Book Review!


作者:古川 修

レビュー: 適当だけどなぜか幸せなイギリス人、真面目だけど苦労が多い日本人 (単行本)

イギリス人気質について書かれた本は多い。本書は礼賛・こきおろしのどちらにも偏らず定住者の視点で「イギリスらしさ」を様々な経験・エピソードをまじえて小気味よく描いていて好感が持てる。日本人から見て「イギリス人のライフスタイル」には功罪あるものの読後には彼我の違いに少々の羨望感を持ち自らの日常(閉塞感)に思いを巡らせることになるだろう。


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Book Review!


作者:キース・デブリ

レビュー: 数学で犯罪を解決する (単行本)

数学の効用を説明する本は多数あるが,評者が読んだ中では本書が最も面白い本だ.主に書かれているのは,説明のためにわざわざ作った例題ではなく,現実.高校までに習う数学ではなく,大学で習う数学や専門家が使う数学.思考の訓練や科学技術の言語としての側面ではなく,数学(応用数学とか情報科学とか工学とか呼ばれるものも含む)をストレートに使う話.幅広いトピックス.概念の定義が面倒な話題では説明が表面的であるなどトピックスによって温度差はあるものの,総合すると非常にわかりやすい説明.

数式入りの縦書きのために読みにくい部分があるとか,最後の1/5ぐらい(元ネタ紹介と訳者補遺)がヌルいとか,数式に誤植があるとか,細かな文句はつけることもできるが総合すると素晴らしい本.高校?!
??からセミプロまで,広い範囲の人に勧めることができる.暗号の説明なんて短い中に証明以外の主要なものが詰め込まれているし,カジノやテロの話なんて読みながら色んなことを思いついて計算を始めたくなってしまう.裁判がらみの話は必須の教養と表現しても言い過ぎではないだろう.「自分は数学はわかんないけど立派に生きている」では済まされない.また,プログラミングができる人ならば読みながら自分でコードを書いてみたくなるのではなかろうか.

知的欲求を満たすための読み物としてはもちろん,大学の参考書,中学や高校の数学教師に要求される教養本としても価値が高い.ドラマ「NUMB3RS」を見ている必要はない(評者は見ていない).


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