単純でない足し算

音楽評でよく「〇〇 meets ××」と言う表現を目にする。要するに〇〇と××を足し合わせたような、或いはその中間にあるような音楽、と言う意味の決まり文句だが、この表現は自分で感想を書く時には極力避けている(と言いつつ、一昨日の攻殻サントラ感想でほぼこれとほとんど同じ言い回しを使ってしまっているけれども)。何故避けるかと言うと、読む人によってかなり違う印象を受けるような言葉の使い方だから。同じ混ぜるにしても、〇〇:××=8:2だと考える人もいれば、〇〇:××=3:7くらいに考える人もいるし、どんな混ざり方をイメージするかで良し悪しが随分と分かれるので、今一つ明確でない物言いでないと思う。
それを踏まえて。
Aiko meets トミーフェブラリー
音楽性の話ではない。天神を歩いていた時、そんな顔の人を見かけた。トミーもAikoもあくまで当人だから良いのであって、誰かの容貌を彼女達に喩えてもあまり良い意味に取られない事が多い気がするが(特に前者)、そうとしか表現出来ない顔だったんだから仕方ない。
……。
俺は一応肯定的な意味合いで上のような表現をしたんだけども(実際可愛かった)、ポジティヴなニュアンスが読んでいる人にちゃんと伝わっているかどうか正直言って全く自信が無い。やはり、「〇〇 meets ××」と言う表現には欠点が多い。これからもなるべく使わないようにしようと思う。


月のたまご

夜遅くの帰り道、真円に近い綺麗な月がよく見えた。満月か、それに近い月齢の月を見るとたまに思い出すやりとりがある。
「いい月ですね」
「あれは街灯ですわ」
子供の頃に読んだ「クレヨン王国 月のたまご」中のナルマニマニ博士とダマーニナの会話だが、何故か妙に印象に残っている(細かい文面は違った気もする。ちなみに、失態を演じたナルマニマニ博士はこの後とても落ち込む)。全8巻のこの話はクレヨン王国シリーズの中でも特に好きだったもので、今読んでもきっと楽しめると思う……と言うか、今読んでも楽しめるものだからこそ、時々思い出すのかも知れない。
この話に出てくる台詞で印象深かったもの、もう一つ。
「世の中には、いてほしい人と、いてほしくない人のどちらかしかいないのだよ。いてもいなくてもいい、なんて人はいない。君も政治家をこころざすならよく覚えておきたまえ」(ダガー書記官長の言葉。やはり細かい文面の記憶は曖昧)
月を仰いだり背負ったりしながら自転車を漕いで帰った。