休場」という言葉を三浦九段から引き出した訳です.

仮に,三浦九段が自ら休場を申し出たとするならば,その事実そのものが,常務会において三浦九段がどれだけ精神的に追い詰められていたかを示す状況証拠となりうる訳です.自白を元に容疑者が起訴された事件で,後に無罪が証明されたというケースは珍しくありません.その際,確実に起こるのは,不正捜査による自白の強要があったという訴えです.中立的かつ正当に取り調べが行われれば,通常の状況で無実の人が自白する訳はありません.この問題と置き換えるとわかりやすいのではないでしょうか.

もう一つの可能性としてあるのは,「こういう状態では竜王戦は指せない.事態が収束してから集中して指したい」と三浦九段が述べたという,中川八段の証言です.2か月半も前の話で,一字一句正確ではないでしょうから,これは,休場の意向ではないと受け取ることもできます.つまり,三浦九段は,「こういう状態では竜王戦は指せない.(きちんと調べて無実を証明し)事態が収束してから(竜王戦七番勝負を)集中して指したい」と言ったという可能性です.これは,三浦九段がわかりにくい言い方をした可能性もありますし,常務会側が曲解した可能性もあります.まあ,三浦九段の言い方がわかりにくい場合,通常であれば「それは休場の意思表示ということでいいですね?」と聞くでしょうから,このケースの場合は都合良く解釈した可能性が高いでしょう.それはそれで酷い話なのですが,強要に比べればまだましです.

4.三浦九段への補償はどうするべきか

これは非常に難しいです.アスリートや芸術家と同じで,2か月半もトレーニングや実戦から離れたことによる被害は計り知れず,また,現在彼の立場は,渡辺竜王や佐藤名人,羽生三冠にだって不正の可能性はある,それと同程度に三浦九段が不正を行った可能性もあるというレベルです.にも拘わらず,いまだに疑惑を強く持っている人は,特に将棋界から遠い所で少なくありません.さらに,名誉棄損とも取れる発言をした人も少なくありません.

その上,王位戦の不戦をどう扱うのか,名人戦の残りカードも不戦,来年度順位A級11位は適切なのか,竜王戦で一組一回戦から再度挑戦しなおすというのは正しいのか.さらに,竜王戦で得られるはずであった栄誉と賞金に対する補償をどう考えるのか.ちょっと考えただけでも,検討すべき問題はこれだけあります.三浦九段弁護士費用だって連盟負担であるべきという考えはあり得ます.おそらく,まだ出てくることはあるでしょう.

ただ言えることは,この問題を,本気で誠実に金銭で補償しようとしたら,タイトル戦にある程度定期的に出場する一流棋士の,これから残り20〜30年は続くであろう将棋人生そのものに対する補償になると理解する必要があるということです.

5.渡辺竜王,久保九段,橋本八段,千田六段,常務会関係者は処分を受けるべきか

まず原則として,疑惑を告発した人が裁かれるべきとは考えません.ここで言うと,久保九段と,データを提示し,結果誤った千田六段への処分というのは適切ではないです.疑惑があるなら疑惑として調べて,問題ないなら問題ないでいいのです.それが安心できる社会です.

橋本八段は,やはりマスメディアでの質問にもあった通りで,スタッフがやりました.は誰も信じなかったようです.それはそうですよね.内容が,棋士としての発言でしたから.スタッフにプロ棋士がいれば別ですが,将棋Barにプロ棋士は一人しかいないのであれば,やはり橋本八段が責任を問われるのは当然です.さらに言えば,スタッフの不適切な発言であったとしても,それに対して謝罪する必要が,代表者である橋本八段にはありました.十分に名誉棄損が成立すると思われます.

渡辺竜王は難しいです.週刊文春へのインタビューが連盟意向に沿っていたか否かで,連盟側の判断は変わってきます.意向に沿ったインタビューだとしたら,連盟としては裁けないでしょう.ただ,社会的にはかなり強い制裁を受けるのは間違いないです.たとえば,解説等に呼ばれることはかなり難しくなり,特に,ニコニコ動画のようなネットでの活動には致命的なダメージを負っています.ただ,彼の行為が名誉棄損に該当するのかはわかりません.

連盟常務理事については,三浦九段に対する措置はやむを得ないという第三者委員会の判断を受けてお咎めなしという形式になるでしょう.自主的に報酬カットを打ち出していますが,これは,求められている以上のことをやっているという立場を取っています.ただ,最早彼らには組織運営上の能力がないことは明らかです.自主的に身を引き,経営,法律の専門的知識を持っている人を中心に,外部の常識を持った人をそろえた組織とするべきです.

さて,最後になりますが,心理学の世界ではこんな有名な実験があります.スタンレー・ミルグラムという心理学者は,被験者に対して,「隣の部屋にいる人が問題に間違えたら,罰として電流を流すボタンを押してください」と依頼しました.最初は弱い電流ですが,徐々に強くなり,最終的には死んでしまうくらいの強さになります(実際には電流は流さず,隣の部屋にいる人は電流を流された演技をします).さて,被験者は,どこまで実験に参加し続けるでしょうか.という実験です.結果は,実験条件にもよりますが,2/3の被験者は最後,死んでしまう強さまで電流を流し続けました.この実験結果は,「服従の心理」という本にまとめられています.この実験が示すのは,普通の人であっても,与えられた役割を演じることで,人を殺してしまうことすらあるということです.

また,ミルグラムの高校時代の同級生に,フィリップ・ジンバルドーという心理学者がいます.この人は,被験者を集め,ランダムに監獄の囚人役と看守訳に割り振った上で,模擬監獄で共同生活を行うという実験を行いました.その結果,看守が囚人をいじめ始めるなどトラブルが続出し,実験は途中で中止になりました.こちらは,「es」というタイトルで何回か映画化されています.この実験もまた,人の,役割を与えられることによって,その役割に過剰なまでに適応しようとしてしまうという特性を明らかにしています.

連盟常務会の人々の会見内容,これまでの様子を見て,これらの実験を思い出しました.彼らは,理事という立場を必死に演じることで,これらの実験の被験者のようになってしまったのかなと感じる次第です.

アユアユ 2016/12/29 22:55 告発結果には責任は無いとは思うのですが、告発内容については責任があると思います。

例えば「○○してたから」あの人は怪しいと告発したとします。

調べた結果怪しく無かったです。これは告発者は罰せられるべきじゃないでしょう。
ただし、調べた結果は、○○していた事実がなかったとなったら告発者は罰せられるべきでしょう。

今回の問題はここじゃないのでしょうか?

akisaitoakisaito 2016/12/30 08:10 >アユ様
それが虚偽なら罰せられるべきと思います.ただ,今回の場合は勘違いの可能性が高いです.久保九段戦の三浦九段は,離席時間が長かったこと自体は事実のようですので(この件については,以前,この日の三浦九段は体調不良で,体を休めるために離席が多かったという話があったように記憶しています).その件と,誰が言い出したかわからない「三浦九段はカンニングしている」という噂が久保九段の中で重なり,誤った記憶による告発になったと推測します.

勿論,結果的に誤った告発をしてしまった訳ですから,久保九段は三浦九段に謝罪するべきだとは思います.

ただ,誤った告発にまで罰を求めていたら,その誤りを恐れて疑念を持っても告発が出来なくなってしまうという事態が想像できます.そちらの方がより不健全と考えます.

FANTAN007FANTAN007 2016/12/30 08:55 勝負事での告発に関して、現代では性善説で判断するのは無理があると感じます。残念ですが、謝罪だけで済むのなら、悪用する人がでるのは必定の時代になっています。この方がむしろ問題が大きいでしょう。

akisaitoakisaito 2016/12/30 09:27 >FANTAN007 様
勿論,虚偽の告発なら罰せられるべきと考えます.ただ,今回に関しては,勘違い,思い込みの要素もかなりあると思います.映像が残っているのはわかっていたにも関わらず,久保九段も連盟理事も誰もチェックしていなかったというのは,まさかそこで間違いがあるとは思っていなかったということだと思います.

また,謝罪だけで済んでは……という点については,告発=ほぼクロという前提を変える必要がある気がします.告発という言葉が強いのかも知れませんね.たとえば,不正に関する調査依頼として,気になるなら調べてもらえばいい.それは自由である.そして,問題があったら告発できる.というようなシステム作りでしょうか.

tactlesstactless 2016/12/30 11:54 多分大きなコメントはこれが最後になると思います。

読売の危機管理能力

危機管理能力にも、直すべき点は早めに直し、トラブルの解決を通してかえって信頼を高めるというもの、政治力・経済力その他を利用して情報の拡散を防止するというもの、その他いろいろあると思います。(どちらの意味で使っておられます?)私、本来的な危機管理能力は前者のほうで、今回のような明らかな間違いは認めてやり直したほうが竜王のブランド(ひいては読売の評判)は維持できると思います。(メディアの取り上げ方次第になる事も多いので、なかなかそうできないのが実情ではあると思いますが。)再戦がなされないと、現在竜王とされている人や将来その人からタイトルを取った人を、正当性に欠ける偽の竜王と考える人はたくさんいるでしょう。やり直しをすれば一時はいろいろあるでしょうが将来には悪い影響残しません。

執行部の中で、誰の責任がより重いか

昨日のコメントとも関係しますが、黒と思って処分に賛成した人と、白黒わからないが組織防衛のために処分に賛成した人と、どちらがより問題でしょうか。名誉棄損は刑法上の犯罪です。白黒わからないという認識で組織防衛のために処分に賛成したと人は、組織防衛のためなら犯罪を犯してもかまわないと考えていたことになると思います。細かな議論は省略しますが黒と思いこんで処分に賛成した場合でも刑法上の名誉棄損は成立する(し得る)のですが、法律論を離れると、黒だと信じ込んでいた人は犯罪を行っている意識はなかったのではないかなと思います。(クロだと信じ込むこと自体が人を見る目が皆無であるとかあまりに猜疑心が強いとか別の意味で人間性の問題があるのかもしれませんがそれは別の問題として。)

お付き合いいただきありがとうございました。akisatoさんの論理とお気持ちとが連盟に届くといいのですが。

momosukemomosuke 2016/12/30 23:21 冷静な分析と考察、大変興味深く読ませていただきました。

 こうした問題が起きたときに大切なことは「現状回復」だと考えます。三浦九段は依然として「第29期竜王戦挑戦者」の資格がある、と判断すべきではないでしょうか。従って、出来うる限り竜王戦をやり直すことが求められるます。原因を作った渡辺九段は竜王位を返還する、ないしは主催者が第29期竜王戦七番勝負そのものを無効とする。改めて、渡辺九段と三浦九段が対戦するのがよいでしょう。
 もし渡辺九段が辞退するようであれば、三浦九段と丸山九段とで第29期の竜王を争うようにすればよいのです。読売新聞社にどれだけ落ち度があったかは不明ですが、原因は将棋連盟の側にありますから、原則タイトル料などのかかる費用は連盟の負担とします。場所は将棋連盟で行い、静かに対局できる条件を整える。この辺が落とし所と思われますが、いかがでしょうか。

 そうしないと、渡辺竜王にはいつまでも「虚偽の竜王」という汚名がつきまとい、竜王戦自体の権威も失墜してしまいます。今でも権威は落ちていますが、最小限にとどめるにはこれしかないのではないかと考えます。

akisaitoakisaito 2016/12/31 18:38 >tactless 様
読売の危機管理能力についてですが,これは,良くも悪くもという書き方にも現れている通り,基本的に半分以上皮肉で言っていますので,どちらかと言えば後者の要素が強いです.さらに言うと,情報を統制するにしてもどこかしらで失敗するケースが多いのですが,それが少ないように見えるという意味で,危機管理能力は高いと理解しています.

私も,やり直しできればいいのにというのは思うのですが,ここからがちょっとやっかいなところで,tactless様も含めて将棋をしっかり見ている人にとってはその通りです.しかし,そうではない人にとってみると,このままの状態というのは,将棋連盟が問題起こしたらしいね.三浦って人は,怪しいんだけど証拠は出なかったみたいだね.で終わります.再戦した場合,将棋ファンからはかなり評価されると思います.しかし一方で,そうなると,10月の段階で挑戦者交代を認めた「読売も間違った」ということになってしまいます.読売新聞社は,これを嫌うと思います.となると,三浦九段の原状回復を求める声が,将棋ファンの範囲を超える必要が出てくるのかなと思います.

執行部の中で、誰の責任がより重いか

これは,実に興味深い問題提起です.私は,こういった点について,人間というのは極めていい加減であるという立場をとっています.つまり,処分に賛成した人のうち,「黒と信じて賛成した人」と「白黒わからないが組織防衛のために処分に賛成した人」というよりは,「黒と信じて賛成した人」と「組織防衛のために処分が必要だから,黒と信じた人」とがいるのではないかと思っています.大雑把に言ってしまえば,これは処分しないわけにはいかないよな……というか,これだけの情報がそろっていて,みんな黒だと確信しているし,きっと黒で間違いないんだよね.という感じで,経緯はともかく,全員黒と信じているという意味では変わらない.というパターンを考えています.

こちらこそ,興味深い問題提起等々ありがとうございます.これを機に,少しでも将棋界のための将棋連盟となってくれることを望みたいです.

akisaitoakisaito 2016/12/31 18:42 >momosuke様
コメントありがとうございます.上にもコメントとして書いた通りなのですが,竜王戦の再戦には,厄介なハードルがあると考えています.

再戦しない場合には,将棋ファンは釈然としない思いで見ます.しかし,批判の的は基本的に連盟で,部分的に読売新聞社にも批判が行く可能性があるという感じです.また,将棋に興味のない人,そこまで熱心なファンではない人にとっては,将棋連盟が問題起こしたらしいね.三浦って人は,怪しいんだけど証拠は出なかったみたいだね.で終わります.

一方再戦した場合は,将棋ファンからはかなり評価されると思います.しかし一方で,そうなると,10月の段階で挑戦者交代を認めた「読売も間違った」ということになってしまいます.読売新聞社は,これを嫌うと思います.となると,三浦九段の原状回復を求める声が,将棋ファンの範囲を超える必要が出てくるのかなと思います.

momosukemomosuke 2017/01/01 23:25 akisaitoさん、ていねいなレスありがとうございます。

確かに再戦には高いハードルがあるとは思います。ただ、可能性としては3つくらいのケースがありえます。

1.渡辺竜王が自主返上する
 将棋ファンは9割方、三浦九段を支持しています。「暫定竜王」「黒竜王」などと言われ続けるよりも、自ら返上する(あるいは圧力に抗しきれずに返上する)方がましだと考えることは十分ありえます。この場合、渡辺九段抜きで再戦となるか、空位となります。

2.読売新聞がある程度否を認めて、竜王戦をやり直す。あるいは30期との間に特別に29.5期竜王戦を挟む。この対戦は渡辺竜王対三浦九段となります。ただ、理由づけが難しいので、可能性は確かに低そうですね。
 今ネットで見る限り「渡辺=黒」→「渡辺竜王=黒」ですので、竜王位に渡辺九段が止まる限り、竜王戦の権威は落ち続けます。このことを読売新聞がどう判断するか?

3.三浦九段が「第29期竜王戦挑戦者の地位確認訴訟」を起こす。1は渡辺氏の意思次第、2は読売新聞の判断次第ですが、3はより確実に再戦する方法です。三浦九段は間違いなく勝訴するでしょう。挑戦者の地位が法的に確認されれば、再戦とならざるを得ません。あるいは、訴訟された段階で読売と将棋連盟に何らかの動きが出てくることでしょう。
 ただ、三浦九段は今後ずっと将棋連盟にとどまるつもりでしょうから、連盟に対して訴訟を起こすかどうかは難しい判断です。

以上の3ケースが考えられます。私は、1か3により、再戦が行われる可能性は低くはないと考えています。

akisaitoakisaito 2017/01/02 17:03 >momosuke様
コメントありがとうございます.1と3は確かに実現性があると思います.どちらかと言えば,1の方は現実的な可能性として低くないと見ます.渡辺竜王は,これはあくまでも行動からの推測にすぎませんが,引退の可能性すら考えているように見えます.彼自身の発言から,棋士であることへのこだわりをあまり感じないのです.

逆に言うと,彼自身は自分は正しいと思っていますから,返上はするけど引退はしないというのは考えづらいとみています.

3については,もちろん三浦九段側次第ですが,2番目の記事で書いた通り,また,momosuke様も仰る通りで,彼の希望は将棋連盟の中で棋士として続けることですから,裁判で勝訴して連盟を叩き潰すような方法は,連盟が余程頑なな対応をしなければないと思います.

……が,「まさかないだろうをやってしまうのが連盟」理論では,やらかしてしまいそうに見えるのがなんとも言えません.

momosukemomosuke 2017/01/03 14:43 akisaitoさんの見通しが聞けてよかったです。以下、いくつかコメントです。

○渡辺九段は竜王位を返上すべきとは思いますが、引退はしてほしくないです。相撲でも両横綱がいてこそ盛り上がるわけで、「羽生に対抗する渡辺」という図式はこの10数年将棋界を盛り上げてきました。1年くらい出場停止して、次年度からは復帰してほしいです。こればかりは何とも言えませんが・・

○訴訟という「伝家の宝刀」は抜かないところに意味があります。勝訴が目に見えているわけですから、「抜くぞ」と見せかけて最大の利益を獲得すればいいのです。ただ、akiさんのおっしゃる通り、今の執行部では最善手ではなく失着が続き、成り行きで抜かざるを得なくなることが十分予想されます。そうなるとwin-winの逆で、三浦九段も返り血を浴びることになり、この手には危険を伴うというわけです。

○米長前会長は相撲協会の不祥事をみて「横綱(朝青龍)を追放することは、いわば名人・竜王を追放することだ。それなのに理事長が責任を取らないなどとは考えられない。同じ伝統芸能として嘆かわしい」という趣旨のことを言っていました。まさか数年後に自分のところでそんなことが起こるとは予想していなかったでしょう。

○相撲協会も将棋連盟も共通しているのは、「外圧」に対して「内向きの組織」が適切に対応できなかったことにあります。外圧は相撲の場合は外国人力士、将棋の場合はコンピュータです。コンピュータに将棋で負ける前に、人間界の方が自滅、という感じです。これに、スポンサーの新聞業界とインターネット業界の盛衰も加わって、いよいよ難しい局面に至っているわけです。

以上、感想でした。

akisaitoakisaito 2017/01/04 17:35 >momosuke様

渡辺竜王が引退を考えているのではないかというのは、これまでの発言、また、週刊文春12月末の週刊文春からの印象です。この人、気に食わないなら辞めてしまいそうだなと。正直彼に、自分は悪いことをしたのだと理解させるのが一番大変な気がします。

あとは、竹俣女流の
> 一番恐いのは、人工知能の登場で人間の職が奪われることなんかより、
> 人間が人間の人生を奪うことだということがよくわかりました。

というコメントに、「内向きの組織」の問題点が見えているなぁというのが印象です。

tonbetonbe 2017/01/05 12:12 今回の冤罪事件についての冷静な分析と文章に惹かれて読ませていただきました。
渡辺竜王やその他の棋士についての人間観察についてもなるほどと思いました。
本当に棋士をやめて他の事業をしても成功しそうな感じです。
連盟の常務会が刷新されること、三浦九段の名誉ができる限り回復されることを願ってやみません。

akisaitoakisaito 2017/01/05 17:13 >tonbe様
組織の中に入ってしまうと,取り巻きを作って……となってしまう懸念があるタイプで,また,その人望は高い棋力に支えられている部分もありますので,もし他の仕事をするなら,将棋同様ある程度自力だけでできるようなものが望ましいのかもしれません.

全面的に外部理事だけで運営となると,棋士の気持ちがわからない組織になってしまい,それこそ「たかが棋士が」などという暴言が出てこないとも限りませんので,内部・外部のバランスが大事なのでしょう.

Dec 27, 2016 続・将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑 このエントリーを含むブックマーク

本記事は昨日の記事の続きになります.一応,これだけ読んでも現時点での状況は見えるとは思いますが,昨日のものから読んだ方がわかりやすいとは思います.どちらも長いですが.

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161226

また,続報もあります.

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161229

真面目な話の前に小噺を一つ.渡辺竜王から不正の疑いをかけられていたということについて,三浦九段,渡辺竜王からそういう人だと思われていたなんて…と仰っておりました.この会見,真面目に聞いていたんですが,ここだけ不謹慎ながらちょっと吹き出しそうになりました.10年以上前からそう思われてるのに気づいてないんかい!(質問三羽烏事件参照).いや,そんな時々ちょっと抜けてるけど,将棋の鬼・サムライの迫力を持つ三浦先生を敬愛しており,出場停止は悲しく,また将棋指す姿を見られるのは嬉しいんですよ.だからこそ,なるべく連盟等の立場も配慮して記事は書くように心がけています.

さて,昨日のブログから1日で,3つの大きな進展(と,1つの残念な訃報がありました.伊藤能六段です)がありました.特に28日に予定される週刊誌報道の件もありますので,もう少し待った方がいいのかなとも思いましたが,どうせ昨日の時点で途中経過で書いていますし,ほっといても余計長くなりますから.ということで,今日の話題に向けて繋ぎつつ,今書けることを書いてみようと思います.尚,渡辺竜王に関しては週刊誌の内容がわかるまで書くべきではないと考えますので,今回の稿からは基本的に除外しています.

本題の前にもう一つ,こちらはお断りですが,私は法律専門家ではないので,前の文章も,この文章も,今後書くかもしれない文章も法的な正しさは保証できません.今回の問題について,ある程度専門的な立場から言えることがあるとすれば,千田六段には悪意はなかったであろうということだけです.彼のような間違いは,データ解析の初心者に珍しいものではないです.データ解析は,同じデータに対しても,様々な分析アプローチがあり得,結果が変わってしまうことも珍しくないです.だからこそ,分析者に有利になるようなデータの操作は厳に慎まなければならないということは学術論文を書くレベルなら常識ですが,一般社会の常識ではありません.彼はそれを知らなかっただけだと思います.

もし悪意があったなら,分析結果の解釈だけ公表し,データや分析方法は公表しなければよかったのです.しかし,彼はデータも分析の仕方も公表しました.これは,彼の誠実さだと受け止められます.間違いがあったとしても,データや分析法をきちんと公開すれば,他の研究者(今回であれば西尾六段など)が間違いを見つけてくれることもあります.これは学問の世界の自浄作用として正しいことです.この場合,間違いを正した研究者が評価されるのは勿論ですが,たとえ誤りがあったとしても,それによって最初に発表した研究者(今回の千田六段)が,少なくとも人間的に批判されることは考えられません.彼の間違いがあったことで,議論が発展し,一致率はプロ棋士の不正判定に対してあまり意味を持たないという新たな発見があったのです.

まあ,研究者の言葉は論理的に厳密な分概してきついので,一見すると責められているように見えることが多いですが,実際のところ悪気はないことが多いです.と言うか,議論が大好きなだけです.ここで心が折れる人は,修士学会デビューくらいで研究職の道を諦めると聞きます.酷評三羽烏なんて言葉もありましたし,もしかして,将棋界も似たようなものかも知れませんね.基本的には,三浦九段を信じぬいた竹俣女流初段にしても,間違えてしまったにせよ,自分で考えてデータをまとめた千田六段にしても,若い人が自分で一所懸命考えて自分の意見を述べてくれることは嬉しいんです.

さて,正直なところ,前回の考察が高評価を頂いたのは私としては意外でした.と言うのも,私自身,結論が何なのか書いていてわからなかったからです.つまり,第三者委員会は有能と評価している.一方で,連盟の判断は妥当とは思えない.どっちだよ.ということです.これは,私としても考えをまとめるのに少し時間がかかりました.

連盟の判断の問題点は前回述べた通りです.それに対して,何故第三者委員会は有能であると感じたかが不十分でした.ここについて追記します.三浦九段は飽くまでも将棋連盟所属棋士であり,将棋連盟の中で,元の立場を取り戻し,不安なく将棋を指せる環境を取り戻すことが最大の望みです.そしてそれは,将棋連盟にとっての利益に必ずしも反する訳ではありません.つまり,三浦九段将棋連盟は,利益を共有こそすれ相反は本質的にしていないので,将棋連盟を完全屈服させ,重大なダメージを与えることは,三浦九段も望んでいないはずです.そのため,将棋連盟の顔を潰さず三浦九段の損害に対する回復を行うべきであるという,両者の損失を最少化させる提案した第三者委員会は求めらた立場を理解し,最良の落としどころを示したと言えます.その意味で有能です.

よって,論理的な正しさはさておき,今後の持って行き方は,この第三者委員会の判断をベースとするべきと考えます.ただ,もちろんそういう意味で有能なのだから,個々に見ると論理的に無理のある部分は否定できませんし,その意味で,三浦九段側からすれば,大人の対応として理解はできても納得できない部分が多いのは当然です.

……と,思っていたのですが,三浦九段の会見の結果,落としどころを調整することを彼らは選びませんでした.ただ,彼らの証言が真実だとするならば,落としどころを言える段階ではなく,全面的な反論になるのは仕方ないです.

三浦九段の会見は,以下の毎日新聞Facebookでの動画が見やすいでしょうか.

https://www.facebook.com/mainichishimbun/videos/vb.116564768383458/1407874382585817/

前回の記事で,私は処分が妥当であるという理由付けを4点に分けて整理検討しましたが,三浦九段の会見では,5点に分けて整理しています.よって,この5点から検討します.

  1. 処分当時疑惑が強く存在していた
  2. そのまま出場させることは大きな混乱が必至である
  3. 将棋連盟将棋界に対する信頼や権威が失われることが予想される
  4. 竜王戦が3日前で余裕がなかった
  5. 三浦九段が休場の申し出を行ったことを経て挑戦者交代に対する対応を行っており,三浦九段が休場を撤回した段階では後戻りできなかった

といったところです.その上で,連盟側が何か言っているかも確認します.連盟側の会見要旨は以下の通りです.

http://www.shogi.or.jp/news/2016/12/post_1492.html

ここで述べられていること,また,三浦九段記者会見で述べられていることを合わせてそれぞれについて検討したいと思います.

尚,三浦九段全面的連盟の措置が間違っているという立場であり,前回の記事のように,竜王戦はともかく他の棋戦だけでも出場の可能性を探るという立場は取っていないようでした.

1.処分当時疑惑が強く存在していた

この点について,三浦九段側は一部棋士から出た離席や指し手の一致率などが根拠であり,薄弱なものであった.これは疑惑ではなく,一部棋士の邪推に過ぎないと反論しています.

一方連盟側は,7月の関西の報告会での久保九段の発言が発端であり,その段階では真偽を確認することを怠り反省している.離席や一致率については当時は信頼のおけるデータと認識していた.正確な情報を入手すべきであった.と説明しています.

三浦九段の認識は,12月27日現在の認識としては正しいものです.ただ,問題は,10月11日にその判断が可能であったかということです.これは簡単ではなく,連盟にそうする能力がなかったのは事実であるようにも感じます.つまり,三浦九段側の見解は正しいが,正しい行動が出来なかったのを倫理的なレベルで責めるのは酷であるということです.

2.そのまま出場させることは大きな混乱が必至である

この点について三浦九段側は,金属探知機による検査は決まっており,不正が行われることはなく,そのまま出ても混乱は想定できなかったと反論しています.

一方連盟側は,「この時点で週刊誌に三浦九段に関する記事が掲載されることが確定的である、という重い事実がありました。渡辺―三浦戦で竜王戦の七番勝負を行い、第一局の一週間後に記事が出ることになりますと、大きな混乱を招くばかりでなく、竜王戦の中止という最悪の結果となる可能性もありました。」と述べています.

金属探知機があろうがなかろうが,疑惑の雑誌掲載による混乱は必至であるため,三浦九段側の反論は若干ずれているように思います.ただ,結局これだけの混乱になっています.週刊誌記事が掲載されるのが明らかなのだったら,週刊誌記事の掲載前に記者会見を開き,現時点で不正の証拠はない.また,金属探知機による検査を行うため,七番勝負で不正が行われることはあり得ないと発表しておけば,混乱は一番小さかったんじゃないかと結果論としては思います.

さらに,そもそもの話として,週刊誌への疑惑掲載を重要な問題点として挙げていましたが,実際に掲載されたのは,疑惑を提示した側への取材結果だったのですよね.ということは,訴えた側が自ら招いている訳で,メディアを通した処分の強要とも受け取ることができます.そのため,混乱の責任をだれに帰すべきかという点で疑問が多いです.

3.将棋連盟将棋界に対する信頼や権威が失われることが予想される

三浦九段側からは根拠薄弱な状況証拠から挑戦権を剥奪することの方が信頼,権威を傷つけたのではないか,実際,今に至るまで連盟は信頼を失っているとの反論があります.連盟側からの意見表明はありませんが,これは,三浦九段側の意見に疑問点はないと感じます.実際,信頼は大幅に失われました.これも,連盟側がそれを予期する能力を持っていたかという問題になるのですが.

4竜王戦が3日前で余裕がなかった

という点には,三浦九段側は七番勝負については金属探知機の検査が存在していたし,挑戦者決定戦において監視していたのであれば,調査の時間はあり,後付けの理由に過ぎない.と反論しています.連盟側の意見表明はありません.

これは,前回私が書いたことと同じです.あとは,当事者がその時点ではここまで考えるのは難しかったという意味で,悪意があったとまでは言えないのかも知れません.という点がどうかというところです.

5三浦九段が休場の申し出を行ったことを経て挑戦者交代に対する対応を行っており,三浦九段が休場を撤回した段階では後戻りできなかった

これまでの話など前座に過ぎず,この点が今回の本題でした.三浦九段側の反論は概ね以下の通りです.

  • 10月11日に不正行為を指摘され,竜王戦辞退,休場を要求された.
  • 拒否すると,竜王戦中止の連絡がその場に入ったと伝えられた.
  • 承知するかと三浦九段と渡辺竜王に問いかけがあり,両者承知した.
  • 連盟にとって大きな問題であるということで,休場届を出すことを求められ,それを踏まえ,その段階では仕方ないのかと認めた.
  • 後で考え直し,それは不正を認めたことになるのでできないと拒否した.

それに対して,連盟側としては,産経新聞の記事によると,質疑応答の中で,「連盟から三浦九段に『休場』を強要したことは間違いなく、ありません」と述べたと伝えられています.三浦九段側のコメントのどこまでが正しいかという質問ではありませんので,どこまでを連盟側が事実と考えているかはわかりません.

ここは,間違いなく言った,言わないの水掛け論になり,そして,証拠は決して出てきません.なので,どちらが正しいかの判断もするつもりはありません.一つ重要なのは,何故三浦九段側が今になってこの情報を提示したのかです.恐らく,疑惑の初期段階でこの情報を提示し,同じように言った言わないの論争になったら,疑われている三浦九段側は信じてもらえないだろうという認識があったのではないでしょうか.でも,三浦九段側の見解は概ね正しいと多くの人が感じている現在になってこの情報を提示すれば,それを否定する連盟側と,どちらがより信じてもらいやすいでしょうか?恐らく,両方読んだ結果,三浦九段側を信じた人が多かったのではないでしょうか?

それこそが,三浦九段側唯一の弱みである,休場を申し出たことに対する反論の,切り札を今切った狙いだったのだと思います.この判断は絶妙です.正直,こんな手の込んだことを朴訥な三浦九段ができるとは思えません.弁護士の良い助言だったのではないでしょうか.こんなことを言うと,三浦九段には指せない手だからカンニングだろうと言っているみたいですかね.

いずれにせよ,これは途中経過で結論は出せません.ただ,連盟側は,出場停止処分を取ったのは妥当であるという第三者委員会の結論が,処分に対するお墨付きではないことを理解しなければならないと思います.第三者委員会の言っていることは,前述のとおり,落としどころの提案,三浦九段への譲歩のお願いと理解すべきです.つまり,三浦九段と本気で争ったら,余程のことがない限り連盟側は勝てません.勿論,対外的には妥当であったと言わざるを得ないのはわかります.ただ,三浦九段に対する今後の補償を考える際には,その点を十分理解する必要があります.

さて,こんな感じで,感情を押し殺し,押し殺し書いてきたつもりなのですが,一回だけ,感情的にならせてください.谷川会長は,「丸山九段に繰り上がり挑戦者として七番勝負に出て頂いたおかげで、タイトル戦も無事終了致しました。」と発言されました.これを聞いたとき,正直頭に血が上りました.判断は正しかったとするためには,無事に終わったと言わざるを得ないのかも知れませんが,それにしてもちょっと受け入れかねる見解です.会長は,タイトル戦が本当に無事に終わったと思っているのでしょうか?竜王戦史上最悪とも言える汚点を残している自覚があるのでしょうか?読売新聞社の顔にどれだけ泥を塗っているのかわかっているのでしょうか?三浦九段が,どれだけこの竜王戦に懸けていたかわかっているのでしょうか?ファンが,どれだけやりきれない思いでこの竜王戦を見たのかわかっているのでしょうか?この発言だけはどうしても許せず,本当に悲しいです.

通りすがり通りすがり 2016/12/28 00:11 >週刊誌への疑惑掲載を重要な問題点として挙げていましたが,実際に掲載されたのは,
ここは議論の余地があるのでは。実際の記事から差し替えられたとも考えられますし、週刊誌と将棋業界の蜜月を背景とするならば、掲載を遅らせるかわりに取材に応じたとも捉えられます。真偽は不明でしょう。

常務理事会はなんなんですかね常務理事会はなんなんですかね 2016/12/28 00:35 仮に「悪意がなかった」(法律的な意味での「悪意」のことではないと思いますから「故意がなかった」という趣旨だと思いますが)としても、「過失がなかった」ことにはなりません。通常水準の常識があれば(そして顧問なり外部の法律家なりに相談しさえすれば)こんな愚かな意思決定が為されたとは思えませんから、将棋連盟は「悪意」ゆえにではなくとも「愚かさ」ゆえに、法的に(そして道徳的にも)非難されてしかるべきだと思います。しかも、最大限に連盟に気を使った第三者委員会の報告にすら不満を表明し、しかもマトモな地位補償すらしていない(順位戦での順位の重要性を知っているはずなのになぜ11位などという極めて不利な順位なのでしょう!)という非常識ぶりです。

akisaitoakisaito 2016/12/28 00:40 >通りすがり様
そうですね.確かに仰る通り,そこは私の議論に穴がありそうです.ただ,だとすると,疑惑の段階の三浦九段をここまで貶める記事の取材,記事掲載を認めたというのがちょっと怖いです.

akisaitoakisaito 2016/12/28 00:49 >常務理事会はなんなんですかね 様
勿論,連盟に罪ががないとは思っていません.ただ,その時点で本当に十分可能であったかと言われると,部分部分に切り分けて考えれば,一般論としてもそこまで簡単な判断ではなかったのじゃないかと思うところが複数見られるんじゃないかと感じています.自分がその立場でも,判断を誤っていた可能性は否定できないです.岡目八目で,当事者になると判断って難しいよなと思うところが多いです.

普通に書いてしまうと,私は三浦九段を全面的に応援する記事を書いてしまいます.なので,可能な限り連盟の立場を斟酌しようと努力しています.

ななしななし 2016/12/28 01:35 谷川会長の竜王戦無事終了発言は、私も本当にやるせない気持ちになりました。
挑戦者が決定するまでの一戦一戦に一喜一憂してきたファンの想いは一顧だにされないのだな…、と。

akisaitoakisaito 2016/12/28 06:46 >ななし様
そうですね.将棋連盟にとって,ファンというのは直接お金を落としてくれる存在ではないのかも知れませんが,それにしても,ファンの思いなんかどうでもいいのかなとやりきれなくなります.

名無名無 2016/12/28 10:11 初めまして。通りすがりの者です。
三浦九段の会見を見ていて涙が出ましたが
谷川会長の無事終了発言には別の意味の涙が出そうでした。
今回の件で一番ショックを受けた事柄かもしれません。
将棋を始めた頃に憧れた棋士の一人でしたので、余計にそう感じるのかもしれませんが。
スポンサーは大切な存在であるのは確かですが、ファンを疎かにし続けると
結果としていずれはスポンサーの信頼もなくしていくのでは、と考えてしまいます。

tactlesstactless 2016/12/28 13:59 まったく同感、同意見です。重大な人権侵害を客観的な根拠なく行ったという自覚が十分ないように思えます。正直、能力はなくて人間性の問題のような気さえしてきました。

不思議なのはスポンサー関係です。スポンサーがやり直しといえば当然やり直しでしょう。その辺意向を確認しての会見なのか、意向を確認することも思い至らないのかどちらなのでしょうか。また、対局者変更を行わない場合に竜王戦がストップになったかどうかも、専らスポンサー次第です。これも事前に意向を確認していたのか、そういうことも思い至らなかったか。

akisaitoakisaito 2016/12/28 19:21 >名無様
そうですね.ただ,私は,谷川会長自身が悪人だとは今でも思わないんです.彼は,彼なりに組織を守ろうと必死なんだと思います.しかしそれが,人を傷つけ,そして,傷つけていることに無自覚になってしまっている.実はこれは,組織と人との関係において珍しいことではありません.彼には,今の立場から早めに退いてもらって,元の一個人として活躍して頂きたいというのが願いです.

akisaitoakisaito 2016/12/28 19:23 >tactless
彼らは,組織を守るために仕方なかったと信じているのだと思います.
また,スポンサーについては,初期段階での三浦九段クロを決めつけた状態で説明してしまい,混乱を拡大させてしまったのだろうと想像しています.

tactless tactless 2016/12/29 00:25 また少し長いコメントで申し訳ありません。スポンサー関係、最初はそうなのかもしれませんね。しかし今なら再戦実施をスポンサーにお願いすることはできるはずでそれをしていないなら名誉回復を図ると言ってもまさに口だけ反省、能力でなくて人間性の問題と思う理由です。したけれどもスポンサーが拒否、拒否されたことは守秘義務があるので言えない、という事情があれば別ですが,そういうわけでは多分ないでしょう。金銭賠償の具体的な提案もされてないですし、それをしないで誠実な対応とは言えないと思います。賠償には原資が必要ですが原資の一部にするためにもまず問題のあった理事は理事の報酬全額返上すべきだと思います。

akisaitoakisaito 2016/12/29 14:14 >tactless 様
勿論誠実な対応ではないです.また,再戦をお願いすることはできるのでしょうが,それに関しては,連盟側の会見を受け取る限り,

挑戦者交代は妥当である→渡辺竜王と丸山九段により竜王戦は「無事」に終了した

という論理の流れになっていますから,もう一回というのは全く考えていないでしょう.また,反省と言っても,第三者委員会からお墨付きをもらったと思いこんでいる様子ですから,交代したことそのものは今でも正しかったと考えているのだと思います.

繰り返しになりますが,彼らはお墨付きをもらったと思っていますので,補償にしたとろで,補償してあげるという立ち位置なんだと思います.それが誠実か,と言われると一個人としては誠実じゃないと確信しますが,彼らには,そうしなければ組織が守れないという,彼らなりの善意があるのだろうなというのがあるので,彼ら個々人を人間として断罪できるのかと言われると悩ましいです.

TakaTaka 2016/12/29 16:13 千田さんの調査については、一致率が60-70%と出る可能性もあり、その場合には疑惑を否定する有効な反対証拠になりえたと思います。

運悪く、三浦九段が絶好調で、勝局の勝負どころについて立て続けに一致率90-95%でたということですが、
これを疑惑を強める積極証拠と解釈したのが誤りで、
中立証拠というか意味なしと判断要素から除外するべきでした。

akisaitoakisaito 2016/12/29 18:02 >Taka様
一致率については,今となっては議論になっていないところですが,意思決定を行った時点でそれが除外するべきであると理解されていなかったのが悲劇であるということかと思います.

アユアユ 2016/12/29 19:55 根本的な疑問なんだけど。

週刊誌の取材に応じて好き勝手な発言してるのは処分対象じゃないのか?
その部分からしておかしいよな。

akisaitoakisaito 2016/12/29 21:21 >アユ様
ここについては,12月29日に考察しておりますが,可能性としては,週刊誌への発言は連盟の意向に反していないということも考えられます.少なくとも10月20日の週刊文春については,三浦九段の処分に対する正当性を示すものとなっており,連盟の意向に沿ったものです.

takataka 2016/12/30 22:09 三浦九段九段には非常に酷な話だと思いますが、
連盟は本件の処理にある意味成功したと思います。
確かに三浦九段は傷つき、将棋界は混乱し、連盟理事は非難に晒されています。

でも、プロ棋士間では不正が横行しているが連盟は疑惑に甘く調査せずに蓋をしようとしている、連盟は八百長棋士をタイトル戦に出している、という非難だけはありません。

もしそうなっていたら悪魔の証明を連盟が強いられることになっていました。
そのようなプロ将棋の価値自体に疑いを掛けられることに比べれば、理事に対する処分やりすぎの批判は全然マシです。理事すげ替えれば済む話です。

滅び行く連盟が最も恐れた非難と混乱を避けえたのですから、本件はやむを得ない流れと言えるのでは無いでしょうか。

akisaitoakisaito 2016/12/31 18:51 >taka様
基本的には,連盟側はそういった発想で動いていた.ということなのでしょう.チェスの世界で何が起こっているのか知っている棋士も多かったでしょうに,不正対策など何もやってこなかったのですから.

ただまあ,危惧されたような非難が発生したとしても,今回については簡単に否定できたのですよね.あとは,それを踏まえて不正対策をしっかりすれば,問題の火は消せたと思います.そういう意味では,私はやはり,連盟は間違ったと思っています.

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