梅原大吾『勝ち続ける意志力』を読んだよ〜日々変化して結果にこだわらないことで結果的に勝ち続けるコツ

ふと、そう言えば読了したのに梅原大吾『勝ち続ける意志力』についてブログにしていなかったと思いだしました。
以前、ちきりんさんが絶賛していた本。Kindleを手に入れてから買った本。勝負論として、道無き道を歩いていた言葉が詰まっています。自分の頭で考えられた言葉だと感じます。これが人生論としても読むことができるのは、梅原さんが勝負を甲子園や箱根駅伝、オリンピックといった一発勝負ではないと考えているからだと。それは本のタイトルに明確に表現されていて、重要なのは「勝ち続ける」ことなんですよね。
その「勝ち続ける」ためのポイントを一言で表現したのが「変化」です。

僕にとっての正しい努力。それはズバリ、変化することだ。
昨日と同じ自分でいない――。
そんな意識が自分を成長させてくれる。

変化することそれ自体が大事で、変化した結果のことは考えない、というのはなるほどと思いました。変化することにためらうのは結果が悪くなることを恐れるからだと。こういうことを意識的にやっているのが、野球選手ではイチロー選手であり、将棋の棋士で言えば羽生善治さんだろうと思います。そして毎日、変化することに集中すればその日常の時々に当たる大会そのものについてはそれほど結果を求めなくてよくなります。変化の過程でたまたま大会があるだけで、特別なことでは無い感覚。

あの大会で勝ちたいと思うこともほとんどない。大会を重視する行為は、自分の成長のリズムを崩すと知っているからだ。目標に過ぎない大会に固執せず、目的である自身の成長に目を向けている。それが「勝ち続ける」ことにつながってくる。

それもまた「勝ち続ける」ためのコツになります。そして、不思議なことに結果にこだわらない方が結果がでるんですよね。自分はそれを二浪もした大学受験で感じました。大学生になった後の恋愛においても。予備校に通って個性的な教師に出会うことで、受験勉強そのものがおもしろくなり、おもしろいから勉強していたら模試などでおもしろいくらい結果がでるようになりました。そしてセンター試験本番でもびっくりするような高得点を獲得することができました。自分は考えました、もう二浪しているからここがラスト、来年は無い、今まで二年間受験していた大学は地元にある国立大学ってだけで特別に行きたい大学ではなかった。その他、東京大学以下特別に行きたい大学も無い。それならどこに行っても自分は自分だからそれでいいじゃん。という考え方で近所の県立大学を選択したのです。ここはセンター試験のみで受験することができました。

恋愛において勝ち続けること

大学生になってからは、勉強のみならず恋愛においてもすべて同じ調子で実践しました。結果にこだわらない。結果にこだわらないからこそ、好きになった女の子に告白できた。告白してもすぐにふられることが無かったのは、自分なりに計算もあったんだと思います。告白して気持ちを楽にすることそのものが目的であり、結果は二の次という気楽な姿勢が相手にとっては重たくなかったのかもしれません。だったら、キープしておくに越したことはない、と思わせる程度の価値は自分で体現できていた気がします。鶏肋。捨てるには惜しい。そして、宙吊り状態の長期戦で相手を落とす。それがイケメンでない自分にとって恋愛で「勝ち続ける」ためのコツだった気がします。学生時代を通じて、私の頭の中の大部分を占めていたのは、恋愛だった気がします。女の子のこと。振り返っても勝ち続けていた気がします。負けた気がしない。しかし、よくよく考えるとそれは結局自分のことが大好きだっただけかもしれません。結果的にフラれたことは、そういう自分中心だったからかもね。うん、ここは掘り下げるとおもしろいかも。ちょうど読んでいたカズオ・イシグロさんの『日の名残り』にも通じるテーマです。
自分で書きながら、自分の恋愛論が出てきて驚いている。もちろん梅原さんは恋愛について書いていません。自分の思考を喚起するという意味でも梅原さんの言葉は機能していますね。

子育てもまた長期戦である

ちきりんさんは、この本は子育てにも通じるんじゃないかと言っていました。それもわかる気がします。たとえば大学受験も大きな大会なんですが、長期戦である人生においてはそれも通過点でしかありません。それは目標ではあるかもしれませんが、目的ではない。その感覚がつかめたら自分のように結果的に乗り越えることが可能なんじゃないか。そういうコツとして梅原大吾さんの言葉は有効であり、ティーン・エイジャーにもこの本はおすすめ、子どもの親にもおすすめなんだと思います。