猫探偵・正太郎の冒険〈1〉猫は密室でジャンプする


このシリーズ好きなんだ。だから、本屋で新刊が出ているのを見つけた時は、嬉しかった。
再読です。
では軽く感想を……。
愛するSへの鎮魂歌」……倒叙物なのに、ハードボイルドしてます。ハードボイルドは、「過程」の細部をいかに上手く書くかで決まるのだな、というのがよく分かる。最初に読んだ時Sの正体が分からなかったのが、侮しかったなあ。


正太郎とグルメな午後の事件」……この話が一番好きー! なので、これだけ3回読んだ。まずは餅が美味しそう。自分まで食べたくなっちゃう。
次にサスケのセリフが愉快だ。口語文が上手いよねえ。


光る爪」……読みながら、この主人公は、どうしてそこまで他人を嫌えるのだろうか、これはまあマトモにも見えるけれども、随分と心を病んでるぞ、こういう人が人殺しをしちゃったりするんだよね……と思っていたら、案の定でした。猫にマニキュアというのは、取り合わせの妙がある。


正太郎と花柄死紋の冒険」……ひとみさんの発想はなかなか凄い。まあ無理はある気がするけれど
正太郎の一人称はカッコ良くて好きなんだよねー。柴田さんの場合、男の人の一人称の話の方が、好きなんだ。最後は島田さんと上手くいきそうで、嬉しくなってしまった。猫の死も無駄にならなかったし、よかったね。


ジングルベル」……すみません、こういう話は苦手だ。


正太郎と田舎の事件」……これもなかなか面白い。レオのキャラも好きだし。ああ、田舎の大きな家だなあというのが、文章からよく伝わってきて、雰囲気が出ています。ミステリとしては普通に。
ひとみさんって、ぶっ飛んでる性格に見せかけて、実はかなりまともなんだよね。そこが少し残念でもあり。まあ非常識じゃなくて残念というのもなんだけど。


で、最後にあとがき、読者代表、解説、と、たくさんページを使いすぎて、ちょっとガッカリしてしまった……。かわりに、軽く小説が入ってたらよかったのにな、と思いました。
話のバラエティに富んでいて、少しだけ猫の生態も分かった気がする。