はてなダイアリーが選ぶ名盤百選


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MANSUN "SIX" ASIN:B00000I2VQ


個人的に、非常に思い入れのある作品を選ばせていただきました。
マンサンというバンドは、90年代半ばに、彗星の如く登場し、デビューアルバム "ATTACK OF THE GREY LANTERN" が全英でバカ売れしていきなりの全英1位。一気に注目を浴びたバンドです。3枚のアルバムをリリースしつつ、4th のレコーディング中との噂もありましたが、2003年5月に解散を発表しました。そして "SIX" は、そんな彼らの 2nd アルバムにあたります。1998年作品。アルバムタイトルは『プリズナー No.6』とくまのプーさんの『わたしたちは6つ』(タオイズムにつながっているとか)が元ネタだそうです。
このアルバムは初めて聴いた時、本当に衝撃を受けました。音楽を聴いて、衝撃を受けた生涯発のアルバムと言っても過言ではないです。まず、クレジットに記載されている曲は、14曲ですが、とてもそうは思えません。倍以上あるんじゃないかと思うくらい、ほとんどの楽曲が途中で劇的に変化します。次から次へと押し寄せてくるアグレッシブな展開に興奮しっぱなし。しかも一方で、儚げなメロディーラインを、ヴォーカルであるポール・ドレイパーの美声が歌い上げていて(個人的に中性的な男性ヴォーカルが好み、ということもあります)、不思議と統一感も感じさせます。激しく展開する楽曲群と、それを包み込むようなメロディーの美しさ、という感じ。しかも実験的な楽曲もありながら、シングルとしても光り輝く「NEGATIVE」、「LEGACY」という名曲もあり、ホント素晴らしいアルバムです。すべての音に終始驚かされながら、気が付くと夢中になって何度もリピートしたものでした。
などと絶賛していますが、今、あらためて聴き直してみると、少々物足りないかな、という個所もあって、ロック・ミュージック的フィールドでの多彩さはあって良いけれども、もう少しジャンル的に横断している方が面白いかも、とかいうのもあります。あと、ライヴを見た後からかもしれないですが、もう少しドラムのアンディは前面に出た方がよいかも(ライヴが素晴らしかったし、「BEING A GIRL」など、惜しい楽曲もあります)、など。でもそんなことは些事であり、このアルバムの持つ、豊かな素質や可能性が色あせることはまったくありません。むしろその若さに、私は歓喜したし、期待もしていたのです。そして今でも、本当に、素晴らしいアルバムだと思います。
余談。前作は後追いで聴いたのですが、この作品に比べると結構アレンジが過剰だな、という印象でした。それに対して、"SIX" は楽曲そのものが過剰です。プログレ的とも言えるかもしれません。ついでに書くと、3rd は「歌モノ」的な要素が強くなっていて、これはこれでメロディーがきれいで良いです。世間の評価は、だんだん悪くなっているところが悲しいことですが……。
さらに余談。このアルバム、ミュージックマガジンクロスレビューで、4人中2人に酷評されていて、怒りのあまり、思わず買ってきてしまったという記憶があります。何度も読み返しては何度も腹を立てていました(笑)。その頃から、ミュージックマガジンは私にとって、「おとなは分かってくれない」的な雑誌であります(あ、別に嫌いと言っているわけではなくて、常に識者としてのスタンスがしっかりしているので、いろいろと考えさせられるという意味です)。今でもその気持ちは変わりありません。
という感じです。余談につぐ余談で長くなりましたが、基本的にはあまり普段の日記と変わらないでしょうか。私的には久しぶりにこのアルバムを聴き直すきっかけになりました。感謝。


次の方ですが……、まだ決まっておりません。交渉中ですのでしばらくお待ち下さい。

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