だいすきっの記録

2009-08-16

「百合」では広すぎる

※この文章は、C76二日目後のオフ会で彩さん(@aya_h)、ウイロヲさん(@aoyanagi_willow)とわたしが交わした議論がベースになっています。お二方、どうもありがとうございました&お世話になりました。また、常々twitter上で百合についての刺激的な話題を提供して下さる百合クラスタの方々にも、この場を借りてお礼を申し上げます。

百合、というジャンルには、どうも閉鎖感が常に付きまとっているように思える。この閉塞感を打破するために行なわれる百合作品を傾向によって細分化し、百合というジャンルの中で住み分けようとする試みがあるが、わたしにはこれが現状の改善に繋がるとは思えない。これからはむしろ、ひとつのジャンルに止まらずに「百合」そのものを分割していくべきなのではないだろうか。

現在のオタク文化における百合ブームの火付け役であるといわれている「マリア様がみてる」(以下マリみてと略す)、という作品の1巻がコバルト文庫で刊行されたのは1998年、アニメの放送が開始したのは2004年であった。後者ですら2009年現在では5年前の出来事であり、前者にいたっては11年も前の話だ。「マリみて」が百合ファンの必読書に数えられていたのも今は昔。2009年夏のアニメのラインナップを見ただけでも、「青い花」をはじめとして、「咲-saki-」、「うみものがたり」、「CANAAN」といった多種多様な百合作品が放映されており、このジャンルがもはやマリみてのもたらした「少女同士の清らかな精神的な繋がり」というイメージに縛られていないことがよく分かる。

しかし一方で、百合を好まない、またはそもそもこれに興味のないオタクにとってみれば百合ジャンルは未だにマリみてとイコールである。またジャンルの内部でも、「百合」という言葉の定義についての議論が、ときには百合に足を踏み入れかけたものを怯ませる程活発に続けられている。このため、百合ブームはこれから下火になっていくのではないか、と憂う百合ファンはかなり多く、彼や彼女らは良質な作品を増やしていくためにも百合というジャンルをさらにメジャーなものにしていきたいと願い、実際にそのためにさまざまな試みがなされてきた。

先に述べた「百合作品を傾向によって細分化し、百合というジャンルの中で住み分けようとする」動きも、それらの試みの中のひとつで、2006年のたまごまご氏のエントリ(http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20060902)が代表的なものとして知られている。また最近では、ころぼ氏(@choir_tempest)が分類チャート(http://d.hatena.ne.jp/Choir_Tempest/20090812)を作成している(ご本人はこれについての意見を求めているので、興味のある方は投稿してみてはどうだろうか)。

既に百合にどっぷり漬かっているわたしにとっても、好みの作品を探すために細分化は有用なものである。しかし、わたしにはどうも、細分化が百合の発展に繋がるとは思えないのである。細分化はあくまでも百合というジャンルの中で行なわれている行為であり、「百合というジャンルには多くの要素が含まれているため、誰にでも好みの作品が見つけられる」ことを主張し、「住み分けながらも百合という一枚岩を保つ」ための努力だとわたしは考えている。しかし、たとえ細分化を百合の中で行なったところで、分けられた各派閥のの閉鎖性は変わらないのではないだろうか。そして、百合というジャンルの中にすべての派閥を収めることはどんどん難しくなっていくのではないだろうか。

ところで、女同士の恋愛に萌える百合に対して、男同士の恋愛に萌えるやおいでは、やおいBLJUNEといった、同じく男男のカップリングを指す言葉に対して、愛好者たちはかなり違うイメージを持っているし、実際に住み分けも行なわれている。腐女子であるわたし自身、やおい二次創作だが男男の恋愛全体を指すのに使われる場合もある、BLは商業作品で比較的ライトなもの(勿論商業作品にはハードなものも多いが)、JUNE耽美系、と考えている。翻って百合を見てみれば、現在は商業作品、二次創作などなどイメージがはっきり異なるものをすべて含んでしまっているのが現状だ。

無論、百合やおいを規範とするべきだとは思わない。しかし百合の中で住み分けること、そうしようとする試みは無用の議論を招くばかりではないだろうか。百合はファンタジーだ、とはよく言われるが、百合ファンが持っている「ファンタジー」は十人十色のはずだ。百合というジャンルはもはや、そのファンタジーをすべて受け入れる必要はないのである。


余談:でも「百合」ってすっごく強くて綺麗できらきらしていていい言葉なんですよねー。だからなのか、わたしには道端のぺんぺん草を掴んで「これが百合なんだああああああああ!!!」って叫びたくなるときがあります。

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