「下村氏「メディアは国家をつぶす」 与党内でも批判」

amamu2018-04-24


 以下、朝日新聞デジタル版(2018年4月24日19時33分)から。

 財務事務次官のセクハラ問題に絡み、講演会での発言を撤回した自民党下村博文・元文部科学相が同じ講演のなかで、「日本のメディアは日本国家をつぶすために存在しているのかと、最近つくづく思う」と語っていたことがわかった。この発言に対しても24日、与野党から批判的な声が相次いだ。

 発言は、共産党が23日に公表した音声データに記録されていた。記録によると、下村氏は安倍晋三首相が提起した改憲案に批判的なメディアの姿勢に触れた後でこの発言をしていた。

 自民党竹下亘総務会長は24日の記者会見で「政治家の発言は気をつけないといけない。メディアの一番重要な仕事は権力に対するチェックだ」と指摘。公明党山口那津男代表は記者団に「まったく根拠のない発言だ。そうした発言は慎むべきだ」と批判した。希望の党玉木雄一郎代表も会見で「常軌を逸しているような発言だ」と述べた。

 財務事務次官によるセクハラ問題で、下村氏はやりとりを録音していた被害女性について「ある意味で犯罪」などと発言し、23日夕に撤回、謝罪している。

 下村氏は愛媛県などが国家戦略特区に獣医学部の新設を提案した時期と重なる2012年12月〜15年10月に文科相を務め、昨年6月には事業者となる加計学園の秘書室長から政治資金パーティーの費用として計200万円を受け取ったことが明らかになり、メディアから批判を受けていた。(星野典久)

「テレ朝社長、会話の録音は「公益目的」 セクハラ問題」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年4月24日20時31分)から。

 財務省福田淳一事務次官からテレビ朝日の女性社員がセクハラを受けたと訴えている問題で、同社の角南(すなみ)源五社長は24日の定例会見で、社員が次官との会話の録音を外部に提供したことは「公益目的からセクハラ被害を訴えたもので、理解できる」と述べた。

 同社はこれまで「取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為で遺憾」としていた。角南社長はこの日改めて録音は「身を守るためのものであって、不適切だったとは考えていません」と発言。録音には、取材内容と次官によるセクハラ発言が混在したため、結果的に取材内容が外部に渡ったとし、これについては引き続き「遺憾」とした。

 会見では、セクハラがあったとされる4月4日に次官と社員が会った経緯が明らかにされた。社員は1年半ほど前、福田氏と取材目的で複数回会ったが、そのたびにセクハラ行為があったため、上司と相談し、2人で夜に会うのを1年ほど避けていた。だが、この日は森友学園問題の報道で他局に先行され、裏付け取材を命じられた直後に、福田氏から連絡があった。そのため、別の上司に福田氏と会うことを伝えた上で取材に行ったという。

 この際に社員は福田氏のセクハラ発言を録音し、「この事実を報道すべきだ」と訴えたが、以前セクハラについて相談した上司は二次被害の恐れを理由に「難しい」と答えた。会見で篠塚浩取締役報道局長は「上司は『今のメディア状況の中で、自分の経験からしても現実的に放送は難しい』と(社員に)説明したそうです」と述べた。

 すると、「メディア状況」とは何なのか、報道陣から質問が集中した。篠塚局長は、森友・加計学園問題が大きく報道される中、「このタイミングで出す(放送する)ことは、なんらかの我々の意図があると思われかねない。そういう意味合いがあったと見ている」と語った。

 上司が社員の訴えをもみ消したかのような一部報道があるとして篠塚局長は「事実ではございません」と否定。「情報共有がスムーズにできなかった体制となっている一番の責任は、組織の長である私にあり、すみやかに改善を図りたい」とも述べた。

 福田氏の辞任について角南社長は「ハラスメントの事実を認めず、辞意を表明したことは残念」とコメント。政治家から女性社員を非難する声が上がっていることについては「こちらから申し上げることはない」と述べるにとどめた。

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 林香里・東大院教授(ジャーナリズム研究)の話 政治家などから女性社員の行動を非難する声があがり、セクハラが別の問題にすり替えられている。日米間の密約を問うたのに、記者の取材方法が非難された「西山事件」を思い出す。男性の取材相手に避けられるなどして、女性の記者たちが報道の現場で働きにくくなることを懸念する。