6年までに自殺率20%「以上」減少へ、政府が対策案

また、職場のメンタルヘルス(心の健康)対策について、「職場の人に知られるのが嫌で相談に行かない人が多い」との意見があり、大綱案では、相談しやすい環境整備のため、職場の管理・監督者に正しい知識を普及して、心の健康問題への誤解や偏見をなくすことなどを盛り込んだ。
労働のあり方を問うことなく,問題をただひたすら「心の健康」に解消することは,「心が病弱な人」という新たな「誤解と偏見」を生み出すだけである.
もっとも,会議のメンバー(医学関係者が多い)を見れば議論がこのような方向にまとまることには納得がいくけれど.

 「早死にする」 不安あおる「開運商法」被害、過去最高

タイトルだけ見て,医学のことかと思った.

参考:
メタボリック市場、太る 2千万人に熱視線
メタボリックシンドローム関連市場に関する調査結果
医療制度改革で拡大するメタボリックシンドローム市場(pdfファイル)

 「脳トレ」で研究棟建設…川島教授、監修料から3億円

川島教授は「税金を使わず、研究を発展させられる産学連携の成功例」と話している。
マーフィーとネーゲルが「税と正義」(isbn:9784815805482)において批判の対象としているのは,「課税前所得」という考え方である.
今,わたしたちがある所得を得ているのはさまざまな制度,とくに私有財産制を前提としている.私有財産制を機能させるためには法の制定や執行が必要であるが,このためには租税(制度)が必要である.したがって,租税制度を前提とした所得に関して「帳簿上の数字を除けば,私たちが最初から「持っていて」,政府が私たちから公平に取り上げなければならない課税前所得という実体はない」(40ページ).
この立場からすれば,あれこれの負担の公平性を問うことも,それが「課税前所得」を議論(計算)の出発点にしている限りにおいて,焦点を誤っていることになる.
引用の記事に戻れば,国立大学(独立行政法人)で研究している人間が,その成果を利用して得たカネで,大学内に研究施設を作るのであるから,「税金を使わず,研究を発展させ」るわけではない.

 肺がん:喫煙者の半数が危機感 検査受診は18%

「お前らは肺がんで死ぬ」,「お前らは迷惑者だ」,「お前らは医療費を余分に使っている」,「お前らは科学を無視する愚か者だ」--->喫煙者の不安,ストレスが増加--->肺がんで死ぬ喫煙者増加--->「ほら見ろ,やっぱり喫煙者は肺がんで死ぬんだ(やったー,自分たちの主張に都合のいい根拠が増えた!)」
予言の自己実現

 『あるある』ねつ造 なぜ止まらない?

一つの食品が品切れになるほどの熱狂について「『健康教』という一種の宗教に近い。視聴者は正しい生活習慣を身につけ、テレビは科学的、医学的根拠に基づいた健康情報を提供しなければいけないのに、納豆がいいと言われて飛びつくのは、ただ流行を追いかけているだけ。
「赤ワイン教」の布教者(isbn:9784062690720)が,「健康教A」から「健康教B」に改宗せよ,と.
「科学的,医学的根拠」がコロコロ変わることを考えれば,どの宗派を信仰したところで結局は「流行を追いかけているだけ」の話.
「健康教A」か「健康教B」か,ではなく「健康教」それ自体を問題にしなければ,テレビ,新聞,雑誌,そしてネットとメディアを問わず,同じことが繰り返されるだろう.
自分ひとりで追いかける分には「勝手にどうぞ」と言いたいが,宗教らしく「異端審問」もセットになっているから,やっかいだ.

 [学校給食費]「『払えるのに払わない』無責任さ]

未納状況について,都道府県別のデータが公表されているので,計算してみた.失業率のデータは「労働力調査」(2006年7-9月期平均)から.
まず,グラフにしてみると,未納率,失業率ともに沖縄が飛びぬけて高いことがわかる.
 




 
モデルは,未納率=定数項+b x 失業率という単純な線形モデル.推計方法は最小二乗法.推計結果は以下の通り.
 
変数係数標準誤差p値
定数項-1.43760.88080.1026
失業率0.61680.24430.0116
決定係数0.4772
 
失業率は5%有意水準で有意となっている(なお,標準誤差は不均一分散を考慮にいれて計算).
上の結果は未納率,失業率がともに飛びぬけて高い沖縄に引っ張られている可能性もあるので,沖縄ダミー(沖縄だけ1,それ以外では0をとる変数)を入れて推計.
 
変数係数標準誤差p値
定数項-0.16910.34420.6232
失業率0.26640.09850.0069
沖縄ダミー4.33830.45210.0000
決定係数0.7764
 



 
失業率と沖縄ダミーがともに1%有意水準で有意.沖縄ダミーが有意ということは,沖縄がこの回帰直線から外れていること,すなわち,沖縄の未納率の高さは失業率の高さだけではなく,それ以外の特殊要因が関係していることを示している.
学校給食部門の都道府県経済に占める割合が10%もあるのでない限り,給食費未納率が高まると失業率が高まるとは考えにくいので,因果関係の方向は失業率から未納率と考えていいだろう.
そう考えれば,この推計から失業率の1%の上昇は未納率の0.27%の上昇をもたらすと言える.
なお,県民1人あたりGDP,および県民1人あたり雇用者報酬は有意ではなかった.これらの変数は人数で割ることにより,平均化されてしまうために有意とならなかった可能性がある.したがって例えば,下位10%の所得等の変数であれば,有意となるかもしれない.
また,このニュースになると必ず登場する「「経済的に苦しいから」と、未納の言い訳をしながら高級車を乗り回し、贅沢(ぜいたく)品を購入している保護者」については,このような保護者の数を集計したデータは見当たらず,さらに,その代理変数となるようなものも思いつかなかったので推計はできなかった.

 なくそう・減らそう糖尿病

厚生労働省の「糖尿病実態調査」(02年度)では、糖尿病患者は約740万人、予備群は880万人と推計された。計1620万人で、成人の23%に達する。97年度実施の前回調査に比べ約2割増で、急激な増加が浮き彫りになった。
97年から2002年の間に,日本で生活している人が「急激に」甘いもの好きになり,運動不足になったのだろうか?最近も公務員の飲酒運転が「急激に」増えているようだから,そうなっていたとしても不思議はないが.
答えは,99年の糖尿病基準の改定である(google:糖尿病 新しい基準).
これは例えて言えば,昨日は身長をセンチメートルで測り,今日はインチで測って「身長が半分以下になった.大変だ」と言っているのと同じである.基準を変更した前後の数値をそのまま比較したデータに,データとしての意味はあまりない.ただ,「こんなに増えてるから大変だ」という脅しに使えることは確かだ.
実は99年には,高血圧の基準(google:高血圧 新しい基準]),そして肥満の基準([google:肥満 新しい基準)も改定されている.もちろん,「病人」が増加する方向に,である.
基準を改定する際には「医学研究の進展」が口実として使われる.改定によって「病人」が増加するのであるから,端的に言って,医学の「進歩」は「病人」の増加である.これは当然だろう.なぜなら,「進歩」によってお客さんである「病人」が減ってしまったのでは,医療サービス業が衰退してしまうからだ.新たな顧客の開拓がその産業にとって必要であることは,業種による違いがない.
こうして,基準の改定によって「病人」を増やす一方で,同時に「病人が増えて大変だ」「対策を」と言っている医学は,まさに「マッチポンプ」である.そして,基準の変更(既存商品のモデルチェンジ)だけでは「病人」の増加には限界があるから,新商品の開発にも余念がない.最近のヒット商品としては,メタボリックシンドロームがあげられるだろう.
最後にもうひとつ.
「症状が出てからでは遅い」というのはお決まりの脅し文句であるが,これは「病気になったら,医者は治せない」の言い換えである.