欲望の修辞学(多木浩二)

欲望の修辞学

欲望の修辞学

「快楽」という名の病に取り憑かれた18世紀フランスの宮廷文化。その猥雑・無骨な「欲望」が、美的洗練と畸形化の共存するさまに時代の気分が奇妙に符号する現代を透視する。「欲望」から混沌とした文化の源泉を探る。
「MARC」データベースより

主として17世紀・18世紀のフランス宮廷文化について書かれてます。「欲望」から「もの」や「出来事」が具体的に発現する過程で、作用する「技法」などを説いてます。
宮廷文化ではかつらは礼儀作法のコードという部分が面白かった。日本でも平安貴族は立烏帽子をかぶるものね。「かつら(帽子)」=柔らかい空間を演出する要素は、世界も時代も超えて共通しているものがある。現在でも帽子を被っている男の人は、どこか品のいいイメージを受けます。何故だろうか……。
本書はなかなか面白いんだけど、やや読みにくい。フランスの宮廷文化について、ある程度の下地を持ってから読んだ方がいい本ではと思います。

目次
「花」のざわめき
刈られた木
隠れたイメージ
道化の階段
グロテスクな「甥」
かつらの呪力
玉座と便器
「布」のコスモス
寄木細工の哲学
「趣味」の商人
愛の小部屋
家族の肖像