『GOOD EVENING WONDERFUL FIEND』

Good Evening Wonderful Fiend

Good Evening Wonderful Fiend

VOCAL-JUN
GUITAR-YOU
BASS-KLAN
DRUMS-KYOYA

SIDE A

  1. JOLLY ROGERS
  2. BORECIDE BOYS
  3. GOOD EVENING WONDERFUL FIEND
  4. NIGHTMARE
  5. VANGUARD
  6. TOO MUCH LOVE LIKE HELL

SIDE B

  1. THE END
  2. BORN IN THE FAR EAST END
  3. LAY TO REST
  4. BONDAGE DREAM
  5. VAIN FOR YOU(Congratulation)
  6. C'MON WHIPS




「7月にはファンには1年間お待たせした(笑)、初のLPが出ます。いいものをつくりたい。インディーズだから二千枚、三千枚売って満足って世界じゃないから、このLPはまとまった数を売りたいですね。」
「今年中には全国70箇所のツアーをやる予定。中国、四国、九州を含めて日本を横断することになるからいろいろなお客さんに見てもらいたい*1。」(『宝島』1985年6月号 JUNインタビュー)




音楽シーンに衝撃を与える『ワンダフルフィエンド』発表・ウイラード
いま、インディーズシーンは、大きな転換期を迎えている。本誌でも紹介してきたラフィンノーズの一連の動きを”動”の動きとすれば、ここに登場のウイラードの動きは”静”だった。しかし、ここにきてウイラードは急激な展開をはじめた。
ピクチャーEPの製作と完売。ロフト2DAYSの圧倒的な成功、NHKテレビ出演、そしてファンのみならず全音楽ファン待望の1stILP『グッドイブニング ワンダフルフィエンド』(キャプテンレコード第一弾)の発表、10月1日の日本青年館ライブ。異端パンクと呼ばれ、パンクムーヴメントのアウトサイダー的存在から、一気にパンクシーンの頂点に立ったウイラード。彼らの動きは派手ではないが、常に先頭を走ってきた。そのウイラードがこれから狙っている動きは今秋以降のメジャー、マイナーを問わず音楽シーンを通じての台風の目となろう。「バンクをはじめて聞いた時の衝撃は忘れない」と言うヴォーカルのJUNの射程は、インディーズという狭い世界にとどまらない地平に向けられている。
『ワンダフル フィエンド』このたった一枚のレコードが音楽シーンそのものを変えることが出来るかもしれない。(『宝島』1985年9月号)




この頃はすでにメジャーからの引き合いもかなりあったというが、「インディでレコードを万単位で売る」という大胆な発言のもとに発表されたこのアルバムは、その宣言通り2万枚を売って、その人気(むろん実力も)のほどを示す結果となった。音的には、最後まで全力でかけぬけるようなスピード感が全体をしめつつ、小ワザを使った凝ったアレンジがウィラードらしい。(石川由美、『DOLL』1989年6月号)

7月末→8月15日→9月3日→9月末、と発売予定がどんどんずれ込み”満を持して”のフルアルバム。当時の破竹の勢いがそのまま音に…というか、JUNのボーカルといい曲のこなれ具合といい、今聴きなおすと相当荒いなぁ。オープニングを飾る01、先行シングルとなった05、07、11、タイトル曲03、組曲的スケールの04を除くと、曲作りも音入れも難産だったことを思わせる出来。そもそもインディーとは言いつつも発売日があらかじめ告知されてそれに合わせた大規模イベントを企画したキャプテン・レコードのやり方はメジャーレコードのそれと変わるところなく、商業ペースでの進め方で彼ら自身がどれだけ本作に満足できたかは疑問。歴史に”たられば”は禁句だけど、もっと時間をかけていれば、もっと凄いアルバムになっていたのではないかと思う。89年にキャプテンからのCD再発盤にて初聴。(2007.08.19)

*1:結局、アルバムの発売が遅れに遅れた影響か、アルバム発売ツアーはこの年首都圏のみの実施。