Hatena::ブログ(Diary)

≪秋津星ナムルのブログ≫

2013-01-19

キッチュ3,5号の「トラワノレヒト」(斎藤なずな)感想と見た映画など

キッチュ3,5号「トラワノレヒト」(斎藤なずな)読んだ…すごい、すごすぎる!!正直故に娘や息子と、うちとけられずに死にゆくお婆さん。彼女は自身をアウンサンスーチーになぞらえる。人は死ぬ間際に何を思うのか?理不尽な現実を受け入れられずに苛立ち続けるその姿は…気丈で美しい!!!


http://2st.jp/TheKitsch/kitsch-4.html
苛立ちのエネルギーが、あふれる素晴らしい漫画でした。
しかし、物語は苛立ちだけで成立しない。斎藤なずな先生のすごいところは苛立ちを具体的なモチーフ…それはときに他の短編でも見せた、蛙やセキレイ等の動植物と絡ませ、膨らみを持たせた形で見せてくれるところだ。


斎藤なずな先生の漫画は、いつも本当に大好きだ!全部絶対面白い!

よんだーー!!!って気持ちにさせてもらえる。ネームの段階ですごい推敲がなされてるのを感じます。ほぼすべて斎藤なずな作品は読んでるはずだけど、今回はとくに、今までのと比べても圧倒的に、映像美的に迫力が一番あったと思う。





映画「紫」見ました。日本で唯一の完全植物染めの染司、吉岡幸雄さんの生活に密着したドキュメンタリーで、素晴らしい出来でした。ずっと知りたかった諸々の染料のもとになる植物…紫根や紅花、タデアイの生産現場などが見れて感無量です。吉岡幸雄さん本人ともちょびっとですが話せて緊張しました。
D

工房に一度お邪魔したこともあるし、授業や、講演にも行ったことがあるので何度も見ているはずなんですが(笑)…やっぱり緊張しました。 偉大な方です。今回の映画で、1日体験をさせてもらったときに後ろでずっと働いていたおじさんが、超すごい職人さんだったということがわかって面白かったです。

吉岡幸雄の映画「紫」を見てから職人について考えることが多い。科学染料は100%の色を出すが、混じりけがない色は飽きやすい。植物染めの良さは、その中に心地よいノイズが入ることなのだ。ノイズには良いものと悪いものがあって、そのなかからベストバランスを感覚で出すのが職人の技なのだと思う


思うに職人と呼ばれる方々には二種類の必要な能力…要素があって、ひとつは機械ではできない精度の仕事ができること。ふたつめは、このノイズのバランスをベストにまでもっていけること。感覚で、このベストミックスを出すわけだから、あんなに日々同じ仕事内容を繰り返し、こなすのだろう。


西本願寺御影堂10年大改修のDVD後編見ました。盛り上げ胡粉の迫力 とか、紙漉きの簾の糸を作る職人さんが日本に一人しかいないのも、びっくり。黒漆の床が鏡のように反射しているのとかも、すばらしい。こういう改修工事で技術の継承がなされているんだな 。

西本願寺御影堂「平成の大修復」全記録

西本願寺御影堂「平成の大修復」全記録

2013-01-11

【画家 高山辰雄】の言葉

高山辰雄の世界・素描と本画』(思文閣出版)読みました。思考することや言語化することは常に堂々巡りする危険性をもち、それが胡散臭さを孕みますが高山辰雄の言葉は嫌味がなく温かい。ちゃんと絵で表現出来てるからだと思います。

高山辰雄の世界―素描と本画

高山辰雄の世界―素描と本画




旅がしたくなる。野山を歩きたい。そこには空白が待っていてくれる。夕暮れになるまで、ひたすらに歩く。足がただ動いて、右、左と交互に出るさまが、他人のもののように目に入る。【画家 高山辰雄】


空気が紫色に染まった山間を、小さな川沿いの宿に向かって歩を進める、空白の時。ハッとして、義務的に抱えていた画帖を開き、始めて私に気づく。【画家 高山辰雄】



が、それまでの空白の時、無意識に歩いていたのも私である。そのどちらも私なのだが、考え方によっては、空白こそ大切なものかとも思えてくる。【画家 高山辰雄】

でも、画集いっぱい見て勇気づけられたよ。絵はデッサン力関係ない。正確にはキチッととれる人がキチッと描かないところに魅力がある。絵の自由さを知った。画塾でキッチリやることの絶対的価値を教わってガチガチだったころとはずいぶん違う心境。まぁ、東京五大美大に入りたいなら話は別だけどね。




真下耕一監督(アニメ会社ビートレイン代表取締役)は自身を音響演出家と言うほど音にこだわりを持つアニメ監督で、その演出には定評がある。BGMが主役じゃなかろうかというシーンや「赤」をアニメで表現するためにワンクールを撮ってしまったりしている。
彼の演出には独特の癖があり、それは無言のシーンの多様、固定したキャラの顔をカメラが斜めにスライドさせながら撮るなど印象的なものが多い。しかし演出は必然的に細部の良さであり、全体の筋の面白さではないためトータルで作品の質を考えると疑問が残る話も多い。

2013-01-10

ロリコンマンガと芸術書

こどものじかん」9巻読んで、ちょっとウルッときてしまう。この巻で完全にロリコンマンガの域を越えたな。

こどものじかん(9) (アクションコミックス(コミックハイ!))

こどものじかん(9) (アクションコミックス(コミックハイ!))



最初、このマンガは男性読者へのサービス(ロリコン的な意味で)から始まって人気を獲得し、徐々に作者がやりたかったであろう「性」や「思春期」の問題に、話を展開させていってる。

マンガ特有の馬鹿馬鹿しさと可愛らしさを武器に、大人になりきれない大人や恋愛依存の話をわかりやすく描いてる。
めんどくさい性格のキャラクターは美形にすることでお茶を濁さないあたりさすがとしかいえない。



洋画より日本画の解説本の方が、その絵描きの人生感を、主観的に解説していて驚くことがある。

…すごいか、すごくないか面白いか面白くないかは自分で決めたい。つまりその画家が何をしてきたかは知りたいが解説者の説教は聞きたくない

。…絵を見たらすごいかすごくないか、一発でわかるんだから


現代日本画「小野竹喬」

と「20世紀の美 日本の絵画100選」

を見ました。川端龍子

川端龍子 詠んで描いて四国遍路 (小学館文庫)

川端龍子 詠んで描いて四国遍路 (小学館文庫)

の絵がすごすぎてお気に入りになりました。

日本画では都路華香と平山郁夫のを、洋画では大月源二の画集がBOOK・OFFで(比較的)安く手に入ったのでじっくり研究したいです。




日本画の巨匠、横山大観が画業について、言葉を残してて面白い。日本画とは「作者胸臆の世界を不可言的に如実に吐露」し、「物象とその裏にひそむ無形の霊性との渾然一如なる相を表現し象徴するもの」で、その道は「窮まるところなき永遠の大道」であると言ってる。スケールでかくて、男!!!って感じ

気魄の人 横山大観 (別冊太陽 日本のこころ)

気魄の人 横山大観 (別冊太陽 日本のこころ)




前田青邨平山郁夫の師弟関係について描かれていた画集を読む。古典の模写から線を学び、現実から写実を学ぶ方法が平山郁夫に受け継がれていく過程をみた。…ってか、平山郁夫が当時、下手で悩んだってのが驚き。…こんなうまい人がいたのかと驚いたが、努力の末にうまくなった人だった。すごいなぁ…

巨匠の日本画 (8) 前田青邨

巨匠の日本画 (8) 前田青邨

ぶれない―骨太に、自分を耕す方法

ぶれない―骨太に、自分を耕す方法



明るく牧歌的、もしくはユーモアがあったり、単純にパッと見て綺麗だな〜って絵が好きです。デッサンとか、ぶっちゃけどうでもいい

なんというか、この世には色がいっぱいあって素敵だな、と最近感じるようになれた。人間の目が視認できる色の波長域はきめられてるけど、限られた色が様々に影響しあって、私の目に、なんらかの印象を与えているという事実が面白い。



…漫画も含め、一般に芸術と呼ばれてるものはすべて、作者が読み手の作品を見て受けとる印象を自分の思うように操作したいという欲求の上で成り立ってるので、そこを軸にして見れば、簡単。お堅い芸術だなんだと肩を張らずに楽しんで鑑賞できますよ。



ロリコンマンガと芸術書、どちらが優れてるとか、マジでどうでもいい問題。…どっちも同じくらい楽しくて、ウキウキさせてくれるものです(笑)

2013-01-09

出版不況の時代を生きる〜総合漫画雑誌「キッチュ」〜

今日のヤフートップ記事を見て驚きました。

漫画サンデー>54年の歴史に幕 2月休刊へhttp://:title=http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130108-00200032-mantan-ent


現在は本が売れない時代・・・出版不況なんていったりしますが、その原因はなんでしょうか?
そのひとつに今の出版のシステムがあります。


それはたくさん刷って、たくさんの顧客に届ける。
この生産消費システムが、今はもう完成から衰退期へ移行しているからである・・・みたいな意見があります

同じものを皆が欲しがる時代ではなくなって、それぞれ細かく少数の人々が個々の趣味にあわせてニッチなものを欲しがる時代。いまはそういう時代です。

大手出版社では、この細かなニーズに合わせて本を作ることはできません。
なぜなら、大手出版社はあくまで会社だからです。
社員を養っていかないといけないため、社員全員を養うだけの需要がないと本を作れない。大きく当てないといけないため、冒険がしにくくなり、マーケティングが最重要になります。
その結果、画一化した作品が増え、ヒット作の猿マネが大量生産され、結局ジリジリと売れなくなってきてしまう。こうした悪循環に陥っています。

大量生産大量消費の時代では大手編集部がドカっと流通を制御しないと、全国各地の小売店のすみずみまで本を届けることができません。しかし今の時代は、欲しいと思う人にピンポイントで商品を届ける時代ネット通販がそれを可能にしていると思います
ブラックジャックによろしく!」の佐藤秀峰先生は編集を通さず、漫画家と直接に読者をつなげないかと有限会社 佐藤漫画製作所を立ち上げ、漫画を無料で公開して認知度をあげることが購買意欲をあげ、実際に自作の売り上げが上がる、という現象を証明しましたし・・・

逆に、猿でも描ける漫画教室、通称「サルまん」でお馴染みの(スクミズ猫耳のすごい画像で有名な)竹熊健太郎先生は、大手編集部は衰退の道にあるが、漫画家とタッグを組む編集者の存在(プロデュース)は必要だ!…という考えのもとに、「電脳マヴォという竹熊健太郎氏個人が編集発表するメディアとしてのマンガ雑誌を立ち上げました。


個人的にこの流れにあるのではないか(個人的にそう思っている)雑誌に総合漫画雑誌キッチュがあります。

http://2st.jp/TheKitsch/
キッチュ(kitsch)とはドイツ語で俗悪なもの・まがいものを意味し、ネガティブな意味で使われる反面、美学・芸術学においては、一見すると、俗悪で、異様なものなのですが、そこにこそ価値がある…というようなときに使われる言葉らしいですね、ふむふむ。



この「キッチュ 第3.5復活号」についての漫画感想を少し話したい(前降り長ッ!!)

まずは邪道な見方ではありますが、こういう見方もあるということで、この雑誌に載っている3つの筆で描かれた漫画について駆け足で少し感想を…。

一般的な話になりますが、漫画はGペンや丸ペンなどで描かれたものが圧倒的に多い。そんな中で、筆で描かれた漫画が3本も載っていて、しかもそれぞれの「質」が違う。これは描き手からすると、非常に面白いものです。
 
「酒虫(鬼山龍宿)」は宿主に永遠の命をもたらすという酒虫をめぐる男と女の物語。アクションシーンや敵のからくり兵器のロボットデザインなども面白く、その乾いた空気感が話の雰囲気と合っていて魅力的。独特の細かい筆の筆致がそれを可能にしているように思う。

「もんどりうってさわ子(もぷ子)」は海のお店の日常を切り取ったお話。…僕は鎌倉由比ヶ浜のような浜の雰囲気を思い出しました。浮き輪やパラソルなんかのモチーフが夏を思い出す。この作品の筆の運び方はスッと軽やかで迷いがない。人物の動きやコマの流れにそってスッと気持ちよく引かれた線が心地よい。作者が楽しんで線を引いているのがわかる一作です。

それはただの先輩のチンコ」と「おにぎりとビール瓶」(阿部洋一)この筆の筆致はどうやって描いたのかのかわからない。版画のような印象があり、チリチリと白と黒がぶつかり合うような不思議な線です。チンコだけ取られた先輩の方がどうしてるのか無性に気になったりして、すごいシュールな世界がひろがっています。


筆で描かれた漫画が商業誌で、一躍有名になったのは「茄子」や「セクシーボイス アンド ロボ」「あたらしい朝」でお馴染みの黒田硫黄ですよね。彼の筆致はグリッとおおらかに線を引くものですが、それらともこの3作品は違う点で見比べてみるのも面白いです。

なんでこんな変な見方をしたかというと、たまたまペン入れの印象について考えてたときに読んだので、こんな邪道な見方をしてしまいました。



またキッチュ「電脳マヴォなどと比べてもアンダーグラウンド色が強い雑誌です。

「ドリーム〜ブタ美ちゃん〜」のモサパサさんなんか、この完成された凄みみたいなのは、一体どこから来てるのか末恐ろしいですし(笑)「しにがみ」の山崎高生さんのうんこになりたい≫の下りなんかもう最高で、読ませられてしまう。変な語尾や簡略化された絵が話と妙にマッチしていて面白い…嫌な話なのにグイグイ引っ張られてしまう、このネーム力は素晴らしい。でも自分を客観的に見ようとする意志がすごい感じられるところなど、独特のバランス感覚をもった漫画描きですよ。

この2作は恐ろしいのに、読んでいるとなぜか笑ってしまうところが共通していて不思議でしたね。

商業誌では読めない漫画群がいろいろあって、他の漫画作品も、またこのブログの記事をつかって順次紹介していきたいです。

やっぱりマヴォとかもそうだと思うのですが、こういう雑誌に読者が求めているものって、商業誌で読めないものがどれだけあるか、ですよね。その点キッチュは必ず満足のいくものになっていて面白い。





タコシェのオンラインショップ

「総合マンガ誌 キッチュ 第一号」
http://taco.shop-pro.jp/?pid=24502622
「総合マンガ誌「キッチュ 第二号」
http://tacoche.com/?p=3380
「総合マンガ誌 キッチュ 第三号」
http://taco.shop-pro.jp/?pid=31359971
「総合マンガ誌 キッチュ 第3.5復活号」
http://taco.shop-pro.jp/?pid=53423199

蒼猴軒日録
http://d.hatena.ne.jp/morohiro_s/20121229

2013-01-08

原発関連映画まとめと雑多に呼んだマンガ「ハヤテのごとく!」など

萩尾望都「なのはな」を読みました。堅苦しくなりやすい放射性物質の話を分かりやすく擬人化して見せるという方法は、インパクトがあり、幅広い読者に読んでもらうため、効果的だろうな、と思いました。

なのはな (フラワーコミックススペシャル)

なのはな (フラワーコミックススペシャル)



山本直樹の「お家につくまでが遠足です」と近藤ようこさんの「蛇苺の庭」を読みました。
山本直樹さんのガリガリだけど肉感的な女性の少しうつむき加減の顔がすごい好きです。男の顔、特に唇がサブカルっぽくて良い。蛇苺の庭は群像劇として進んでいくので散漫な印象もある。面白いが救いがないのが辛い

お家につくまでが遠足です (F×COMICS)

お家につくまでが遠足です (F×COMICS)



[rakuten:arcam:10675961:detail]


映画について


ミツバチの羽音と地球の回転」はホント良くできた映画だからね。外国のエネルギー事情と日本のそれがどれほど異なったものであるか非常にわかりやすく見せている。

ミツバチの羽音と地球の回転 [DVD]

ミツバチの羽音と地球の回転 [DVD]



原発放射線物質の本当の被害を知るきっかけとして「ヒバクシャー世界の終わりに」や「六ヶ所村ラプソティー」とかもオススメ。重々しすぎるタイトルなんで最初面食らいますが非常にわかりやすい良質のドキュメンタリー映画だと思います。3、11以降再上映が増えてて非常に嬉しい。

ヒバクシャ ~世界の終わりに~ [DVD]

ヒバクシャ ~世界の終わりに~ [DVD]

六ヶ所村ラプソディー [DVD]

六ヶ所村ラプソディー [DVD]



しかし個人的に放射性物質を扱った数ある映画の中で最も好きなのは「アレクセイの泉」です。あと前作「ナージャの村」これは非常に美しい映画で放射性物質関連映画というククりを抜いて、今まで見たドキュメンタリー映画の中で一番好きな映画です。自然の映像美にうっとりする。

アレクセイと泉 [DVD]

アレクセイと泉 [DVD]


ナージャの村 [DVD]

ナージャの村 [DVD]





久しぶりにハヤテのごとく!読んだ。

ハヤテのごとく! 1 (少年サンデーコミックス)

ハヤテのごとく! 1 (少年サンデーコミックス)

各キャラクターが朝何時に起きて、日常をどう過ごすかをきちんと描写して、キャラの性格を伝えてる回があってすごく良かった。最近の漫画は生活感ないから、こういうのは読んでて落ち着く。しかもリアルではないアニメ的なキャラで、それをやるのがポイント


必ずしも僕達読者はリアルを求めてるわけじゃない。この世の真理みたいな大それたことを教えてくれる漫画も面白いが、日常的に摂取したい漫画成分はやはりこういうもので、僕はハヤテのごとく!が大好きだな。作者の畑健二郎さんも大好きだし!

でも思うのはアニメ的な漫画では男性的な成分がどんどんなくなっていくな〜ということ。青年誌の方にそちらはまかせてる感じがする。男性成分が欲しくなったら、雑誌掲載の最初しか見てないし今度、日々ロックの単行本でも買おう

日々ロック 1 (ヤングジャンプコミックス)

日々ロック 1 (ヤングジャンプコミックス)

Connection: close