Wasted Time このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2003 | 12 |
2004 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 08 |
2007 | 02 | 06 | 11 | 12 |
2010 | 02 | 04 | 05 | 06 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 05 |
2015 | 05 |
2016 | 12 |
2017 | 02 |

Dec 29, 2016 将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑(結) このエントリーを含むブックマーク

将棋連盟 常務会各位

拝啓

霜寒の候,貴連盟におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます.また,常務会諸先生方のご活躍心よりお慶び申し上げます.

さて,この度は,竜王戦に関する諸問題につきまして,大変なご苦労をされたとお察し致します.恐らくは,自分たちが連盟を守らねばならぬと身を張って悪役を演じられたのではないかと推察致します.将棋界をどうしても守りたい.そのためには,将棋連盟をどうしても守らねばならぬ.そして,将棋連盟は自分たち常務会が守っているのだという責任感ゆえの様々な行動であったのではないかとお察し致します.

しかし,ご安心ください.常務会がなくなっても将棋連盟はなくなりませんし,仮に将棋連盟がなくなったとしても,将棋界は変わらずあり続けます.故・原田泰夫先生も「界・道・盟」と仰られたではないですか.最も大事なのは,プロアマ問わない将棋界そのもので,その下に守るべき将棋道があって,将棋連盟というのはその下に過ぎないのだと.

諸先生方におかれましては,どうぞ,身の丈を越えたお仕事からは御身を引いて頂き,必要とされる能力を持ち,また,将棋連盟ではなく将棋界への愛を持つ方々にその道をお譲り頂き,本来の道でご活躍頂けますようお願い申し上げます.

末筆ではございますが,新年の上州将棋祭り2017が,文字通り無事に執り行われますことを,心より,心よりお祈り申し上げます.

敬具

*この記事は,続き物となっています.以下の2つを順に読んで頂くと,内容が理解しやすいかと思います.

将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161226

続・将棋スマホカンニング疑惑並びに竜王戦挑戦者変更強要疑惑

http://d.hatena.ne.jp/akisaito/20161227

この問題が起こったとき,最初に感じたのは「よりによって三浦九段が?」でした.失礼ながら,三浦九段コンピュータを自由自在に操りカンニングしている絵が想像できなかったのです.ただ,翌日の橋本八段の(経営する将棋Barのスタッフが橋本八段の名前で行った)Tweetなどで,どうやら将棋界では誰もが否定できない問題なのかと感じました.ただ,伊藤英紀氏との裁判が頭をよぎり,こういうときに,まさかそんなことはしないだろうということをやってしまうのが連盟なんじゃないか.という不安が強くありました.結果的には,そのまさかだった訳で.

さて,この問題について記事を書くのはこれで3回目になりますが,そろそろ結論が見えてきたようです.現在,それなりに疑問点として残っているのは,概ね以下の5点であると考えます.それぞれについて,可能な限り検討します.特に前半三点は,事実を知るのは不可能ですので,推測にとどめたいと思います.

  1. 読売新聞は加害者か被害者か
  2. 渡辺竜王が自ら週刊文春にリークしたのか
  3. 三浦九段は自ら休場を申し出たのか
  4. 三浦九段への補償はどうするべきか
  5. 渡辺竜王,久保九段,橋本八段,千田六段,常務会関係者は処分を受けるべきか

1.読売新聞は加害者か被害者か

この件について,読売新聞社の顔に泥を塗ったという話を書いていましたし,こんな竜王戦でこんな不祥事,読売新聞社は許してくれるのかというような書き方もしてきました.その中で,読売新聞社は寧ろ将棋連盟と共に三浦九段への加害者じゃないかという指摘をいくつか受けました.その点について考えます.

私は,最初から読売新聞社がこの問題に,積極的に関与している可能性は考えていませんでした.読売新聞社がこの問題に主体的に関わっていた場合,このような流れになることは想像できないからです.私は巨人ファンであり,その立場から読売新聞社をよく見ています,その感想として,読売新聞社は,危機管理能力において良くも悪くも日本屈指の会社であると考えています.巨人にしても読売新聞社にしても様々な問題を起こしていますが,火消しに関しては毎度的確です.

もし読売新聞社将棋連盟と完全に情報を共有していたならば,この措置が無理筋であることはすぐにわかりますから,こうはならなかったと思います.恐らくは,三浦九段が不正を行ったという前提の情報のみを受け取り,そこから挑戦者交代を認めたのであろうと推測します.ただ,この点については,連盟読売新聞社も背景を話さないでしょうから,どちら側に立っても推測にしかならないと思います.

最近の報道において,連盟寄りに見える見出し作りを行っている背景には,タイトル戦だけで6000万円近いお金を出して,全力で権威づけしている立場から,タイトル戦の成立に対する疑義に繋がるような印象を持たれたくないためと考えられます.その意味では,三浦九段の希望通り再戦となる可能性はまずないです.

2.渡辺竜王が自ら週刊文春にリークしたのか

この問題は,渡辺竜王が挑戦者変更を強要したのかともつながってきます.今週の週刊文春で,渡辺竜王から記者に,10月8日にメールが送られたという記事が掲載されました.この点について渡辺竜王側からのコメントはまだありませんが,メールの証拠能力はかなり高いものがあり,また,この点で週刊文春側にねつ造を行うメリットは見えませんので,この点で週刊文春側がねつ造を行っている可能性はあまり高くないと思います(まあ,羽生三冠が島九段に送ったメールは,結局シロクロどちらに近い内容だったのかといった問題もありますが).これをもって,そもそもこの問題は,渡辺竜王週刊文春にリークしたことが一つの始まりなのだという説が出ています.この点は時系列を考慮する必要があります.

大雑把に言えば,文春の記事掲載にかかわる時系列は以下の通りです.

渡辺竜王が最初に週刊文春に働きかけたと思われるのは遅くとも10月8日です.また,渡辺竜王週刊誌に情報が載せられる可能性を知ったのは10月上旬とブログ説明していますので,時期として一致します.よって,それ以降の内容については,渡辺竜王がある程度主体的に情報を示した可能性があります.そうすると,10月10〜11日の大きな動きについては,渡辺竜王が情報を流出させた可能性は否定できなくなります.つまり,渡辺竜王が文春に情報を流し,雑誌に掲載されると危機感を煽り処分を求めたという流れです.これで,一応の筋は通ります.

ただし,疑問もあります.8月後半の段階で連盟理事が三浦九段を監視している訳ですから,週刊文春側は,10月8日以前にこの情報を得ていた可能性も否定できません.同誌には,渡辺竜王のみならず,久保九段も実名でコメントをしています.久保九段内部告発者であり,普通であれば身元は隠されますが,この段階で名前が出ています.渡辺竜王がすべて主体的に行ったと考えると,このあたりが少し解せなくなります.

これらを踏まえると,どちらからかは不明ですが,渡辺竜王週刊文春記者が,三浦九段不正疑惑の件で接触.渡辺竜王,それを踏まえて,常務会に危機感を煽る.処分決定,将棋連盟側として,処分の正当性を強調するために,情報のコントロールとして週刊文春に実名でのインタビュー掲載を認める.という流れが見えなくもないです.ただここは,正確なことは言えそうにないです.

3.三浦九段は自ら休場を申し出たのか

ここは,三浦九段側と将棋連盟側の意見が食い違っています.三浦九段側は,竜王戦中止と告げられ,これは重大な問題であるとして休場を求められ応じたと述べています.一方連盟側は,休場を求めたことはないと述べています.この点は,前回述べた通り,どちらが正しいか明らかになることはないと考えます.ただ実は,どちらが正しいとしても,結論はあまり変わりません.

まず,三浦九段側が正しい場合の話は簡単です.常務会側の悪質な,犯罪とも言える行為です.では,連盟側が正しいとしたらどうでしょうか.そうすると,三浦九段の行動は以下の流れとなります.

常務会に呼び出される→不正疑惑について問いただされる→(   )→休場を申し出る

さて,カッコの中身はどうなるでしょうか?これは勿論,直接は知りようありませんので,状況から推理していきます.この問題を検討するにあたってわかっている,連盟側も認めている主要な情報は以下の通りです.

  • 三浦九段はその時点で竜王戦の挑戦者であり,竜王戦は3日後から開催の予定である(中止という話はない).
  • 三浦九段は,後にNHKのインタビューで「竜王戦将棋界最高峰の棋戦で挑戦するだけで大変な名誉だ.辞退するわけがない」と述べている.
  • 三浦九段が不正行為を行った可能性はほぼない.
  • 九段「休場届を強要したという事実は,まったくない」(朝日新聞より)
  • 青野九段連盟から三浦九段に『休場』を強要したことは間違いなく,ありません」(産経新聞より)

必死になってたどり着いた人生最大級の晴れ舞台があります.それに,不正があったとケチをつけられています.しかし,自分に不正を行った覚えは全くありません.さて,どんな話の流れになったら休場しますという発言が出てくるのでしょうか?この問題は,身に覚えのない事件で逮捕され,取り調べを受けました.どんな話の流れになったら自分はやりましたと嘘の自白をするでしょうか?という問題と置き換えても大体同じ結論が得られます.

ここで興味深いのは,島九段と青野九段が,ほぼ同じように休場の強要について極端に強く否定している点です.他のところと比べても,この部分については自信を持っていることが伺われます.一方で島九段は,常務会の時点でクロと決めつける空気があったことを認めています.つまり,このまま三浦九段竜王戦に出すことは困難であると認識しています.よって,三浦九段を挑戦者から外す結論が得られなければ,常務会は終えられないと考えていたことになります.この状態で,2か月半も前の常務会について,休場を強要するような事実が一切ないと,ここまで強く否定できるのはなぜでしょうか.簡単です.休場を,常務会側からではなく,三浦九段の口から引き出さなければならないという共通理解が常務会側に存在していたということです.何故なら,不正を行った証拠がないのですから,そうしないと挑戦者を交代させられません.そして,冷静であれば絶対に言わない「休場」という言葉を三浦九段から引き出した訳です.

仮に,三浦九段が自ら休場を申し出たとするならば,その事実そのものが,常務会において三浦九段がどれだけ精神的に追い詰められていたかを示す状況証拠となりうる訳です.自白を元に容疑者が起訴された事件で,後に無罪が証明されたというケースは珍しくありません.その際,確実に起こるのは,不正捜査による自白の強要があったという訴えです.中立的かつ正当に取り調べが行われれば,通常の状況で無実の人が自白する訳はありません.この問題と置き換えるとわかりやすいのではないでしょうか.

もう一つの可能性としてあるのは,「こういう状態では竜王戦は指せない.事態が収束してから集中して指したい」と三浦九段が述べたという,中川八段の証言です.2か月半も前の話で,一字一句正確ではないでしょうから,これは,休場の意向ではないと受け取ることもできます.つまり,三浦九段は,「こういう状態では竜王戦は指せない.(きちんと調べて無実を証明し)事態が収束してから(竜王戦七番勝負を)集中して指したい」と言ったという可能性です.これは,三浦九段がわかりにくい言い方をした可能性もありますし,常務会側が曲解した可能性もあります.まあ,三浦九段の言い方がわかりにくい場合,通常であれば「それは休場の意思表示ということでいいですね?」と聞くでしょうから,このケースの場合は都合良く解釈した可能性が高いでしょう.それはそれで酷い話なのですが,強要に比べればまだましです.

4.三浦九段への補償はどうするべきか

これは非常に難しいです.アスリートや芸術家と同じで,2か月半もトレーニングや実戦から離れたことによる被害は計り知れず,また,現在彼の立場は,渡辺竜王や佐藤名人,羽生三冠にだって不正の可能性はある,それと同程度に三浦九段が不正を行った可能性もあるというレベルです.にも拘わらず,いまだに疑惑を強く持っている人は,特に将棋界から遠い所で少なくありません.さらに,名誉棄損とも取れる発言をした人も少なくありません.

その上,王位戦の不戦をどう扱うのか,名人戦の残りカードも不戦,来年度順位A級11位は適切なのか,竜王戦で一組一回戦から再度挑戦しなおすというのは正しいのか.さらに,竜王戦で得られるはずであった栄誉と賞金に対する補償をどう考えるのか.ちょっと考えただけでも,検討すべき問題はこれだけあります.三浦九段弁護士費用だって連盟負担であるべきという考えはあり得ます.おそらく,まだ出てくることはあるでしょう.

ただ言えることは,この問題を,本気で誠実に金銭で補償しようとしたら,タイトル戦にある程度定期的に出場する一流棋士の,これから残り20〜30年は続くであろう将棋人生そのものに対する補償になると理解する必要があるということです.

5.渡辺竜王,久保九段,橋本八段,千田六段,常務会関係者は処分を受けるべきか

まず原則として,疑惑を告発した人が裁かれるべきとは考えません.ここで言うと,久保九段と,データを提示し,結果誤った千田六段への処分というのは適切ではないです.疑惑があるなら疑惑として調べて,問題ないなら問題ないでいいのです.それが安心できる社会です.

橋本八段は,やはりマスメディアでの質問にもあった通りで,スタッフがやりました.は誰も信じなかったようです.それはそうですよね.内容が,棋士としての発言でしたから.スタッフにプロ棋士がいれば別ですが,将棋Barにプロ棋士は一人しかいないのであれば,やはり橋本八段が責任を問われるのは当然です.さらに言えば,スタッフの不適切な発言であったとしても,それに対して謝罪する必要が,代表者である橋本八段にはありました.十分に名誉棄損が成立すると思われます.

渡辺竜王は難しいです.週刊文春へのインタビューが連盟意向に沿っていたか否かで,連盟側の判断は変わってきます.意向に沿ったインタビューだとしたら,連盟としては裁けないでしょう.ただ,社会的にはかなり強い制裁を受けるのは間違いないです.たとえば,解説等に呼ばれることはかなり難しくなり,特に,ニコニコ動画のようなネットでの活動には致命的なダメージを負っています.ただ,彼の行為が名誉棄損に該当するのかはわかりません.

連盟常務理事については,三浦九段に対する措置はやむを得ないという第三者委員会の判断を受けてお咎めなしという形式になるでしょう.自主的に報酬カットを打ち出していますが,これは,求められている以上のことをやっているという立場を取っています.ただ,最早彼らには組織運営上の能力がないことは明らかです.自主的に身を引き,経営,法律の専門的知識を持っている人を中心に,外部の常識を持った人をそろえた組織とするべきです.

さて,最後になりますが,心理学の世界ではこんな有名な実験があります.スタンレー・ミルグラムという心理学者は,被験者に対して,「隣の部屋にいる人が問題に間違えたら,罰として電流を流すボタンを押してください」と依頼しました.最初は弱い電流ですが,徐々に強くなり,最終的には死んでしまうくらいの強さになります(実際には電流は流さず,隣の部屋にいる人は電流を流された演技をします).さて,被験者は,どこまで実験に参加し続けるでしょうか.という実験です.結果は,実験条件にもよりますが,2/3の被験者は最後,死んでしまう強さまで電流を流し続けました.この実験結果は,「服従の心理」という本にまとめられています.この実験が示すのは,普通の人であっても,与えられた役割を演じることで,人を殺してしまうことすらあるということです.

また,ミルグラムの高校時代の同級生に,フィリップ・ジンバルドーという心理学者がいます.この人は,被験者を集め,ランダムに監獄の囚人役と看守訳に割り振った上で,模擬監獄で共同生活を行うという実験を行いました.その結果,看守が囚人をいじめ始めるなどトラブルが続出し,実験は途中で中止になりました.こちらは,「es」というタイトルで何回か映画化されています.この実験もまた,人の,役割を与えられることによって,その役割に過剰なまでに適応しようとしてしまうという特性を明らかにしています.

連盟常務会の人々の会見内容,これまでの様子を見て,これらの実験を思い出しました.彼らは,理事という立場を必死に演じることで,これらの実験の被験者のようになってしまったのかなと感じる次第です.

アユアユ 2016/12/29 22:55 告発結果には責任は無いとは思うのですが、告発内容については責任があると思います。

例えば「○○してたから」あの人は怪しいと告発したとします。

調べた結果怪しく無かったです。これは告発者は罰せられるべきじゃないでしょう。
ただし、調べた結果は、○○していた事実がなかったとなったら告発者は罰せられるべきでしょう。

今回の問題はここじゃないのでしょうか?

akisaitoakisaito 2016/12/30 08:10 >アユ様
それが虚偽なら罰せられるべきと思います.ただ,今回の場合は勘違いの可能性が高いです.久保九段戦の三浦九段は,離席時間が長かったこと自体は事実のようですので(この件については,以前,この日の三浦九段は体調不良で,体を休めるために離席が多かったという話があったように記憶しています).その件と,誰が言い出したかわからない「三浦九段はカンニングしている」という噂が久保九段の中で重なり,誤った記憶による告発になったと推測します.

勿論,結果的に誤った告発をしてしまった訳ですから,久保九段は三浦九段に謝罪するべきだとは思います.

ただ,誤った告発にまで罰を求めていたら,その誤りを恐れて疑念を持っても告発が出来なくなってしまうという事態が想像できます.そちらの方がより不健全と考えます.

FANTAN007FANTAN007 2016/12/30 08:55 勝負事での告発に関して、現代では性善説で判断するのは無理があると感じます。残念ですが、謝罪だけで済むのなら、悪用する人がでるのは必定の時代になっています。この方がむしろ問題が大きいでしょう。

akisaitoakisaito 2016/12/30 09:27 >FANTAN007 様
勿論,虚偽の告発なら罰せられるべきと考えます.ただ,今回に関しては,勘違い,思い込みの要素もかなりあると思います.映像が残っているのはわかっていたにも関わらず,久保九段も連盟理事も誰もチェックしていなかったというのは,まさかそこで間違いがあるとは思っていなかったということだと思います.

また,謝罪だけで済んでは……という点については,告発=ほぼクロという前提を変える必要がある気がします.告発という言葉が強いのかも知れませんね.たとえば,不正に関する調査依頼として,気になるなら調べてもらえばいい.それは自由である.そして,問題があったら告発できる.というようなシステム作りでしょうか.

tactlesstactless 2016/12/30 11:54 多分大きなコメントはこれが最後になると思います。

読売の危機管理能力

危機管理能力にも、直すべき点は早めに直し、トラブルの解決を通してかえって信頼を高めるというもの、政治力・経済力その他を利用して情報の拡散を防止するというもの、その他いろいろあると思います。(どちらの意味で使っておられます?)私、本来的な危機管理能力は前者のほうで、今回のような明らかな間違いは認めてやり直したほうが竜王のブランド(ひいては読売の評判)は維持できると思います。(メディアの取り上げ方次第になる事も多いので、なかなかそうできないのが実情ではあると思いますが。)再戦がなされないと、現在竜王とされている人や将来その人からタイトルを取った人を、正当性に欠ける偽の竜王と考える人はたくさんいるでしょう。やり直しをすれば一時はいろいろあるでしょうが将来には悪い影響残しません。

執行部の中で、誰の責任がより重いか

昨日のコメントとも関係しますが、黒と思って処分に賛成した人と、白黒わからないが組織防衛のために処分に賛成した人と、どちらがより問題でしょうか。名誉棄損は刑法上の犯罪です。白黒わからないという認識で組織防衛のために処分に賛成したと人は、組織防衛のためなら犯罪を犯してもかまわないと考えていたことになると思います。細かな議論は省略しますが黒と思いこんで処分に賛成した場合でも刑法上の名誉棄損は成立する(し得る)のですが、法律論を離れると、黒だと信じ込んでいた人は犯罪を行っている意識はなかったのではないかなと思います。(クロだと信じ込むこと自体が人を見る目が皆無であるとかあまりに猜疑心が強いとか別の意味で人間性の問題があるのかもしれませんがそれは別の問題として。)

お付き合いいただきありがとうございました。akisatoさんの論理とお気持ちとが連盟に届くといいのですが。

momosukemomosuke 2016/12/30 23:21 冷静な分析と考察、大変興味深く読ませていただきました。

 こうした問題が起きたときに大切なことは「現状回復」だと考えます。三浦九段は依然として「第29期竜王戦挑戦者」の資格がある、と判断すべきではないでしょうか。従って、出来うる限り竜王戦をやり直すことが求められるます。原因を作った渡辺九段は竜王位を返還する、ないしは主催者が第29期竜王戦七番勝負そのものを無効とする。改めて、渡辺九段と三浦九段が対戦するのがよいでしょう。
 もし渡辺九段が辞退するようであれば、三浦九段と丸山九段とで第29期の竜王を争うようにすればよいのです。読売新聞社にどれだけ落ち度があったかは不明ですが、原因は将棋連盟の側にありますから、原則タイトル料などのかかる費用は連盟の負担とします。場所は将棋連盟で行い、静かに対局できる条件を整える。この辺が落とし所と思われますが、いかがでしょうか。

 そうしないと、渡辺竜王にはいつまでも「虚偽の竜王」という汚名がつきまとい、竜王戦自体の権威も失墜してしまいます。今でも権威は落ちていますが、最小限にとどめるにはこれしかないのではないかと考えます。

akisaitoakisaito 2016/12/31 18:38 >tactless 様
読売の危機管理能力についてですが,これは,良くも悪くもという書き方にも現れている通り,基本的に半分以上皮肉で言っていますので,どちらかと言えば後者の要素が強いです.さらに言うと,情報を統制するにしてもどこかしらで失敗するケースが多いのですが,それが少ないように見えるという意味で,危機管理能力は高いと理解しています.

私も,やり直しできればいいのにというのは思うのですが,ここからがちょっとやっかいなところで,tactless様も含めて将棋をしっかり見ている人にとってはその通りです.しかし,そうではない人にとってみると,このままの状態というのは,将棋連盟が問題起こしたらしいね.三浦って人は,怪しいんだけど証拠は出なかったみたいだね.で終わります.再戦した場合,将棋ファンからはかなり評価されると思います.しかし一方で,そうなると,10月の段階で挑戦者交代を認めた「読売も間違った」ということになってしまいます.読売新聞社は,これを嫌うと思います.となると,三浦九段の原状回復を求める声が,将棋ファンの範囲を超える必要が出てくるのかなと思います.

執行部の中で、誰の責任がより重いか

これは,実に興味深い問題提起です.私は,こういった点について,人間というのは極めていい加減であるという立場をとっています.つまり,処分に賛成した人のうち,「黒と信じて賛成した人」と「白黒わからないが組織防衛のために処分に賛成した人」というよりは,「黒と信じて賛成した人」と「組織防衛のために処分が必要だから,黒と信じた人」とがいるのではないかと思っています.大雑把に言ってしまえば,これは処分しないわけにはいかないよな……というか,これだけの情報がそろっていて,みんな黒だと確信しているし,きっと黒で間違いないんだよね.という感じで,経緯はともかく,全員黒と信じているという意味では変わらない.というパターンを考えています.

こちらこそ,興味深い問題提起等々ありがとうございます.これを機に,少しでも将棋界のための将棋連盟となってくれることを望みたいです.

akisaitoakisaito 2016/12/31 18:42 >momosuke様
コメントありがとうございます.上にもコメントとして書いた通りなのですが,竜王戦の再戦には,厄介なハードルがあると考えています.

再戦しない場合には,将棋ファンは釈然としない思いで見ます.しかし,批判の的は基本的に連盟で,部分的に読売新聞社にも批判が行く可能性があるという感じです.また,将棋に興味のない人,そこまで熱心なファンではない人にとっては,将棋連盟が問題起こしたらしいね.三浦って人は,怪しいんだけど証拠は出なかったみたいだね.で終わります.

一方再戦した場合は,将棋ファンからはかなり評価されると思います.しかし一方で,そうなると,10月の段階で挑戦者交代を認めた「読売も間違った」ということになってしまいます.読売新聞社は,これを嫌うと思います.となると,三浦九段の原状回復を求める声が,将棋ファンの範囲を超える必要が出てくるのかなと思います.

momosukemomosuke 2017/01/01 23:25 akisaitoさん、ていねいなレスありがとうございます。

確かに再戦には高いハードルがあるとは思います。ただ、可能性としては3つくらいのケースがありえます。

1.渡辺竜王が自主返上する
 将棋ファンは9割方、三浦九段を支持しています。「暫定竜王」「黒竜王」などと言われ続けるよりも、自ら返上する(あるいは圧力に抗しきれずに返上する)方がましだと考えることは十分ありえます。この場合、渡辺九段抜きで再戦となるか、空位となります。

2.読売新聞がある程度否を認めて、竜王戦をやり直す。あるいは30期との間に特別に29.5期竜王戦を挟む。この対戦は渡辺竜王対三浦九段となります。ただ、理由づけが難しいので、可能性は確かに低そうですね。
 今ネットで見る限り「渡辺=黒」→「渡辺竜王=黒」ですので、竜王位に渡辺九段が止まる限り、竜王戦の権威は落ち続けます。このことを読売新聞がどう判断するか?

3.三浦九段が「第29期竜王戦挑戦者の地位確認訴訟」を起こす。1は渡辺氏の意思次第、2は読売新聞の判断次第ですが、3はより確実に再戦する方法です。三浦九段は間違いなく勝訴するでしょう。挑戦者の地位が法的に確認されれば、再戦とならざるを得ません。あるいは、訴訟された段階で読売と将棋連盟に何らかの動きが出てくることでしょう。
 ただ、三浦九段は今後ずっと将棋連盟にとどまるつもりでしょうから、連盟に対して訴訟を起こすかどうかは難しい判断です。

以上の3ケースが考えられます。私は、1か3により、再戦が行われる可能性は低くはないと考えています。

akisaitoakisaito 2017/01/02 17:03 >momosuke様
コメントありがとうございます.1と3は確かに実現性があると思います.どちらかと言えば,1の方は現実的な可能性として低くないと見ます.渡辺竜王は,これはあくまでも行動からの推測にすぎませんが,引退の可能性すら考えているように見えます.彼自身の発言から,棋士であることへのこだわりをあまり感じないのです.

逆に言うと,彼自身は自分は正しいと思っていますから,返上はするけど引退はしないというのは考えづらいとみています.

3については,もちろん三浦九段側次第ですが,2番目の記事で書いた通り,また,momosuke様も仰る通りで,彼の希望は将棋連盟の中で棋士として続けることですから,裁判で勝訴して連盟を叩き潰すような方法は,連盟が余程頑なな対応をしなければないと思います.

……が,「まさかないだろうをやってしまうのが連盟」理論では,やらかしてしまいそうに見えるのがなんとも言えません.

momosukemomosuke 2017/01/03 14:43 akisaitoさんの見通しが聞けてよかったです。以下、いくつかコメントです。

○渡辺九段は竜王位を返上すべきとは思いますが、引退はしてほしくないです。相撲でも両横綱がいてこそ盛り上がるわけで、「羽生に対抗する渡辺」という図式はこの10数年将棋界を盛り上げてきました。1年くらい出場停止して、次年度からは復帰してほしいです。こればかりは何とも言えませんが・・

○訴訟という「伝家の宝刀」は抜かないところに意味があります。勝訴が目に見えているわけですから、「抜くぞ」と見せかけて最大の利益を獲得すればいいのです。ただ、akiさんのおっしゃる通り、今の執行部では最善手ではなく失着が続き、成り行きで抜かざるを得なくなることが十分予想されます。そうなるとwin-winの逆で、三浦九段も返り血を浴びることになり、この手には危険を伴うというわけです。

○米長前会長は相撲協会の不祥事をみて「横綱(朝青龍)を追放することは、いわば名人・竜王を追放することだ。それなのに理事長が責任を取らないなどとは考えられない。同じ伝統芸能として嘆かわしい」という趣旨のことを言っていました。まさか数年後に自分のところでそんなことが起こるとは予想していなかったでしょう。

○相撲協会も将棋連盟も共通しているのは、「外圧」に対して「内向きの組織」が適切に対応できなかったことにあります。外圧は相撲の場合は外国人力士、将棋の場合はコンピュータです。コンピュータに将棋で負ける前に、人間界の方が自滅、という感じです。これに、スポンサーの新聞業界とインターネット業界の盛衰も加わって、いよいよ難しい局面に至っているわけです。

以上、感想でした。

akisaitoakisaito 2017/01/04 17:35 >momosuke様

渡辺竜王が引退を考えているのではないかというのは、これまでの発言、また、週刊文春12月末の週刊文春からの印象です。この人、気に食わないなら辞めてしまいそうだなと。正直彼に、自分は悪いことをしたのだと理解させるのが一番大変な気がします。

あとは、竹俣女流の
> 一番恐いのは、人工知能の登場で人間の職が奪われることなんかより、
> 人間が人間の人生を奪うことだということがよくわかりました。

というコメントに、「内向きの組織」の問題点が見えているなぁというのが印象です。

tonbetonbe 2017/01/05 12:12 今回の冤罪事件についての冷静な分析と文章に惹かれて読ませていただきました。
渡辺竜王やその他の棋士についての人間観察についてもなるほどと思いました。
本当に棋士をやめて他の事業をしても成功しそうな感じです。
連盟の常務会が刷新されること、三浦九段の名誉ができる限り回復されることを願ってやみません。

akisaitoakisaito 2017/01/05 17:13 >tonbe様
組織の中に入ってしまうと,取り巻きを作って……となってしまう懸念があるタイプで,また,その人望は高い棋力に支えられている部分もありますので,もし他の仕事をするなら,将棋同様ある程度自力だけでできるようなものが望ましいのかもしれません.

全面的に外部理事だけで運営となると,棋士の気持ちがわからない組織になってしまい,それこそ「たかが棋士が」などという暴言が出てこないとも限りませんので,内部・外部のバランスが大事なのでしょう.