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akutsu-koumiの日記

2015-06-17

「日之丸街宣女子」第六話感想

ジャパニズムの最新号に「日之丸街宣女子」(以下日之丸)第6話が掲載されていた。

ジャパニズム25

ジャパニズム25

日之丸街宣女子(ひのまるがいせんおとめ)

日之丸街宣女子(ひのまるがいせんおとめ)



ジャパニズム24に掲載されていた日之丸のラストでは「第一部完」と記されていたので、この第6話からは第二部という事になる。それに伴ってか、扱うテーマもヘイトスピーチから従軍慰安婦問題にシフトしている。

ジャパニズム24

ジャパニズム24



尤も、現実を都合良く改変・歪曲する手口は相変わらずである


主人公・朔川奏や幼馴染の土基創、及び数人の同級生が奏の自宅に集まり、渡米した友人の須藤桜良(すどう さくら)とSkypeで久しぶりに会話を楽しもうと期待に胸弾ませるところから物語は始まる。ところが、その桜良の顔に生々しい傷がある事に驚いた奏達が事情を問いただし、桜良は同級生から従軍慰安婦像の設置に端を発するいじめ差別に遭っている辛さを涙ながらに訴える。



そう、今回のテーマは従軍慰安婦問題は従軍慰安婦問題でもグレンデール市の慰安婦像設置と、それが誘発した日本人差別なのである。


この作品内に於ける従軍慰安婦問題に対するスタンスは説明するまでも無いだろう。慰安婦はただの娼婦であり、性奴隷などありもしないという国内の右翼論壇ではスタンダード?な、しかし海外では間違いなく歴史修正主義の評価を下されてまともに相手にすらされない歴史観だ。それは兎も角、奏は創から従軍慰安婦問題に関する「レクチャー」を受け、親友の桜良が受けた苦しみ、そして「理不尽」な日本バッシングに対して大粒の涙を流しながらくやしいと呟く。その後、奏は教師から命ぜられた自由研究の題材を慰安婦問題にしようと提案し、創他数人の同級生達がその意見に賛同する。
親友の桜良や日本の名誉の為に、志ある青少年たちが揚々と反撃の狼煙をあげるところで第6話は終わり。



グレンデール市の慰安婦像設置問題である。

漫画「大嫌韓流」でも具体的な根拠裏付けもろくすっぽ取らぬままに記述のあった、あの従軍慰安婦像設置問題である。

マンガ大嫌韓流 (晋遊舎ムック)

マンガ大嫌韓流 (晋遊舎ムック)



被害が相次いでいると言いつつ、具体的な被害者名が出てこず、何故かその被害の伝え手が右派系のオピニオン誌や右派系の政治家ジャーナリストからばかり(それも殆ど又聞き)という、あの従軍慰安婦像設置問題である。警察機構や司法制度が整備された米国ならば、殊に差別人権問題では日本よりも鋭敏に反応する米国ならばすぐに最寄りの警察や弁護士にでも相談したほうが良いような気もするし、地元のメディアだってそんな事件が起きたら報道するんじゃないかなあと素人目には思えるのだけれども、そのような話はついぞ聞かないあの従軍慰安婦像設置問題である。私が知らないだけかもしれないが。


作中で桜良がクラスメイトから受けた被害はヘイトスピーチであり、同時にヘイトクライムである。従軍慰安婦をただの娼婦と呼び、性奴隷など無かったとする主張は相手にする価値もないが、それをおいても中学生の桜良に日本人というだけで父祖の責任を負わせたり、侮辱したり、ましてや暴力を振るうなど断じて許される行為ではない。本当にそんな事件があったのならば、だが。
現に作品内でも「憎悪犯罪」という言葉が用いられているし、第一部を通読した者としては作者の富田氏はヘイトスピーチヘイトクライムについてのごく基本的な知識は持ち合わせているように思える。少なくとも己を差別主義者と認識せず、ただのイカレる怒れる排外主義者と嘯く自称・日本を愛する普通の日本人よりは確実に。その知識で判断すれば、同じ道理で朝鮮学校に通う子弟達に「スパイの子供」「密入国者の子孫」と誹謗する在特会の行為もまた許されざるヘイトスピーチに該当するはずなのだが。
分かってやっている人間ほどたちの悪いものはない。


気になることがひとつある。
作中で差別の被害を親にも打ち明けられずに苦しむ桜良に対し、創があるURLを伝えてそこに相談するように勧めるシーンがある。
現時点では判明はしていないが、多分歴史の真実を求める世界連合会 |GAHT-US Corporation辺りをモデルにしたような団体ではないかと推測する。
現実と違ってこの団体は差別に苦しむ同胞である桜良を救い、「不当なジャパン・バッシング」に対しても効果的な反撃を大いに加えるのだろう。フィクションならばそれはそれでいい。
だが、「従軍慰安婦像設置によって差別や嫌がらせを蒙る米国在住の日本人」が実在するとして、その人が「日之丸」を読んで「この種の団体に相談すれば良い」と思い至ったら少々心配である。「日之丸」ではしらず、現実での米国での彼等の評価は、ただの人権を軽視する歴史修正主義団体でしかない。そのような団体に関わった時点でその人自身の米国内に於ける社会的な名誉をも失墜させる可能性がありうる。悪いことは言わないから弁護士に相談したほうが良いのではないかと思う。桜良も「従軍慰安婦像設置によって差別や嫌がらせを蒙る米国在住の日本人」も。


因みに、今回から朔川奏と作者の富田氏によるミニレポが「日之丸街宣女子」本編とは別に付随している。
日本の出版社は左が多い(そりゃ青林堂在特会活動家でもある富田氏から見れば右も左も真ん中も左だろう)だの、某大御所漫画家との雑談でヘイトは悪いという漫画を描いているのかと問う大御所に対し、しどろもどろになりながらもヘイトスピーチというレッテルは良くない云々(ならばどうして作中のヘイトスピーカーには現実通りの行動をとらせず、カウンターを執拗に貶める表現を徹底しているのか)など、たった2頁なのに本編よりもツッコミどころに満ちていたのはどうしたものだろうか。

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