池田氏の帯域水平分割論

オープン周波数オークション@池田信夫blog
池田信夫氏が帯域オークションを工夫すればサービスが活性化すると述べています。たぶん。
ただ全体的によく分かりません。

電波を水平分離し、物理層だけをオークションにかけて、アプリケーションはMVNOなどに開放することを義務づける

帯域を垂直にオークションにかければ欧州の3Gオークションのように値段がつり上がることは考えられます。電波の公平分配という点では望ましい仕組みです。

MHz単価はたかだか数十億円だから、携帯業者も他の電機メーカーやトヨタなども、恐れないで参加するだろう

自動車のテレマティクス化を考えると自動車メーカーかJasparあたりが購入する可能性もありますが。モバイルデータ通信ではすでに4Gのサービスが秒読みなので、事業者はより安く4Gサービスを提供するか「次次世代」通信技術かの選択肢くらいしかありませんが、インフラや技術力を持っているは限れられたキャリアです。今さら放送用途で買う人は..いないのでは?

MVNOへの卸売価格も、あらかじめ利益の出ない水準に決めれば、落札価格は低くなるだろう

Phy層事業者としてMVNOに低価格で卸すことが義務づけられれば事業者としての「旨味」が少ないので安く売れる=競争促進という理屈だと解釈しています。しかし、それ即ち買う人がいないということではないでしょうか?
確かにPhy層をオープンにするのは理屈上は可能ですが、池田氏が図中で例に挙げているような多元接続方式は非常に高度な技術で、QUALCOMM社のライセンスも必要だったりします。免許が交付されれば移動基地局(=端末)免許の申請も必要になります。多元接続方式に限らず通信インフラ環境を用意するためには高度な技術力と膨大なイニシャルコストが要求されます。世界の通信事業者が垂直統合なのはそのためです。IPモバイルがTD-SCDMA方式の商用化にこぎつけられなかったのは記憶に新しいと思います。別に大手キャリアを庇うつもりはありませんが、既存キャリアの独占を排除しつつMVNOの参入を促進するのは容易ではないのは確かです。