Book Review!


作者:西 研

レビュー: 社会学にできること (ちくまプリマー新書) (新書)

 勉強している人は多いのに、素人目には、なかなか経済学のようにメジャーになれない「社会学」の啓蒙書。対談しているお2人も、19世紀に端を発する社会学のさまざまな論者の言説をきちんと調べ、それを分かりやすく解説されているのに、結局まとまりなく話は終わっている。評者は赤鉛筆をもって本書を読了したが、唯一感心したのは、菅野さんの「完結出生児数」についての指摘。1.5を切って問題視されることが多いまま独り歩きする「合計特殊出生率」に対し、「ほぼ子どもを生み終えた結婚持続期間15〜19年の平均出生子ども数」を指す「完結出生児数」は今も2.0を割り込んでいない、というもので、少子化といえば合計特殊出生率が例示されるなか、この指摘は相当に新鮮だと思う。


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