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akutsu-koumiの日記

2012-10-14

メモ・週刊現代十月二十日号記事 【安倍晋三とネット右翼 野放しにしたら日本が終わる】田原総一朗×山田恵資

安倍晋三ネット右翼 野放しにしたら日本が終わる

すぐに謝るテレビ局

山田 自民党総裁選の当日(9月26日)、私は党本部で取材をしていたんですが、決選投票で安倍晋三さんと石破茂さんの得票数が読み上げられたときのことです。安倍さんの得票数の最初のひと桁が「百」と読み上げられた途端、党本部の外から「ウワーッ」という歓声が上がった。3桁いけば過半数で、安倍新総裁の誕生ですからね。それから正式に安倍さんの新総裁就任が発表されると、今度は「自民党よ、安倍さんを総裁に選んでくれてありがとう」と大喝采です。
党本部前に集まった多くの人は従来の右翼とは違うネトウヨネット右翼)と呼ばれるような人たちなのでしょうか。ちょっと不思議な光景でした。

田原 安倍さんが決選投票で石破さんを破った理由は明らか。石破さんが自民党を壊す、脱派閥を進めると言ったからです。自民党内では、それは受け入れられないわけで、安倍さんを応援するといっても、ネットの人々と議員たちは考え方が違う。

山田 ただ、安倍新総裁が誕生したのは、尖閣問題での強硬姿勢が支持されたことが大きな要因だったと言えるのではないでしょうか。

田原 私は、安倍さんが06年9月に総理になる直前、ご本人に言ったことがあるんです。「あなたのタカ派右翼的な主張は趣味みたいなものだ。総理になるのならそれはやめるべきだ」と。それから「あなたはタカだ、右翼だと言われているんだから、総理になったらまず中国に行くべきだ。最初にアメリカに行っちゃだめだ」とも言いました。
実際、彼は総理になって翌月には訪中した。その前の小泉純一郎総理時代、日中関係は最悪だっただけに、迎えた胡錦濤国家主席たちは、その訪中を「氷を砕く旅」と呼んで、評価したわけです。そのあたりのバランス感覚はある。今回も11月8日からの中国共産党大会が終わったら、安倍さんは訪中すべきだと思います。

山田 安倍さんが総理になったとしても、小泉さん時代のように中国と敵対的な関係を取るようなことはしないだろうと。

田原 外交というのはどっちが勝った、負けたというのではうまくいかない。両方が得をしたと思わないとダメなんです。安倍さんもそれは理解していますよ。

山田 もうひとつ、懸念されるのはやはり、総理を辞めた原因である体調の問題です。いまは「お腹が痛くなって総理を辞めたじゃないか」なんて安倍さんを批判すると、テレビ局にネトウヨの人たちなどから猛烈な抗議が来るようです。それで、批判したワイドショーの司会者が謝罪したりしていますね。

田原 そんなの謝るほうがおかしいんだよ。「腹が痛い」と言って辞めたのは事実なんだから。

山田 抗議されて簡単に謝ったりするから、余計に抗議されるという面もある。

田原 その通りです。私なんか、これまで番組でどれだけ抗議を受けてきたことか。事実を語っているんだから、謝っちゃダメ。そんなことしてたら、おかしなことになりますよ。



本来なら「終わり」の人

山田 去年5月、父・安倍晋太郎氏の「しのぶ会」で、安倍さんと久し振りに会ったとき、「新薬ができて、僕はもうすっかり良くなったから」と上機嫌で話していたのが印象的でした。安倍さんの病気は「潰瘍性大腸炎」という厚生労働省が難病に指定しているもので、最近も日本消化器病学会の広報誌で、新薬のおかげで「政治生命が延びた」とアピールしています。政治家というのは普通、過去の病状というのは隠しますよね。

田原 根が正直なんですよ(笑)。彼はずっと総理として再起したかった。彼の周りにもそれを進める人が大勢いましたからね。ただ、本来ならあんな辞め方したら終わりです。復活できちゃったけど。
私は安倍さんにも直接言っていますが、彼は07年7月の参院選で歴史的大敗(37議席)をしたときに、責任を取って総理を辞めるべきだったんです。それなのに麻生太郎という政治家が、辞めるべきじゃないと止めた。それで最後はあの辞め方ですから。

山田 衆院本会議代表質問が行われる、まさに当日に突然、辞任表明をしました。

田原 いくらなんでも意思決定が遅すぎた。それを言うと、安倍さんも「その通りです」なんて殊勝なことを言っていました。

山田 今回の総裁選を見ていて、私はやっぱり自民党は変わらない、反省がないという印象を持ちました。というのは、元気そのものだった谷垣禎一総裁を引きずりおろしたのに、病気の町村信孝さんが総裁選を降りられなかったでしょう。これは派閥の論理以外の何物でもない。

田原 町村さんが降りたら、その票が全部安倍さんに行っちゃうからね。森喜朗さんは安倍総裁だけは絶対反対だったんだ。森さんは私にもはっきりそう言っていました。
結果的に、安倍さんが新総裁になり、石破さんを幹事長にした。これは政治的には成功でしょう。安倍さんに一番文句を言いたいのは石破さん。せっかく自民党を変えようとして、党員票でも圧勝したのになんだと。その石破さんを抱き込んだのが、正しいか間違っているかは別として、安倍さんはうまくやったなという気がします。

山田 私はぎりぎり55年体制の終わりのころも取材した世代ですが、当時の自民党というのはタカ派からハト派まで、かなり幅の広がりがありました。いまは政党が違っても、その幅はあの頃の自民党よりも狭い気がします。

田原 それは派閥というものが昔とは変わってしまったからですよ。派閥というのは本来、タカでもハトでも、それを主張する政治家の考えに共鳴する人が集まってできていた。だから、派閥そのものが悪いわけではない。ところが、いつの間にか派閥政治=金権政治になって、いまでは派閥のトップに配るカネがなくなったのに、金権政治に替わる政治システムを確立できていない。

山田 自問自答しているんですが、リベラルがいなくなったように思うんです。タカ派的な考え方があってもいいけれど、それに対抗するリベラル勢もいたはずでしょう。民主党政権にしても、小泉さん新自由主義に対する揺り戻しとして誕生したわけですよね。本来ならそこで、リベラル勢力として、セーフティネットの充実をすべきだったと思います。

田原 でも、現実問題として、国の借金が1000兆円もある状態で、セーフティネットを充実させるのは無理ですよ。

山田 もちろん政府が提供するセーフティネットには限界があります。これまでは1万円の財源で10人にそれぞれ1000円ずつ渡せていたのに、いまは財源が8000円しかないような状態ですからね。ただ、そこで発想を変えて、一人に800円ずつ渡すのではなく、10人に8000円をまとめて渡して、「コミュニティの中で助け合いながらやってくれ」という考え方があってもいい。

田原 それこそ、日本維新の会橋下徹さんが言っている地方分権の発想です。中央からはこの国は変えられない、地方から変えるべきだ、というね。
私は橋下さんを買っているんです。センスもいいし度胸もある。だけど、維新の会の顔ぶれを見ると、橋下さん以外は全部ダメ。維新に合流した現職国会議員なんて「このままでは次の選挙で当選できない。でも維新に行けば当選できるかも」という人たちばかり。結局、維新の会は橋下さんの個人商店なんです。

山田 田原さんは9月23日に開かれた維新公開討論会に出席されましたよね。その感想をブログの中で、「橋下さんは思ったよりもハト派だ」と述べていたのが興味深かったです。

田原 そうですよ。彼はハト派なんです。だから竹島については「韓国と息の長い交渉をして共同管理に持ち込むしかない」なんていう発言も出てくる。

山田 そんなこと日本共産党でも言いませんからね。そのハト派の橋下さんは、次の総選挙後に総理になるであろうタカ派の安倍さんと手を結ぶことになるんでしょうかね。

田原 それは議席数によるでしょう。山田さんは維新の会がどれくらい議席を取れるとみていますか。

山田 いまの状況だと60〜70議席の間かなと。

田原 私も60近くだと思う。一方、自民党も過半数は取れない。公明党との自公連立でもおそらく過半数には届かないでしょう。となれば、さらに他の党と手を結ぶ必要があるわけですが、選択肢は二つしかない。維新の会か、民主党か。

山田 安倍さんは民主党との大連立は否定していますから、維新の会を選ぶ可能性が高いように思います。

田原 どうでしょうか。そこは政治家だから柔軟に判断するでしょう。



小沢一郎はどこへ行った?

山田 確かに、安倍さんは総裁選までは維新の会とのパイプを必要としていたけれど、総裁になったいま、その必要性はない。それに維新の会は次期総選挙で、300区すべてに候補者を立てて戦おうとしているわけだから、当然自民党とも戦うことになる。安倍さんと橋下さんの協調関係は事実上の棚上げかも知れません。

田原 橋下さんは小選挙区と比例で350人も出すと言うんだから、もうみんなの党だって維新の会に寄り添わないですよ。

山田 自民党民主党と組む場合については、民主党全部と組むか、分裂した民主党と組むか、の二つのパターンが考えられます。
幹事長の石破さんは、維新の会は好きじゃないけれど、民主党前原誠司さんあたりとは組んでもいいと思っているはずです。一方で自民党の長老連中は「維新はダメ。民主党ごとと組むならやりやすい」と考えている。だから自民党が手を組む相手を細かく分けると、維新か、民主党丸ごとか、あるいは分裂した民主党かの選択肢がある。
それにしても、今回の大政局小沢一郎さんの名前が出てきませんね。

田原 存命中の政治家の中で、もっとも政治力を持っているのは小沢さんだと私は考えています。だけど問題が二つある。一つは、検察に憎まれすぎてしまったこと。そして、もう一つは、小沢さんがやや狭量なことです。そのため彼の周りには子分だけで、対等なパートナーになる人がいない。みんな離れてしまった。
私は小沢さんと10回以上、二人だけで食事をしていますが、小沢さんは食事しながら私に笑顔で話しかけるんです。それで私は、「その笑顔は止めてくれ」って怒ったことがある。

山田 その笑顔は本物じゃないだろう、と。

田原 そうです。

山田 前任ぶっている人は少しでも怖い顔をすると「なんだ、いつもの笑顔は嘘じゃないか」と言われますが、小沢さんは逆。普段は怖い表情をしているほうが似合います。

田原 小沢一郎はそれでいいんです。彼は選挙は抜群にうまいし、政権を作るのもうまい。ただ、政策には関心がない。

山田 だからこそ私は、政治的に未熟な民主党政権が、一つの装置として働くためには、やっぱり小沢一郎という存在が不可欠だったと思っているんです。ところが、菅直人さんが小沢さんを排除してしまった。

田原 もともと小沢さん菅さんは会わないんですよ。
いまだから言いますが、民由合併直後の03年11月の総選挙の前、民主党代表だった菅さん小沢さんパレスホテルマニフェストづくりの詰めの作業をやることになった。そのとき、私は小沢さんに頼まれて、そこに同席したんです。そうしたら、菅さん小沢さんも直接口を利こうとせず、私に向かって話しかけてくる。まるで私が通訳みたいでした。

山田 菅さんとは合わない小沢さんも、橋下さんとの親和性は高いように思いました。二人はこの先、まだ展開があるんじゃないですか。

田原 それは橋下さん次第。いまは小沢さんと組めば得になるのか損になるのか、橋下さんにまだ判断がつかないんでしょう。もし、小沢さんと組んだほうが得だと判断すれば、橋下さんは合理主義者だから、すぐに手を組むでしょうね。 

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